現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

1日500ml以上の炭酸飲料を飲むと、死亡リスクが上昇する!?

炭酸飲料を飲んだだけで、死亡リスクが高くなる!?まさか~~~。。。

それって、砂糖を使った甘い炭酸飲料だけでしょ?って思いますよね。

実は、人工甘味料で甘くした炭酸飲料を1日当たりコップ2杯以上(500mlほど)飲むのも、健康には良くないらしいです。

 

砂糖や人工甘味料で甘くした炭酸飲料を1日当たりコップ2杯(約500mL)以上摂取する人は、1カ月に1杯未満しか摂取しない人と比べて死亡リスクが高くなることが、国際がん研究機関(フランス)のNeil Murphy氏らが実施した大規模研究で示されました。*1


 Murphy氏らは、欧州10カ国の男女45万1,000人超を対象に集団ベースのコホート研究を実施。炭酸飲料の摂取と全死亡リスクおよび死因別死亡リスクとの関連を調べた。対象者の平均年齢は51歳で、追跡期間は平均16年だった。

 

1日コップ2杯以上の炭酸飲料を飲むと、死亡リスクが上昇するだけでなく、健康を害する危険性が高い!


 研究の結果、1日コップ2杯以上(約500ml以上)の炭酸飲料の摂取で全死亡リスクが上昇することに加え、炭酸飲料の摂取量が多いと、さまざまな疾患による死亡リスクが増大することが示された。
 これは、カロリーや砂糖、人工甘味料が添加されていない、いわゆる “炭酸水” は除外されています。

 各炭酸飲料の摂取症が1カ月にコップ1杯未満の人と比較して

  1. 砂糖または人工甘味料が添加された炭酸飲料の摂取量が1日に1杯以上の人では大腸がんやパーキンソン病による死亡リスクが高かった。

  2. 砂糖入り炭酸飲料の摂取量が1日に1杯以上の人では消化器疾患による死亡リスクが高かった。

  3. 人工甘味料入りの炭酸飲料の摂取量が1日に1杯以上の人では心疾患などの循環器疾患による死亡リスクが高かった。

 

こうした炭酸飲料の摂取量の多さと死亡リスク上昇の関連は、BMIや喫煙の有無などの因子を除外して分析しても認められたそうです。

 


なぜ炭酸飲料の摂取により死亡リスクが高まるのだろうか・・・。

この研究を指揮した専門家によると、炭酸飲料は体重増加や肥満を招くだけでなく、ホルモンの一つであるインスリンの働きにも影響を及ぼし、炎症を引き起こす可能性があると指摘しています。こうした事が作用して、さまざまな疾患の原因となり、寿命の短縮につながるのではないかとの考えを示しています。

ただ、人工的に甘くした炭酸飲料がいかにして死亡リスクを上昇させるのかを突きとめるには、さらなる研究が必要でしょう。

 


                                        buzz.media.netより

上の画像を見てお分かりになる通り、果糖飲料には砂糖に置き換えると、ペットボトル1本(約500ml)あたり、こんなにも白砂糖(糖質)が入っているんです。

この画像を見ると、ジュースを飲むのが怖くなりますね^^;

 

 

ジュースの甘み成分ブドウ糖の正体は、「果糖ブドウ糖液糖」

糖分には多糖類、二糖類、単糖類などがある。多糖類は多数の糖からできている高分子化合物。穀類や芋類に多く含まれるデンプンは多糖類で、糖分の中でも吸収は遅い。もっとも慣れ親しんでいる「砂糖」の多くは白く精製された白砂糖で、単糖類が2個結合した二糖類。一方、ブドウ糖や果糖(フルクトース)は1個の糖からできている単糖類で、糖分を構成している最小単位の物質。清涼飲料に多く使われている果糖は糖の中でも甘味が強く、すぐに吸収される。多量に摂取すると血糖値の上昇や中性脂肪の増加をまねくおそれがある。

 

 

勿論、「コカ・コーラ ゼロ」とか、「ファンタ ゼロ」、「キリンメッツ ワイルドチャージ」などは、人工甘味料を使用しており、カロリーゼロで且つ、糖質はゼロです。

糖尿病の方やや糖質を気にされている方にとっては、糖質・糖類ゼロは、血糖値を上昇させない作用があるので、大変重宝されると思います。

しかし、糖質ゼロ、カロリーゼロであっても、人工甘味料で甘さが調節された炭酸飲料は死亡リスクを高め、様々な病気に掛かるリスクを高めていると言えます。

 

本研究により、甘い炭酸飲料と死亡リスクの因果関係が証明されたわけではなありませんが、炭酸飲料を飲むよりは、ミネラルウォーターや緑茶、ウーロン茶などの方が、“健康” という観点からすると、良いのでしょうね。



原著論文はこちら

Mullee A, et al. JAMA Intern Med. 2019 Sep 3. [Epub ahead of print]

 

*1:JAMA Internal Medicine」9月3日オンライン版

タバコを何年やめたら、病気になるリスクが減るのか!?

