現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

新型コロナウィルス ~今、私たちがすべき対策と対応とは!?~

皆さん、こんにちは(^^)

今回は、今、世間を賑わしている新型コロナウィルスに関して、現時点で分かっている確実な情報を簡単にお伝えしたいと思います。

 2019年12月中国湖北省武漢で発症した新型コロナウィルスについては、様々な情報があり憶測を呼んでいます。1月28日、日本政府は新型コロナウイルス感染症を「指定感染症」と定めました。

 

 

コロナウィルスとは

コロナウィルスは、実は1960年ごろに既に知られており、ヒトに蔓延している風邪のウイルス4種類と、動物から感染する重症肺炎ウイルス2種類が知られています。それらの中には、中東呼吸器症候群(MERS)や重症急性呼吸器症候群SARS)などの重症化傾向のある疾患の原因ウイルスも含まれています。それ以外の4種類のウイルスは、一般の風邪の10~15%(流行期は35%)の原因となるものです。

要するに、コロナウィルスは60年程前よりその存在は認知されており、多くの感染者は軽症(風邪症状)ですが、高熱を引き起こすこともあります。

 

2002年に中国中国広東省で発生したSARS重症急性呼吸器症候群コロナウイルスSARS-CoV)は、SARS患者(疑い例を含む)は8,069人、うち775人が重症の肺炎で死亡した。致死率は9.6%にも及ぶ(2003年12月時点のWHOの報告)。当初、この病気の感染源はキクガシラコウモリが自然宿主であると考えられている。雲南省での調査では、SARS-CoVとよく似たウイルスが、今でもキクガシラコウモリに感染していることが確認されている。ヒトからヒトへの伝播は市中において咳や飛沫を介して起こり、感染者の中には一人から十数人に感染を広げる「スーパースプレッダー」が見られた。また、医療従事者への感染も頻繁に見られた。死亡した人の多くは高齢者や、心臓病、糖尿病等の基礎疾患を前もって患っていた人であった。子どもには殆ど感染せず、感染した例では軽症の呼吸器症状を示すのみであったそうです。

 

「新型コロナ」の画像検索結果

 

新型コロナウィルスの潜伏期間

潜伏期間は現在不明ですが、他のコロナウイルスの状況などから、最大14日程度と考えられています。
なお、世界保健機関(WHO)の報告によれば、現時点の潜伏期間は2-10日とされています。

https://www.who.int/emergencies/diseases/novel-coronavirus-2019/situation-reports

 

新型コロナウィルスはどのように感染するのか?

新型コロナウイルス感染症がどのように感染するのかについては、現時点では、飛沫感染(ひまつかんせん)と接触感染の2つが考えられます。

  1. 飛沫感染
    感染者のくしゃみや咳、つばなどの飛沫と一緒にウイルスが放出され、別の人がそのウイルスを口や鼻から吸い込み感染します。
    ※主な感染場所:学校や劇場、満員電車などの人が多く集まる場所

  2. 接触感染
    感染者がくしゃみや咳を手で押さえた後、その手で周りの物に触れてウイルスが付き、別の人がその物に触ってウイルスが手に付着し、その手で口や鼻を触って粘膜から感染します。
    ※主な感染場所:電車やバスのつり革、ドアノブ、スイッチなど

 

感染を予防するために注意すべきことは?

まず、一般的な衛生対策として、石けんやアルコール消毒液などによる手洗いが重要です。咳などの症状がある方は、咳やくしゃみを手でおさえると、その手で触ったドアノブなど周囲のものにウイルスが付着し、ドアノブなどを介して他の人に病気をうつす可能性がありますので、咳エチケット必要です咳・くしゃみをする際に、マスクやティッシュ・ハンカチ、袖、肘の内側などを使って、口や鼻をおさえること。)特に電車や職場、学校など人が集まるところで実践することが重要です。

 

www.mhlw.go.jp


 また、糖尿病、心血管疾患、慢性腎臓病、COPD等の持病をお持ちの方などは、上記に加えて、公共交通機関や人混みの多い場所を避けるなど、より一層の注意が必要となりますので、人が集まるような場所への移動は、必要な場合を除く極力避けたほうが良いと考えられます。

 

 
感染したかも!? でも、どこの医療機関に行ったらいいの?
 
「14日以内に湖北省への渡航歴がある方あるいはこれらの方と接触された方」ではない場合は、お近くの医療機関を受診して下さい。
以下の1および2に該当する方は、お近くの保健所もしくは厚生労働省の相談窓口まで問い合わせてください
  1. 発熱(37.5℃以上)かつ咳などの呼吸器症状がある
  2. 発症から2週間以内に以下の曝露歴のいずれかがある
    (a)武漢市を訪問した
    (b)「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」と接触した

 

厚生労働省 新型コロナウイルスに係る電話相談窓口(コールセンター)

 ・電話番号:03-3595-2285
 ・受付時間:9時00分~21時00分

 
設置までの間は、下記のサイト から最寄りの保健所に問い合わせてみて下さい。
 
 
 
新型コロナウィルスの診断方法

診断方法としては、核酸増幅法(PCR法など)があります。実際に検査を検討する場合は、「疑似症定点」の医療機関から疑似症として保健所に届出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査することになります。

 

 

新型コロナウィルスの治療方法は!?

