歯周病が全身病の原因! ~歯周病を改善する方法とは!?~
皆さん、“歯周病”ってご存知ですか?最近、テレビコマーシャルでも「歯周病予防」という言葉をよく耳にすると思います。 “歯周病”とは、細菌の感染によって引き起こされる炎症性の病気です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し(歯垢の蓄積)歯肉の辺縁が「炎症」を帯びて赤くなったり、腫れたりします。痛みはほとんどないそうです。そして、進行すると歯周ポケットと呼ばれる歯と歯肉の境目が深くなり、歯を支える土台(歯槽骨)が溶けて歯が動くようになり、最後は抜歯をしなければいけなくなってしまいます。 朝起きたとき、口の中がネバネバする。
- 歯磨き中に出血する。
- 口臭が気になる。
- 歯肉がむずがゆい、痛い。
- 歯肉が赤く腫れている。(健康的な歯肉はピンク色で引き締まっている)
- かたい物が噛みにくい。
- 歯が長くなったような気がする。
- 前歯が出っ歯になったり、歯と歯の間に隙間がでてきた。食物が挟まる
上記の項目が3つ以上当てはまる方は、歯周病の疑いがあります。
歯周病は認知症、心血管疾患など全身病と深く関連!
この “歯周病”、厚生労働省が定期的に発表している近年の「歯科疾患実態調査」によれば、35歳以上の大人の約8割が歯周病を抱えています。
歯周病のコワさは、歯を失うことだけではなく、全身の病気の原因になることが、国内外の研究で明らかになってきたのです。糖尿病をはじめ、脳血管障害、心臓病・動脈硬化、肺炎、メタボリック症候群……。歯周病は全身の病気と深く関係しているのです。また、アルツハイマーの発症と歯周病とが関連があるとも言われています。*1
さぁ、今回は、歯周病にならないように、または悪化させないようにするにはどうしたらいいのか!?科学的根拠を元にした情報をお伝えしますね!
歯磨き・歯科検診に続く予防策「バクテリアセラピー」
歯周病の治療を専門とする若林 健史氏(日本歯周病学会理事・専門医・指導医/日本大学 客員教授)は、『口腔内に生息する細菌が全身の健康に影響する、歯周病もむし歯も子供の頃からの感染予防が重要である』と言っています。
歯周病の予防策は
- 歯磨き
歯磨きにはコツがあるそうです。食事後に歯磨きを行うのが理想的だそうですね。しかし一番重要なのは、就寝前に10分から20分かけてブラッシングを行う事だそうです。さらに歯ブラシだけでなく、フロスなどを使用して歯間もお掃除したほうが良いですね!詳しい歯磨き方法は下記のリンクからどうぞ♪
- 歯医者さんでの定期健診
3か月から6か月に1度は受診して、プラークコントロールを行った方が良いです。やはり、プロの手を勝るものはないのでしょうか? - バクテリアセラピー
バクテリアセラピーとは、“口の中にいる善玉菌を増やし、むし歯菌・歯周病菌を減らす”もので、抗菌薬による薬物治療と比較した場合、① 効果が持続する、② 耐性がない、③ 安全である、という優位な点があります。
バクテリアセラピーのひとつ、「ロイテリ菌」が注目!!
坂本 紗有見氏(銀座並木通りさゆみ矯正歯科デンタルクリニック81 院長)は、「バクテリアセラピーにはロイテリ菌が有用である」と提唱されています。ロイテリ菌は、バクテリアセラピー研究で有名なスウェーデンのカロリンスカ研究所・医科大学と特許を持つBio Gaia社が、提携して研究を進めていて、ペルー人の母乳から発見されたものだそうです。日本人は7人に1人が保有するが、そのほかの先進国のヒトから検出されることは少なく、米国人はまったく保有していないとのこと。
世界100以上の国と地域で使用実績があり、200以上の臨床研究が発表される一方、副作用の報告は1件もないのだそうです。
ロイテリ菌は体内で「ロイテリン」という有害な菌を抑える物質を生成し、歯周病菌の増殖を抑制する効果が期待できる。歯周病患者を対象とした二重盲検ランダム化比較試験において、ロイテリ菌とプラセボをそれぞれ30日間摂取した群を比較したところ、ロイテリ菌摂取群は、プラーク有りの患者数、歯茎の出血有りの患者数などが減少し、プラセボ摂取群に対し有意差が認められた*2。
ロイテリ菌は市販されている、ヨーグルトに含まれているそうです。ロイテリ菌の良いところは、副作用がまったくないというところです。気軽にロイテリ菌摂取、初めてみてはいかがですか?