皆さん、こんにちは!
ところで、タバコは吸っていますか?
吸っていても、先生や看護師さんみたいに怒らないので、正直に答えて下さい^^
 
“一日何本までだったら、病気になるリスクが減るんだろう?”
または、“どれくらい禁煙したら、病気になるリスクが減るんだろう?”
なんて、考えたことありませんか?
 
実は、そんな喫煙歴のなる皆さんのタメになる論文を見つけたので、ご報告しますね!
 
 
 
米国・ヴァンダービルト大学医療センターのMeredith S. Duncan氏らの研究によって、ヘビースモーカー(20pack-year以上)の心血管疾患リスクは、禁煙後5年未満で、現喫煙者と比較して約4割減少。しかし、非喫煙者との比較では禁煙から5年以上を経過しても心血管疾患にかかるリスクは高いままであることが示されました。*1

※pack-year:生涯喫煙量の単位。1日に何箱のタバコを何年間吸い続けたかをかけ合わせて計算する。1 pack-yearは、1日1箱を1年、または2箱を半年吸った量に相当。

 

研究方法
  • 研究グループは、ベースラインで心血管疾患がなかったフラミンガム心臓研究の被験者で、2015年までに前向きに追跡収集されたデータについて後ろ向きに解析。
  • 被験者は、オリジナルコホート(1954~58年に行われ4回の診察を受けた)3,805例と、子孫コホート(1971~75年に行われ初回診察を受けた)4,965例の計8,770例だった。
  • 自己申告による喫煙の有無・禁煙後の経過年数・喫煙中の累計パック年を調べ、CVD(心筋梗塞脳卒中心不全、心血管死と定義)との関連を検証した。主要解析は、両コホート複合(プールコホート)で行い、ヘビースモーカー(20pack-year以上喫煙)について行った。

 

 研究結果
  • 被験者8,770例の平均年齢は42.2歳で、45%が男性。そのうち喫煙経験者は5,308例で、ベースラインの喫煙累計(pack-year)の中央値は17.2 pack-yearだった。

  • ヘビースモーカーは2,371例(追跡中に禁煙した元喫煙者406例[17%]、現喫煙者1,965例[83%])。

  • 追跡期間中(中央値26.4年)の初回心血管疾患イベント発生は2,435件だった。

  • 現喫煙者と比較して5年以内の禁煙者の心血管疾患罹患率は有意に低かった。

  • 罹患率は現喫煙者11.56 / 1,000人年に対し、禁煙5年未満者で6.94 / 1,000人年(同:5.61~8.59)だった。

  • 一方で非喫煙者の同罹患率は5.09/1,000人年で、それと比較すると喫煙者の心血管疾患リスクは、禁煙後10~15年で6.31/1,000人年になり、禁煙から10年以降でその関連が有意ではなくなったが、リスクとしては高いままであった。

 

 

喫煙による病気のリスクとは!?

  1. 禁煙を5年間行うと、心血管疾患になるリスクは現喫煙者と比べると4割減少します。しかし、喫煙歴のない人と比べると心血管疾患になるリスクは高い。
  2. 喫煙歴がない人々と比較すると、1日に1本しか喫煙しない人でも冠動脈疾患のリスクは高いそうです。
  3. 脳卒中のリスクも喫煙によって上昇することが明らかなようで、タバコを吸う本数が増えれば増えるほど脳卒中になるリスクは男女とも上昇します。一方で、1日1本しか吸わなくても脳卒中になる危険性は、喫煙歴のない人と比べると高くなります
  4. 肺がんに関しては、1日の喫煙本数と肺がんを発症するリスクの間にほぼ直線的な関係が見られており、1日に20本喫煙する人に比べ、1本しか吸わない人のリスクは約20分の1(5%)

 

このように、禁煙することによって、心血管疾患や脳卒中、肺癌になるリスクから身体も守ることが出来ます。

「一日一本だけだから、タバコ吸っても平気だよな~」と感じますよね? 私もそう思ってました。一本くらいのタバコ、禁煙と変わりないでしょ?

でも、研究結果によると違うみたいですね。

心筋梗塞脳卒中のリスクに関しては、「タバコの本数が1日1本であっても、リスクは1日20本吸う人の半分程度にしか減らない」という分析結果がも報告されています。

 

 

あともう一つ。今、世間で取り上げられているのは受動喫煙による問題です。

 

www.med.or.jp

 

受動喫煙とは、喫煙により生じた副流煙(タバコの先から出る煙)、呼出煙(喫煙者が吐き出した煙)を発生源とする、有害物質を含む環境タバコ煙に曝露され、それを吸入することです。

受動喫煙による日本人の肺がんリスクは約1.3倍になることが発表されており、科学的根拠のあるデータなのです。ヘビースモーカーの旦那さんと一緒に所帯を持っている奥様(タバコを一切吸わない奥様)が肺癌になってしまう…。といったような現象です。

 

奥様、旦那様、お子様、お孫様。愛する方を病気から守りたいですよね!

今からでも遅くありません! 禁煙の一歩を踏み出してみませんか?

 

正直、禁煙するのは本当に本当に難しい。

バンジージャンプと禁煙、どっち選ぶ?」と聞かれたら、「バンジージャンプ…」と答える人が多いでしょう。

『禁煙するぞ!!』という強い意志の力を使って禁煙に挑むのは非常に困難です。

人間というものは、“何かを始める” 行為は、意志力で何とか始めることは出来ますが、

“何かを止める” という行為は、中々できません。私はタバコは吸いませんが、「甘いものを食べるな!」と言われたら無理です。ストレスで病院を欠勤するでしょう(笑)。

 

当院には禁煙外来もございます!(^^)!

1人では重い腰が上がらない、、、という皆さま。ぜひ当院へお越しください。

禁煙の一歩・・・一緒に踏み出しましょう(^^)

 

 

 

原著論文はこちら

Hackshaw A, et al. BMJ. 2018;360:j5855.

Duncan MS, et al. JAMA. 2019;322:642-650. 

carenet参照

*1:JAMA誌2019年8月20日

野菜中心の生活で糖尿病リスクを減らす!

さぁ、みなさん。ことわざ遊びしましょう♩

 

【問題】

①「〇〇どきの医者いらず」

②「冬至に〇〇〇を食べると風邪をひかない」

③「〇〇が赤くなると医者が青くなる」

④「〇〇は体の砂払い」

【解答】

①だいこん(大根)

②かぼちゃ(南瓜)

③かき(柿)

④こんにゃく(蒟蒻)

皆さん、どれくらい解けましたか?この“ことわざ”、何を表現しているかというと、“野菜って、身体に良いんだよ~~”って、事ですよね?野菜は健康にイイ、美容にイイと言いますが、本当なのかしら??ってな、疑問を解決してくれる論文を見つけました!

 

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野菜中心の食生活が2型糖尿病のリスクを減らす!

ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院のQi Sun氏らの研究によって、植物性食品中心の食生活を送っている人ほど2型糖尿病のリスクが低くなるという可能性が示されました。*1

研究内容2019年2月までに発表された論文のシステマティックレビューを行い、抽出された9件の前向きコホート研究についてメタ解析を実施。総計30万人以上の対象者のうち追跡中に約2万4,000人が2型糖尿病を発症していた。



研究結果
  1. 植物性食品を主に摂取している人ではそうでない人に比べて2型糖尿病のリスクが23%低かった。

  2. 野菜や果物、豆類、ナッツ類、全粒穀物など、食物繊維やビタミン、ミネラル、抗酸化物質などを含む健康的な植物性食品を摂取している人ではその関連がより強く、糖尿病のリスクは30%低下していた。

 

 

1日、どれくらいの野菜と果物中心を摂るといいの? 

上記に挙げた研究結果は、「野菜中心の食生活が2型糖尿病を発症するリスクを低下させる」という内容でしたが、野菜には糖尿病を防ぐ効能だけなのでしょうか?

厚生労働省は1日 350gの野菜を摂ることを勧めています。しかし、野菜は摂ればとるほど、その健康効果は高いとされています。

https://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0326-10l-007.pdf

 

実は、欧米やアジア諸国のデータを集めたところ、野菜や果物を1日 600-800g

摂ると、心血管疾患発症率、がん発症率、全死亡率が明らかに減少するということも明らかにされました。とくに、葉物野菜、ブロッコリー、にんじん、かんきつ系の果物、リンゴ、ベリー系果物がいいそうです。

ただ、1日800gの野菜&果物って、相当な量ですよ(笑)

だいたい、ブロッコリー ひと房で200g、レタス 1個で500g弱(芯を含めて)、

リンゴ1個 315g・・・。

そう考えると、1日600~800gの野菜や果物を摂取するのは、一筋縄ではいきません。エンゲル係数も高くなりそう…。

 

https://academic.oup.com/ije/article/46/3/1029/3039477?searchresult=1

 

 

 

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なぜ、野菜中心の生活が2型糖尿病のリスクを減らすのか!?

なぜ植物性食品を中心とする食生活が2型糖尿病のリスクを低減するのか?

その因果関係まで今回の研究で明らかになっていません。また、野菜中心の生活の人は“もともと、健康意識が高い”、“野菜中心だから肥満じゃない”。という考えも出来るでしょう。

 

しかし、野菜中心の食生活を送ることが、明らかに糖尿病のリスク低減に役立ち、さらに心血管疾患やがんの発症、全死因死亡率を低下させることは明白です。

今回の研究結果について、今回の研究の代表者のSun氏は

「抗酸化物質や健康に良い植物性油脂により、インスリン感受性が向上したり、炎症が抑制された可能性もある」と指摘しています。

 

「野菜中心の食生活」と聞くと、レタス、ホウレン草、にんじん、ブロッコリーだけか? なんて思われるかもしれませんが、クルミ、アーモンド、ピーナッツなどのナッツ類などのシンプルな食品もgood!!また、豊富な野菜たっぷりの野菜スープなども良いでしょう。

そうそう。ニンジンや大根、きゅうりなどを浅漬けにしたお漬物なんかは、発酵食品であることも加味されてさらに栄養価満点だと思います。

何か甘い物が欲しいな~。なんて思った時には、クッキーやケーキよりも果物などの方が健康的で1日に摂取する野菜(&果物)の量も増やすことが出来ます。

 

野菜のパワーって、凄いですね! 糖尿病、がん、心血管疾患など私たちが恐れている病気を防いでくれるのですから。まさしく、スーパーマンですね!

 

原著論文はこちらです⇓

*1:JAMA Internal Medicine、7月22日オンライン版

座っている時間が長いと早死にする!?

だんだんと、過ごしやすくなってきましたね。

暑さも和らぎ、秋めいてきました…。

そうそう、季節は秋!!! さぁ~秋と言えば、、、

「食欲の秋」、「読書の秋」、、、

いえいえ、

「スポーツの秋」ですよーーー皆さん。 

 

子供の頃と比べると、明らかに少なくなったのは、

運動している時間、立っている時間。

小学生のころ、お昼休みになると男の子に交じってドッジボールしてました!

私、腕力があって男の子に負けないほどの怪力だったんです(笑)

 

そんな私の事はさておき、、、

皆さん、暇が合ったら座っているより運動した方が、

電車では座るより立っている方が、

長生きするらしいですよ~。

 

座っている時間が長いほど、死亡リスクが高まる…こんな怖い論文を見つけたのでご報告しますね。

 

中高年の死亡リスクは身体活動が低い人ほど低い

 

中高年の死亡のリスクは、強度を問わず身体活動度が高いほど低く、また、座位時間が短いほど低いことが、ノルウェー・Norwegian School of Sport SciencesのUlf Ekelund氏らによるシステマティック・レビューとメタ解析で明らかにされました。いずれも、中高年成人では、非線形の用量反応の関連パターンが認められたという。*1

 

身体活動度は、多くの慢性疾患や若年死亡と関連しており、座位時間が長いほどそのリスクが増す可能性を示すエビデンスが増えつつある。しかし、現行の身体活動ガイドラインは、妥当性に乏しい自己報告の試験に基づいているため、報告されている関連性の大きさは、過小評価されている可能性があり、また、用量反応の形状、特に軽強度身体活動は明らかになっていなかった。

 

研究方法はシステマティック・レビューのメタ解析
  • 研究グループは、医学・ライフサイエンスなどの文献(PubMed、PsycINFO、Embase、Web of Science、Sport Discus)をまとめ、2018年7月までに発表された試験について、システマティック・レビューとメタ解析を行った。

  • データベースを基に、対象は、身体活動度や座位時間について加速度測定法で評価し、全死因死亡率との関連を評価した前向きコホート試験で、ハザード比やオッズ比、相対リスクを95%信頼区間(CI)とともに求めたものとした。

  • 解析の手法は、システマティック・レビューとメタ解析に関するガイドラインや、PRISMAガイドラインにのっとった。執筆者2人がそれぞれタイトルと要約をスクリーニングし、1人が全文のレビューを、もう1人がデータを抽出した。バイアスリスクは2人がそれぞれ評価した。

  • 参加者個人レベルのデータを、複数の補正後モデルを用いた試験で集約・解析した。身体活動のデータは4つに分類し、全死因死亡率(主要評価項目)との関連についてCox比例ハザード回帰分析を用いて解析。ランダム効果メタ解析により試験に特異的な結果を要約した。

 

 

 

軽強の運動でも、死亡率は約0.4倍まで低下

検索により全文レビューとなった39試験のうち、包含基準を満たしたのは10試験だった。うち3試験はデータの集約が困難。さらに1件は非参加のため除外された。代わりに、死亡率未公表のデータを含む2試験を包含し、計8試験の個人データを解析した。

  • 被験者総数は3万6,383例、平均年齢62.6歳、女性は72.8%だった。追跡期間の中央値は5.8年(範囲:3.0~14.5)で、死亡は2,149例(5.9%)だった。
  • 身体活動はその強度にかかわらず死亡率の低下に関連しており、非線形用量反応が認められた。死亡に関するリスクは、身体活動が多くなるほど低くなった。
  • 同様に軽強度身体活動では、第1四分位群に比べ、第2四分位群0.60(95%CI:0.54~0.68)、第3四分位群0.44(0.38~0.51)、第4四分位群0.38(0.28~0.51)だった。中強度~高強度身体活動では、それぞれ0.64(0.55~0.74)、0.55(0.40~0.74)、0.52(0.43~0.61)だった。
  • 座位時間と死亡に関するリスクについてみると、座位時間が長くなるほど死亡リスクが上昇した。

 

 

これは、いわゆる “積極的な運動” じゃなくても、座っているより、立っている時間が長い方が死亡率が低下するという結果を表しています。

運動強度の高い運動(マラソンや水泳などの辛い運動)でなくても、例えば

  • 自宅で座っているより、立っている時間を増やす
  • ご近所への買い物なら車でなく歩いたり自転車で行く
  • エレベーターやエスカレータを使うより階段を使おう
  • 電車では座るより、立っていよう

という、ごくごく日常にありふれた生活習慣を見直しましょう!という事なのですよね。運動が苦手な人や運動嫌いなひとにとっては、ありがたい研究結果でしたね!