診断方法としては、核酸増幅法(PCR法など)がありますが、実際に検査を検討する場合は、「疑似症定点」の医療機関から疑似症として保健所に届出後、地方衛生研究所または国立感染症研究所で検査することになります。

 


  新型コロナウィルスの治療法は!?

現時点でこのウィルスに特に有効な抗ウィルス薬はなく、対症療法(疾患の根本的治癒ではなく、患者の症状に対応して処置をする治療法。)を行います。

 

www.niid.go.jp

 

どのような場合に重症化するのか!?

現時点で、どのような患者さんが重症化する。という明確な根拠はありません。しかし、通常の肺炎等と同様に、高齢者や基礎疾患を有する方において、リスクが高くなる可能性は考えられます。新型コロナウイルスに罹った肺炎患者を調査したところは、1/3―1/2の方が糖尿病や高血圧等の基礎疾患を有していたとする報告もあります。

Interim Clinical Guidance for Management of Patients with Confirmed 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) Infection

 

高齢の方や、基礎疾患を有する方は、一般的な衛生対策に加えて、公共交通機関や人混みの多い場所を避けるなど、より一層の注意をするよう、厚生労働省は注意を促しています。

 

今、新型コロナウィルス対策として、何をしたらいいのか?

新型コロナウィルスはインフルエンザと同等の感染力であるという研究が、世界から報告されていますが、これらも確かではありません。

今、私たちが出来ることは、巷の根拠のない噂に騙されず、確実な情報を入手する事だと思います。

そして、私たちが今すべきことは、『咳エチケット』、『手洗い・手指消毒の遵守』です。

 もし、発熱(37.5℃以上)かつ咳などの呼吸器症状がある、発症から2週間以内に以下の曝露歴のいずれかがある(武漢市を訪問した、「武漢市への渡航歴があり、発熱かつ呼吸器症状を有する人」と接触した)という方は、厚生労働省の新型コロナウィルス相談窓口か、お住いの都道府県にある保健所に電話して下さい。

 

 「新型コロナウイルス マスク 手洗い」の画像検索結果

 「新型コロナウイルス マスク 手洗い」の画像検索結果

 

 

低脂肪vs.低炭水化物ダイエット ~本当に効果のあるダイエット法はどっち!?~

皆さん、こんにちは(^^)

2020年、オリンピックイヤーをかざる年始の目標に『今年こそは痩せる!!』

と意気込んでいる方も多いはず!

そんな方は必見です!!

科学的根拠のあるダイエット法が明らかになりました~。

 

ついに、低脂肪ダイエットvs.低炭水化物ダイエットどちらの食事療法に減量効果があるのか!?この議論に決着がついたようです。

 

 

「デブの原因は脂肪だ~!」とか、「いやいや、糖質が本当の悪なんだー!」なんて論争が日々続いていますが・・・。実際、日本や海外の医学会でも両者のどちらを推奨しているかは、その道の専門家でも各々見解が異なっているんです。

 

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 低脂肪グループvs.低糖質食グループ

 この研究は、米国のスタンフォード大学などの研究チームによるもので、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、12か月間実施。2018年2月20日号のJAMA誌(米国医師会雑誌)に掲載発表されました。

  • 平均BMI値28~33のやや肥満傾向の男女(女性57%)
  • 非糖尿病の18~50歳、609例を対象
  • 無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を実施

 

被験者を2群に分けて、

  1. 低脂肪グループ:最初の2カ月は脂肪は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日42gまでにする。
  2. 低糖質グループ:最初の2カ月は糖質は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日96.6gまでにする。

 

さらに、共通する指示として、

  • 1日の摂取カロリーに制限はなし(気にしなくてOK)
  • タンパク質の量はどちらのグループとも1日90gぐらい
  • できるだけ加工食品を減らして野菜を増やす(小麦や砂糖、トランス脂肪酸の量はできるだけ減らす)

 

 

参加者の遺伝子型やインスリン感受性に関しても調査

この研究が興味深いのは、食事制限の指導のみでなく、個々の遺伝子型も調べて調査を行った所です。

  • 生まれつき糖質の代謝が苦手な人(=糖質制限が効きやすいと推測される)
  • 生まれつき脂質の代謝が苦手な人(=低脂肪が効きやすいと推測される)

生まれ持った体質によって、ダイエットの効果に違いが出るのか?という問題です。

 

 

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低脂肪食と低糖質食、どちらに軍配があがるのか!?

