低脂肪vs.低炭水化物ダイエット ~本当に効果のあるダイエット法はどっち!?~
皆さん、こんにちは(^^)
2020年、オリンピックイヤーをかざる年始の目標に『今年こそは痩せる!!』
と意気込んでいる方も多いはず!
そんな方は必見です!!
科学的根拠のあるダイエット法が明らかになりました~。
ついに、低脂肪ダイエットvs.低炭水化物ダイエットどちらの食事療法に減量効果があるのか!?この議論に決着がついたようです。
「デブの原因は脂肪だ~!」とか、「いやいや、糖質が本当の悪なんだー!」なんて論争が日々続いていますが・・・。実際、日本や海外の医学会でも両者のどちらを推奨しているかは、その道の専門家でも各々見解が異なっているんです。
低脂肪グループvs.低糖質食グループ
この研究は、米国のスタンフォード大学などの研究チームによるもので、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、12か月間実施。2018年2月20日号のJAMA誌(米国医師会雑誌)に掲載発表されました。
- 平均BMI値28~33のやや肥満傾向の男女(女性57%)
- 非糖尿病の18~50歳、609例を対象
- 無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を実施
被験者を2群に分けて、
- 低脂肪グループ:最初の2カ月は脂肪は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日42gまでにする。
- 低糖質グループ:最初の2カ月は糖質は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日96.6gまでにする。
さらに、共通する指示として、
- 1日の摂取カロリーに制限はなし(気にしなくてOK)
- タンパク質の量はどちらのグループとも1日90gぐらい
- できるだけ加工食品を減らして野菜を増やす(小麦や砂糖、トランス脂肪酸の量はできるだけ減らす)
参加者の遺伝子型やインスリン感受性に関しても調査
この研究が興味深いのは、食事制限の指導のみでなく、個々の遺伝子型も調べて調査を行った所です。
- 生まれつき脂質の代謝が苦手な人(=低脂肪が効きやすいと推測される)
生まれ持った体質によって、ダイエットの効果に違いが出るのか?という問題です。
低脂肪食と低糖質食、どちらに軍配があがるのか!?
この結果、遺伝子体型やインスリン感受性を考慮にいれても、低脂肪食と低糖質食の減量効果同程度。結果、引き分けということです。
- 1年間の期間の終了時に、低糖質食を続けた人は、平均して1日に132グラムの炭水化物を摂取しており、試験前の247グラムの半分近くまで減らした。
- 同様に、低脂肪食を続けた人は、平均して1日に57グラムの脂肪を摂取していた。試験が始まる前には平均87グラムを摂取しており、3分の1を減らした。
- 試験開始から1年後には、低糖質ダイエット群では平均で6.0キログラム、低脂肪ダイエット群では5.3キログラム減量し、減量効果は両群間で同程度であることが分かった。
- 安静時の血圧とインスリンの改善も両群間に差はなし。
- 悪玉コレステロールの減少は低脂肪食が優勢(ただし僅かな差)
- 善玉コレステロールの増加は低糖質食が優勢(ただし僅かな差)
- 8件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。
実は、研究チームは参加者に、どちらの食事スタイルに振り分けられたにせよ、
「新鮮な野菜を食べる」
「精製された加工食品をなるべく控える」
「極端に空腹になるのを避ける」
「食後に運動をし、血糖値が上昇するのを防ぐ」
など、一般的な食事のアドバイスをしています。
とくに注意したのは、特定の食事スタイルを長期間続けられるよう調整することで、「今回の研究が終わっても、自分の選んだ健康的な食事スタイルを、ずっと続けられるようになることを目指した」といいます。
〇〇制限食とかでなく、摂取しているカロリーの質が重要
低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットのどちらも、無条件に健康に良いわけではありません。たとえば、炭酸飲料や清涼飲料水などは低脂肪ですが健康的ではなく、ラードは低糖質ですが、アボカドの方がより健康的です。
体重を減らすために基本となることは、食事で必要な栄養素を十分に摂り、カロリー摂取量が消費カロリーを上回らないようにコントロールすること。in outのバランスが重要です。
体重を効果的に減らすことを目指しているという点で、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットは戦略は似ています。極端にストイックな食事制限は長続きしましん。
ダイエットや健康に求められているのは、食べることを我慢することではなく、もっと効率のよい食べ方に変えていく方法を探ることです。
体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致は得られてません。しかし、総エネルギー摂取量は各群ともに平均で2,200kcalから1,700kcalまで減少させることができており、低脂肪食であっても低炭水化物食であっても、食品の組成や遺伝因子、インスリン分泌能に関係なく減量が可能であるというこの試験の結果は、痩せることに最も重要なのは、エネルギーの総摂取量を減らすことであるというきわめてシンプルなことを科学的に示しています。
さらに重要なことは、カロリーの質の高い食事を取ること。同じ500kcalでもポテトチップスを食べるのか、焼き魚定食を食べるのかでは、まったく栄養素が異なるのは明白です。
次回は、ダイエットや健康にも関連した食事療法であるDASH食についてお話ししようと思っています。このDASH食は高血圧予防のための食事療法アプローチなのですが、実は高血圧予防効果だけでなく、糖尿病予防効果、高尿酸血症予防効果、体重減少効果など、非常に有益な食事療法であり、U.S.ニューズ・アンド・ワールドリポート誌(U.S. News & World Report)の2018年食事ランキングでは、「DASH食(高血圧予防のための食事療法アプローチ)」が総合第1位にランク付けされているのです。非常に興味深いですよね!!
次回は、このDASH食についての記事でお会いしましょう~!(^^)!
原著論文はこちら
Tay J, et al. Diabetes Care. 2014 Jul 28.