胃がんは防げる病気って、知ってましたか!? 第二弾 ~科学的根拠を踏まえて~
実際、胃がん患者の99%が感染陽性ないしは感染の既往者であり、未感染者に胃がんが発症することは非常にまれであることが確認されています。
除菌治療の有無で胃がん発生を比較する単一施設の無作為化試験研究内容
研究内容
- 韓国の単一施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験
- 期間は2004年11月~2011年12月(韓国・国立がんセンターの助成による)
- 対象は、年齢40~65歳、第1度近親者に1人以上の胃がん患者がいるH. pylori感染者であった。
- 胃がんや他臓器のがんの既往歴のある患者や、H. pylori除菌治療歴のある患者は除外された。
- 被験者は、H. pylori除菌治療を行う群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。
- H. pylori除菌治療は、ランソプラゾール(プロトンポンプ阻害薬)30mg+アモキシシリン1,000mg+クラリスロマイシン500mgが、1日2回、7日間投与された。
研究結果
- 1,838例が無作為化の対象となり、除菌治療群に917例(平均年齢48.8±6.0歳、男性49.9%)、プラセボ群には921例(48.8±6.3歳、49.1%)が割り付けられた。
- 1,676例(修正ITT集団、除菌治療群832例、プラセボ群844例)が主要アウトカムの解析に含まれた。
- 主要アウトカム評価の追跡期間中央値は9.2年(IQR:6.2~10.6)、全生存率評価の追跡期間中央値は10.2年(8.9~11.6)だった。
- 胃がんは、除菌治療群が832例中10例(1.2%)で発生し、プラセボ群の844例中23例(2.7%)と比較して、頻度が有意に低かった。
- 胃がん発生例33例のうち、30例(90.9%)がStage I、3例(9.1%)はStage IIだった。
- H. pylori除菌の状況別の胃がんの発生は、1,587例(H. pylori除菌達成例608例、持続感染例979例)で評価が可能であった。
- 胃がんは、H. pylori除菌達成例が608例中5例(0.8%)で発生し、持続感染例の979例中28例(2.9%)に比べ、頻度が有意に低かった。
- 胃がんが発生した除菌治療群の10例のうち、5例(50.0%)にH. pyloriの持続感染が認められた。持続感染例では、除菌治療群とプラセボ群で胃がんの発生は類似していた。
- 除菌治療群の917例中16例(1.7%)およびプラセボ群の921例中18例(2.0%)が死亡し、全生存率に関して両群間に有意な差はなかった。また、胃がんによる死亡はみられなかった。
- 薬剤関連有害事象は全般に軽度であり、頻度は除菌治療群がプラセボ群よりも高かった(53.0% vs.19.1%、p<0.001)。
- 除菌治療群で多い有害事象は、味覚変化(32.3% vs.3.5%、p<0.001)、悪心(6.6% vs.3.2%、p=0.001)、下痢(22.3% vs.6.1%、p<0.001)、腹痛(4.6% vs.0.9%、p<0.001)であり、有意差はないが消化不良(7.9% vs.6.1%)の頻度も高かった。
今回の研究をまとめると、
- 第一近親者に胃がん罹患歴のあるピロリ菌感染者はを除菌する事によって、胃がんを予防できる可能性がある。
- ただし、除菌が達成されなかった患者の胃がんリスクは、除菌達成例と比較し高く、そのリスクはプラセボ群(除菌を行わなかった群)と同等であると考えられる。
- 今回のデータは、検査の適応があり、検査結果が陽性の患者は誰もが除菌治療を受けるべきであり、治療後は除菌成功の結果を確認する必要がある。
今回の研究は第一近親者に胃がん罹患者がいるという条件下で行っていますが、近親者に胃がん罹患者がいるいないに関わらず、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往歴のある人は医療保険が適応されるので、ピロリ菌の検査を受けることを強く推奨します。その検査でピロリ菌を保菌していると判定されれば、お薬を飲んで内服による除菌治療を行いましょう。除菌薬はお薬ですので、若干の副作用は伴います。その副作用の主なものは、味覚変化、悪心、下痢、腹痛などの症状です。しかし、この副作用は僅かですし、将来的に胃がんを発症するリスクに比べたら、まだましかな・・・っといったところでしょう。
そして、除菌したらこれでOK!!と思ってはいけません。ピロリ菌の除菌が出来ているかどうかの再検査を必ずしましょう。この再検査は1回目の除菌治療の際、主治医の先生が再検査するよう勧めてくれるはずです。もし、1度目の除菌検査で除菌達成が出来ていなければ、状況は変わらず胃がん発症率が高いままです。
『胃がんを発症しない最大の方法は、ピロリ菌検査をして、感染してたら除菌して、再検査して、、、それでもピロリ菌がいたら、再度除菌治療を行う。』です。
ピロリ菌検査で守れる命があります。ご自身だけでなく、ご家族ご友人にも、予防医療であるピロリ菌検査をお勧めしてみて下さい。
参照:ケアネット 菅野 守氏
原著論文:
Choi IJ, et al. N Engl J Med. 2020;382:427-436.