この結果、遺伝子体型やインスリン感受性を考慮にいれても、低脂肪食と低糖質食の減量効果同程度。結果、引き分けということです。

  • 1年間の期間の終了時に、低糖質食を続けた人は、平均して1日に132グラムの炭水化物を摂取しており、試験前の247グラムの半分近くまで減らした。

  • 同様に、低脂肪食を続けた人は、平均して1日に57グラムの脂肪を摂取していた。試験が始まる前には平均87グラムを摂取しており、3分の1を減らした。

  • 試験開始から1年後には、低糖質ダイエット群では平均で6.0キログラム、低脂肪ダイエット群では5.3キログラム減量し、減量効果は両群間で同程度であることが分かった。

  • 安静時の血圧とインスリンの改善も両群間に差はなし。

  • 悪玉コレステロールの減少は低脂肪食が優勢(ただし僅かな差)

  • 善玉コレステロールの増加は低糖質食が優勢(ただし僅かな差)

  • 8件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。

 

実は、研究チームは参加者に、どちらの食事スタイルに振り分けられたにせよ、

「新鮮な野菜を食べる」

「精製された加工食品をなるべく控える」

「極端に空腹になるのを避ける」

「食後に運動をし、血糖値が上昇するのを防ぐ」

など、一般的な食事のアドバイスをしています。

 

とくに注意したのは、特定の食事スタイルを長期間続けられるよう調整することで、「今回の研究が終わっても、自分の選んだ健康的な食事スタイルを、ずっと続けられるようになることを目指した」といいます。

 

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〇〇制限食とかでなく、摂取しているカロリーの質が重要

低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットのどちらも、無条件に健康に良いわけではありません。たとえば、炭酸飲料や清涼飲料水などは低脂肪ですが健康的ではなく、ラードは低糖質ですが、アボカドの方がより健康的です。

 体重を減らすために基本となることは、食事で必要な栄養素を十分に摂り、カロリー摂取量が消費カロリーを上回らないようにコントロールすること。in outのバランスが重要です。

 体重を効果的に減らすことを目指しているという点で、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットは戦略は似ています。極端にストイックな食事制限は長続きしましん。

 ダイエットや健康に求められているのは、食べることを我慢することではなく、もっと効率のよい食べ方に変えていく方法を探ることです。

 

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体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致は得られてません。しかし、総エネルギー摂取量は各群ともに平均で2,200kcalから1,700kcalまで減少させることができており、低脂肪食であっても低炭水化物食であっても、食品の組成や遺伝因子、インスリン分泌能に関係なく減量が可能であるというこの試験の結果は、痩せることに最も重要なのは、エネルギーの総摂取量を減らすことであるというきわめてシンプルなことを科学的に示しています。

さらに重要なことは、カロリーの質の高い食事を取ること。同じ500kcalでもポテトチップスを食べるのか、焼き魚定食を食べるのかでは、まったく栄養素が異なるのは明白です。

 

次回は、ダイエットや健康にも関連した食事療法であるDASH食についてお話ししようと思っています。このDASH食は高血圧予防のための食事療法アプローチなのですが、実は高血圧予防効果だけでなく、糖尿病予防効果、高尿酸血症予防効果、体重減少効果など、非常に有益な食事療法であり、U.S.ニューズ・アンド・ワールドリポート誌(U.S. News & World Report)の2018年食事ランキングでは、「DASH食(高血圧予防のための食事療法アプローチ)」が総合第1位にランク付けされているのです。非常に興味深いですよね!!

次回は、このDASH食についての記事でお会いしましょう~!(^^)!

 

原著論文はこちら

 

 

 

 

1日3杯のコーヒーで健康を手に入れる!~コーヒーの不思議~

こんにちは(^^)
昨日、たまたまゴールデンタイムに健康関連のテレビ番組を見ていたのですが、
『コーヒーを飲むと健康になる!』って、コーヒー博士が言ってました。
(マイケルゆみこは、そんなこと当たり前田のクラッカー、の如く知っていました)
 
コーヒーに含まれる、カフェインやクロロゲン(ポリフェノールのひとつ)が健康の維持に効果的だとか…。
番組の中で岐阜県の喫茶店に集まるマダム達を取材していましたが、そのマダム達、血管年齢を測定したところ、、、な、な、な、ナント!?
実年齢より20歳以上も若い!という結果でした(因みに、私は岐阜出身、岐阜育ち)。
あと、ドリップコーヒーだろうがインスタントコーヒーだろうが、健康維持には変わりはないらしいのです。その中でも『モカ』というコーヒー豆の種類が抗酸化成分を豊富に含んでいという事でした。
 
一日三杯のコーヒーから、健康への第一歩、初めて見てはどうですか?
 
 
 
コーヒーはカフェインを多く含んでいるので、健康に悪いと思いきや、、、
“癌や心疾患を予防してくれる” とか、“運動前の摂取で代謝が上がる” なんて事も言われているんです。でも、本当にコーヒーって身体にいいの??
今日は、そんな疑問にお答えしましょう!!
 
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1日5杯未満のコーヒーで死亡リスクが低下する!