本当のところ、卵は何個食べても大丈夫なの??
皆さん、卵は一週間で何個食べますか?
Sサイズを毎日?
それとも、Lサイズを毎日??
以前、卵を食べると、悪玉コレステロール(LDL)が上がる~。なんてい言われていましたが、一方で、卵はいくらとっても問題ない。タンパク質を接種するには卵が一番。卵は最強!と、巷では言われていて、筋肉自慢のボディービルダーは、1日3個食べる!なんて方もいらっしゃるのですよ・・・。
でも、卵って、本当にいくら食べても大丈夫なの?
実際のところ、卵って健康にいいの?
なんて、思った事ありませんか?
その『卵、何個食べたらOK?』論争に決着をつけるかもしれない論文を見つけました。その論文は“JAMA”という、世界五大医学雑誌のひとつで、国際的に非常に影響力が強く信頼性も高い学術誌のひとつです。この論文に掲載されたという事実は、この研究の信憑性の高さが伺えます。
米国成人において、食事性コレステロールまたは卵の摂取量増加は、用量反応的に心血管疾患(CVD)発症および全死因死亡リスクの上昇と有意に関連していることが確認された。米国・ノースウェスタン大学のVictor W. Zhong氏らが、Lifetime Risk Pooling Projectの6つのコホートデータを用いた解析結果を報告した。コレステロールは、ヒトの食事における一般的な栄養素で、卵は食事性コレステロールの重要な源であるが、食事性コレステロール/卵の摂取量がCVDおよび死亡と関連しているかどうかについては、なお議論が続いている。著者は今回の結果について、「食事ガイドラインの作成・改訂の際に考慮されるべきである」とまとめている。JAMA誌2019年3月19日号掲載の報告。
6コホート2万9,615例、食事性コレステロール/卵の摂取量とCVD発症/死亡リスクの関連を評価
研究グループは、1985年3月25日~2016年8月31日の期間に収集された、米国の6つの前向きコホート研究における参加者個々のデータを統合した。自己報告の食事摂取に関するデータは、標準的プロトコルを用いて調整し、食事性コレステロール(mg/日)または卵の摂取量(個/日)を算出した。
主要評価項目は、人口統計学的、社会経済的および行動的要因を調整した、CVD発症(致死的/非致死的冠動脈心疾患・脳卒中・心不全・他のCVD死亡の複合)と全死因死亡に関する全追跡調査期間にわたるハザード比(HR)および絶対リスク差(ARD)で、コホートで層別化した原因別ハザードモデルおよび標準比例ハザードモデルを用いて解析した。
摂取量の300mg増加で、CVD発症と全死因死亡リスクが上昇
本解析には合計2万9,615例が組み込まれ、平均[±SD]年齢はベースライン時51.6±13.5歳、1万3,299例(44.9%)が男性で、9,204例(31.1%)が黒人であった。
追跡期間中央値17.5年(四分位範囲:13.0~21.7、最大31.1)において、心血管疾患イベント発症が5,400例、全死因死亡が6,132例認められた。
- 1日当たりの食事性コレステロール摂取量が300mg増加した場合、心血管疾患発症リスクは3.2%上昇し、全死因死亡は4.4%上昇するという有意な関連が認められた。
- 1日当たりの卵の摂取量が半分(2分の1個、卵1個を3~4回/週または3~4個/週)増加した場合でも、心血管疾患発症リスク、および全死因死亡有意な関連が認められた。
- 食事性コレステロール摂取量を補正後は、卵の摂取量と心血管疾患発症リスク、および全死因死亡との間に、有意な関連は確認されなかった。
血中の悪玉コレステロール値が高いと、心血管疾患(冠動脈疾患、心筋梗塞、脳卒中など)のリスクが高いという事実は、専門家の間でも概ね一致した見解です。
だったら、どうして“卵はいくら食べても大丈夫!!”という、風潮が沸き起こったのでしょうか?
これは、アメリカ心臓病学会/アメリカ心臓協会(ACC/AHA)が、『コレステロール摂取量を減らして血中コレステロール値が低下するかどうか判定する証拠が数字として出せない』として、「コレステロールの摂取制限を設けない」と見解が出されました。時を同じくして、日本人の食事摂取基準(2015年版)では、健常者における食事中コレステロールからの摂取量と血中コレステロール値の相関を示すエビデンスが十分ではないことから、コレステロール制限値を設けなかった。これらのことから、日本人はコレステロールをいくら摂取しても良いという錯覚に陥ってしまったと考えられます。
この混乱を受け、2015年5月1、日本動脈硬化学会はコレステロール摂取量に関する声明を発表しています。
「肥満、メタボリックシンドローム、2型糖尿病、高トリグリセライド(中性脂肪)血症の方は、摂取エネルギー(カロリー)を制限する必要があるが、高LDLコレステロール血症の方は、より飽和脂肪酸やコレステロールの摂取量に注意する必要があるということである。食材の選び方や献立の工夫については、日本動脈硬化学会の脂質異常症治療ガイド2013年版を参照していただきたい[6]。動脈硬化を防ぐには、高LDLコレステロール血症だけでなく、血圧や血糖値のコントロール、禁煙や運動など包括的な生活習慣の改善を介した予防が大切である。」
簡単にまとめると、コレステロールの摂取量と血中のコレステロール値がそれほど相関しないことなんです。だから、一般市民の間では、コレステロールの多い卵をたくさん摂取してもコレステロール値が上がらないから大丈夫~!という結果に至ってしまったみたいです。でも、本研究の結果から、血中コレステロール値を悪化させなくても、コレステロールの多い卵の摂取は心疾患リスクだという事です。採血した血液データで“コレステロールが高くないから大丈夫!”とは、言えないという事になります。
また、今回ご紹介した論文で記述されている卵は1個50g。これは、日本でいうMサイズになります。しかし、流通量が多く我々日本人が普段摂取している卵は1個60gのⅬサイズ。コレステロールの摂取量に関する研究データでは、実際よりも過小評価されている可能性があるかもしれません。(中くらいの卵1個には、200~250mgのコレステロールが含まれています)
- 卵を摂取すればするほど、容量依存的に心血管疾患リスク、全死亡のリスクが増える。
- 「卵を1日何個までだったら食べても大丈夫…」という結論ではなく、食べれば食べた分だけ疾病のリスクが増えるということ。
- 卵の摂取量が増えたからと言って、またコレステロールの多い食事を摂取したからといって、血中コレステロール値が上昇するとは限らない。
- 本研究は、白人、黒人を中心とした研究であり、日本人に当てはまるかどうかは未解決。
結局、「じゃあ、卵を食べるな!って事かよ~!!」と思われるかもしれませんが、そうではありません。「食品から摂取するコレステロールは身体的悪影響はない」という、昨今の風潮に風穴をあけた研究であると思います。
でも、皆さんも心のどこかで疑問に思っていたはずです。
“世間では、卵は何個食べても大丈夫!って言ってるけど、本当なの???”
その通りです!
食品をバランスよく食べるのが一番であり、無茶な偏った食生活は控えたほうが良いです。そんな警笛を鳴らしてくれた、論文ですね。
私の尊敬する、「美しすぎる管理栄養士☆」さんからも、卵の摂取におけるアドバイスを頂いたので、ご報告しますね!
『 食品からのコレステロールが血中コレステロールにさほど影響は無
と、仰ってます。納得させられますね~☆彡
尿失禁悩む女性、必見!!!
私の友達が、最近尿漏れで悩んでいるんです…。とても健康的で美しく、仕事もバリバリの女性です。そんな彼女が、「最近、咳をしたりランニングすると尿漏れが激しくて、、、しかもどばっと・・・。」
普段私は、心臓や全心血管の検査や治療に携わっていますから、心血管系にや強いんです。けれど、尿漏れは・・・(´;ω;`)ウゥゥでも、尿漏れの悩みから救出すべく、私も色々な文献を調べてみました。
尿漏れとは・・・
尿もれは、自分の意思に関係なく尿が漏れてしまう病気のことを言います。咳やくしゃみ、笑った時、運動した時などに尿が漏れてしまったり、またトイレに行くまでに我慢出来ず漏れてしまう場合も、尿漏れに分類されます。
とても一般的な病気で、成人女性の3~4人に1人が経験すると言われています。多くの女性は「年のせいだから」とか、「どこに相談してよいかわからない」などの理由で治療を諦めてしまっているようです。
尿漏れのタイプはふたつ
- 切迫性尿失禁:急にトイレに行きたくなって間に合わないという方は、この『切迫性尿失禁』が当てはまります。これはおしっこをためる袋である膀胱が過敏になり、過剰な働きをすることにより起こる尿もれです。そこで切迫性尿失禁の治療には、過剰な働きを抑える抗コリン薬というお薬を使います。お薬による治療は症状によって薬の種類や量を調整することが必要となりますので、専門の医師とよく相談することをお勧めします。また薬による治療では改善しない切迫性尿失禁もあります。今まではこのような尿もれを治療するのは難しかったのですが、今ではいくつかの専門的な治療が可能になっています。是非、ウロギネコロジーセンターにご相談ください。
- 腹圧性尿失禁:女性に最も多い、咳やくしゃみ、立ち上がったときに起こる尿もれ『腹圧性尿失禁』です。この腹圧性尿失禁は、出産や加齢などによる骨盤底筋の緩みにより起こります。残念ながら緩んだ骨盤底筋を強くするお薬はありませんので、腹圧性尿失禁に対してお薬はあまり効きません。治療としては、緩くなった骨盤底筋を強くする必要があります。
尿漏れは薬物療法よりも運動療法の方が改善効果がある
尿漏れに悩む女性にとって、薬物療法よりも行動療法の方が症状改善に有効なことが、米ニューメキシコ大学女性泌尿器科のPeter Jeppson氏らが実施した研究から明らかになりました。*1
今回んご紹介する研究はランダム化比較試験(RCA)を対象にしたメタ解析ですので、とても信頼でいるデータであると思います(対象者は妊娠・出産経験のない女性)。
この研究の結果、女性のほぼ半数は、生涯に一度は尿漏れを経験する。発症頻度は女性の方が高く、特に妊娠中や出産後、閉経後に発症することが多い。
また、全般的な尿失禁の軽減効果は、運動療法が薬物療法を上回ることが分かった。また、運動療法を受けた女性では、未治療の女性と比べて5倍以上の症状改善率を示すことも明らかになった。一方、薬物療法を受けた女性でも症状は改善したが、運動療法ほどの効果は認められず、未治療の女性と比べても改善率は2倍だった。
尿失禁が見られる女性には治療を促すべきだ。治療法の選択肢はたくさんありますが、そのほぼ全てについて言えるのは、何もしないよりは治療した方が良いということだと思います。
尿漏れを改善する方法
- 利尿作用のあるカフェインやアルコールなどの摂取を控える食習慣の是正
- 骨盤底筋を鍛えるトレーニングを行う。
- 減量によって膀胱にかかる圧力が軽減され尿失禁が改善することがある
尿漏れのタイプは、突然の尿意により我慢が出来ず漏れてしまう『切迫性尿失禁』と、咳やくしゃみをした時など腹圧がかかった時に生じる『腹圧性尿失禁』の二つがありますが、骨盤底筋を鍛えるトレーニングは、どちらのタイプにも効果はありますが、特に腹圧性尿失禁に有効です。
骨盤底筋を鍛えるトレーニングのご紹介
5分程度で気軽にできるので、皆さんもトライしてみてはいかがでしょうか?
<医師監修 >尿もれ対策に!骨盤底筋トレーニング【チャームナップ】(5分49秒)
ただ、やはりこの運動療法は、患者さん本人が主体的に関わる必要があり、決して簡単な方法ではないと思います。皆さんも経験ある事だと思いますが、三日坊主で終わってしまう事も少なくないと思います。
尿失禁の治療には、過活動膀胱の治療薬であるオキシブチニン、トルテロジンなどが使用されます。今回の研究からは、これらの薬物療法は、未治療の場合と比べれば尿失禁の改善に役立つが、切迫性尿失禁の軽減には運動療法の方が有効であることが示されました。また、行動変容や薬物療法が効かない場合には、膀胱をコントロールする神経に電気刺激を与えるニューロモデュレーションという治療法も、未治療の場合に比べて症状改善効果が約4倍に上ったという。
尿漏れの治療には幅広い選択肢があり、その多くは患者さんの身体に直接的な害を及ぼさない非侵襲的なものです。
女性の皆さん、尿失禁に苦しみ続ける必要はありません!!