*1:NEJM誌2020年1月30日号
胃がんは防げる病気って、知ってましたか!? ~ピロリ菌について~
皆さん、こんにちは(^^)
いきなりですが、
2017年に厚生労働省から発表された「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)」を基に、日本人の死亡原因を調べてみると、日本人の死因TOP5は、①悪性新生物(がん)、②心疾患、③脳血管疾患、④老衰、⑤肺炎なんです。そして今日では、日本人の二人に一人はがんになるとも言われています。
また、男性では、肺(気管支含む)、胃、肝・胆管がん、膵、前立腺と続き、女性では、肺(気管支含む)、結腸、膵、胃、乳房と続きます。
今回は、男女ともにがんの好発部位である、『胃がん』についてお話していこうと思います。
胃がんとは
参照:国立がん研究センター
胃がんの症状
胃がんは、早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合があります。代表的な症状は、胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などです。また、胃がんから出血することによって起こる貧血や黒い便が発見のきっかけになる場合もあります。しかし、これらは胃がんだけにみられる症状ではなく、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)の場合でも起こります。胃炎や胃潰瘍などの治療で内視鏡検査を行ったときに偶然に胃がんが見つかることもあります。また、食事がつかえる、体重が減る、といった症状がある場合は、進行胃がんの可能性もあります。これらのような症状があれば、検診を待たずに医療機関を受診しましょう。
胃がんの原因
慢性胃炎を起こすすべての要因は胃癌の原因といえます。
- 喫煙
- ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)による胃粘膜の感染
- 遺伝性素因
- 塩分の多い食事
いずれにせよ、様々な原因から胃粘膜細胞が傷つくと細胞の突然変異が起こり(がん細胞)、がん細胞が増殖するといったようなかたちで、胃がんが発生します。
遺伝的素因は、自分の力でどうする事も出来ないですが、喫煙と塩分の多い食事を制限する事は何とか頑張ればできそうです・・・。難しいですが(笑)
注目したいのは、ヘリコバクターピロリ菌による感染です。
がんの原因は、喫煙、そして感染!?
日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。
下の図は、日本人のがんの中で、原因が生活習慣や感染であると思われる割合をまとめたものです。
この表を見てびっくり( ゚Д゚)している方も多いはず。何と!!感染が原因でがんになる確率が、男性では2位、女性では1位なんです。
Inoue, M. et al.: Ann Oncol, 2012; 23(5): 1362-9より作成
感染は日本人のガンの原因の約20%を占めると推測されているのです。
感染の内容としては、日本人ではB型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)による胃がんなどがその大半を占めているんです。
日本におけるピロリ菌保菌率
一昔前までは日本人の多くが(80%以上)ピロリ菌に感染していましたが時代と共に感染率は低下しています。
現在(2010~2015年)の時点で70才以上の高齢者では感染率が80%くらい、40才未満の若年者では10%くらいと大きく減少しています。 40才から70才までの方はその中間(年齢につれ20~70%)となります。 ピロリ菌は幼少期に感染し持続するもので成人では感染しませんから、一度、「ピロリ菌がいない」と診断されたら安心です。 ピロリ菌の保菌者が激減すれば胃がんの発生も激減するものと期待されます。
ピロリ菌にどうやって感染するのか!?
感染するのは小児期
幼児期(ま免疫力が弱いときに)に汚染された水、井戸水、食べ物、唾液、から感染すると言われています。成人になってからの感染は一時的な症状は出ますが自然治癒(免疫による排除)することが多いようです
ピロリ菌の感染ルートは?
完全には解明されていないのですが、複数の相反する説、データの報告があります。
日本国内において考えられる、感染ルートは次に挙げる通りです。
- 家族内感染(口~口感染)
「母親から子への感染」「父親から子への感染」「兄弟同士の感染」などです(菌の遺伝子タイプを調べることで証明されます)。口腔内(唾液)からピロリ菌が検出されます。これに対し「夫婦間の感染」は稀とされています。つまり、幼少期の免疫力の低い時に、親ー子でキスをしたり、親から子の口移しで感染している可能性が高いのです。 - 施設内感染
保育所・幼稚園での小児の集団生活が感染源という説もあります。 - 医療感染
消毒の不十分な医療行為(胃カメラ、歯科治療など)が原因でピロリ菌が感染する危険が指摘されています。これは血液製剤、予防接種が原因でC型肝炎が流行した問題に似ています。
ピロリ菌に感染しているか調べる方法は?
