現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

大豆製品(イソフラボン)が女性を冠動脈疾患の魔の手から救う!!

皆さん、こんにちは!

いつも読んでくださり、ありがとうございます。

 

皆さんは、豆腐や納豆、お味噌汁などの大豆製品をどのくらい摂っていますか?

イソフラボンブーム” も相まって、特に女性は大豆製品を積極的に食べてい方も多いのではないかと思います。

今回お伝えしたいブログの内容は、

イソフラボンを多く含む食品の定期的な摂取によって冠動脈疾患(狭心症心筋梗塞)の長期リスク低下を予測することが出来る」

という内容です。

特に若年女性(15歳~34歳の)の女性にとっては顕著にこのデータの有効性が示されたそうです(3件の主要な前向きコホート研究のプール解析)

 

3研究の参加者20万人超を臨床的に追跡、その期間中の480万人/年を解析したところ、豆腐を週1回以上摂取した群は月1回未満の群と比較して、調整後のCHDイベントのリスクが18%低下した(p=0.005)ことが明らかになった。

イソフラボンを豊富に含む食品全般の摂取でみると、同様のリスク低下は13%であった。
豆乳の摂取に関しては、同様のベネフィットは観察されなかった。

豆腐の摂取と冠動脈のリスク低下との関連は、主に、閉経前の若年女性およびホルモン療法(HT)を受けていない閉経後女性のベネフィットに大きく影響している。

Circulation誌オンライン版3月23日号

 

www.medscape.com

 

『心疾患の発症リスクが高い患者に対し、健康的な野菜中心の食事に加え、食事の要素として豆腐などの大豆製品を摂取するのは、意味のあることかもしれない』というメッセージを含んでいます。 

 

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 研究背景と結果

本試験集団は、1984~2012年に実施されたNHSに参加した女性7万4,241人、1991~2013年に実施されたNHS IIに参加した女性9万4,233人、1986~2012年に実施されたHPFSに参加した男性4万2,226人で構成された。

全参加者は、ベースライン時に心血管疾患、およびがんを有していなかった。

参加者は、検証済みの食事摂取頻度調査票(FFQ)に2~4年ごとに回答した。NHSでは1998年から、NHS IIでは1999年から、HPFSでは2002年から、FFQに豆乳摂取に関する質問が含まれるようになった。

研究者らは、FFQへの回答に基づき、代替健康食指数(AHEI:alternative healthy-eating index)を計算した。AHEIは、野菜、果物、全粒粉、加糖飲料およびフルーツジュース、ナッツ類および豆類、赤肉および加工肉、トランス型脂肪、長鎖n-3系脂肪酸、多価不飽和脂肪、ナトリウム、アルコールという11種類の食品または栄養素の摂取について要約したものである。

今回の研究において、豆腐および豆乳はAHEIの計算から除外された。

研究者らは、人口統計、人体測定、そして生活習慣の因子(たとえば体重、喫煙、身体活動、薬物やサプリメントの使用)、閉経状態、さまざまな閉経後HTや、心筋梗塞(MI)・糖尿病・高血圧・高コレステロール血症の既往および家族歴に関するデータを収集するため、2年ごとに追跡調査の質問票を送付した。

豆腐は有益だが豆乳はそうではない

追跡期間中の482万6,122人年において、非致死的心筋梗塞、または冠動脈疾患による死亡は8,359件記録された。追跡期間の中間時点で、参加者の4.1%が週1サービング以上の豆腐を摂取していた。

 

研究結果のまとめ

  1. イソフラボン摂取量の多さは、野菜摂取量の多さ、身体活動量の多さ、AHEIスコアの高さと関連した。

  2. 豆腐の摂取頻度が高かった群は、身体活動量が多く、AHEIスコアが高く、果物や野菜の摂取量が多く、肉類やトランス脂肪の摂取量が少ない傾向であった。

  3. 調整解析を行ったところ、イソフラボン摂取量は冠動脈疾患の発症率と逆相関した。(この多変量解析には、AHEIスコア、年齢、性別、人種、社会経済的状態、パートナーの教育レベル、喫煙状態、アルコール摂取量、身体活動量、マルチビタミンの使用、aspirinの使用、高血圧および高コレステロール血症の既往、MIの家族歴、閉経状態、閉経後HT、経口避妊薬の使用、BMI、推定総エネルギー摂取量が含まれた)

  4. 豆腐の摂取量と冠動脈疾患の発症率との間にも、有意な逆相関が観察された。豆乳についてはこのような有意な傾向は認められなかった

 

ちょっと驚いたのは、豆乳を摂っても冠動脈疾患の発症リスクは軽減されなかったという事実。

豆乳は簡易的にイソフラボンを摂取するというメリットがありますが、冠動脈疾患のシルクを減らすというところには至っていないようですね。

この理由に、“豆乳と豆腐の栄養プロファイルは異なる” という点が挙げられます。

「豆腐と異なり、豆乳にはCHDリスクに対するイソフラボンの保護的効果を一定程度妨げてしまうような糖類、乳化剤やその他の成分が添加されている可能性がある」ことが理由である。と述べる先生もいらっしゃいます。

また、野菜の摂取や身体活動量の多い人ほどイソフラボンの摂取量が多いという事は、“健康に気を遣っている方はイソフラボンの摂取量が多い” とも考えられます。

 

エストロゲン作用の可能性

さらなる解析において、豆腐摂取量が多いこと(週1サービング以上と摂取なしを比較)による有益な効果は、主に閉経前女性およびホルモン療法を受けていない閉経後女性における逆相関関係によってもたらされているが、ホルモン療法を受けている閉経後女性ではその関連は見いだされなかった(交互作用のp=0.002)。

  • 閉経前女性…HR:0.45、95%CI:0.16~1.23、傾向のp=0.02
  • ホルモン療法を受けたことのない閉経後女性…HR:0.51、95%CI:0.26~1.02、傾向のp=0.03
  • ホルモン療法を受けていた閉経後女性…HR:1.04、95%CI:0.76~1.42、傾向のp=0.87

 

つまり、閉経前の女性とホルモン療法を受けたことのない閉経後女性にとって、イソフラボンの冠動脈疾患リスクを減少させる効果は有効であったということです。

 

イソフラボンエストロゲンと類似しており、弱いエストロゲン作用を有することが知られている」

「動物およびヒトでの研究において、イソフラボンおよび/またはその代謝物は強力な抗酸化物質であり、血中脂質プロファイルを改善し、インスリン抵抗性を改善し、炎症を低下させることが見いだされている」。

 

今回の研究では、大豆製品(イソフラボン)の摂取が、特に若年女性にとって“冠動脈疾患の発症リスクを抑える”可能性があるということが分かりました。

以前から、イソフラボンが女性の健康に摂って良い。と言われてきましたが、どうやら冠動脈にとってもこの効果はありそうです。

また、、豆乳には "冠動脈疾患を抑える働き” は実証されていないという事も今回の研究で分かりました。

お鍋が美味しい季節になってきました。お鍋には欠かすことのできない“豆腐”。大豆製品を摂取するにはもってこいですね!

 

参考文献: 

https://www.medscape.com/viewarticle/928506

 

参照:

ケアネット

https://www.carenet.com/