 

  

原著論文はこちら↓↓↓
参照
医療ジャーナリスト 當麻 あづさ氏

*1:BMJ誌2019年8月21日号掲載

加糖飲料の摂取でがんのリスクが増大する!

皆さん、こんにちは!暑い日が続ますが、いかがお過ごしですか?

暑い季節、冷た~いジュースをごくごくしたいもんですよね? コーラ、スポーツ飲料、フルーツジュース。火照った身体に染みますよね~!!

でもちょっとまった!!!

もしかしたらその行為、がんの発症リスクを上げているかもしれません(汗) 


今回は、ジュースと健康被害について、がんに焦点をあてて科学的根拠に基づいたお話していこうと思います。実は、砂糖入り飲料だけでなく、100%ジュースの健康被害も報告されているんですよ! 

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砂糖入り飲料の摂取は、“がん”および“乳がん”のリスクを増加させる

砂糖入り飲料の消費は、全がんおよび乳がんのリスクを増加させ、100%果物ジュースも全がんのリスクと関連することが、フランス・パリ第13大学のEloi Chazelas氏らのによって報告されました。*1 砂糖入り飲料の消費は最近10年で世界的に増加していおり、砂糖入り飲料と肥満リスクには明確な関連が認めらるそうです。さらにこの肥満は多くのがんの強力なリスク因子となるのです。
どのような研究によって、砂糖入り飲料とがん発症との関連が明らかになったのか、具体的にお話していきますね。


フランス人を対象とした大規模コホート研究
  • 研究に用いた飲料水は、100%果物ジュースを含む砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料。それらからサンプルをとってがんのリスクとの関連の評価を目的とする住民ベースの前向きコホート研究を行った。
  • 解析には、フランスで2009年にWebベースで登録が開始されたNutriNet-Santeコホートの2018年までのデータ(10万1,257例)を用いた。
  • 砂糖入り飲料および人工甘味料入り飲料の消費の評価には、3,300項目の食品および飲料に関して、参加者の日常的な消費状況が記録されるようデザインされた反復的24時間食事記録法を用いた。飲料のタイプごとに、男女別の消費量をそれぞれ4段階に分けて解析した。
  • 最終的には、飲料の消費と全がん、乳がん前立腺がん、大腸がんの関連性を評価して、競合リスクを考慮し、多変量で補正したFineとGrayのハザードモデルを用いて評価を行い、部分分布のハザード比(HR)を算出しました。

約5年間観察した結果
  • 10万1,257例、平均年齢42.2歳(年齢は14歳前後のばらつきあり)のうち、女性が7万9,724例(78.7%)を占め、男性は2万1,533例(21.3%)であった。
  • 飲料種類の割合は、砂糖入り飲料(100%果物ジュースを除く)が36%、100%果物ジュースが45%で、人工甘味料入り飲料は19%だった。
  • 追跡期間中央値5.1年(49万3,884人年)の間に、2,193例が初発のがんを発症。
  • がんの内訳は、乳がんが693例(閉経前283例、閉経後410例)、前立腺がんが291例、大腸がんは166例で、診断時の平均年齢は58.5±12.0歳だった。
  • 砂糖入り飲料の消費は、全がん(消費量100mL/日増加の部分分布HR:1.18、95%信頼区間[CI]:1.10~1.27、p<0.001)および乳がん(1.22、1.07~1.39、p=0.004)のリスクと有意な関連が認められた。乳がんは、閉経前(p=0.02)が閉経後(p=0.07)よりも関連性が明確であったが、砂糖入り飲料の消費量中央値は、閉経期(88.2mL/日)のほうが閉経前(43.2mL/日)に比べ多かった。
  • 砂糖入り飲料の消費は、前立腺がんおよび大腸がんとは関連がなかった。また、肺がんにも関連は認めなかったが(p=0.1)、統計学的検出力がきわめて低かった。

 

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砂糖入り飲料、100%果物飲料の摂取でがんの発症が高くなる

今回の研究結果から砂糖入り飲料や100%果物飲料の摂取が、がんの発症リスクを増加させるということが分かりました。一方で、人工甘味料入り飲料の摂取はがんとは関連性はなかったようです(全サンプルに占める消費の割合が相対的に低かったことから、統計学的検出力が不十分であった可能性もありうる)。

サブ解析では、100%果物ジュースの摂取は全がんの発症リスクと有意な関連性があることも明らかになりました。

砂糖入り飲料が、健康によろしくない・・・というのは何となく予想がつきましたが、まさか、健康のために飲んでいる100%果物ジュースにも、がんを発症させるリスクがあるというのは驚きの結果です!

