現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

早起きすると3文の得どころか、糖尿病に罹りにくい!?

皆さん、こんにちは~!
2月も下旬に入り、だんだんと日が長くなってきましたね!
私には野生の感が働くからなのか、、、日が昇るのと同時に起きる習性があります。
なので、冬と比べると、だんだんと朝目覚めるのも早くなってまいりました。

“早寝早起き病知らず” ということわざ、ご存知ですか?
「んな訳ないよ・・・」って声が聞こえてきそうですが、、、
このことわざを裏付けるような研究論文を見つけたのでご紹介しますね!
 
なんで、早寝早起きがいいのか?って話なんですが、
日中の活動量が多くなるという事が以前から言われていました。
ま~、確かにマイケルのように遅くまで起きていても、SNSを見ているか、深夜番組を見ているだけ…。目は酷使しても身体はぬぼぉぉぉ~っと、アザラシ状態。活動しているわけではないから、健康的でないですね。
 
BMJ Open Diabetes Research and Care」7月16日オンライン版に掲載された英レスター大学のJoseph Henson氏がの研究によると、「睡眠時間帯の身体活動への影響を理解することが、2型糖尿病患者の健康管理に役立つ可能性がある」という事だそです。
 
 

早寝早起きが、糖尿病リスクを減らす!?

研究内容

2型糖尿病患者635人に加速度センサーを装着して7日間生活してもらい、身体活動量や睡眠、座位行動などに充てている時間を計測。その結果と、質問票により把握した普段の就寝・起床時刻などとの関連を検討しました。

  • 対象者の平均年齢は63.8±8.4歳で、女性が34.6%、BMI30.9±5.1、糖尿病罹病期間11±8年、HbA1c7.1±1.2%だった。

  • 参加者の25%(159人)は朝型生活。平均就寝時刻は22時52分

  • 参加者の23%(146人)を夜型生活。就寝時刻は00時36分。

  • その他の52%(330人)は、朝型・夜型のいずれにも属さなかった。

  • 睡眠時間は、朝型の人が平均383.8分、夜型の人は376.1分で統計的な有意差はなかった(P=0.127)。

 

研究結果
  • 年齢、性別、民族、就労の有無、糖尿病罹病期間、および睡眠時間で調整の上、朝型と夜型を比較した結果、夜型の人の方が身体活動量が少ないことが分かった。
  • 座位時間は、朝型の人が平均746.3分であるのに対し、夜型の人は774.7分で、28.7分/日(95%信頼区間8.6~48.3)長かった(P=0.001)。
  • 反対に中~高強度の身体活動の時間は同順に22.3分、12.5分で、その差は-9.7分/日(同-14.9~-4.6)であり、夜型の人は朝型の人より56%少なかった(P=0.001)。
  • 軽強度の身体活動も同順に189.2分、155.7分であり、夜型の人の方が有意に短かった(P<0.001)。
 

日中の身体活動量が糖尿病リスクを高める要因につながる

この研究結果から示唆されることは、
  1. 遅くまで起きている人は座っている時間が多い。
  2. 座っている時間が長いと糖尿病にかかるリスクが高い。
  3. 遅くまで起きている人は運動量が56%少ない。
  4. 早起きの人は日中の活動量が多い。
  5. 日中の身体活動量が多いと糖尿病を予防できる。
2型糖尿病は、世界で4億6300万人、成人の11人に1人が糖尿病に罹患しており、その数は2040年までに7億人に達すると予想されています。
2型糖尿病は日々摂取する食品はもちろんですが、肥満や身体活動が少ないことに起因しているとも言われています。
現代社会は自動車、電車、飛行機などの輸送手段の発達によって、100年前と比べると明らかに日常における運動量が減少し、座っている時間が長くなっています。世の中が便利になった陰には、こういった現代病を発症するリスクが潜んでいるとも考えられます。
 
今回の研究結果では、朝型の人(早寝早起き)に比べ夜型の人(遅寝遅起き)は、日中の身体活動量が高く、糖尿病のリスクを軽減させるという事が分かりました。
しかし、糖尿病に罹患している人のみならず、全ての人にとって身体活動は大切です。「身体活動は健康的な体重と血圧の維持に役立ち、心臓病のリスクも抑制する」とも報告されているからです。
就寝時間が遅いことと身体活動量が少ないことの関連性はこの研究で明らかにされました。
糖尿病に罹患するというのは、日常生活と大きく関わっています。時間やお金をかけてジムに通わずとも、日々の生活の中で「歩ける距離は歩いていく」「電車の中ではなるべく立っている」「エスカレーターでなく階段を使う」など、ちょっとしたことに気を付けるだけで、糖尿病は防げるかもしれません。
 
マイケルも今日から、早寝早起きします。
女に二言はありません~!
 
 
原著論文はこちら
Henson J, et al. BMJ Open Diabetes Res Care. 2020 Jul 8.
参考
2020年9月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay.