現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

肥満が血管にダメージを与える!! ~糖尿病、心筋梗塞、脳卒中の引き金になる!?~

みなさん、こんにちは(^^)
健康と美容の伝道師、マイケルゆみこです。
 
ところで皆さん、ご自身が “肥満なのか肥満じゃないか?”考えたことありませんか?
そう。。。実際、肥満の定義は、体格指数というBMI(body mass index)を基準として判断されるのですが、落とし穴はソコです!脂肪より筋肉の方が重量が重いので、数値上の体重は多くなります。要は、“体重が重い原因が脂肪なのか? 筋肉なのか?”というところに論点を向けましょう。
そう考えると、表2の診断基準も重要です。
 

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また、身体のどの部位に脂肪がついているのか!?によっても、健康への危険度が大きく変わってきます。詳しくは下記サイトをご覧ください。
 
 
 肥満の定義

肥満とは、「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」と定義されます。脂肪組織の蓄積する部位によって、皮下に脂肪のたまりやすい皮下脂肪型肥満と、小腸などの内臓の周囲に脂肪のたまりやすい内臓脂肪型肥満とに分類されます。外見上から、皮下脂肪型肥満は「洋なし型肥満」、内臓脂肪型肥満は「りんご型肥満」ともいわれます。近年、内臓に蓄積する脂肪から、種々の生理活性物質(遊離脂肪酸やTNF-α(ティーエヌエフアルファ)といわれる物質など))が分泌され、炎症を起こすことが明らかとなり、肥満は「程度の弱い、長く続く炎症」として捉えられるようになっています。

現在では、科学的な評価に基づく方法として、身長あたりの体格指数(body mass index:BMI)(計算式:BMI=体重(kg)/身長 (m)2)を計算して肥満を判定します。日本肥満学会の基準ではBMI 25以上を肥満と判定しています。BMIと疾病の関連をみると、多数の集団を対象とした分析結果では最も疾病の少ないBMIは約22であり、この値を用いて身長あたりの標準体重を計算します(標準体重 (kg) = 身長 (m)2×22 (kg/m2))。

 

www.e-healthnet.mhlw.go.jp

 

 肥満が動脈壁に直接ダメージを与える!?

 
肥満が動脈壁に直接ダメージを与え、心疾患の発症につながるメカニズムの一端を、英オックスフォード大学心臓血管内科教授のCharalambos Antoniades氏らが明らかにしました。肥満の心疾患患者では、動脈周囲の脂肪組織で「WNT5A」と呼ばれるタンパク質が多く産生され、血管内に有害な影響を与えている可能性があることが分かったという。*1

 この研究結果はまだ初期段階のものですが、「心疾患の治療や予防戦略でWNT5Aは新たな標的になり得る」とし、「脂肪細胞におけるWNT5Aの産生を抑制したり、WNT5Aが血管壁に与える有害な影響を阻害したりする治療法を開発できれば、肥満を抑え、心筋梗塞脳卒中を予防できるかもしれない」と語られています。

 これまで数多くの研究で、肥満の人は、やせた人と比べて心疾患リスクが高いことが明らかにされてきました。
 
肥満だとどんな病気になり易いかを簡単にまとめます(米国心臓病学会(ACC))。
  • 肥満は2型糖尿病のリスクを高める
  • 肥満は高血圧のリスクを高める
  • 肥満は睡眠時無呼吸のリスクを高める

 このように肥満は心疾患の原因となる、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症のリスクを高めるため、間接的に心疾患リスクを上昇させると考えられてきました。

一方、今回の研究では、肥満が血管に直接ダメージを与えている仕組みの一端を明らかにしたものです。

つまり、「肥満は間接的でなく、直接心疾患の原因となりえる可能性がある」という事なのですよね。

 


 今回の研究で分かったことは、
  1. 心臓手術を受けた1,004人の心疾患患者から採取した血液と組織サンプルを分析した結果、肥満患者では血中のWNT5Aレベルが著しく高いことが分かった。
  2. WNT5Aは特に動脈周囲にある脂肪組織から大量に放出されていることを突き止めた。
  3. WNT5Aレベルが高い患者では、その後3~5年の間に、動脈内にプラークがより速く蓄積することも明らかになった。

 この研究結果からは、WNT5A自体が心疾患の原因であると断定はできないが、実験室でより直接的な実験にて、血管細胞をWNT5Aに曝露させたところ、「より有毒な物質が産生され、プラークの蓄積を促進する状態に変化した」のだという。

 
今回の研究結果をまとめると、WNT5A(タンパク質の一種)は、肥満患者で多く産生されるだけではなく、血管に損傷を与えてしまう可能性があると考えられます。さらに、肥満によって血管が損傷を受ける経路は、WNT5Aを介した経路だけだろうと推察されます。
さらに、このたんぱく質(WNT5A)を分析することで、肥満と心疾患が関連するメカニズムを解明でき、新たな治療につながる可能性もありますね。
肥満を予防する事が心疾患発症を防ぐ方法だ。と考えると、「日々の生活習慣を見直すことで肥満を防ぎ、健康的な生活を送ることが出来る。」とも考えられます。
毎日の適度な運動や食事療法などで、肥満という状態を食い止めることも出来ます。
 
肥満か肥満でないのか!?
ちゃんとした専門病院で気軽に検査したい!という方に朗報です。
 

 

CT検査(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)を用いて、腹部脂肪がどこについているのか(皮下脂肪なのか、内臓脂肪なのか?)、脂肪の量や範囲が測定できます。さらに、心臓を囲んでいる脂肪量を測定したり、心臓の血管の動脈硬化の程度を計測できる診断装置がございます。

CT撮影時間は5分!苦痛なく検査することが出来ます。ただ、身体が閉所に入りますので、閉所恐怖症気味のかたはお申し出くださいます。

肥満の程度、心臓の病気や全身の動脈硬化の具合が知りたい方は、下記サイトまでアクセスして下さい(^^)

 

www.medical-rs.jp

 

読者の皆さんが、健康的で楽しく、明るく、生きがいを持った生活をおくられる事を心から願っております。

 
 
 
原著論文はこちら↓↓↓

*1:「Science Translational Medicine」9月18日号