まず、医師の適切な診断を受けてから、簡単な骨盤底筋を鍛えるトレーニングを試してみることをお勧めします!
早速、友達にも教えてあげよ~~~!(^^)!
*1:Annals of Internal Medicine」3月18日オンライン版
人生、笑ったもん勝ち!!
‟笑う門には福来る”「笑いが絶えない、明るい家庭には幸運がやってくる」という意味になります。怪訝な顔や苦言の表情よりも、笑っていた方が福はやってきますということわざですね。でもこの『笑い』、家庭の幸運だけでなく、人間の健康にとっても幸せを運んできてくれるかもしれません・・・。
精神的状況が死亡率を左右する!?
日本人の一般集団では、日常生活の中で笑う頻度が高いほど全死亡率や心血管疾患の発症率が低い可能性があることが、山形大学医学部看護学科教授の櫻田香氏らの検討で分かりました。心筋梗塞や脳卒中を減らし、早期死亡リスクを低減するためには、日常生活でもっと笑う機会を持つことが鍵となる可能性があるそうです。*1
これまでの研究で、ポジティブな心理的要因は長寿と関連するのに対し、抑うつや不安、心理的苦痛といったネガティブな要因は心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患の発症につながる可能性が示唆されています。
今回ご報告する研究は、心理的要因のうち「笑い」に着目。山形県の一般住民を対象に、毎日の生活の中で笑う頻度と死亡率および心血管疾患の発症率との関連について前向き研究を実施した。 対象は、山形県の一般住民を対象とした山形県コホート研究(Yamagata Study)に参加し、健康診断を受けた40歳以上の男女1万7,152人(男性40.8%)。参加者には、毎日どのくらい笑う機会があるかを尋ね、その頻度で3つの群「週1回以上」「週1回未満~月1回以上」「月1回未満」に分けて比較検討した。 中央値で5.4年の追跡期間中に、257人(1.5%)が死亡し、138人(0.8%)が心血管疾患を発症した。解析の結果、日ごろほとんど笑わない人では、全死亡率と心血管疾患の発症率が有意に高いことが分かった(log-rank P<0.01)。 また、年齢や性、高血圧、喫煙や飲酒の習慣で調整したCox比例ハザードモデル分析の結果、週1回以上笑う人と比べて、笑う頻度が月1回未満の人では死亡リスクが約2倍に高まることが分かった(ハザード比1.95、95%信頼区間1.16~3.09)。同様に、週1回以上笑う人と比べて、その頻度が週1回未満~月1回以上の人では心血管疾患の発症リスクは約1.6倍であった(同1.62、1.07~2.40)。
笑うと、寿命が長くなる!
- 日頃ほとんど笑わない人では、全死亡率や心血管疾患(心筋梗塞、狭心症、脳卒中) の発症率が有意に高い。
- 週一回以上笑う人と比べて、笑う頻度が月一回未満の人では、死亡リスクが訳2倍上昇する。
- 週一回以上笑う人と比べて、笑う頻度が週一回未満~月一回以上の人では、心血管リスクの発症リスクは、約1.6倍で上昇する。
今回の研究を検討してみたところ、特に男性や飲酒の習慣がある人、糖尿病患者、運動不足の人、配偶者がいない人で笑う頻度が低かったそうです。
今回の結果をふまえ、「日本人の一般集団では、“笑い”は全死亡や心血管疾患発症の独立したリスク因子である可能性が示された。心血管疾患を減らし、長寿を目指すには、日常生活でもっと笑う機会を持つ工夫が必要かもしれない」と述べています。
原著論文はこちら
Sakurada K, et al. J Epidemiol. 2019 Apr 6.
*1:Journal of Epidemiology4月6日オンライン版
「食品添加物」表示で心疾患や糖尿病が大幅減の可能性
この報告では、米国成人の添加糖分の摂取量は1日当たりの総カロリー摂取量の15%以上を占め、推奨レベルの10%未満を上回るとされている。FDAが改正した栄養成分表示では、「総炭水化物」の欄に食品そのものに含まれる糖分に加えて、加工の過程で添加される糖分を明示することとされました。新たな表示では、消費者に分かりやすいように、さまざまな糖類の添加糖分の合計グラム数と平均的な1日の総カロリー摂取量に占める比率が記載されています。
『添加糖分』表記で心疾患、糖尿病の予防につながる!