ピロリ菌に感染しているかどうかは、総合病院や内科クリニックで調べることが出来ます。“ピロリ菌検査” などのキーワードでググっていただくと(インターネットで検索)、様々な医療機関のリストが挙がってきます。
ピロリ菌保菌の有無を調べる検査には、内視鏡(胃カメラ)を使った試験と内視鏡を使わない検査に2種類があります。
内視鏡を使用した場合は、顕微鏡でピロリ菌の有無を観察したり、培養したり、迅速ウレアーゼ試験といってアンモニアの量を調べてピロリ菌がいるかどうかを調べる検査です。
内視鏡を使用しない場合は、血液検査や尿検査でピロリ菌の抗体の有無を調べたり、呼気検査でピロリ菌を調べたり、便検査でピロリ菌の抗原を調べる検査があります。
内視鏡となると大がかりですが、呼気検査や検体検査は非常に簡便で苦痛を伴わないのがにできるのが特徴です。
ピロリ菌に感染していた場合の治療方法
上記の検査でピロリ菌陽性反応(ピロリ菌に感染していると判定)が出た場合、2種類の抗生物質と1種類の胃酸の分泌を抑える働きのある、計3つのお薬を1週間続けて内服します。
内服治療が終了し4週間以降経過したあと、再度ピロリ菌の有無を検査して除菌に成功したかどうかの判定検査を行います。もし、この判定検査で除菌に失敗していた場合、さらに二次除菌(お薬の変更をして)へと進みます。
この一時除菌に失敗しても、二次除菌によってほぼ90%の確率で除菌成功となります。
大塚製薬hp引用
ただ、気を付けて頂きたいのがこの除菌治療の保険適応の有無です。
慢性胃炎、十二指腸潰瘍等の疾患がベースにあることが絶対条件です。保険適応で除菌治療を行う場合は内視鏡検査が必要になります。
胃がんの99%はピロリ菌が関連していると言われています。
胃がんからご自身やご家族を守る為にも、ピロリ菌を保菌しているかどうかのの検査を行い、必要に応じて除菌治療していくのが最適な方法です。
このような医学を予防医療いいます。病気に罹患する前に検査を行い、対処・治療を行いましょう。という医療分野です。
胃がむかむかする、慢性胃炎がある、十二指腸潰瘍と言われたことがある、、、といった場合、もしかしたらピロリ菌が関連しているかもしれません。
次回は、科学的根拠を元にした論文を取り上げ、胃がんとピロリ菌の関連性についてお話していこうと思います。
それでは~!
ココナッツオイルは本当に身体にイイのか問題! ~第二弾~
はい皆さん、こんにちは~。
やって参りました、マイケルゆみこがお届けする科学的根拠のあるマニアックな医療ネタ。皆さん、楽しんで頂けていますか?
今回お届けする内容は、前回に引き続き『ココナッツオイルを飲んだら健康になるのか問題!?』
前回のココナッツオイルの内容をまとめ
- ココナッツオイルは飽和脂肪酸の一種。一方でオリーブオイル、亜麻仁油、魚の油は不飽和脂肪酸である。
- 不飽和脂肪酸には、ココナッツオイル以外にバター、肉の脂、ラードなどはなどがある。
- しかし、ココナッツオイルの主成分は中鎖脂肪酸。中鎖脂肪酸は消化吸収、代謝が速く、直ちにエネルギーに変換されるため、脂肪として蓄えにくいと言われている。一方、バターや肉の脂などは長鎖脂肪酸が主で、身体の臓器や血管をまんべんなく巡るため、脂肪として蓄積しやすい。
ココナッツオイルが『身体にイイ!』と言われているのは、このような理由からだと考えられます。
『ココナッツオイルは身体にイイ』説が覆えされつつある!!
シンガポール国立大学の疫学分野教授・教務部副部長のvan Dam氏らが、ココナッツオイルについて発表された16件の研究結果を統合して、ココナッツオイルの摂取が心血管疾患リスクと関連しているかの調査を行ったところ、、、
ココナッツオイルには、心血管疾患リスクを増加させる可能性がある低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールおよび総コレステロールの上昇と関連することを見いだした。
という事らしいのです。
統合した調査結果をまとめると・・・
- オリーブオイル、大豆油、キャノーラ油などと比較すると、ココナッツオイルの摂取量増加によってLDLコレステロール値は大幅に上昇。
- 1日に大さじ3~4杯のココナッツオイルの摂取は、推定10mg/dL(約9%)のLDL値上昇と関連。
要するに、ヒトでの学術研究において、ココナッツオイル摂取が肥満、炎症、血糖、心臓など身体の健康に有益な効果を与える可能性は低い。という事です。
このように、ココナッツオイルを摂取することによる有益な科学的根拠はないので、健康向上を目的にココナッツオイルを積極的に摂取するのは、おススメは出来ない。という解釈が出来ます。
ココナッツオイルは中鎖脂肪酸だから健康にイイ!というのは間違い!?
