ダークチョコレートを食べると認知機能がアップする!? ~皆さん小腹がすいたらチョコレート♡~
読者の皆様、新年あけましておめでとうございます!!
私の幼少の頃の記憶を遡ると、、、元日やおめでたいことがあると、
『おめでとうございます~!!』と言いながら傘回し芸をする伝統演芸コンビ、海老一 染之助・染太郎を思い出します・・・。懐かしいですね。。。
今回のお題は、伝統演芸とは全く関係ありません。皆さん、普段からチョコレートって、食べますか?巷では、高カカオのチョコレートは抗酸化作用であるポリフェノールが多く含まれているから、健康にいい!なんて話も聞こえてきます。スーパーやコンビニに行くと、最近やたらと「70%カカオ」とか「80%カカオ」という商品が目に飛び込んできますよね!
あれが、カカオ含有量が高い=高カカオチョコレート=ダークチョコレートです。
今回は、この高カカオチョコレートである、ダークチ、ョコレートの健康への有効性が証明された論文を発見したのでご報告しますね。
ダークチョコレートを食べると認知機能が上昇する!
ダークチョコレートを毎日食べると、神経成長因子(NGF)という蛋白質が増加し認知機能も向上するという研究結果が報告されました。しかもチョコレートの摂取を中止した後もしばらく認知機能が高い状態が維持されたそうです。ただし、ホワイトチョコレートにはこの効果はないそうです。*1
この研究は、島根大学の健康な学生20人(20~31歳、男性14人)を対象に行われました。全体を無作為に2群に分け、1群にはカカオパウダーを含むダークチョコレート(24.0g/日)、別の1群にはカカオを含んでいないホワイトチョコレート(24.5g/日)を支給し、30日間毎日摂取。この間、カフェイン入り飲料は1日3杯までとし、支給したもの以外のチョコレートの摂取を禁止した。認知機能および血中NGF(神経成長因子)濃度は、連日摂取の介入前、介入終了時、そしてカカオ成分であるテオブロミンの血中濃度が通常レベルに戻ると考えられる介入終了から3週間経過した時点の計3回、計測した。 認知機能は以下の2つの方法で判定した。
- テスト1:赤、黄、青、緑という文字が4色の異なる色(赤、黄、青、緑)で印字されたもの(文字の色と文字の読みは無関係)を見て、文字の読みまたは色を瞬時に答えるというもの。
- テスト2:無作為に並んでいる0~9の数字の中から、指示された数字だけを時間内にできるだけ多くチェックするというもので、1分間の休憩を挟み3回繰り返した。
測定結果
- 研究家移入前の認知機能、血中NGF濃度は両群で同等。
- ダークチョコレート群では、実験介入後、NGF濃度が有意に上昇。
- ダークチョコレート群では、実験介入後、テスト1の正当数が有意に増加
- ダークチョコレート群では、実験介入後、テスト2において3回目のトライの成功率が有意に向上
- 一方、ホワイトチョコレート群では実験介入前後において、いずれも有意な変化が認められなかった。
続いて、介入終了後から3週間後の結果は
- ダークチョコレート群ではNGF濃度は介入前のレベルに戻っていた。
- テスト1の文字の色読みの正答数は、ダークチョコレート群では介入前より有意に増加していた。
ダークチョコレートの摂取を中止すると、神経成長因子(NGF)濃度は摂取前の数値にもどってしまうようですが、認知機能は引き続き有意に高い状態が維持されるということなんですね。
また、同時に検討されたカカオ成分であるテオブロミン濃度は、ダークチョコレート群において介入期間中のみ有意に高かった。
その他、血中カフェイン濃度、脳由来神経栄養因子(BDNF)、前頭前野血流量は、両群ともに有意な変化は見られなかった。
ダークチョコレートといっても、どんなチョコレートを選んだらいいの?
チョコレートはダーク、ミルク、ホワイトの3つに大きく分類されます。チョコレートの原材料には、カカオマスやココアバター、(ココアパウダー)、砂糖、乳成分、乳化剤、香料があります。このうちの乳成分はミルクチョコレートとホワイトチョコレートのみに含まれるものになります。乳成分とは粉乳のことで、牛乳から水分のみを取り出し乾燥させパウダー状にした全脂粉乳や、乳脂肪分も取り除いた脱脂粉乳などがあります。ミルクチョコレートやホワイトチョコレートでは、この粉乳が含まれている分だけチョコレート全体に占めるカカオの割合は減少します。つまりダークチョコレートと比較すると必然的にカカオ分は低いものとなるのです。
高カカオチョコレートとは、カカオ含有量が多いものを指します。つまり、チョコレートの成分表で【カカオ含有量】を見れば一目瞭然です。
一般的に、【カカオ成分70%以上】のチョコレートをダークチョコレートと言います。
ですから、コンビニやスーパーでチョコレートを買うなら、「カカオ70%」とか「カカオ80%」を選べばいい訳ですが、、、デメリットは、高カカオは値段が高い。高カカオは甘くない。といったところでしょうか…。
ダークチョコレートの健康効果
- 高血圧が改善(血圧を下げる働きがある)
- 精神的・肉体的に活動的になる
- 善玉コレステロールの上昇と強力な抗酸化作用
善玉コレステロールと言われるHDLを増加させるにもかかわらず、LDL(悪玉コレステロール)は増加させなかった。 - 認知能力の上昇
実は、チョコレートやココアに含まれるカカオポリフェノールは、活性酸素を抑える働きがあることが知られ、生活習慣病に有効であるとの多くの報告が以前よりありました。コレステロール値の改善、血圧低下および血管内皮機能の改善、心疾患リスクの低減、インスリン抵抗性の改善といった多岐にわたる臨床試験結果が得られています。
今回の研究結果では、
「ダークチョコレートの連日摂取によって、血中NGFとテオブロミンのレベルが上昇し、認知機能の向上が認められた」という事が分かりました。
これから、ちょっと甘いものが欲しいな~・・・なんて時は、ミルクチョコレートでなくダークチョコレートに変えてみては如何ですか?ありがたいことに、ちょっとお値段は張りますが、品数も豊富で手に入りやすくなっています。
ダークチョコレートを食べて、記憶力、認知能力を挙げて、活動的な毎日にしていきましょう!!
原著論文はコチラ
Sumiyoshi E, et al. Nutrients. 2019; 11 pii: E2800.
参考
2019年12月9日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved
○○が不足すると、認知機能が低下する!?
睡眠不足で認知能力が低下する
Fenn氏らは今回、計138人の参加者のうち77人には一晩中眠らずに起きていてもらい、61人には自宅で普段通りの睡眠を取ってもらい、認知機能を比較する実験を行った。全ての参加者には、実験当日の夕方と翌朝に2つの認知機能に関するテストを実施した。一方では、光に反応してボタンを押すまでの時間を測定して注意力を評価。もう一方では、途中で作業を中断されても、1つのタスクを完了させるために複数の手順を踏むことを指す「プレースキーピング」の能力を評価した。
結果
- 睡眠不足のグループでは、作業が中断された後にプレースキーピングエラーを起こす確率は、実験当日の夕方には15%だったのに対し、翌朝には30%にまで急上昇した。
- 一方、自宅で普段通りに眠ったグループでは、実験当日の夕方と翌朝でエラーを起こす確率に変化は見られなかった。
いくつかの手順に従う必要がある医療行為では、睡眠不足の状態だと予想以上のミスを犯す危険性が高い可能性があるとも考えられます。
*1:「Experimental Psychology: General」11月21日オンライン版
運動は70歳から始めても遅くない!!
皆さん、こんにちはーーー(^^)
毎日、運動ってしてますか?
ラジオ体操とか、ウォーキングとか、筋トレとか、、、あと、幡院長も大好きなランニング。「運動が身体に良い」ということは分かっていても、
「わしゃ~、年だから運動したって無理やけ~」
なんて、思ってませんか??
この考え、大きな誤解なんです。運動は、幾つから初めても健康に寄与してくれるんですよ!