 

実は100%果物飲料(濃縮還元100%フルーツジュース)、米国では『不健康な食品のひとつ』とされているそうです。

米国小児科学会では、乳幼児に対するフルーツジュース摂取の提言も発表しているのですよ。同学会員の医学博士の中には、「子供に100%フルーツジュースを飲ませるべきでない!」といっている専門家もいます。

 

forbesjapan.com

 

数年前でしたでしょうか・・・。“グレープフルーツジュースを飲むと痩せる”とか、“血圧を下げる” という内容が巷の話題をかっさらって、グレープフルーツジュースがスーパーからなくなった!なんて話もありましたよね。それが科学的に根拠があるかどうか、否めませんが…。

少なくとも、高血圧の薬(血圧を下げる薬)を飲んでいる患者さんは、かんきつ系のジュース(グレープフルーツジュース、オレンジジュース等)を飲むのは避けて下さいね!薬とジュースとの相互作用で、必要以上に血圧が下がってしまう原因になることもありますから。

 

水分補給するなら、ジュース(砂糖入り飲料、100%果物飲料)より、ミネラルウォーターやウーロン茶、緑茶の方が、少なくともがん発生リスクとは、関連してなさそうですね!ただ、ウーロン茶や緑茶にはカフェインが入っているので、睡眠前の摂取は避けた方が、イイ睡眠をとることが出来ると思いますよ!

 

 

原著論文

Chazelas E, et al. BMJ. 2019;366:l2408.

https://www.carenet.com/news/journal/carenet/48378

*1:BMJ誌2019年7月10日号

糖尿病患者さんに警笛!~摂取する脂肪の質が死亡リスクを左右する!?~

皆さん、こんにちは(^^)梅雨が明けたと思ったら、、、毎日毎日、ホント、暑い日が続きますよね~ おてんと様も罪つくりなお方・・・。
 
この暑さに対抗すべく、夏バテ予防にお肉でも食べるぞーーーーーー?
糖質制限にもなるし一石二鳥!焼肉でも食べに行くかーーー!
なんて思ってるあなた、ちょっと待ったーーーーーー!!
こんな論文を発見しましたよ!
 

糖尿病患者における脂肪の質が死亡のリスクと関連

ちょっと衝撃的な事実。何故かと言うと、古今東西、2型糖尿病(略:糖尿病)発症の原因は炭水化物(糖質)の摂取が主な原因で、巷では「糖質制限食ブーム」だからです。
糖質制限食」といったら、白米やパン、麺類、お菓子(砂糖や小麦粉を使ったお菓子)などの摂取は控え、一方で脂肪の摂取に関しては制限を設けないという方法でした。だから、焼肉やステーキ、チーズなどの摂取は、糖質制限では「たくさん摂りましょ~」と、好んで用いられていたのですよね。
 
でも、この糖質制限の理屈を根底から覆すかもしれない研究が、中国・浙江大学のJingjing Jiao氏らが、米国のNurses' Health StudyおよびHealth Professionals Follow-up Studyのデータを解析して明らかになったのです。
 
2型糖尿病患者さんにおいて、多価不飽和脂肪酸の摂取量増加は炭水化物または飽和脂肪酸の摂取と比較して、全死亡および心血管死の低下と関連していることが認められた。著者らは、「結果は、2型糖尿病患者の心血管死および全死亡の予防に、食事中の脂肪の質が重要な役割を果たすことを強調するものである」とコメントもしています。
つまり、2型糖尿病患者さんの死亡原因に、摂取する脂肪の質が関連しているといことなのです。
 
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脂肪酸について
脂肪酸って、大きく分けると飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の2つに分類されます。
 
不飽和脂肪酸は、科学的構造の違いから、3つのオメガ系列に分けられています。
市場で多く流通している、オメガ3系(α-リノレン酸)、オメガ6系(リノール酸)、オメガ9系(オレイン酸)がこのオメガ系列に属します。
多価不飽和脂肪酸はオメガ3系(α-リノレン酸)、オメガ6系(リノール酸)、
一価不飽和脂肪酸はオメガ9系(オレイン酸)となります。
もちろん、他の不飽和脂肪酸もそれぞれの系列に含まれますが、大きくこの3つの系列とこれらの脂肪酸を覚えておくと、これからの油選びに役立つと思います。
 
 
 

https://amani.karadanocare-forum.net/wp-content/themes/amani-nippn.jp/images/under/lino_about_img02.jpg


研究方法・結果
米国の2つの大規模コホートから2型糖尿病患者約1万1千例を解析
  • 研究グループの目的は、2型糖尿病患者における食事中の脂肪と心血管死および全死亡との関連を評価すること。

  • 米国のNurses' Health Study(1980~2014年)およびHealth Professionals Follow-up Study(1986~2014年)の2型糖尿病患者1万1,264例について解析した。 

  • 参加者は、食事中の脂肪の摂取について、食事摂取頻度調査票(Food Frequency Questionnaire:FFQ)を用いた2~4年ごとの調査を受けていた。 

