糖尿病を防ぐには食品の糖質量だけじゃダメ! グリセミック・インデックス(GI値)を目安に食後高血糖を予防しよう
読者の皆さん、こんにちは!
血糖値とか糖尿病、糖質、炭水化物なんて単語はよく耳にすると思いますが、
このGI値、血糖値(食後高血糖)やダイエットなんかに関連がある。とも言われているんです。
グリセミックインデックス(GI値)とは!?
グリセミックインデックス(GI値)とは、どれくらいの速度で血糖値が上昇するかを表したもの。食品に含まれる糖質の吸収度合いを示し、摂取2時間までの血液中の糖濃度を計ったものです。
一般的には、ブドウ糖を基準値として100とし、GIが70以上の食品を高GI食品、GIが56~69の間の食品を中GI食品、GIが55以下の食品を低GI食品と定義しています。
GIは、特に1990年代に脚光をあびはじめ、2003年にWHOから「過体重、肥満、2型糖尿病の発症リスクを、低GI食品が低減させる可能性がある」という報告も出されました。
食後高血糖は何故おこる??
ご飯やパンなどの炭水化物を食べると、体内で消化吸収される過程で多くはブドウ糖に変えられ、筋肉の収縮などのエネルギー源になります。余分なブドウ糖はインスリンのはたらきで肝臓や筋肉組織などでグリコーゲンに変換されいったん貯蓄されるます。身体を動かすなどしてエネルギーを消費するときは、グリコーゲンを分解して再びブドウ糖を作りだし、血液中に供給します。
糖代謝の異常が進行すると、膵臓からのインスリンの分泌が不足したり、血糖値上昇に対する反応が鈍くなり分泌のタイミングが遅れ、血糖値が高くなる。肥満、運動不足、高脂肪食、ストレスなどが原因でインスリン自体の効きが悪くなっていることもあります。
血糖値が高いとどうなるの??
血液に含まれる糖(ブドウ糖)は、生きるために欠かせないエネルギー源です。。食事からとり入れた糖を、体や頭のエネルギーとして消費するという"需要と供給"のバランスがとれていれば問題はありません。
でも・・・「食べ過ぎることがよくある」「菓子やジュースがやめられない」「これといった運動はしていない」「最近太り気味」。思い当たる人は、余った糖が血液中に停滞し、必要以上に糖の濃度(血糖値)が高まった状態、「高血糖」になっている可能性があります。
高血糖のリスクは、遺伝的な素因や心理的ストレスの影響も大きく、さらには、ただ年をとるだけでも高まります。
健康診断で「血糖値は正常」であっても、実は隠れ高血糖予備軍ならぬものも存在します。それは、食事の後にだけ血糖値が急上昇する「食後高血糖(血糖値スパイクの上昇)」を起こしている状態のことを指します。食後高血糖を繰り返すうちに空腹時の血糖値も上がり、ついには糖尿病を発症してしまいます
糖尿病は心筋梗塞、脳梗塞、網膜症、神経障害、慢性腎不全など・・・、様々な病気を引き起こす原因となり、まさしく糖尿病は “悪の巣窟” みたいな現代病なのです。
この食後高血糖を防ぐためにも、GI値の低い食事を摂取するのがいいと言われているのです。
高GI食は、心血管疾患・死亡リスク増大と関連
グリセミックインデックス(GI値)と心血管疾患の関連性を示す、大規模集団で実施された前向きコホート研究「Prospective Urban Rural Epidemiology(PURE)研究」を見つけたので、皆さんにご報告しますね(NEJM誌オンライン版2021年2月24日号掲載)。
研究対象
- 地理的に大規模な5大陸(カナダ、スウェーデン、サウジアラビア、アラブ首長国連邦)、アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、イラン、マレーシア、パレスチナ領土、ポーランド、南アフリカ共和国、トルコ、バングラデシュ、インド、パキスタン、タンザニア、ジンバブエ)のデータを用いて分析評価。
- 解析には、35~70歳の13万7,851人が含まれた。追跡期間の中央値は9.5年。
研究・評価方法
- 各国で検証済みの食物摂取頻度調査票を用いて食事摂取量を算出し、7つに分類された炭水化物食品(豆類、でんぷん質食品、野菜、果物、果実飲料、乳製品、砂糖入り飲料)の摂取量に基づいて、GIおよびグリセミック負荷(GL)を推定した。
- 主要評価項目は、主要心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、脳卒中、心不全)または全死因死亡の複合エンドポイントで、GIおよびGLとの関連について多変量Cox frailtyモデルを用いてハザード比(HR)を算出し評価した。
研究結果
- 主要評価項目の解析対象は11万9,572人であった。このうち、追跡期間中に、複合エンドポイントが1万4,075人に発生した。
- 死亡が8,780人(心血管死3,229人、非心血管死5,551人)で、8,252人に1つ以上の主要心血管イベントが認められた。
- GIを五分位で分類し、年齢、性別等複数要因について調整後、GIが最も高い群(Q5:中央値91、IQR:90~91)は、最も低い群(Q1:中央値76、IQR:74~78)と比較して、ベースラインでの心血管疾患の既往の有無にかかわらず複合エンドポイントのリスクが高かった。
- 高GIは、複合エンドポイントのうち心血管死のリスク増大とも関連していた。
GI値の高い食品を摂取すると心血管疾患や死亡リスクが増大する
今回の研究の結果から、高GI値の食品は心血管リスクや死亡リスクの上昇につながることが分かりました。
普段、高血糖予防やダイエット目的で、「炭水化物や糖質は控えましょう!」とは言いますが、このGI値に着目するというも血糖値を上昇させない一つの手段です。
上の表をご覧ください。これは、各々の食品のGI値を示した表です。
同じ糖質でも、食パンやうどんは高GIに分類され、蕎麦や発芽玄米は低GIに分類されます。実は糖質量は100gあたり、うどん:20.8g、蕎麦:24gと、蕎麦のほうが多いのですが、GI値で考えると蕎麦の方が断然低く、食後高血糖を防ぐことが出来ると考えられます。
また、同じご飯であっても、精白米と玄米ではGIの値が大きく異なることも特色の一つです。
こうしてみると、精製されている食材(小麦粉を主原料にしているパン、うどん、精白米)はGI値が高く、精製されていない状態の外皮や発芽を残した状態の食材(玄米、蕎麦、全粒粉など)はGI値が低く抑えられているという事が考えられます。食事を摂取する際のひとつの目安にもなりますね。
糖質量だけを見ていても、糖尿病は肥満は防げない!
グリセミックインデックス(GI値)も参考にして食事管理をしてみてはいかがですか?
原著論文はコチラ
https://pmc.carenet.com/?pmid=33626252&keiro=journal
参考
ケアネット