そんな論文を発見したので、ご報告しますね。
高齢になってから運動を始めても、健康に有益である
高齢になってから運動を始めても、健康に大きな恩恵をもたらすことが分かった。運動をしていない70~80歳代の高齢男性でも、運動を始めると、運動経験が豊富な熟練アスリートと同程度に筋肉量を増やせることが、英バーミンガム大学運動生理学・代謝学のLeigh Breen氏らの研究で明らかになった。*1
Breen氏らのチームは、年齢をマッチさせた運動経験のない高齢者8人と熟練アスリート7人を対象に、エクササイズマシンを使ったレジスタンス運動を1回行ってもらい、運動前48時間の安静時と運動後に筋生検サンプルを採取。筋肉のタンパク質を構成する「筋原線維タンパク質」の合成率を調べた。また、アイソトープトレーサーを用いた検査を行い、筋肉内でタンパクがどのように合成されているのか、その過程を追跡した。なお、対象者の平均年齢は、運動経験のない高齢者は73.5歳、アスリートは68.9歳だった。
レジスタンス運動とは
スクワットや腕立て伏せ、ダンベルを用いた、筋肉に負荷をかけて行う運動のこと
Breen氏らは、運動経験のない高齢男性よりも熟練アスリートの方が、運動後には筋肉量がより増えるものと予想していた。しかし、結果は予想に反して、いずれの群においても、筋原線維タンパク質の合成率は、運動前に比べて運動後には同程度に増加したことが分かった。
つまり、今回の研究結果から、「運動習慣があるorないに関わらず、何歳になってからでも運動を始めれば健康にとって有益である」という可能性が考えられるわけです。
Breen氏らは、全身の健康を長く保つためには、健全な食習慣と運動を長期にわたり維持していくことが最善の方法であると言っています。しかし、高齢になってから運動を始めても、加齢や心身の衰えや筋力の低下を遅らせるのに役立つだろうとも付け加えています。
特段、ジムやスイミングスクールに行って運動を行わなくても、
ラジオ体操をする、エレベーターより階段を使う、ガーデニングなど、普段の日常生活の活動を通して筋力を増やすことも出来るかもしれません。
運動をすることが、どんな病気の予防に繋がり、どんな病気のリスクを減らすのか。という具体的な内容まで検討されてはいませんが、運動が健康寿命を延ばすひとつのツールであることは確かです。
運動を始めるのに、早い遅いもありません!
運動をすることは健康に有益である。運動は高齢になってから初めても健康に有益である。というデータが出ています。
思い立ったが吉日。今日から運動(日常生活での活動強化)を初めてみてはどうですか??
参考
2019年8月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights
*1:Frontiers in Physiology」8月30日オンライン版
降圧薬は起床時よりも就寝時に服用した方が心筋梗塞や脳卒中を減らせる!?
皆さん、こんにちは~
季節はもう冬。。。特に起床時、お布団からでるのが億劫になる時期ですよね。
でもこの起床時(早朝)、実は突然死が非常に多いという事実、ご存知でしたか?
アメリカのミュラー先生の研究結果(1989年)では、朝6時ごろに心筋梗塞が増え、午前9時~11時にかけてピークを迎えると報告されてます。しかも、朝方には心筋梗塞のみならず脳卒中も多いのです。要するに、“朝方は身体を循環する大事な血管にダメージが起きやすい”ということなのですよね。
どうして早朝に心筋梗塞や脳卒中が多いのか!?
その理由のひとつに、血圧が関係しています。
人間の血圧の日内変動は、眠りに入る夜間は低下して、朝目覚める明け方から上昇します。活動している日中は血圧は高く維持され、夕方以降からは血圧が下降して眠りへと入っていきます。早朝に血圧が高くなるのは、「レニン・アンギオテンシン系」というホルモンの分泌が活発になったり、交感神経が働き出して血管を収縮させるからです。さらに朝は、睡眠中には水分を摂っていない事や、睡眠中に汗をかくことで血管内が脱水傾向に傾き、血液が固まりやすく血栓ができやすい状態になっているのです。
そんな要因が相まって、心筋梗塞や脳卒中が多いと予測できます。
ここで問題となるのは、早朝に特に血圧が高くなる『早朝高血圧』です。
そして重要なのは、早朝の血圧上昇をいかに予防できるか!?なのです。病院の外来を受診して血圧を測定する時間帯は、、、日中ですよね? つまり、早朝高血圧には医師でも中々気付くことが出来ないのです。ご自身で起床時の血圧を測定して頂くことも重要ですが、高血圧でお薬を飲んでいる方には、目から鱗の論文を発見したのでご報告しますね。
降圧薬(血圧を下げる薬)は、就寝時に服用する方が良い!?