これまでのコホート研究で、コ―ヒー摂取によるがん、心疾患、呼吸器疾患などへの良い影響が示されてきました。
今回、国立がん研究センターによる「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で、コーヒー摂取による日本人の全死因および死因別死亡リスクへの影響について、日本の8つのコホート研究(Japan cohort consortium)のプール解析を行った。その結果、コーヒー1日5杯未満の摂取で全死因死亡や主な死因による死亡リスクが低下する可能性が示唆されました。
 

コホート研究とは

ある特性(生活習慣や検診の受診歴など)をもった集団(これを「コホート」という)に対して疾患の罹患や死亡などを追跡することによって、その特性と疾患のリスクとの関連を明らかにする研究。例えば、自発的にがん検診を受診した群と受診しなかった群とで、その後の当該がん死亡率を比較する。無作為化比較対照試験の各群をコホートと表現することもあるが、一般的にがん検診のコホート研究は、受診率の高い集団と低い集団との比較、あるいは、単一コホートの中で受診群と未受診群の死亡率を比較評価するものを指す。

 
本解析には、日本の8つのコホート研究(JPHC-IとJPHC-IIの多目的コホート研究、JACC研究、宮城県コホート研究、大崎国保コホート研究、三府県宮城コホート研究、三府県愛知コホート研究、三府県大阪コホート研究)における男性14万4,750人、女性16万8,631人のデータを用いました。17年間の平均追跡期間中に5万2,943人が死亡し、うち、がん1万9,495人、心疾患7,321人、脳血管疾患6,387人、呼吸器疾患3,490人、傷害・事故3,382人であった。ランダム効果モデルを用いて、統合ハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)を算出を行った。
 
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コーヒーの効果と効能

  • 男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取が全死因死亡率を低下させた。しかし、コーヒー摂取量が5杯/日以上ではその効果が低くなった。

  • 男性では、がん以外の主な死因による死亡で予防効果を発揮した。

  • 女性では、1~2杯/日のコーヒー摂取によって心臓病による死亡リスクが減少したが、5杯/日以上のコーヒー摂取では逆に心疾患リスクが増加した。

  • 男女共に、がんの発症率はコーヒー摂取とは関連が認められなかった。

  • 男女とも、コーヒ摂取によって大腸がんリスクは低下しなかった。

  • 女性では、1日3杯以上のコーヒー摂取で、結腸がんのリスクを低下させた。*2 
  • コーヒーやお茶の摂取で糖尿病発症リスクを抑制することが出来る。
  • 55歳未満のアジア人において、緑茶の摂取は空腹時血糖(FBG)を低下させる可能性がある。*3
  • 烏龍茶、紅茶、コーヒーには空腹時低血糖を低下させる働きは認めなかった。
  • カフェインには脂肪燃焼効果があるため、運動前にカフェインと摂取すると運動効果がアップする
 

これだけは気を付けて!! コーヒは睡眠障害を招く!

“病気を防ぐ”という観点からは非常に効果の高いコーヒーですが、コーヒー摂取に関して注意を払いたい局面もあります。

「コーヒー を飲むと眠れなくなる」というのは本当です。

 コーヒーに含まれるカフェインは、神経系に強い影響を与える刺激物です。

「仕事を終えた帰り道にマグカップ1杯のコーヒーを飲むと、睡眠に悪影響が生まれ、その影響力は寝る前にカフェインを摂取する場合と同等と思われる」という報告もあります。

ある実験では、複数の被験者に異なるタイミング(寝る間際、寝る3時間前、寝る6時間前)でカフェインを摂取ところ、全員の睡眠が大幅に阻害されたことがはっきりと数値に表れたそうです。要するに、寝る直前はおろか、寝る6時間前であっても、カフェインを含むコーヒーやお茶を飲めば睡眠が阻害されることが明らかなのです。

 

しかも、カフェインを摂取すると身体も心も上向きにさせます。つまり中毒性があるのです。

カフェインの半減期(一定時間(例:12時間)が過ぎた後でも、まだその半分の量が体内で活動しているという意味)は、8時間だと言います。ですから、寝る6時間前に摂取したカフェインでも、半分以上は体内に残っているという事になります。

カフェインの多量摂取や、就寝前のカフェイン摂取によって、睡眠妨害を招いているのは、まぎれもない事実なのです。

 

 

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コーヒーと上手に付き合う方法

コーヒーは、心血管疾患や糖尿病のリスクを低下させますし、元気の源として働いてくれます。その恩恵を最大限発揮するには、どんな方法があるでしょう?

  1. 体内に残留しない頻度で摂取するよう身体を慣らす必要がある。
  2. 午前中にコーヒーを摂取して、身体のリズムを整えましょう。
  3. コーヒーは午後2時以降は摂取しないようにしましょう。

 

コーヒーは、カフェインだけでなく、抗酸化成分の一種であるクロロゲン酸を含んでいます。この抗酸化作用がアンチエイジングに効果がある、美肌作用やシミの予防にもなると言われています。

また、フランス料理のコースの一番最後にでてくる、あれ、、、思い出してみてください・・・。コースの最後にエスプレッソが出てきますよね?