  • 主要評価項目は、追跡期間中の全死亡と心血管死。

  • Cox比例ハザードモデルを用い、食事中の脂肪の摂取量と主要評価項目との関連について解析した。

研究結果
  • 多価不飽和脂肪酸、オメガ3系(α-リノレン酸)、オメガ6系(リノール酸)の高摂取は低摂取より心血管死が2~3割低下。追跡期間中、死亡は2,502例(うち心血管死646例)が確認された。
  • 多変量解析の結果、多価不飽和脂肪酸の摂取は全炭水化物と比較し心血管死のリスク低下と関連していた。
  • 摂取量の第1四分位と比較した第4四分位のハザード比(HR)は、多価不飽和脂肪酸で0.76倍、海産物由来のオメガ3系(EPA, DHA)で0.69倍、オメガ3系(α-リノレン酸)で1.13倍、オメガ6系(リノール酸)で0.75倍であった。
  • 全死亡についても、多価不飽和脂肪酸、オメガ3系(α-リノレン酸)、オメガ6系(リノール酸)で同様の関連が確認されたが、植物性ではなく動物性の一価不飽和脂肪酸は全死亡のリスク増加と関連していた。 
  • 飽和脂肪酸(バター、肉の脂肪)からのエネルギーの2%を、多価不飽和脂肪酸またはリノール酸からの同等のカロリーに置き換えると、多価不飽和脂肪酸が13%、オメガ6系(リノール酸)5%(HR:0.85、95%CI:0.73~0.99)、それぞれ心血管死のリスクが低下した。
  • 飽和脂肪酸(バター、肉の脂肪)からのエネルギーの2%を多価不飽和脂肪酸に置き換えると、全死亡のリスクが12%低下した。

 

なお著者は、血糖コントロールや糖尿病の重症度は評価されていないこと、食事や生活習慣の要因が自己報告であること、残余交絡の可能性などを研究の限界として挙げている。 

 

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この結果から分かったことは、2型糖尿病患者さんにおける、お肉(脂肪分)やバターの摂りすぎは、死亡率や心血管疾患の発症リスクが高くなる。という事なのですよ…。糖質制限で口酸っぱく言われている内容(糖質を控えるぶん、お肉などの脂肪はどれだけとってもいいですよ~)とは、若干異なりますよね(汗)

また、赤身のお肉や、油で炒めた食品などは、糖尿病の発症リスクも高めるといわれています。

ダイエット目的で糖質制限をする。糖質制限をしてるから、お肉はどれだけ食べてもOK~! という考えでお肉を食べすぎていると、逆に心血管疾患や糖尿病を発症する危険性があるかもしれない・・・。という事なのですよね。

飽和脂肪酸は体に良くない」とお話ししましたが、飽和脂肪酸の中でも、ヨーグルトや低脂肪牛乳は糖尿病の発症リスクを低下させるという研究データもあります。ですから、ヨーグルトの摂取を控える必要はないかもしれませんね。

 

糖尿病患者さんの食事ガイドラインでは、良好な健康を維持するためにトランス脂肪の摂取を減らし、飽和脂肪を不飽和脂肪に置き換えることを推奨しています(BMJ誌2019年7月2日号掲載の報告)。

 

大切なのは、バランスよく食べること。「単品ダイエット」とか、「糖質制限食」で糖質を極端に下げる一方で、赤身肉はどれだけ食べてもOK。なんてのは、ナンセンスという事ですね。

ここで忘れてほしくないのは、「良質な油を摂取する大切」という事。オリーブオイルや魚の油(DHAEPA)には動脈硬化心筋梗塞を予防すると言われています。しかし、トランス脂肪酸(マーガリン、お菓子、総菜パン)などの摂取は控えたほうが、健康のためであるのは間違いないことだと思いますよ。

 

 

原著論文はこちらJiao J, et al. BMJ. 2019;366:l4009.

 

 

たった一日の睡眠不足で糖尿病、肥満リスクが上昇

みなさん、こんにちは(^^)

今朝の目覚めはどうでしたか?よく眠れました? 気持ちよく目覚めれましたか?

どうしてこんなことを聞くかって???

それは、睡眠の質が病気の発症と深く関連しているからなんです。

生活習慣病にならないために、運動をしたり、食事療法をした、、、色々試みているかたも多いはず!

でも、健康になる近道はもっと簡単なところにあるかもしれませんよ!!

 

日本人は慢性的な睡眠不足

平均睡眠時間の国際比較によると、日本人の平均睡眠時間は7.4時間とOECD諸国の中でも一番短い。また、日本人の5人に1人は「日中、眠気を感じた」「睡眠時間が足りなかった」「夜間、睡眠途中に目が覚めて困った」など睡眠の問題を抱えている人が非常に多いのが現状です。

 

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たった一日の睡眠不足で、糖尿病リスクが上昇

たった一晩の睡眠不足でも血糖やインスリンの制御に関わる肝臓の機能が変化し、2型糖尿病の発症リスクが上昇する可能性があることを、東邦大学糖尿病・代謝・内分泌学准教授の熊代尚記氏らの研究グループがマウスを用いた実験で突き止めました。*1

 

今回の実験ではマウスを2つのグループに分け、一方のグループは夜行性のマウスが眠る日中の時間帯に優しく揺すって6時間覚醒させ続け、もう一方のグループは自由に睡眠を取らせる対照群とした。実験を始める前の2週間は、食生活が乱れた人と同じような食環境とするために、いずれのグループのマウスにも高脂肪食と砂糖水を制限なく与えた。また、実験中にはいずれの群のマウスも小さな固定器の中で動けない環境に置き、活動量を制限した。