スペインにあるビーゴ大学アトランティック研究センターのRamón Hermida氏らが報告した研究結果によると、「降圧薬を就寝時に服用すると、起床後の服用に比べて心筋梗塞や脳卒中、心不全の発症リスクやこれらの心血管疾患(CVD)で死亡するリスクが大幅に低い可能性があるという 」というのです。*1
この臨床試験は、「Hygia Chronotherapy Trial」と呼ばれるもので、2008年から2018年にかけて、スペイン北部在住の18歳以上の高血圧患者1万9,084人(男性1万614人、女性約8,470人、平均年齢60.5歳)を中央値で6.3年間にわたり追跡。
試験では、対象患者を、1種類以上の降圧薬を全て起床後に服用する群(9,532人)または就寝時に服用する群(9,552人)にランダムに割り付けて比較した。試験期間を通して定期的に血圧を測定したほか、年に1回は2日間にわたって携帯型の自動血圧計を装着してもらい、自由行動下の24時間血圧(ABPM)も測定した。
その結果、
- 降圧薬を起床後に服用した群と比べて、就寝時に服用した群では心血管疾患による死亡リスクは56%有意に低かった。
- 圧薬を起床後に服用した群と比べて、就寝時に服用した群では心筋梗塞リスクは34%、血行再建術の施行リスクは40%、心不全リスクは42%、脳卒中リスクは49%それぞれ有意に低かった(P<0.001)。
- これらのイベントを合わせた複合アウトカムの発症リスクについても、就寝時に服用した群では45%有意に低かった(P<0.001)。
- これらの結果は、性や年齢、糖尿病や腎臓病の併存といったリスク因子の有無にかかわらず一貫してみられた。
通常、ほとんどの患者さんは降圧薬を起床後に服用しています。けれど、この起床後のタイミングが最適だという臨床試験はひとつもありません。また、降圧薬の服用に最適なタイミングについて言及したガイドラインすら今のところありません。
今回の研究では、就寝時に降圧薬を服用した群の方が睡眠中の血圧が優位に低かった。このことから、『就寝前の降圧薬の服用で夜間の血圧を良好に維持する事が可能であり、ひいてはその良好な血圧の維持が心血管発症リスクを低減させる』ことに寄与したと考えられます。
もちろん、医師に指示された降圧薬の用量を適切に服用し、飲み忘れを防ぐことは不可欠ですが、降圧薬を飲むタイミングを考えてみるのも一つの方法かもしれません。
ただし、今回の試験に参加した高血圧患者は全員、日中に活動し、夜は眠るという生活スタイルの白人でした。このことから、「夜勤している人や他の人種でも同様の結果が得られるかどうかは不明だ」と研究員たちは話しています。
降圧薬の服用については必ず医師に相談を!!
降圧薬の服用は、心血管疾患発症リスクを抑えるためには就寝時がベストだ。という研究結果でしたが、皆さんの自己判断で服用するタイミングを変更してはいけませんよ!
必ず、主治医の先生に相談して、主治医の指示の元にお薬を服用して下さい。
寒くなると、体温を維持しようと交感神経が活発になり血管を収縮させて血圧が上昇します。心筋梗塞や大動脈解離、脳卒中という危険な病気の要因にもなりますので、寒暖差の激しい日常生活には注意しましょうね。
参考文献
https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz754/5602478
HealthDay News 2019年10月23日
Copyright © 2019 HealthDay. All rights reserved.
*1:「European Heart Journal」10月22日オンライン版
肥満が血管にダメージを与える!! ~糖尿病、心筋梗塞、脳卒中の引き金になる!?~
肥満の定義
肥満とは、「脂肪組織が過剰に蓄積した状態」と定義されます。脂肪組織の蓄積する部位によって、皮下に脂肪のたまりやすい皮下脂肪型肥満と、小腸などの内臓の周囲に脂肪のたまりやすい内臓脂肪型肥満とに分類されます。外見上から、皮下脂肪型肥満は「洋なし型肥満」、内臓脂肪型肥満は「りんご型肥満」ともいわれます。近年、内臓に蓄積する脂肪から、種々の生理活性物質(遊離脂肪酸やTNF-α(ティーエヌエフアルファ)といわれる物質など))が分泌され、炎症を起こすことが明らかとなり、肥満は「程度の弱い、長く続く炎症」として捉えられるようになっています。
現在では、科学的な評価に基づく方法として、身長あたりの体格指数(body mass index:BMI)(計算式:BMI=体重(kg)/身長 (m)2)を計算して肥満を判定します。日本肥満学会の基準ではBMI 25以上を肥満と判定しています。BMIと疾病の関連をみると、多数の集団を対象とした分析結果では最も疾病の少ないBMIは約22であり、この値を用いて身長あたりの標準体重を計算します(標準体重 (kg) = 身長 (m)2×22 (kg/m2))。
肥満が動脈壁に直接ダメージを与える!?