実はコーヒーには、消化液の分泌を促し、消化を促進してくれる作用もあるのです。

また、カフェインが睡眠中枢に働きかけるのは、摂取してから20〜30分後です。なので、昼寝の直前にコーヒーを飲むとちょうどいいタイミングで脳を覚醒させてくれ、スッキリ目覚めることができるんです。

ですから、昼食の最後にコーヒーを摂取するのはおススメできます。

「昼寝をしたいけれど、眠るとなかなか起きられない…」という方でも、安心ですね。

 

コーヒーと上手に付き合えば、コーヒーの効能や効果を最大限発揮する事ができるんです。けれど、くれぐれも深夜、就寝前に飲むのは避けましょうね♩

 

ダークチョコレートを食べると認知機能がアップする!? ~皆さん小腹がすいたらチョコレート♡~

読者の皆様、新年あけましておめでとうございます!!

私の幼少の頃の記憶を遡ると、、、元日やおめでたいことがあると、

『おめでとうございます~!!』と言いながら傘回し芸をする伝統演芸コンビ、海老一 染之助・染太郎を思い出します・・・。懐かしいですね。。。

今回のお題は、伝統演芸とは全く関係ありません。皆さん、普段からチョコレートって、食べますか?巷では、高カカオのチョコレートは抗酸化作用であるポリフェノールが多く含まれているから、健康にいい!なんて話も聞こえてきます。スーパーやコンビニに行くと、最近やたらと「70%カカオ」とか「80%カカオ」という商品が目に飛び込んできますよね!

あれが、カカオ含有量が高い=高カカオチョコレート=ダークチョコレートです。

今回は、この高カカオチョコレートである、ダークチ、ョコレートの健康への有効性が証明された論文を発見したのでご報告しますね。

 

 

https://c-ippin.gnst.jp/photo/report/36/fa/5258/5258_report_1_2.jpg?1460443267

 

ダークチョコレートを食べると認知機能が上昇する!

ダークチョコレートを毎日食べると、神経成長因子(NGF)という蛋白質が増加し認知機能も向上するという研究結果が報告されました。しかもチョコレートの摂取を中止した後もしばらく認知機能が高い状態が維持されたそうです。ただし、ホワイトチョコレートにはこの効果はないそうです。*1 

 

この研究は、島根大学の健康な学生20人(20~31歳、男性14人)を対象に行われました。全体を無作為に2群に分け、1群にはカカオパウダーを含むダークチョコレート(24.0g/日)、別の1群にはカカオを含んでいないホワイトチョコレート(24.5g/日)を支給し、30日間毎日摂取。この間、カフェイン入り飲料は1日3杯までとし、支給したもの以外のチョコレートの摂取を禁止した。認知機能および血中NGF(神経成長因子)濃度は、連日摂取の介入前、介入終了時、そしてカカオ成分であるテオブロミンの血中濃度が通常レベルに戻ると考えられる介入終了から3週間経過した時点の計3回、計測した。 認知機能は以下の2つの方法で判定した。

  1. テスト1:赤、黄、青、緑という文字が4色の異なる色(赤、黄、青、緑)で印字されたもの(文字の色と文字の読みは無関係)を見て、文字の読みまたは色を瞬時に答えるというもの。
  2. テスト2:無作為に並んでいる0~9の数字の中から、指示された数字だけを時間内にできるだけ多くチェックするというもので、1分間の休憩を挟み3回繰り返した。

 

測定結果
  • 研究家移入前の認知機能、血中NGF濃度は両群で同等。
  • ダークチョコレート群では、実験介入後、NGF濃度が有意に上昇。
  • ダークチョコレート群では、実験介入後、テスト1の正当数が有意に増加
  • ダークチョコレート群では、実験介入後、テスト2において3回目のトライの成功率が有意に向上
  • 一方、ホワイトチョコレート群では実験介入前後において、いずれも有意な変化が認められなかった。

続いて、介入終了後から3週間後の結果は

  • ダークチョコレート群ではNGF濃度は介入前のレベルに戻っていた。
  • テスト1の文字の色読みの正答数は、ダークチョコレート群では介入前より有意に増加していた。

ダークチョコレートの摂取を中止すると、神経成長因子(NGF)濃度は摂取前の数値にもどってしまうようですが、認知機能は引き続き有意に高い状態が維持されるということなんですね。

また、同時に検討されたカカオ成分であるテオブロミン濃度は、ダークチョコレート群において介入期間中のみ有意に高かった。

その他、血中カフェイン濃度、脳由来神経栄養因子(BDNF)、前頭前野血流量は、両群ともに有意な変化は見られなかった。 

 


ダークチョコレートといっても、どんなチョコレートを選んだらいいの?