- 心疾患疾患の予防(今後20年間で35万4,400件の予防につながる)
- 2型糖尿病の予防(今後20年間で59万9,300件の予防につながる)
- 医療費の削減(米国では医療費が310億ドル(約3兆4000億円))
- 生産性やその他の社会的コストの削減(619億ドル(約6兆9000億円)の削減)
さらに食品に添加する砂糖の量を削減すると、どうなるか!?
先行研究では、栄養成分表示を見直すと、消費者が賢く食品を選ぶようになることが報告されている。例えば、トランス脂肪酸の成分表示が義務付けられた後には、トランス脂肪酸を多く含む食品の売り上げは減少し、食品業界も使用を控えるようになったといいます。
トランス脂肪酸とは
*1:Circulation4月15日オンライン版
朝食を抜くと、脳梗塞や心血管疾患の死亡率が高まる!!
皆さん、こんにちは(^^)ところで、今日の朝食は何でしたか?
パンですか? 牛丼定食? それともTMG(たまごかけごはん)ですか?
私はというと…食べてません。ここ10年ほど朝食は一切とっていないんです。
そんな、私と同じ朝食抜きの皆さん、「ちょっと、待ったーーーーーー!!」
もしかしたらこの食習慣、脳卒中や心臓病になる可能性があるかもしれませんよ!
朝食をとらないと、脳卒中や心血管疾患の死亡率が高まる!?
朝食を取る習慣が全くない人は、毎日取る人と比べて心血管疾患による死亡リスクが高い可能性があるということが、米アイオワ大学のWei Bao氏らの研究で明らかになりました。6,000人を超える健康な米国成人を約20年間追跡して分析したこの研究では、朝食を全く取らない人では、毎日取る人と比べて、特に脳卒中による死亡リスクが3倍以上に高まることが分かった。*1
米国ではこの50年間で朝食を取らない人が増えており、若年者の23.8%は朝食を食べないという調査結果も報告されているそうです。そこで、今回の研究を主導したBao氏らは、米国成人を長期にわたり追跡し、朝食を抜くことが健康にどのように影響を及ぼすかについて調査しました。
- この研究は、1988~1994年の米国国民健康栄養調査(NHANES)に参加した
40 ~75歳の成人6,550人(平均年齢53.2歳、男性が48%)を対象にしており、
17~23年間の長期間にわたって追跡しています。 - 参加者のうち、朝食を「全く」取らないのは5.1%、「ほとんど」取らないのは
10.9%、「毎日取る」のは59%と回答しました。
年齢や性、人種などで調整して解析した結果、朝食を全く取らない人では、毎日取る人と比べて全死亡リスクは19%高く、心筋梗塞や脳卒中などの心血管疾患により死亡するリスクは87%高いことが分かりました。
なぜ、朝食を抜くと死亡率が高くなるのか!?
- 朝食をとる習慣がある人は、そもそも生活習慣が整っている。
- 朝食を抜くと、空腹感が強まって昼食を食べすぎたり、間食したりすることで肥満につながる。
- 起床後から絶食状態が長く続くと、糖尿病の発症につながるインスリン感受性の低下、他のホルモンへの影響による血圧上昇のほか、コレステロール値が悪化する可能性が示されているという。
ということが考えられます。今回の研究の欠点は、“朝食を食べないから死亡率が高くなるのか?”、それとも、“心疾患疾患にならない人が朝食を食べているのか?” という、因果関係が証明されているものではないという点です。
朝食は健康な身体つくりにとって重要なファクター!
これまでの研究でも、朝食を食べないと肥満リスクが高まる可能性を示した報告は散見されています。
多くの人は減量のために朝食を抜こうとしますがこれは逆効果で、結果的に暴飲暴食につながることも多い可能性が高いと感じます。
例えば(私もそうですが…)昼食で「ご飯を抜いたから、お菓子食べても大丈夫だよね!」なんてタカをくくって、“スナック菓子やチョコレートを食べる” なんて行動、したことないですか?
そもそも、「こういう食習慣が問題である!」と警笛を鳴らしている研究結果であると感じます。
また、今回の研究責任者が言うには、朝食に何を食べるのかも重要で、「一食分に20gもの砂糖を含む菓子パンやシリアルは避け、全粒粉のシリアルや果物、ナッツ類、良質なたんぱく質を中心とした栄養価の高い朝食を取ることが大切だ」と助言しています。
皆さん、生活のちょっとした工夫で健康は手に入るのですよ!