この研究結果はまだ初期段階のものですが、「心疾患の治療や予防戦略でWNT5Aは新たな標的になり得る」とし、「脂肪細胞におけるWNT5Aの産生を抑制したり、WNT5Aが血管壁に与える有害な影響を阻害したりする治療法を開発できれば、肥満を抑え、心筋梗塞や脳卒中を予防できるかもしれない」と語られています。
これまで数多くの研究で、肥満の人は、やせた人と比べて心疾患リスクが高いことが明らかにされてきました。
- 肥満は2型糖尿病のリスクを高める
- 肥満は高血圧のリスクを高める
- 肥満は睡眠時無呼吸のリスクを高める
このように肥満は心疾患の原因となる、糖尿病、高血圧、睡眠時無呼吸症のリスクを高めるため、間接的に心疾患リスクを上昇させると考えられてきました。
一方、今回の研究では、肥満が血管に直接ダメージを与えている仕組みの一端を明らかにしたものです。
つまり、「肥満は間接的でなく、直接心疾患の原因となりえる可能性がある」という事なのですよね。
今回の研究で分かったことは、
- 心臓手術を受けた1,004人の心疾患患者から採取した血液と組織サンプルを分析した結果、肥満患者では血中のWNT5Aレベルが著しく高いことが分かった。
- WNT5Aは特に動脈周囲にある脂肪組織から大量に放出されていることを突き止めた。
- WNT5Aレベルが高い患者では、その後3~5年の間に、動脈内にプラークがより速く蓄積することも明らかになった。
この研究結果からは、WNT5A自体が心疾患の原因であると断定はできないが、実験室でより直接的な実験にて、血管細胞をWNT5Aに曝露させたところ、「より有毒な物質が産生され、プラークの蓄積を促進する状態に変化した」のだという。
CT検査(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)を用いて、腹部脂肪がどこについているのか(皮下脂肪なのか、内臓脂肪なのか?)、脂肪の量や範囲が測定できます。さらに、心臓を囲んでいる脂肪量を測定したり、心臓の血管の動脈硬化の程度を計測できる診断装置がございます。
CT撮影時間は5分!苦痛なく検査することが出来ます。ただ、身体が閉所に入りますので、閉所恐怖症気味のかたはお申し出くださいます。
肥満の程度、心臓の病気や全身の動脈硬化の具合が知りたい方は、下記サイトまでアクセスして下さい(^^)
読者の皆さんが、健康的で楽しく、明るく、生きがいを持った生活をおくられる事を心から願っております。
*1:「Science Translational Medicine」9月18日号
今年のインフルエンザ予報発表!!~ゾフルーザとの付き合い方も含めて~
寒さも本格的になってきました!皆さん、お風邪など召されていませんか??
この時期、世間を賑わし始めるのが『インフルエンザ』。
当院でも、インフルエンザのワクチン接種にいらっしゃる患者さんが増えてきました。そこで、今季のインフルエンザの特徴や対策方法について、皆さんにお知らせしようと思います。
インフルエンザは、例年12月から3月にかけて流行していますが、東京都が9月26日付でまとめた報告書では、"今季は昨年と比べても11週早い流行目安を迎えている”と言っています。異例ともいえる速さでの流行開始に、都は早めの注意と対策を呼び掛けています。
“今年はインフルエンザに対してどうのような対策を講じればよいのだろう?”
2019年10月23日、塩野義製薬株式会社主催のメディアセミナー「インフルエンザの疫学と臨床」が開催され、池松 秀之先生(日本臨床内科医会インフルエンザ研究班 リサーチディレクター)がインフルエンザ疫学や薬剤耐性の現況について報告されましたので、簡単にお伝えしますね。
厚生労働省・千葉県・千葉医師会・千葉薬剤師会
今年の流行時期とインフルエンザの型は!?