今回の研究結果のまとめ
  1. 6時間の睡眠障害の直後にマウスの血糖値と肝臓の脂肪量を測定したところ、自由に睡眠を取った対照群に比べて、睡眠時間を制限した群では血糖値が有意に高く、肝臓中の中性脂肪含有量が有意に増加していることが分かった。
  2. 睡眠時間を制限した群ではな血糖値の上昇が認められ、脂肪肝によるインスリン抵抗性が引き起こされていることが示唆された。
  3. メタボローム解析を用いて肝臓内の代謝物を網羅的に調べた結果、睡眠時間を制限した群では対照群に比べてアシルカルニチンやアセチルCoA、ケトン体などが増加しており、肝臓での脂肪燃焼は亢進していることが明らかになった。
  4. 一方、マイクロアレイを用いて肝臓の遺伝子発現を網羅的に調べた結果、肝臓での脂肪合成を促進する遺伝子の発現が増加しており、睡眠障害により過食や体重増加を伴わずに肝臓の脂肪蓄積が増加するメカニズムとして、睡眠不足による肝臓での脂肪合成の促進が示唆された。

 

‟肝臓での脂肪燃焼が亢進”というのは、‟肝臓で脂肪合成が進んで脂肪が蓄積する”という事であり(脂肪肝につながる、)体内での脂肪燃焼が進むという事ではないのでご注意を!!

 

以上の結果を踏まえると、たった1日睡眠不足になるだけで、肝臓で脂肪合成が亢進して脂肪蓄積が増加する。そして、脂肪肝が肝臓のインスリン抵抗性を引き起こして耐糖能を悪化させる可能性がある(=2型糖尿病を発症、あるいは悪化させるということ)と推測されます。

 

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たった一晩の睡眠不足で肥満リスクがが上昇

健康な男性が一晩徹夜するだけでも、骨格筋は分解されて、脂肪が体に貯め込まれることが遺伝子レベルの解析で示唆されたそうです。*2

 これまでの研究で、不眠や夜勤などで睡眠不足になると肥満や2型糖尿病などの発症リスクが高まることが報告されているのですが、このことに関する分子レベルでのメカニズムはほとんど分かっておらず、これらの代謝性疾患リスクが上昇するのは睡眠不足が直接的な原因なのかどうかは解明されていなかったのです。

ノースウェスタン大学のJonathan Cedernaes氏らが行った研究では、たった一晩でも睡眠不足になると肥満につながるメカニズムの一端を解明したのです。

研究内容

平均年齢22.3歳の健康な男性15人に研究室に2泊してもらい、一晩徹夜すると遺伝的または生理学的に代謝がどのように変化するのかを調べる実験を行いました。

まず参加者には、

1日目の晩には、8.5時間の睡眠を取ってもらう。

2日目の晩には、一晩中眠らずに徹夜してもらう群と8.5時間の睡眠を取る群に分けて比較。
実験3日目の朝には、皮下脂肪と骨格筋の組織のサンプルを採取して遺伝子や蛋白質の発現量を調べました。

 

研究結果

一晩徹夜すると皮下脂肪組織では、代謝に関与するDNAのメチル化が広範に起こっていた。一方、骨格筋組織ではこうした変化はみられなかったものの、概日リズムに関与する遺伝子の発現量が増えたほか、増減した蛋白質それぞれの役割からみると筋肉を分解し、脂肪の蓄積を促すような変化が起こっていると考えられたという。

今回の結果は、一晩でも徹夜すると危険であると強調するものではなく、Cedernaes氏は「習慣的な睡眠不足で何が起こるのかという課題を提起するもので、睡眠不足が代謝にどのような影響を与えるのかを掘り起こしたものだ」と説明しています。

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 今回の研究から、睡眠不足の影響で骨格筋組織が減少し、脂肪の貯留が促される新たな機序が解明されたと示唆されます。睡眠不足が慢性的に続くと、肥満につながるとも考えられます。一方で、この結果は実験室での人工的な環境で得られたものに過ぎず、「習慣的な睡眠不足に陥っている場合でも、それぞれの組織で今回と同様の変化がみられるかどうかは分からない」という懸念材料はあります。

必要な睡眠時間は人によって異なりますが、一般には成人で1日7~9時間の睡眠を取ることが推奨されてます。また、夜勤などで睡眠時間が不規則な人は健康的な食生活を心掛け、定期的に運動するなど良好な生活習慣を保つべきだと助言している専門家もいます。

 

ダイエットの大敵は睡眠不足!

睡眠不足になると、満腹ホルモンであるレプチンが減少するとともに、摂食ホルモンであるグレリンが増えて、太りやすい環境下に陥ります。

また睡眠不足になると、脂っこい食べ物、ポテトチップスやチョコレートなどのお菓子、パスタやパンなどの炭水化物を好んで食べるようになると言います。

つまり、睡眠不足そのものが太りやすい生活環境を作り出すという事になるのですね!

健康的な体を手に入れたい! 糖尿病になになりたくない! ダイエットしたい!

と思ったら、食事や運動よりも、まず睡眠の質について考えてみる必要がありそうですね!

*1:「American Journal of Physiology-Endocrinology and Metabolism」7月10日オンライン版に掲載

*2:Cedernaes J, et al. Sci Adv. 2018 Aug 22.