ココナッツオイルの健康上の有益性を主張する支持者は、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸に目を付けています。つまり、肝臓に貯蔵されず、素早くエネルギー源となるため脂肪として蓄積しにくいという点。問題はそこなのです!
いくらココナッツオイルの5割を占めるのがラウリン酸(中鎖脂肪酸)であったとしても、ココナッツオイルの約4分の1は長鎖脂肪酸であるパルミチン酸やミリスチン酸です。長鎖脂肪酸を全く含んでいないという訳ではないのです。そう考えると、今回の研究結果も合点がいきます。
研究の信憑性を高めるために 、さらに多くのメタ解析を行ってみると・・・
ココナッツオイルに関してより決定的な回答を得るため、van Dam氏や筆頭著者のNithya Neelakantan氏らは、関連する可能性のある873本の論文を確認する調査を実施しました(解析には16本の論文が含められ、それは参加者730人の計17試験に関するものであった)。
ココナッツオイルに基づく結果を簡単にまとめると
熱帯オイル(ココナッツオイル)非熱帯オイル(亜麻仁油、大豆油)の比較では、
- 非熱帯オイルであるオリーブオイルや亜麻仁油と比較し、ココナッツオイルは総コレステロール値を14.69mg/dL有意に上昇させた。
- ココナッツオイルはLDLコレステロール値を10.47mg/dL上昇させ、また高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールを4.00mg/dL上昇させた。
- ココナッツオイルは、非熱帯オイルと比較し、トリグリセライド値(中性脂肪値)を有意に変化させなかった。
※非熱帯オイルの亜麻仁油や大豆油は不飽和脂肪酸に当たります。
ココナッツオイルとパーム油(飽和脂肪酸を約50%含む)が比較では、
- ココナッツオイルとパーム油の試験では、ココナッツオイルは総コレステロール値を25.57mg/dL、LDLコレステロール値を20.50mg/dL、HDLコレステロール値を2.83mg/dL有意に上昇させた。
- トリグリセライド値には有意な変化は認められなかった。
まとめ
ココナッツ油は非熱帯性の植物油(不飽和脂肪酸)と比較し、体重、腹囲、体脂肪率、C反応性蛋白値(炎症を表す数値)、空腹時血糖値に対し有意な影響を与えなかったらしい。
このメタ解析の結果から考えられることは、「健康向上のためにココナッツオイルを摂取する根拠は存在せず、対してココナッツの摂取量が多くなると、血中LDLコレステロール値が上昇し、心疾患リスクが増加する可能性がある」という事。
心疾患予防の為に、『ココナッツオイルを摂取してね!』とは中々言いにくくなりましたね。それよりは、植物オイルだったら、オリーブオイル、亜麻仁油、大豆油などの非熱帯性のオイルを摂取する方がいいようです。
けれども、ココナッツオイルは何と言っても、あの香りがイイですよね!
食事の風味付けや食感のために控えめに使用する程度だったら問題ないと思います。
ココナッツオイル摂取と心血管発生リスクの関連性を調査した研究ではないので、ココナッツオイルを摂っているから心筋梗塞になる!動脈硬化が起こる!とまでは言い切れませんが、ココナッツオイルが心血管疾患の発症リスクを下げる。とは言えないようです。
という事で、2回にわたってお届けした『ココナッツオイル問題』如何でしたでしょうか?食事も生活もバランスが大事。とはよく聞きますが・・・。
と言いながら、わたくし、マイケルゆみこは、かなりエキセントリックな人間です(笑)
参照・参考
Van Dam and Sacks have disclosed no relevant financial relationships.
Circulation. Published online January 13, 2020. Abstract, Editorial
Medscape Medical News © 2020
ココナッツオイル、本当に身体にイイのか問題! ~第一弾~
皆さん、こんにちは(^^)
まだまだ、寒いですね~、風邪ひいてませんか?
