現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

やはり和食はダイエットに効果があった!!

みなさん、こんにちは(^^)

今年も気付けば師走・・・。新型コロナの影響により例年のように外食したりイベントごとにはせ参じたり出来ない状況下ではありますが、、、やはりこの季節、クリスマスにはお肉料理やケーキ、年末年始になるとおせち料理に鍋料理、、、あぁぁぁ、食べ過ぎてしまいそう!

しかも私、最近お腹周りの脂肪も気になってきました。年のせいですかね・・・。

年のせいになんてしたくないーーー!!!そう、私は永遠の27歳☆彡


皆さんはお腹の肉、つまめますか?私はつまめます(笑)。

でも、「お腹の肉、つまめないから大丈夫ーーー!」って、安心するのは、時期尚早かも・・・。

脂肪には皮下脂肪と内臓脂肪の2種類があるのをご存知ですか?この2種類の特徴や働きを挙げると、

  • 皮下脂肪:長期的なエネルギーの備蓄や放出(摂取・消費カロリーバランスにゆっ
         くりと対応する)をします。腰まわり、おしり、太ももなど皮膚の下
         に蓄積(しっかりとつまむことができる)します。体温の保持、他に
         外からの衝撃をやわらげるクッションの役割。この皮下脂肪は男性と
         比較すると女性に多い理由は、子宮や卵巣などと言った臓器を脂肪で
         守る働きもあるためといわれています。

  • 内臓脂肪:エネルギーの一時的な貯蔵(摂取・消費カロリーバランスに迅速に反
         応する)の機能を担っています。内臓のまわりの腸間膜(ちょうかん
         まく)に蓄積(外からつまむことができない)して、内臓を正しい位
         置に保ったり、衝撃をやわらげるクッションの役割を持っています。

内臓脂肪は、日々の活動に使われるエネルギーを簡単に速やかに出し入れできる普通預金。そして皮下脂肪は、エネルギーを長期的に備える定期預金にたとえることができます。

内臓脂肪が怖いのは、内臓脂肪の蓄積レベルが高いと、糖尿病や脂質異常症(高コレステロール血症)、高血圧などリスクを高め、ひいては動脈硬化、心血管疾患を発症する原因にもなり得るからです。

しかし、内臓脂肪はとても素直で、従順です。皮下脂肪に比べて代謝が早く、蓄積もしやすいですが、食事制限や運動を心がけるだけで比較的減りやすいことが知られています。日々の生活を見直すことによって、脂肪を減らすことができます。つまり、食事の内容、適度運動を心掛けることで、このにっくき脂肪を減少させることが出来ます。

お金だったら、どれだけ貯金があってもウハウハですよね? でも、脂肪の貯金が多すぎると健康を害する要因にもつながりますから、用心したほうが良いですよ~。

そんな内臓脂肪を撃退したいアナタに、とってもいい記事を見つけたのでご報告しますね!

 

和食で内臓脂肪が減少!

「和食(Washoku)」が、日本の伝統的な食文化として、ユネスコ無形文化遺産に登録されたのは2013年。その健康効果には世界的に注目が集まっているが、ヒトの内臓脂肪蓄積に与える影響やメカニズムについては不明でした。

 今回、坂根 直樹氏(京都医療センター 臨床研究センター 予防医学研究室長)、高瀬 秀人氏(花王株式会社 生物科学研究所)らの研究グループは、日本の伝統に基づく食事が、内臓脂肪面積あるいはGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)分泌に及ぼす効果を調査しました。*1

 
同ループは、これまでの研究で、1万1,438人の内臓脂肪と食習慣、さらに579人の3日間の食事記録と食習慣を調査した。それらのデータを詳細に解析した結果、
「タンパク質/脂肪比≒1.0」「食物繊維/炭水化物比≧0.063」「ω-3脂肪酸/脂肪比≧0.054」これら3つの条件が、内臓脂肪蓄積の予防と関連することが明らかになった。*2と述べています。
坂根氏らは、この3つの比を取り入れた日本食を「スマート和食」と呼び、スマート和食と現代食が内臓脂肪蓄積に与える影響について、クロスオーバー試験で調査しています。
 