チョコレートはダーク、ミルク、ホワイトの3つに大きく分類されます。チョコレートの原材料には、カカオマスココアバター、(ココアパウダー)、砂糖、乳成分、乳化剤、香料があります。このうちの乳成分はミルクチョコレートとホワイトチョコレートのみに含まれるものになります。乳成分とは粉乳のことで、牛乳から水分のみを取り出し乾燥させパウダー状にした全脂粉乳や、乳脂肪分も取り除いた脱脂粉乳などがあります。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートでは、この粉乳が含まれている分だけチョコレート全体に占めるカカオの割合は減少します。つまりダークチョコレートと比較すると必然的にカカオ分は低いものとなるのです。 

 

高カカオチョコレートとは、カカオ含有量が多いものを指します。つまり、チョコレートの成分表で【カカオ含有量】を見れば一目瞭然です。

一般的に、【カカオ成分70%以上】のチョコレートをダークチョコレートと言います。

ですから、コンビニやスーパーでチョコレートを買うなら、「カカオ70%」とか「カカオ80%」を選べばいい訳ですが、、、デメリットは、高カカオは値段が高い。高カカオは甘くない。といったところでしょうか…。

 

 

https://smashop.jp//img/p/special/99537bd5a421ee0c4311b85cbbad3da406f4f848881c366e2e68f32efa4dba25.jpg

 

ダークチョコレートの健康効果

  1. 高血圧が改善(血圧を下げる働きがある)
  2. 精神的・肉体的に活動的になる
  3. 善玉コレステロールの上昇と強力な抗酸化作用
    善玉コレステロールと言われるHDLを増加させるにもかかわらず、LDL(悪玉コレステロール)は増加させなかった。
  4. 認知能力の上昇

 

www.meiji.co.jp

 

実は、チョコレートやココアに含まれるカカオポリフェノールは、活性酸素を抑える働きがあることが知られ、生活習慣病に有効であるとの多くの報告が以前よりありました。コレステロール値の改善、血圧低下および血管内皮機能の改善、心疾患リスクの低減、インスリン抵抗性の改善といった多岐にわたる臨床試験結果が得られています。

 

今回の研究結果では、

「ダークチョコレートの連日摂取によって、血中NGFとテオブロミンのレベルが上昇し、認知機能の向上が認められた」という事が分かりました。

 

これから、ちょっと甘いものが欲しいな~・・・なんて時は、ミルクチョコレートでなくダークチョコレートに変えてみては如何ですか?ありがたいことに、ちょっとお値段は張りますが、品数も豊富で手に入りやすくなっています。

ダークチョコレートを食べて、記憶力、認知能力を挙げて、活動的な毎日にしていきましょう!!

 

原著論文はコチラ

Sumiyoshi E, et al. Nutrients. 2019; 11 pii: E2800.

 

参考

2019年12月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved

*1:島根大学医学部環境生理学の住吉愛里氏らの研究「Nutrients」11月16日オンライン版

○○が不足すると、認知機能が低下する!?

あぁぁぁ~、眠い。
昨日、緊急手術があって3時間しか寝てない。
そのせいで、朝から頭が働かない、、、
 
上司:「ばかもーーーん!! 頭が働かないのは気合の問題じゃ。精神がなっとらん!」
 
そんな事をいう上司や親がいたら、早速こう言って差し上げるといいですよ。
 
『睡眠が不足すると、注意力も認知力も低下するんです!!』
 
あなたの頭の働きが悪いのは、あなたのせいでなくて、寝不足のせいなのかもしれませんよ!
 

https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?q=tbn%3AANd9GcSNzs8jr-Vejsxqc3OBV92AYmpzjgHKU0Yky2lQJpuBLwbZEIeM

 

睡眠不足で認知能力が低下する

学生の頃、睡眠時間を削ってその分勉強に充てる。なんて経験したことないでしょうか?この努力が水の泡となってしまう研究結果が報告されたのでお伝えしますね!
 
一夜漬けの勉強だけでなく、夜中まで働いたり、遅くまで残業している方、、、睡眠時間を他の作業に充てる行為、これはナンセンスかもしれません。
 
寝不足で頭が働かない・・・と感じるのは気のせいではなようで、睡眠不足がもたらす脳への影響は、これまで考えられていたよりもはるかに深刻であることが、米ミシガン州立大学の睡眠・学習ラボ(Sleep and Learning Lab)代表を務めるKimberly Fenn氏らの研究で示されました。睡眠不足が認知機能に与える影響は注意力だけにとどまらず、予想以上に大きな危険を伴うことが分かったそうです。*1

 Fenn氏らは今回、計138人の参加者のうち77人には一晩中眠らずに起きていてもらい、61人には自宅で普段通りの睡眠を取ってもらい、認知機能を比較する実験を行った。全ての参加者には、実験当日の夕方と翌朝に2つの認知機能に関するテストを実施した。一方では、光に反応してボタンを押すまでの時間を測定して注意力を評価。もう一方では、途中で作業を中断されても、1つのタスクを完了させるために複数の手順を踏むことを指す「プレースキーピング」の能力を評価した。

プレイスキーピングとは手順書上での作業進捗チェックのことで、途中で作業を中断されても、1つのタスクを完了させるために複数の手順を踏むことを指します。

 
結果
  1. 睡眠不足のグループでは、作業が中断された後にプレースキーピングエラーを起こす確率は、実験当日の夕方には15%だったのに対し、翌朝には30%にまで急上昇した。
  2. 一方、自宅で普段通りに眠ったグループでは、実験当日の夕方と翌朝でエラーを起こす確率に変化は見られなかった。
つまり、睡眠不足によって不注意やミスが起こる確率が3倍以上に跳ね上がるという事です。また、プレースキーピングエラーが起こる確率も2倍になることが示されました。
 