くれぐれも、体調には気を付けてくださいね。
読者の方々の中には、「健康の為に、ココナッツオイルを摂取している!」という方もいると思うのですが・・・
ココナッツオイルが好きだから、風味付けのために使用しているなら良いのですが、今回取り上げたいのは、
『健康のために、ココナッツオイルを摂取している!』というヒトたちへの警笛を鳴らそうと思います。
マイケルゆみこのブログにも何度か、飽和脂肪酸や不飽和脂肪酸の話題が出てきています。飽和脂肪酸は動脈硬化や心血管疾患、脳卒中の発症リスクなどを上昇させるので、過剰摂取は避けたほうがいいよ~。といった内容の話です。
飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸
- 飽和脂肪酸:バター、パーム油、動物性の油脂など。常温で固まり、酸化しにくいのが特徴です。一方で、飽和脂肪酸の過剰摂取は、心血管疾患の発症リスクを上昇させるなど、マイナス面もあります。
- 不飽和脂肪酸は:植物や魚の脂に多く含まれます(オリーブオイル、魚の脂、亜麻仁油など)。常温では固まりにくく酸化しやすいのが特徴です。
不飽和脂肪酸は一価不飽和脂肪酸と多価不飽和脂肪酸に分類され、一価不飽和脂肪酸の代表格はオレイン酸(オリーブオイルなど)で、血液中のLDL値を下げる働きがあるとも言われています。多価不飽和脂肪酸に代表とされるのは、n-3系(α-リノレン酸、DHA、IPA)とn-6系(リノール酸)です。α-リノレン酸は体内でIPA、DHAへと変化します。また、リノール酸は体内でアラキドン酸を作り出します。α-リノレン酸、リノレン酸、アラキドン酸は体内で合成されないため、必須脂肪酸と呼ばれていて体外から食物として摂取する必要があります。
で、ココナッツオイルってどうなのよ・・・?
ここまでの内容を読むと、飽和脂肪酸は身体に悪くて、不飽和脂肪酸は身体に良い。と単純には何となく理解できると思います。
では、ココナッツオイルって、飽和脂肪酸?それとも不飽和脂肪酸??
健康にイイ!って言われているから、不飽和脂肪酸だと思いきや、、、
ココナッツオイルは、、、飽和脂肪酸です。
植物性の油ではありますが、常温で固まりますよね?
ではなぜ、ココナッツオイルが健康に良い!と思われるようになってのでしょう?
それは、ココナッツオイルの5割を占める脂肪酸が、ラウリル酸であるという説です。
下表をご覧になってお分かりになるように、ココナッツオイル(ヤシ油)は、肉の脂やバターなど他の飽和脂肪酸と比較して、ララウリル酸が多く、パルミチン酸が少ないのが特徴です。
この、ラウリル酸とパルミチン酸、ステアリン酸の占める割合が、ココナッツオイルが身体にイイと思われている理由のひとつです。
ラウリル酸は中鎖脂肪酸の一種です。中鎖脂肪酸は一般的に、「体内でコレステロール生成に使用されるのではなく」、門脈を通って吸収されると指摘されています。
一方、パルミチン酸やステアリン酸などの長鎖脂肪酸は、摂取すると全身(静脈や門脈、リンパ管)を通って吸収されます。そして一旦、肝臓や筋肉、脂肪組織に貯蔵され必要に応じて分解されます。
このように、ココナッツオイルの主成分である中鎖脂肪酸は、一般の油脂と比べると速やかに消化・吸収されるため、効率のよいエネルギー源となり、脂肪として蓄積されにくいといった傾向があります。これが、ココナッツオイルがヒトの身体によいと考えられている所以であります。
しかし本当にそうなのかしら???
ココナッツオイルを摂っても太らないの?健康にいいの??
次回は『ココナッツオイルは本当に健康に良いのか!?』の続きを具体的に、科学的根拠を元にして解説していきたいと思います。
皆さん、それまでグッバーーーーーーイ♡
緑茶を飲むと長生きする!?
緑茶を良く飲む人は健康で長生きでいる!?
緑茶を良く飲む人は、あまり飲まない人に比べて健康で長生きできる可能性が高いことを示唆する研究結果が報告されました。
この研究では、緑茶を週3回以上飲んでいた人では、飲む習慣がない人に比べて心筋梗塞や脳卒中になる確率が低く、50歳の時点での余命も約1年長いことが明らかになったのです。
で、その研究内容がどういうものかというと・・・
研究内容
- 対象は中国の成人、10万902人
- 研究開始時に心血管疾患やがんを発症していない人
- 質問票を用いて、対象者の緑茶を飲む習慣のほか、生活習慣や病歴などに関する情報を収集。
- 体重、血圧、コレステロール値を測定し、緑茶の摂取量と心血管疾患および全死亡のリスクとの関連性を調べた。
研究結果
- 追跡期間中(中央値7.3年)に、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患イベントが3683件生じた。
- 緑茶を週3回以上飲む人は、全く飲まない人や飲む回数が週に3回未満の人に比べ、心疾患や脳卒中の発症リスクが20%低い。
- 緑茶を週3回以上飲む人は、全く飲まない人や飲む回数が週に3回未満の人に比べ、致死的な心疾患や脳卒中による死亡リスクが22%低い。
- 緑茶を週3回以上飲む人は、全く飲まない人や飲む回数が週に3回未満の人に比べ、全死亡率が15%低い。
- 緑茶を週3回以上飲む人は、50歳の時点で冠動脈疾患や脳卒中を発症するまでの期間が1.41年長く、余命も1.26年長かった。
こうしてみると、緑茶の効果って凄いですよね!!
