現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

性別によって発症しやすい病気が異なる!?

皆さん、こんにちは!

情報番組とか巷のうわさでは、「糖尿病だと腎臓が悪くなりやすい」とか、「コレステロールが高いと動脈硬化が起こりやすい」って、耳にするじゃないですか。

確かに、間違っているとも言えないんですけど…。

〇〇だから、△△の病気に罹りやすい、死亡率が上がる。って言われると気になりますよね。

そこで皆さん、最も分かりやすい2者択一の特徴といったら、、、

性別。

この性差によって、特定の病気になる可能性って変わったりするのかな?って、疑問に思ったのです。で、調べてみると出てきましたよ~。性差(性別)によって罹患しやすい疾病があるそうです!

こればわかったら、日々の食生活や習慣で自分がどんなことに気を付けて生活していけばよいのかの指標にはなると思います。

 

今回引用したのは、国立循環器病研究センター予防 健診部部長の宮本恵宏氏が、第40日本肥満学会・第37回日本肥満症治療学会(2019年11月2〜4日)において、発表した吹田研究(大阪府吹田市在住の都市住民を対象としたコホート研究)。

この研究によって、『男性と女性では循環器疾患に対する危険因子が異なる』という事が明らかにしました。

「心臓 フリー素材」の画像検索結果

 

腹囲の増加において、男性が冠動脈疾患リスクが上昇、女性は脳卒中リスクが上昇

  1. 肥満(BMI)と高血圧発症のリスクの関連性を見ると、BMIが高いほど高血圧の発症リスクは上昇した。

  2. 各々の性別による現在・出生時の体重と血圧の関係を調査したところ、 男性では成人期のBMIが高値なほど血圧が高くなるのですが、出生時体重の影響はあまり受けない。一方で、女性の血圧は成人期のBMIが高い者ほど高値を示すとともに、出生時体重が低い者ほど高い傾向が認められた。

  3. 循環器疾患の発症リスクと腹囲(ウエスト周囲長)の関係を見てみると、男女とも50〜69歳では腹囲の増加に伴い循環器疾患の発症リスクが有意に上昇した。特に男性では主に冠動脈疾患リスクが上昇、女性では脳卒中リスクが上昇した。しかし、30〜49歳および70歳以上では、同様の傾向は見られなかった。

  4. 腹囲と高血圧の発症リスクにも同様の関係が見られ、男性では85cm以上で高血圧の発症リスクが有意に高く、女性では90cm以上で有意に高かった。

  5. 肥満と高尿酸血症の関係については、男性では腹囲80cm未満と比べ85cm以上でリスクが1.5倍となるが、女性では上昇傾向を認めるにとどまった。

以上を簡単にまとめると、

  • 高血圧症に関しては、男女ともに肥満(BMI 高値)であると高血圧を発症しやすい。ただ女性の場合は現在の体重だけでなく、出生時の体重が低い人ほど高血圧になりやすいという傾向がみらた。つまり女性は出生時の体重の影響を受けやすいという事ですね。

  • 男女ともに50-69歳では、腹囲の増加に伴って循環器疾患に掛かりやすくなるので注意が必要。自宅でメジャーでウエスト回りを測定したり(男性では85cm以上、女性では90cm以上で注意!!)、病院に設置されてあるCT検査によって腹部肥満の原因が皮下脂肪なのか内臓脂肪なのかを確認するのもいい方法です。

  • 50-69歳で男性の場合、腹囲が大きいと冠動脈疾患をは発症しやすい。一方女性では脳卒中に掛かりやすくなる。しかし、女性の場合、30-49歳における腹囲の増加は脳卒中発症とは関連性がなかった。これは、女性にとって閉経が脳卒中と関連している可能性もありますね。

  • 腹囲と高尿酸血症(いわゆる痛風)の関連性は、腹囲が85cm以上の男性は発症リスクが高まる。一方で、女性では上昇傾向がある。という事にとどまりました。高尿酸血症は性差を受けるという事ですね。特に男性&肥満の方は気を付ける必要がありそうですね。

 

女性は飲酒の影響が大きい

男女ともに飲酒の有無と肥満による疾病リスクを調査したところ、男性は飲酒 の有無にかかわらず腹囲が大きいほど高尿酸血症の発症リスクが上昇した。一方で女性ではそうした関係は認められなかった。

つまり、女性においては飲酒の影響により、肥満と高尿酸血症の関連性が薄れたということ。これは、女性では肥満以外に飲酒という影響を受けやすいとも考えられる。

 

男女ともにメタボリックシンドロームと喫煙の組み合わせで心血管疾患リスクが上昇


喫煙とメタボリックシンドロームが心血管疾患の発症に及ぼす影響については、男女ともに喫煙 またはメタボリックシンドロームにより心血管疾患発症リスクは上昇した。喫煙の影響を男性は33.7%受けるのに対し、女性は13.8%であったが、メタボリックシンドロームの影響については男性19.4%に対し、女性は29.5%と高かった。

 

『喫煙とメタボリックシンドロームが心血管疾患に与える影響(Circ J 2009; 73: 2258-2263を基に宮本恵宏氏作成による表を引用)』

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この表を見てわかるように、心血管疾患になりやすいのは、男女ともにメタボリックシンドローム&喫煙者。ここで注目したいのは、女性においてはメタボリックシンドロームの影響を受けやすく、さらにメタボリックシンドローム&喫煙によって心血管疾患発症リスクは著しく高まります。女性にとってメタボリックシンドロームと喫煙の合わせ技は非常に注意が必要だとわかります。

 

痩せた女性は糖尿病に注意を!

次にあげるのは、女性のみの調査結果

>>>佐久中央病院(長野県)が女性4,725人(30-69歳)の健診データをもとに追跡調査(7.2年間)を行ったデータでは、肥満(BMI:25以上)と痩せ(BMI:18.5未満)で糖尿病の発症リスクが高まった。さらに、30〜39歳、および40〜49歳における肥満は糖尿病リスクが上昇した。しかし、60~69歳では痩せていると糖尿病になるリスクが高まった。

女性に限って考えると、30~50歳までの中年期においては太らないように気を付ける。一方、60~69歳の高齢期においては痩せないように注意する必要がある。女性においては、食習慣が糖尿病と関係しているのではないおだろうか。

 

まとめ

男女ともに、心血管疾患に罹りやすい危険因子は異なるということがわかりました。

男性では肥満に注意。女性では飲酒や喫煙にも注意が必要です。

また女性の場合、更年期以降は痩せいないように気を付けなければなりません。栄養価の高い食事をること、3食規則正しく食べる事、そして運動習慣によって筋力をつけることが糖尿病の魔の手からご自身を守る手助けとなりそうです。

それでは、またお会いしましょう~