人間に影響を及ぼすインフルエンザウイルスにはA型(亜型としてH1N1[ソ連型]、H1N1pdm、H3N2[香港型]など)とB型があります。基本的には1月下旬~2月上旬にA型が、それに遅れてB型がピークを迎えます。
しかし今年は、すでにB型の流行し始めています。という事は最悪、「 B型に感染したと思ったら、年明けにはA型に感染した…」という、連続してインフルエンザに罹る。なんて事もあり得る話です。
インフルエンザ、今年はどんなことに注意したらいい!?
昨年は「ゾフルーザ」(バロキサビル)の発売年だったこともあり、多くの医師がこの新薬(ゾフルーザ)を処方したため、シーズン後半になると"耐性ウイルス出現”などのネガティブな報告がクローズアップされ問題となりました。このことから、今年はゾフルーザ耐性ウイルスに対する治療薬選択への懸念が広がっています。
しかし、インフルエンザ研究班が臨床現場における成人での発熱や症状の改善やウイルスの残存率に関する調査によると、ゾフルーザでは治験時と同様の成績(ゾフルーザとタミフルでは、ゾフルーザのほうが早くウイルスが消失した)が得られたそうです。ですから、ゾフルーザのインフルエンザ治療薬としての有効性は間違いないと考えられます。
「ゾフルーザ」はCapエンドヌクレアーゼ阻害薬で、ほかの4剤(ノイラミニダーゼ阻害薬)とは違ってウイルスの増殖そのものを抑えるのが最大の特徴です。1回の服用で治療が完結するという利便性を背景に、昨シーズン、売り上げとシェアを大きく伸ばしました。
日本臨床内科医会インフルエンザ研究班の見解は以下の通りです。
- ゾフルーザに関していうと、治験生成期が臨床現場と相違なかったことから、ゾフルーザの治験データは信頼性がある。
- 5種類のインフルエンザ治療薬(リレンザ、タミフル、ラピアクタ、イナビル、ゾフルーザ)での平均解熱時間に差がなかったことから、成人の場合、どの薬剤を選択するかは各医師の患者に適切と思われる薬剤の選択でよい。
と述べています。
すなわち、医療機関の先生の指示に従ってインフルエンザ治療薬を服用することに、何の問題もありません。
日本感染症学会が提言した“慎重投与”に対する対応とは?
インフルエンザの新しい治療薬「ゾフルーザ」は、耐性ウイルスが出やすいことが課題となっており、日本感染症学会はゾフルーザの使用方法ついて議論してきました。
「ゾフルーザについては、12歳未満の子どもは耐性ウイルスが大人より多く検出される傾向にあるため “慎重投与を検討”」としたほか、12歳以上については「データが乏しく、現時点では推奨するかどうかは決められない」としています。
一方で、日本感染症学会は、「ゾフルーザ」は広く使われてきた「タミフル」とは異なる効果があり、タミフルが効かない場合や、重症化が懸念される患者に使えるため、慎重に使用することで耐性ウイルスを広げないことが重要だとしています。
耐性に関しては、小児ばかりがクローズアップされていますが、高齢者でも変異ウイルスが一定の頻度で出ているので、今後注意を払っていく必要があると考えられます。
そろそろインフルエンザワクチン接種の時期です!
「インフルエンザワクチンを接種したのに、インフルエンザに罹った…」
という話はよくありますよね。確かに、その年に摂取するワクチンは、“どんな遺伝子型のワクチンが流行るか?”を予測しワクチンを製造するため、すべての型のインフルエンザに有効であるとは言えません。しかし、インフルエンザに罹患した場合の症状や肺炎、脳症といった重症化を防ぐ効果があるので、特にお子様や高齢者の方にとっては有益であると考えられます。
この時期になると、巷では「ちょっと風邪っぽいけど、微熱だからインフルエンザじじゃないと思う~」なんて会話がちらほら聞こえますが、これ大間違いです!!
“インフルエンザは高熱が出る、関節痛がある、全身倦怠感がある”、と思っているそこのアナタ、、、
それ、間違てますから!!!!!