緑茶を週3回以上飲むだけで、心筋梗塞、脳卒中、死亡する確率が低く、長生きする可能性が高いという事です。
これまでの研究でも、緑茶はコレステロール値の改善や体重、心疾患および一部のがんのリスク低減との関連性も示されてきました。
ただ、この研究は観察研究であり、緑茶自体に効果があるのか?ということを証明するものではありません。
しかし、緑茶の健康効果は様々な国々で報告されていて、臨床試験によるエビデンスもいくつか存在しています。
イラン人女性を対象にした最近の研究で、緑茶を1日に3杯飲んだ群では、8週間にわたり体重、血圧、血糖値、コレステロール値の改善が認められたというデータもあるのですよ。
緑茶とは? 煎茶、抹茶、ほうじ茶も緑茶のひとつです。
緑茶(りょくちゃ)は、チャノキの葉から作った茶のうち、摘み取った茶葉を加熱処理して発効を妨げたもの。もしくはそれに湯を注ぎ、成分を抽出した飲料のこと。
中国は全世界の緑茶の約75パーセントを供給する主要生産国です。中国国内で生産される茶類のうち60パーセント以上を緑茶類が占め、多くの人々が緑茶を常飲しているそうです。中国って烏龍茶のイメージがあったのですがねぇ…。
また、日本茶(煎茶、抹茶、ほうじ茶など)はその多くが緑茶であり、緑茶は日本でもっとも良く飲まれている茶です。
でもね、緑茶を飲んでりゃ、健康になるわけではないですよ!
こういう報告をすると、「緑茶飲んでるから、何食べたって、運動しなくたって長生きできる~!」なんて言う人が、1%くらいいるのですが・・・。
緑茶を週3回飲んだからといって、病気にならない。長生きする。と拡大解釈してはいけません。
一般的な食習慣にプラス、週3回緑茶を飲むと健康的な生活を送れる確率が増すという事です。しかも、緑茶のイイところは、手間もいらず週に3回飲むという習慣を付ける。ただそれだけなのです。今からできます!緑茶って、何処でも売っていますしね。
加糖たっぷりのジュースを飲むなら、緑茶を飲んだ方が身体にはイイのは間違いないです!
しかし、気を付けなければいけない事も・・・
緑茶にはカフェインが含まれているので、相互作用を引き起こすお薬と飲んでいる人や、不眠症の人は注意が必要です。また、おトイレも近くなります(笑)。
新型コロナウィルス ~今、私たちがすべき対策と対応とは!?~
皆さん、こんにちは(^^)
今回は、今、世間を賑わしている新型コロナウィルスに関して、現時点で分かっている確実な情報を簡単にお伝えしたいと思います。
2019年12月中国湖北省・武漢で発症した新型コロナウィルスについては、様々な情報があり憶測を呼んでいます。1月28日、日本政府は新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」と定めました。
コロナウィルスとは
コロナウィルスは、実は1960年ごろに既に知られており、ヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られています。それらの中には、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群(SARS)などの重症化傾向のある疾患の原因ウイルスも含まれています。それ以外の4種類のウイルスは、一般の風邪の10~15%(流行期は35%)の原因となるものです。
要するに、コロナウィルスは60年程前よりその存在は認知されており、多くの感染者は軽症(風邪症状)ですが、高熱を引き起こすこともあります。
2002年に中国中国広東省で発生したSARS(重症急性呼吸器症候群コロナウイルス:SARS-CoV)は、SARS患者(疑い例を含む)は8,069人、うち775人が重症の肺炎で死亡した。致死率は9.6%にも及ぶ(2003年12月時点のWHOの報告)。当初、この病気の感染源はキクガシラコウモリが自然宿主であると考えられている。雲南省での調査では、SARS-CoVとよく似たウイルスが、今でもキクガシラコウモリに感染していることが確認されている。ヒトからヒトへの伝播は市中において咳や飛沫を介して起こり、感染者の中には一人から十数人に感染を広げる「スーパースプレッダー」が見られた。また、医療従事者への感染も頻繁に見られた。死亡した人の多くは高齢者や、心臓病、糖尿病等の基礎疾患を前もって患っていた人であった。子どもには殆ど感染せず、感染した例では軽症の呼吸器症状を示すのみであったそうです。
新型コロナウィルスの潜伏期間
潜伏期間は現在不明ですが、他のコロナウイルスの状況などから、最大14日程度と考えられています。
なお、世界保健機関(WHO)の報告によれば、現時点の潜伏期間は2-10日とされています。
https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports
新型コロナウィルスはどのように感染するのか?
