大腸がんの予防には〇〇を変えることが超効果的!!
皆さん、こんにちは!
今回は、日本人で増加傾向にある「大腸がん」についてお話していこうと思います。
現在、日本では大腸がんの死亡率は肺がんに次いで2位、罹患率は胃がんに次いで2番目に高く、特に女性ではがん死亡率のトップになっています。また、日本の高齢化率は25%を超え世界で最も高いのですが、同様に高齢化率が20%超であるドイツ、イタリア、フランスなどでは、がんの死亡率は増えていないのです。なので、「日本人は高齢化が進んでいるから“がん”も増えている…」という理屈は通用しないのです。
そして、本来、大腸がんは数あるがんの中でも最も管理しやすいものの1つであるのに、日本では死亡率を減少させることができていないのです。
もともと大腸がんの死亡数が多かった米国は、国家的な対策により大腸がんの死亡数を減少させることに成功しています。一方で日本は、増加の一途をたどっています。後で触れますが、日本の検査技術や治療技術は国際的にレベルが低くはありません。それゆえに、特に消化管の治療を専門とする日本の医師たちの多くは、「大腸がんで命を落とすのはもったいない」「大腸がんで命を落としてほしくない」と、日々感じているそうです。
大腸がんが増えているのは、食生活の欧米化が原因と考えられています。また、近年の研究により、肥満とアルコールのとり過ぎが、大腸がんを引き起こしやすい原因であることが明らかになってきました。ほかにも、運動不足や喫煙なども大腸がんの発症に関わっている可能性が高いとされています。また、高齢になると発症しやすく、遺伝性の場合もあります。
そうなのです!!大腸がんは生活習慣に気を配れば防げる病気なのです。
食事が大腸がんの発症リスクに影響を及ぼすことが確認された!!
研究とメタ解析のアンブレラレビュー(複数のメタ分析やシステマティック・レビューのデータを統合的に分析して、その結果をまとめたもの)により、「食物繊維、食物性カルシウム、ヨーグルトの摂取量の増加、また飲酒量や赤身肉摂取量の減少が、大腸がんリスクの低下に関連するという説得力ある科学的根拠」が示されたのです。
ただし、大腸がんと乳製品、全粒穀物、加工肉、具体的食習慣など、ほかの食事との関連性に言及するには、さらなる研究が必要であると著者らは結論しています。
巷では、食物繊維やヨーグルトなど乳酸菌や発酵食品をたくさん摂取すると大腸がん予防につながるよ~。なんて言われていましたが、この推論が科学的に裏付けられた。と考える事が出来ますね。
それでは、「食事習慣と大腸がんのアンブレラレビュー」について、簡単にお伝えしますね。
Confirmed: Diet Influences Colorectal Cancer Risk(食事が大腸がんリスクに影響する)
45件のメタ解析のレビューから関連を探る
- 45件のメタ解析のアンブレラレビューにより、109の関連が見出されました。全体として、109の関連のうち35(32.1%)が統計学的に有意であり、変量効果メタ解析モデルに基づき判定されたと研究者らは説明している。
- 赤身肉摂取量が多い場合(少ない場合と比較)、またアルコール摂取量が多い場合(1日4杯以上の飲酒と定義し、非飲酒か機会飲酒と比較)において、大腸がんリスクが高まることを示す説得力のあるエビデンスが見いだされた。
- さらに、3つの逆相関、すなわち食物繊維、カルシウム、ヨーグルトの総摂取量の増加(vs.減少)が大腸がんリスクの低下(vs.増大)に関連することを示す有力なエビデンスも見つかった。
今回のレビューの研究者たちは、「食事と大腸がん発生率との高い関連を示すもう1つの科学的根拠があった」とも語っています。
- 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)の総摂取量が多いと、摂取量が少ない場合と比べリスクが大幅に減少した。
- 中程度の飲酒(1日1~3杯、4杯以下)は、非飲酒または機会飲酒と比べ発生率の増加と関連していた。
レビューにより、地中海式食事、健康的食事、ペスコベジタリアンまたはセミベジタリアン食事、また全粒穀物、非発酵乳、補給カルシウムの摂取の順守など、いくつかの生活習慣行動がリスク低下に関連することが示唆されました。
やはり巷で言われているように、欧米型に代表される赤身肉や加工肉の摂取が大腸がんリスクの増加と関連していたと示唆される結果でした。
米国がん研究協会が進める予防食事ガイドライン
従来の米国がん研究協会(AICR)のこがん予防食事ガイドラインでも、本レビューと同じようなことを推奨しています。AICRの報告は下記の通りです。
- 全粒穀物、食物繊維含有食品、乳製品、および補給カルシウムが大腸がんのリスクを低下させるという強力なエビデンスを明らかにした。
- 具体的には、1日あたり90g、毎食時に全粒穀物を食べると大腸がんのリスクが17%減少するということだ」。
- さらに、赤身肉や加工肉の大量摂取、過度の飲酒、および過体重は、大腸がんのリスクを高めるという強力なエビデンスも示している。
まとめ
これまでの多くの研究が、食事と大腸がんリスクとの関連を示唆していました。最近のある研究では、全てのがんのうち、大腸がんが食事関連症例の割合が最も高い(38.3%)ことが示されています。次に多いのは、口腔、咽頭、喉頭がんで、症例の約26%が食事に関連し、子宮内膜がん、閉経後乳がん、そして腎臓、胃、肝臓、膵臓、食道がんがそれに続く。
従来から、過体重や喫煙、運動不足を含むほかの生活習慣因子も、がんのリスクに影響を及ぼすことは証明されていましたが、本レビューは、食事のみに焦点を合わせ、「食事が大腸がん発症リスクに影響する」という、非常に説得力のある科学的根拠を説明したわけですね。
考えてみれば、「野菜をいっぱい摂りましょう!」「お肉より魚中心の食事にしましょう!」って、病院や栄養士さんから食事指導を受けますよね。
まぁ、最近では糖質制限食の知名度増大によって、いわゆる低糖質と分類される赤身肉や加工肉の摂取を勧めて、炭水化物を含む根菜類(根菜類は糖質も含むが食物繊維も多量に含んでいる)や全粒粉の摂取は控えるように…。」という指導を受けているかたもいらっしゃると思いますが。
要は、自分の身体をどうしたいか?身体にどうなってほしいか?です。
境界型糖尿病や糖尿病の方は多量の炭水化物摂取は控えたほうが良いですし、大腸がん発症リスクを減らしたいなら赤身肉の多量摂取は控えたほうがよいですし。
大切なのは、やはりバランスですね~。
食事だけではなく、人間の精神もバランスが必要だ。。。
参照
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Medscapeオリジナル記事はこちら
https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2776517