 この結果は非常に重く受け止めなければいけません。
不注意や判断力が落ちるという事は、「右よし、左よし、前方よーし!」など常に確認作業が必要となる自動車の運転では、悲劇的なミスが生じるかもしれません。また、手術を控えているような外科医にとって、緊急や当直で日夜働きづめで難しい手術に臨むのは非常に危険であるという事ですよね。
 
 この研究結果は、睡眠不足が認知機能に与える影響は注意力に限られるという一般的な見方を覆すものです。
いくつかの手順に従う必要がある医療行為では、睡眠不足の状態だと予想以上のミスを犯す危険性が高い可能性があるとも考えられます。
 
 睡眠不足は私たちが行っている医療業務にも大きな影響を与えるという事なのですよね。これからは、遅くまで仕事をしている院長を見つけたら、「先生、早く帰って、しっかり睡眠とって!」と優しく、温かく、微笑みかけてあげることにします。
 
兎にも角にも、認知機能を低下させない近道は、「よく寝る」ことですね!
 
 
『睡眠不足が糖尿病や肥満リスクの上昇につながる』という記事もありますので、ご覧ください。
 
 
原著論文はコチラ
 
参考
[2019年11月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved. 

*1:「Experimental Psychology: General」11月21日オンライン版

運動は70歳から始めても遅くない!!

皆さん、こんにちはーーー(^^)

毎日、運動ってしてますか?

ラジオ体操とか、ウォーキングとか、筋トレとか、、、あと、幡院長も大好きなランニング。「運動が身体に良い」ということは分かっていても、

「わしゃ~、年だから運動したって無理やけ~」

なんて、思ってませんか??

この考え、大きな誤解なんです。運動は、幾つから初めても健康に寄与してくれるんですよ!

そんな論文を発見したので、ご報告しますね。

 

高齢になってから運動を始めても、健康に有益である

 

高齢になってから運動を始めても、健康に大きな恩恵をもたらすことが分かった。運動をしていない70~80歳代の高齢男性でも、運動を始めると、運動経験が豊富な熟練アスリートと同程度に筋肉量を増やせることが、英バーミンガム大学運動生理学・代謝学のLeigh Breen氏らの研究で明らかになった。*1

 

Breen氏らのチームは、年齢をマッチさせた運動経験のない高齢者8人と熟練アスリート7人を対象に、エクササイズマシンを使ったレジスタンス運動を1回行ってもらい、運動前48時間の安静時と運動後に筋生検サンプルを採取。筋肉のタンパク質を構成する「筋原線維タンパク質」の合成率を調べた。また、アイソトープトレーサーを用いた検査を行い、筋肉内でタンパクがどのように合成されているのか、その過程を追跡した。なお、対象者の平均年齢は、運動経験のない高齢者は73.5歳、アスリートは68.9歳だった。

 

レジスタンス運動とは

スクワットや腕立て伏せ、ダンベルを用いた、筋肉に負荷をかけて行う運動のこと

 

www.tyojyu.or.jp



 Breen氏らは、運動経験のない高齢男性よりも熟練アスリートの方が、運動後には筋肉量がより増えるものと予想していた。しかし、結果は予想に反して、いずれの群においても、筋原線維タンパク質の合成率は、運動前に比べて運動後には同程度に増加したことが分かった。

つまり、今回の研究結果から、「運動習慣があるorないに関わらず、何歳になってからでも運動を始めれば健康にとって有益である」という可能性が考えられるわけです。

Breen氏らは、全身の健康を長く保つためには、健全な食習慣と運動を長期にわたり維持していくことが最善の方法であると言っています。しかし、高齢になってから運動を始めても、加齢や心身の衰えや筋力の低下を遅らせるのに役立つだろうとも付け加えています。


特段、ジムやスイミングスクールに行って運動を行わなくても、

ラジオ体操をする、エレベーターより階段を使う、ガーデニングなど、普段の日常生活の活動を通して筋力を増やすことも出来るかもしれません。

運動をすることが、どんな病気の予防に繋がり、どんな病気のリスクを減らすのか。という具体的な内容まで検討されてはいませんが、運動が健康寿命を延ばすひとつのツールであることは確かです。

 

運動を始めるのに、早い遅いもありません!

運動をすることは健康に有益である。運動は高齢になってから初めても健康に有益である。というデータが出ています。

思い立ったが吉日。今日から運動(日常生活での活動強化)を初めてみてはどうですか??

 

 

参考

2019年8月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights

*1:Frontiers in Physiology」8月30日オンライン版

降圧薬は起床時よりも就寝時に服用した方が心筋梗塞や脳卒中を減らせる!?

皆さん、こんにちは~

季節はもう冬。。。特に起床時、お布団からでるのが億劫になる時期ですよね。

でもこの起床時(早朝)、実は突然死が非常に多いという事実、ご存知でしたか?

