グリセミック・インデックス(GI値)!? 血糖値で気を付けなければいけないホントのトコロ。
読者のみなさま、こんにちは~!!
私の職場の近くを流れる川沿いには、きれいな桜並木があります。仕事の合間にその桜を見ながら、『日本人だな~、幸せだな~』としみじみ浸っております。
しかし!そんな余韻に浸ってる暇、実は私にはありません。今回も健康や病気についてのブログ、ご紹介していきますね。
先日、グリセミック・インデックスの投稿をしたのですが、皆さん覚えていらっしゃいますか?
実は、このグリセミック・インデックス(GI値)は、糖尿病予防だけでなく、心血管疾患や死亡のリスクの増大にも関与していたのです。
そんな論文を発表したのは、カナダ・トロント大学のDavid J.A. Jenkins氏ら(NEJM誌オンライン版2021年2月24日号掲載)です。
さぁ~、GI値が死亡リスクにまで関連しているとは!?非常に興味深い論文ですね。
ちょっとずつ、その内容を紐解いていきましょう。
研究背景・対象
- この研究の目的はグリセミック・インデックス(GI値)と心血管疾患および全死因死亡との関連について評価すること。
- PURE研究から高所得国4ヵ国(カナダ、スウェーデン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)、中所得国11ヵ国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ領土、ポーランド、南アフリカ共和国、トルコ)、および低所得国5ヵ国(バングラデシュ、インド、パキスタン、タンザニア、ジンバブエ)のデータを分析評価した。
- 解析には、35~70歳の13万7,851人が含まれた。追跡期間の中央値は9.5年。
- 各国で検証済みの食物摂取頻度調査票を用いて食事摂取量を算出し、7つに分類された炭水化物食品(豆類、でんぷん質食品、野菜、果物、果実飲料、乳製品、砂糖入り飲料)の摂取量に基づいて、GI値およびグリセミック負荷(GL)を推定した。
- 主要評価項目は、主要心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、脳卒中、心不全)または全死因死亡の複合エンドポイントで、GIおよびGLとの関連について多変量Cox frailtyモデルを用いてハザード比(HR)を算出し評価した。
心血管疾患の既往にかかわらず、高GIで心血管イベント/死亡リスクが増大
研究結果
- 主要評価項目の解析対象は11万9,572人で。このうち、死亡が8,780人(心血管死3,229人、非心血管死5,551人)で、8,252人に1つ以上の主要心血管疾患の発生が認められた。
- GIが最も高い群(Q5:中央値91、IQR:90~91)は、最も低い群(Q1:中央値76、IQR:74~78)と比較して、心血管疾患の既往の有無にかかわらず、心血管疾患発症や高GIは、心血管死のリスク増大とも関連していた。
よく私たちが耳にするのは、「糖質量の多い食品は気をつけましょう!」という言葉。でも、今回取り上げたGI値に関する論文は、食後の血糖値を急上昇させるような食品は死亡リスクや心血管疾患発症のリスクを高めるので注意しましょう。という内容でした。
普段、食品に添付されている食品表示を見て、糖質量のチェックをしたりすますが、GIについて明記されてある食品表示は見たことがないですよね!。
健康で長生きするためには、このGI値に注意しながら食事を摂取するのもポイントになります。
それでは、このGI値(グリセミック・インデックス)について、詳しくお話していきますね。
グリセミック・インデックスとは!?
グリセミック・インデックスとは、GI値とも略され、食後血糖値の上昇度を示す指数のことです。つまりこのGI値が高い食材を食べると血糖値が急上昇し、反対にGI値が低い食材を食べると血糖値は緩やかに上昇します。
急激な血統の上昇が糖尿病・肥満を招く
血糖値が上がると、インスリンという血糖を下げるホルモンが分泌されます。このインスリンの分泌が追い付かなくなると、食後しばらく経っても血糖値が下がらず高血糖が続きます。このような血液中の糖濃度が慢性的に高い状態を「糖尿病」と言います。
GI値の高い食品を食べて急激に血糖値が上昇すると、膵臓からインスリンというホルモンが多く分泌されますが、このインスリンは"血糖値を下げる"という働きの他に"脂肪を作る・脂肪の分解を抑制する"という働きがあります。つまり、高GI食品を摂取し、インスリンが多く分泌されると、糖尿病だけでなく、肥満の原因にもなるのです。
ダイエットや糖尿病予防には、食材を選ぶことが重要
血糖値を上げにくい食品(低GI食)には、「肉・魚などのタンパク質」「乳製品」「デンプン質以外の野菜」などが挙げられます。逆に高GIな食品の代表はというと「炭水化物」。ご飯やパン、麺類などの主食と呼ばれる食べ物です。
ただし、炭水化物のなかでも、全粒粉や玄米などは高GI食に含まれませんので、糖質をとる場合には、小麦粉や白米などのように精製されてない食品を摂取することをお勧めします。
GI値の分類
GI値は低・中・高と3つに構成され数値で分類されています。低GI食品とは、一般的にGI値が55以下の食品を指します。
低GI値:55以下 | 中GI値:56~69 | 高GI:70以上 |
食品GI値分類表
低GI(55以下) | 中GI(56~69) | 高GI(70以上) | |
穀類 | そば スパゲッティ 押し麦 春雨 |
玄米 コーンフレーク |
白米 パン 餅 煎餅 粥 赤飯 バターライス |
果物 | りんご イチゴ メロン グレープフルーツ みかん |
パイナップル 柿 ぶどう |
果物ジャム 缶詰 |
野菜 | 葉物野菜 ブロッコリー ピーマン きのこ類 |
さつまいも | じゃがいも 里いも 長いも 人参 |
乳製品 | 牛乳 チーズ ヨーグルト バター |
アイスクリーム | 練乳 |
GI値を上げない工夫
「GI値の低い食事を摂りましょう」と言われても、そんな簡単なものではありません。世の中の“美味しいもの”とは、だいたいGT値が高いんです。
でも、こんな食事の工夫をすれば、高いGIの食事を食べてもGI値を爆上げしなくて済むんです。
GI値を緩やかに挙げるポイントは食事の食べる順番に注意する
食物繊維(野菜、海藻など)➡ タンパク質(豆腐、肉類など)➡ 糖質(炭水化物)
食物繊維を含む食品と一緒に食べることで、他の食品のGI値を下げる効果が期待できます。特に、海藻やきのこ類などに多く含まれる水溶性食物繊維は糖を包み込み、吸収しにくくすることで、血糖値の上昇を緩やかにする効果があります。食べる順番も野菜などの食物繊維が豊富なものから食べるように心掛けましょう!
さぁ、みんさんも今日からこのGIに着目して食品を選んでみてください。糖質の中でも、高GI値と低GI値があり、精製米、小麦粉(パン)などはGIが高いですね。一方、果物や全粒粉、玄米といった糖質だけでなく繊維質も多く含んでいる食材は血糖値の上昇を穏やかにしてくれるというのがポイントですよ!
参考:ケアネット