結果
  • 対象は21人の過体重あるいは肥満の男性(平均年齢:41.0 ± 9.0 歳、平均BMI:25.2 ± 2.0 kg/m2)。
  • 単回の食事負荷試験で、食後0、30、60、120、180、240分におけるGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)の曲線下面積(AUC)を算出した。
  • スマート和食では、現代食と比べ、食後GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)濃度が有意に低かった(AUC:700.0 ± 208.0pmol/L・4 h vs.1117.0 ± 351.4 pmol/L・4 h、p <0.05)。
  • 一方、同時に測定した血糖、中性脂肪インスリン、GLP-1、peptide YY、グレリンでは、両群間で差を認めなかった。
  • 2週間にわたるスマート和食の介入では、内臓脂肪だけでなく、LDL-コレステロール中性脂肪HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)値が有意に減少した。


 これらの結果から、スマート和食は、おそらくグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド分泌の抑制を介して、過体重/肥満男性の内臓脂肪面積を低下させ、代謝パラメーターを改善する可能性が示された。

 

GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)とは?

GIPとは「インクレチン」という、小腸から分泌されるホルモンのひとつです。通常、我々人間は、食事を摂取することによって血糖値が上昇すると、腸からインクレチンが血液中に分泌され、それが膵臓のβ細胞に働きかけインスリンの分泌を促し血糖を下げることとなるのです。その後の研究の積み重ねにより、インクレチンは、GLP-1(グルカゴン様ペプチド:Glucgon-like peptide-1)とGIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド:Glucose-dependent insulinotropic polypeptide)という2つのホルモンであることが証明されました。

つまり、GIPとはインスリン分泌を促す作用のあるホルモンと解釈できます。インスリンが分泌されないと、血液の中は高血糖のまま維持され、糖尿病を引き起こす原因になります。

 

www.club-dm.jp



 今回の結果より、GIP(グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド)が和食の内臓脂肪低減効果のメカニズムに関与していることが示唆された。

ポッコリお腹を何とかしたいという患者さんはたくさんいます。

  1. 食事では、脂質を減らしてタンパク質を増やす。
  2. 糖質を摂る前に野菜・きのこ・海藻類などの食物繊維をたっぷり摂る。
  3. 脂質を摂るならω-3系脂肪酸を積極的に摂る。

という3つのポイントが大事です!

早食い、お腹がいっぱいになるまで食べる、スナック菓子をよく食べるという要素は、内臓脂肪が高くなる原因にもなります。

お風呂上がりのアイスクリームって美味しいですよね~! 火照ったからだに甘くて冷たいアイス、、、これ至福のひと時です。スーパー銭湯に行った時のあの、コーヒーフロート、、、ほっぺが落ちそうに美味しい~。。。なんて言っている場合ではないですね(汗)。
アイルクリームって内臓脂肪を貯蔵しちゃいますから注意が必要。

 

内臓脂肪をチェックするにはどうしたらいいの⁈

皮下脂肪は手でお肉がつかめる、とか見た目でおおよその判断がつきますが、「内臓脂肪がどれくらい付いている?」なんてこと、私たちの目では分かりませんよね?

まぁ、ドラえもんの道具があれば可能かもしれませんが…笑

しかし、この内臓脂肪、みなみ野循環器病院の心臓CTドックでチェック出来ます!

内臓脂肪量、皮下脂肪、動脈硬化等のリスクなどなど…。当院の心臓ドッグで確認する事が出来ます!

www.mrso.jp

 

健康になる第一歩は、まずご自身の身体のことを知ることから始まります。一度ご自身の内臓脂肪・皮下脂肪、心臓の血管の様子を観察してみてはいかがですか?

 

原著論文はこちらSakane N, et al. Nutr J. 2019;18:52.