明日からでも遅くありません。明日の朝食は、“玄米ご飯に納豆とわかめと豆腐入りのお味噌汁” なんてのも、いいんじゃないですか?
原著論文はこちら
Rong S, et al. J Am Coll Cardiol. 2019 Apr 22. [Epub ahead of print]
*1:Journal of the American College of Cardiology」4月22日オンライン版
一日一万歩も必要ない! 一日4400歩で長生きできる!!
読者の方の中にも、ウォーキングを習慣としている方も少なくないと思います。
ランニングと比べると、足腰に負担がかからず、有酸素運動を維持できる利点があります。ウォーキングの目安として、「一日一万歩」なんて話をよく聞きますが、、、これって、本当に科学的根拠があるのでしょうか?
米国のとある論文に、“歩行と健康の関連性” について書かれた論文を見つけましたので、ご紹介しますね!
高齢女性において一日4,400歩でも死亡率が少ないことが判明
結論から言いますと、‟高齢女性において、約4,400歩/日という少ない歩数でも約2,700歩/日に比べ、全死亡率が41%低いことが示された” というのです。
また、‟1日当たりの歩数の増加につれて全死亡率は減少するが、約7,500歩/日を超えると平坦化した。歩行強度については、1日の総歩数を考慮すると全死亡率低下との明らかな関連は認められなかった” という事なのです。*1
本研究は、米国のWomen's Health Studyにおいて、2011~15年に7日間、覚醒時間中に加速度計(歩数を計算する装置、万歩計のようなもの)を装着することに同意した1万8,289人の米国人女性が参加。1万7,708人が装着してデバイスを返却した(1万7,466デバイスからデータが正常にダウンロード)。そのうち、1日10時間以上、4日間以上装着していた1万6,741人のデータを用いて、1日当たり歩数および歩行強度の尺度(と全死亡率の関連を調べた。
-
研究対象となった女性の平均年齢は72.0歳。
-
平均歩数は一日 5,499歩
-
歩行強度別の割合は、1分間あたり0歩が51.4%、1~39歩が45.5%、40歩以上(意図的歩行)が3.1%であった。
-
解析結果では、一日あたりの平均歩数が増えるにつれて心拍数は減少したが、約
7,500歩/日以降は頭打ちとなった。 - 歩行強度に関して言えば、歩行強度が強いほど全死亡率は低下したが(一分間あたりの歩数が多い人)、1日当たりの歩数を調整後は全ての関連が減衰し、有意ではなくなった。
歩行強度とは
運動強度の指標として、心拍数や主観的運動強度(RPE)、代謝等量(METs)などが使用されています。しかし、これらの指標をウォーキングに代用するのは無理があります。そこで、歩行強度を測定するための方法として、“歩行率(一分間に歩ける歩数)” が指標とされています。
高齢女性において1日4,400歩ウォーキングできる人が健康なのか?
本研究結果をまとめると、「1日1万歩」を目標にしなくても、その半分の『1日4,400歩』で十分、死亡率が低下するという研究結果だったのですよね。
また、歩行強度と死亡率についても関連性は低く、友達やご主人さまとおしゃべりしながらのお散歩で十分、健康の恩恵が受けられるというありがたい報告です!
ただここで、注意しておきたいのは、
1日4,400歩、ウォーキングしたから死亡率が低いのか、あるいは、1日4,400歩ウォーキング出来るような体力のある高齢者だから(運動耐容能が高い)死亡率が低いのか、、、その因果関係は、はっきりしていません。
少なくとも、ウォーキングは健康のバロメーターになります。
例えば、「4,400歩も歩けないな・・・」と思われたら、運動耐容能が低く、体力がない可能性もあります。
また、「いつもは4,400歩 ウォーキング出来るのに、最近出来なくなった・・・」というのであれば、身体のどこかしこの調子が悪いのかもしれません。
少なくとも、毎日4,400歩ウォーキングをすることは、健康への近道であるのは間違いありません。
隙間時間にウォーキング♩♩♩は、いかがですか?
*1:JAMA Internal Medicine誌オンライン版2019年5月29日号