新型コロナウイルス感染症がどのように感染するのかについては、現時点では、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられます。
- 飛沫感染
感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出され、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み感染します。
※主な感染場所:学校や劇場、満員電車などの人が多く集まる場所 - 接触感染
感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れてウイルスが付き、別の人がその物に触ってウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染します。
※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど
感染を予防するために注意すべきことは?
まず、一般的な衛生対策として、石けんやアルコール消毒液などによる手洗いが重要です。咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の人に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケット必要です(咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖、肘の内側などを使って、口や鼻をおさえること。)特に電車や職場、学校など人が集まるところで実践することが重要です。
また、糖尿病、心血管疾患、慢性腎臓病、COPD等の持病をお持ちの方などは、上記に加えて、公共交通機関や人混みの多い場所を避けるなど、より一層の注意が必要となりますので、人が集まるような場所への移動は、必要な場合を除く極力避けたほうが良いと考えられます。
新型コロナウィルスの診断方法
診断方法としては、核酸増幅法(PCR法など)があります。実際に検査を検討する場合は、「疑似症定点」の医療機関から疑似症として保健所に届出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査することになります。
新型コロナウィルスの治療方法は!?
診断方法としては、核酸増幅法(PCR法など)がありますが、実際に検査を検討する場合は、「疑似症定点」の医療機関から疑似症として保健所に届出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査することになります。
新型コロナウィルスの治療法は!?
現時点でこのウィルスに特に有効な抗ウィルス薬はなく、対症療法(疾患の根本的治癒ではなく、患者の症状に対応して処置をする治療法。)を行います。
どのような場合に重症化するのか!?
現時点で、どのような患者さんが重症化する。という明確な根拠はありません。しかし、通常の肺炎等と同様に、高齢者や基礎疾患を有する方において、リスクが高くなる可能性は考えられます。新型コロナウイルスに罹った肺炎患者を調査したところは、1/3―1/2の方が糖尿病や高血圧等の基礎疾患を有していたとする報告もあります。
高齢の方や、基礎疾患を有する方は、一般的な衛生対策に加えて、公共交通機関や人混みの多い場所を避けるなど、より一層の注意をするよう、厚生労働省は注意を促しています。
今、新型コロナウィルス対策として、何をしたらいいのか?
新型コロナウィルスはインフルエンザと同等の感染力であるという研究が、世界から報告されていますが、これらも確かではありません。
今、私たちが出来ることは、巷の根拠のない噂に騙されず、確実な情報を入手する事だと思います。
そして、私たちが今すべきことは、『咳エチケット』、『手洗い・手指消毒の遵守』です。
もし、発熱(37.5℃以上)かつ咳などの呼吸器症状がある、発症から2週間以内に以下の曝露歴のいずれかがある(武漢市を訪問した、「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」と接触した)という方は、厚生労働省の新型コロナウィルス相談窓口か、お住いの都道府県にある保健所に電話して下さい。
低脂肪vs.低炭水化物ダイエット ~本当に効果のあるダイエット法はどっち!?~
皆さん、こんにちは(^^)
2020年、オリンピックイヤーをかざる年始の目標に『今年こそは痩せる!!』
と意気込んでいる方も多いはず!
そんな方は必見です!!