37度の微熱であっても、インフルエンザに感染している可能性は十分あります。
- インフルエンザが流行っている時期
- 身近にインフルエンザに罹っている人がいる、もしくは罹っていた人がいた
と言う場合は、たとえ微熱であってもインフルエンザに感染している可能性は十分あります。
インフルエンザの感染力は凄まじいです。
「微熱あるけど、全然平気~」なんて高をくくって、外出して、電車に乗って、学校に行って、会社に行って、、、なんてしていると、最悪なインフルエンサーになります。特に、妊婦さんや乳幼児、高齢者がインフルエンザに感染すると重症化したり、脳症や肺炎など重篤な合併症を引き起こす危険性が十分あります。
皆さん、インフルエンザに感染しない対策も重要ですが、大切な人にインフルエンザを移さない対策もしましょうね(^^)
原著論文
1)Carrat F, et al. Am J Epidemiol. 2008;167:775-785.
2)Ip DK, et al. CID. 2017;64:736.
参考文献・参考サイト
日本臨床内科医会:インフルエンザ診療マニュアル2019-2020年シーズン版(第14版)
参考資料
ケアネット
魚を摂取すると認知症リスクが低下する!
「さかな、さかな、さかなーーー、さかなーをー食べーるとーーー
あたま、あたま、あたまーーー、あたまーがー良くーなるーーー」
一昔前(20年位前?)にこんな歌、はやったの覚えていませんか?
まぁ、魚だけとってりゃ、一流大学に行けるとは思いませんが…。
みなさんは、
お魚料理は好きですか?
魚派?? 肉派??
私は色んな意味で肉食、いやいや羊の皮をかぶった狼系ですが、
毎日、サバ缶を食べてますよ(^^)
タンパク質を摂るなら、お肉か魚か、どっちがイイ?
なんて話をしている人を見かけたこともありますが、
お魚にはタンパク質以上に、私たち人間の身体にとって非常に有益な効果を与えてくれるんです。
そのひとつに、これからお話しする「認知症予防効果」があるんですよ!
魚の摂取で認知症リスクが低下する
魚類は、認知機能低下を予防する多くの栄養素を含んでいて、習慣的な魚類の摂取は、認知症発症リスクの低下に寄与する可能性が示唆されています。しかし、認知症発症と魚類の摂取を調査したプロスペクティブコホート研究は少なく、それらの調査結果は一貫していませんでした。
東北大学の靏蒔 望氏らは、魚類の摂取量と認知症発症リスクを評価するため、大崎コホート研究のデータを用いて検討をいました。*1 ベースライン時、65歳以上であった大崎市在住の住民を対象に、食物頻度アンケートを実施し、魚類やその他の食物摂取に関するデータを収集した。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)の推定には、多変量調整Coxモデルを用いた。魚類の摂取量を四分位に分け、最も少ない群をQ1、最も多い群をQ4とし、Q1を基準に認知症発症リスクを検討した。
研究結果を以下にまとめます。
-
対象者1万3,102例中、5.7年のフォローアップ期間後における認知症発症は1,118例(8.5%)であった。
-
魚摂取が最も少ない群(Q1)と比較した認知症発症HRは、でQ2で0.90(95%CI:0.74~1.11)、Q3で0.85(95%CI:0.73~0.99)、Q4で0.84(95%CI:0.71~0.997)であった(傾向性p値=0.029)。
-
フォローアップ期間の最初の2年間で認知症と診断された人およびベースライン時に認知機能が低下していた人を除外した場合でも、同様の結果が得られた。
魚の栄養素をまとめてみました
- DHA(ドコサヘキサエン酸):血栓を出来にくくしたり、脳細胞を活性化させる働きもあります。
- EPA(エイコサペンタエン酸):不飽和脂肪酸の一種です。脳梗塞や心筋梗塞などを予防する働きをもつと言われています。
- タウリン:血圧を正常に保ち、血栓や心筋梗塞を予防する。LDL-Cを減少させ、HDL-Cを増加する働きもあります。また視力の衰えを防ぐとも言われています。
- タンパク質:お肉の方が魚よりタンパク質が多いと思われがちですが、、、体内で利用させれる特にマグロやサンマ、イワシ、サケは内々で利用されるたんぱく質が牛肉や豚肉より多いとされています。
魚には認知症予防だけでなく、健康な身体をつくる栄養素が豊富
今回の研究結果では、健康な高齢者において、魚類の摂取量が多いと認知症発症リスクが低いことが認められたました。習慣的な魚類の摂取が、認知症予防に有益であることを示唆していると、言えますね。
しかも、認知症予防だけでなく、動脈硬化予防にもつながり、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患のリスクから身体を守ってもくれます。
良いことづくめの魚♡
みなさんも、積極的にお魚をとってみてはどうですか?