アメリカのミュラー先生の研究結果(1989年)では、朝6時ごろに心筋梗塞が増え、午前9時~11時にかけてピークを迎えると報告されてます。しかも、朝方には心筋梗塞のみならず脳卒中も多いのです。要するに、“朝方は身体を循環する大事な血管にダメージが起きやすい”ということなのですよね。

 

「血圧測定 free」の画像検索結果"

どうして早朝に心筋梗塞脳卒中が多いのか!?

その理由のひとつに、血圧が関係しています。

人間の血圧の日内変動は、眠りに入る夜間は低下して、朝目覚める明け方から上昇します。活動している日中は血圧は高く維持され、夕方以降からは血圧が下降して眠りへと入っていきます。早朝に血圧が高くなるのは、「レニン・アンギオテンシン系」というホルモンの分泌が活発になったり、交感神経が働き出して血管を収縮させるからです。さらに朝は、睡眠中には水分を摂っていない事や、睡眠中に汗をかくことで血管内が脱水傾向に傾き、血液が固まりやすく血栓ができやすい状態になっているのです。

そんな要因が相まって、心筋梗塞脳卒中が多いと予測できます。

 

ここで問題となるのは、早朝に特に血圧が高くなる『早朝高血圧』です。

そして重要なのは、早朝の血圧上昇をいかに予防できるか!?なのです。病院の外来を受診して血圧を測定する時間帯は、、、日中ですよね? つまり、早朝高血圧には医師でも中々気付くことが出来ないのです。ご自身で起床時の血圧を測定して頂くことも重要ですが、高血圧でお薬を飲んでいる方には、目から鱗の論文を発見したのでご報告しますね。

 

 

降圧薬(血圧を下げる薬)は、就寝時に服用する方が良い!?

スペインにあるビーゴ大学アトランティック研究センターのRamón Hermida氏らが報告した研究結果によると、「降圧薬を就寝時に服用すると、起床後の服用に比べて心筋梗塞脳卒中心不全の発症リスクやこれらの心血管疾患(CVD)で死亡するリスクが大幅に低い可能性があるという 」というのです。*1

この臨床試験は、「Hygia Chronotherapy Trial」と呼ばれるもので、2008年から2018年にかけて、スペイン北部在住の18歳以上の高血圧患者1万9,084人(男性1万614人、女性約8,470人、平均年齢60.5歳)を中央値で6.3年間にわたり追跡。

 試験では、対象患者を、1種類以上の降圧薬を全て起床後に服用する群(9,532人)または就寝時に服用する群(9,552人)にランダムに割り付けて比較した。試験期間を通して定期的に血圧を測定したほか、年に1回は2日間にわたって携帯型の自動血圧計を装着してもらい、自由行動下の24時間血圧(ABPM)も測定した。

 

「みなみ野循環器病院 」の画像検索結果"

 

その結果、

  • 降圧薬を起床後に服用した群と比べて、就寝時に服用した群では心血管疾患による死亡リスクは56%有意に低かった。

  • 圧薬を起床後に服用した群と比べて、就寝時に服用した群では心筋梗塞リスクは34%、血行再建術の施行リスクは40%、心不全リスクは42%、脳卒中リスクは49%それぞれ有意に低かった(P<0.001)。

  • これらのイベントを合わせた複合アウトカムの発症リスクについても、就寝時に服用した群では45%有意に低かった(P<0.001)。

  • これらの結果は、性や年齢、糖尿病や腎臓病の併存といったリスク因子の有無にかかわらず一貫してみられた。

 

通常、ほとんどの患者さんは降圧薬を起床後に服用しています。けれど、この起床後のタイミングが最適だという臨床試験はひとつもありません。また、降圧薬の服用に最適なタイミングについて言及したガイドラインすら今のところありません。

今回の研究では、就寝時に降圧薬を服用した群の方が睡眠中の血圧が優位に低かった。このことから、『就寝前の降圧薬の服用で夜間の血圧を良好に維持する事が可能であり、ひいてはその良好な血圧の維持が心血管発症リスクを低減させる』ことに寄与したと考えられます。

 

もちろん、医師に指示された降圧薬の用量を適切に服用し、飲み忘れを防ぐことは不可欠ですが、降圧薬を飲むタイミングを考えてみるのも一つの方法かもしれません。

 

ただし、今回の試験に参加した高血圧患者は全員、日中に活動し、夜は眠るという生活スタイルの白人でした。このことから、「夜勤している人や他の人種でも同様の結果が得られるかどうかは不明だ」と研究員たちは話しています。

 

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降圧薬の服用については必ず医師に相談を!!

降圧薬の服用は、心血管疾患発症リスクを抑えるためには就寝時がベストだ。という研究結果でしたが、皆さんの自己判断で服用するタイミングを変更してはいけませんよ!

必ず、主治医の先生に相談して、主治医の指示の元にお薬を服用して下さい。

 

寒くなると、体温を維持しようと交感神経が活発になり血管を収縮させて血圧が上昇します。心筋梗塞や大動脈解離、脳卒中という危険な病気の要因にもなりますので、寒暖差の激しい日常生活には注意しましょうね。

 

 

参考文献

https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz754/5602478

 

HealthDay News 2019年10月23日
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*1:「European Heart Journal」10月22日オンライン版