現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

○○が不足すると、認知機能が低下する!?

あぁぁぁ~、眠い。
昨日、緊急手術があって3時間しか寝てない。
そのせいで、朝から頭が働かない、、、
 
上司:「ばかもーーーん!! 頭が働かないのは気合の問題じゃ。精神がなっとらん!」
 
そんな事をいう上司や親がいたら、早速こう言って差し上げるといいですよ。
 
『睡眠が不足すると、注意力も認知力も低下するんです!!』
 
あなたの頭の働きが悪いのは、あなたのせいでなくて、寝不足のせいなのかもしれませんよ!
 

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睡眠不足で認知能力が低下する

学生の頃、睡眠時間を削ってその分勉強に充てる。なんて経験したことないでしょうか?この努力が水の泡となってしまう研究結果が報告されたのでお伝えしますね!
 
一夜漬けの勉強だけでなく、夜中まで働いたり、遅くまで残業している方、、、睡眠時間を他の作業に充てる行為、これはナンセンスかもしれません。
 
寝不足で頭が働かない・・・と感じるのは気のせいではなようで、睡眠不足がもたらす脳への影響は、これまで考えられていたよりもはるかに深刻であることが、米ミシガン州立大学の睡眠・学習ラボ(Sleep and Learning Lab)代表を務めるKimberly Fenn氏らの研究で示されました。睡眠不足が認知機能に与える影響は注意力だけにとどまらず、予想以上に大きな危険を伴うことが分かったそうです。*1

 Fenn氏らは今回、計138人の参加者のうち77人には一晩中眠らずに起きていてもらい、61人には自宅で普段通りの睡眠を取ってもらい、認知機能を比較する実験を行った。全ての参加者には、実験当日の夕方と翌朝に2つの認知機能に関するテストを実施した。一方では、光に反応してボタンを押すまでの時間を測定して注意力を評価。もう一方では、途中で作業を中断されても、1つのタスクを完了させるために複数の手順を踏むことを指す「プレースキーピング」の能力を評価した。

プレイスキーピングとは手順書上での作業進捗チェックのことで、途中で作業を中断されても、1つのタスクを完了させるために複数の手順を踏むことを指します。

 
結果
  1. 睡眠不足のグループでは、作業が中断された後にプレースキーピングエラーを起こす確率は、実験当日の夕方には15%だったのに対し、翌朝には30%にまで急上昇した。
  2. 一方、自宅で普段通りに眠ったグループでは、実験当日の夕方と翌朝でエラーを起こす確率に変化は見られなかった。
つまり、睡眠不足によって不注意やミスが起こる確率が3倍以上に跳ね上がるという事です。また、プレースキーピングエラーが起こる確率も2倍になることが示されました。
 
 この結果は非常に重く受け止めなければいけません。
不注意や判断力が落ちるという事は、「右よし、左よし、前方よーし!」など常に確認作業が必要となる自動車の運転では、悲劇的なミスが生じるかもしれません。また、手術を控えているような外科医にとって、緊急や当直で日夜働きづめで難しい手術に臨むのは非常に危険であるという事ですよね。
 
 この研究結果は、睡眠不足が認知機能に与える影響は注意力に限られるという一般的な見方を覆すものです。
いくつかの手順に従う必要がある医療行為では、睡眠不足の状態だと予想以上のミスを犯す危険性が高い可能性があるとも考えられます。
 
 睡眠不足は私たちが行っている医療業務にも大きな影響を与えるという事なのですよね。これからは、遅くまで仕事をしている院長を見つけたら、「先生、早く帰って、しっかり睡眠とって!」と優しく、温かく、微笑みかけてあげることにします。
 
兎にも角にも、認知機能を低下させない近道は、「よく寝る」ことですね!
 
 
『睡眠不足が糖尿病や肥満リスクの上昇につながる』という記事もありますので、ご覧ください。
 
 
原著論文はコチラ
 
参考
[2019年11月26日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved. 

*1:「Experimental Psychology: General」11月21日オンライン版