科学的根拠のあるダイエット法が明らかになりました~。
ついに、低脂肪ダイエットvs.低炭水化物ダイエットどちらの食事療法に減量効果があるのか!?この議論に決着がついたようです。
「デブの原因は脂肪だ~!」とか、「いやいや、糖質が本当の悪なんだー!」なんて論争が日々続いていますが・・・。実際、日本や海外の医学会でも両者のどちらを推奨しているかは、その道の専門家でも各々見解が異なっているんです。
低脂肪グループvs.低糖質食グループ
この研究は、米国のスタンフォード大学などの研究チームによるもので、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、12か月間実施。2018年2月20日号のJAMA誌(米国医師会雑誌)に掲載発表されました。
- 平均BMI値28~33のやや肥満傾向の男女(女性57%)
- 非糖尿病の18~50歳、609例を対象
- 無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を実施
被験者を2群に分けて、
- 低脂肪グループ:最初の2カ月は脂肪は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日42gまでにする。
- 低糖質グループ:最初の2カ月は糖質は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日96.6gまでにする。
さらに、共通する指示として、
- 1日の摂取カロリーに制限はなし(気にしなくてOK)
- タンパク質の量はどちらのグループとも1日90gぐらい
- できるだけ加工食品を減らして野菜を増やす(小麦や砂糖、トランス脂肪酸の量はできるだけ減らす)
参加者の遺伝子型やインスリン感受性に関しても調査
この研究が興味深いのは、食事制限の指導のみでなく、個々の遺伝子型も調べて調査を行った所です。
- 生まれつき脂質の代謝が苦手な人(=低脂肪が効きやすいと推測される)
生まれ持った体質によって、ダイエットの効果に違いが出るのか?という問題です。
低脂肪食と低糖質食、どちらに軍配があがるのか!?
この結果、遺伝子体型やインスリン感受性を考慮にいれても、低脂肪食と低糖質食の減量効果同程度。結果、引き分けということです。
- 1年間の期間の終了時に、低糖質食を続けた人は、平均して1日に132グラムの炭水化物を摂取しており、試験前の247グラムの半分近くまで減らした。
- 同様に、低脂肪食を続けた人は、平均して1日に57グラムの脂肪を摂取していた。試験が始まる前には平均87グラムを摂取しており、3分の1を減らした。
- 試験開始から1年後には、低糖質ダイエット群では平均で6.0キログラム、低脂肪ダイエット群では5.3キログラム減量し、減量効果は両群間で同程度であることが分かった。
- 安静時の血圧とインスリンの改善も両群間に差はなし。
- 悪玉コレステロールの減少は低脂肪食が優勢(ただし僅かな差)
- 善玉コレステロールの増加は低糖質食が優勢(ただし僅かな差)
- 8件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。
実は、研究チームは参加者に、どちらの食事スタイルに振り分けられたにせよ、
「新鮮な野菜を食べる」
「精製された加工食品をなるべく控える」
「極端に空腹になるのを避ける」
「食後に運動をし、血糖値が上昇するのを防ぐ」
など、一般的な食事のアドバイスをしています。
とくに注意したのは、特定の食事スタイルを長期間続けられるよう調整することで、「今回の研究が終わっても、自分の選んだ健康的な食事スタイルを、ずっと続けられるようになることを目指した」といいます。
〇〇制限食とかでなく、摂取しているカロリーの質が重要
低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットのどちらも、無条件に健康に良いわけではありません。たとえば、炭酸飲料や清涼飲料水などは低脂肪ですが健康的ではなく、ラードは低糖質ですが、アボカドの方がより健康的です。
体重を減らすために基本となることは、食事で必要な栄養素を十分に摂り、カロリー摂取量が消費カロリーを上回らないようにコントロールすること。in outのバランスが重要です。
体重を効果的に減らすことを目指しているという点で、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットは戦略は似ています。極端にストイックな食事制限は長続きしましん。
ダイエットや健康に求められているのは、食べることを我慢することではなく、もっと効率のよい食べ方に変えていく方法を探ることです。
体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致は得られてません。しかし、総エネルギー摂取量は各群ともに平均で2,200kcalから1,700kcalまで減少させることができており、低脂肪食であっても低炭水化物食であっても、食品の組成や遺伝因子、インスリン分泌能に関係なく減量が可能であるというこの試験の結果は、痩せることに最も重要なのは、エネルギーの総摂取量を減らすことであるというきわめてシンプルなことを科学的に示しています。
さらに重要なことは、カロリーの質の高い食事を取ること。同じ500kcalでもポテトチップスを食べるのか、焼き魚定食を食べるのかでは、まったく栄養素が異なるのは明白です。
次回は、ダイエットや健康にも関連した食事療法であるDASH食についてお話ししようと思っています。このDASH食は高血圧予防のための食事療法アプローチなのですが、実は高血圧予防効果だけでなく、糖尿病予防効果、高尿酸血症予防効果、体重減少効果など、非常に有益な食事療法であり、U.S.ニューズ・アンド・ワールドリポート誌(U.S. News & World Report)の2018年食事ランキングでは、「DASH食(高血圧予防のための食事療法アプローチ)」が総合第1位にランク付けされているのです。非常に興味深いですよね!!
次回は、このDASH食についての記事でお会いしましょう~!(^^)!
原著論文はこちら
Tay J, et al. Diabetes Care. 2014 Jul 28.