現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

歯磨きしないと、心血管疾患リスクが高くなる!!

 

ババンババンバンバン歯みがけよ!

ババンババンバンバン宿題やれよ!

ババンババンバンバン風邪ひくなよ!

ババンババンバンバンまた来週!

 

by 加藤茶

 

そうなんです!!

歯磨きは大事なんです!!!

 

 

お口の環境が悪いと、心血管疾患(狭心症心筋梗塞など)を発症するリスクが増える!

特に歯周病と全身疾患の関連が指摘され始めてから20年ほど経過しますが、テレビなどのメディアにも多く取り上げられ、現在ではその理解が一般にも広く浸透してきています。 

以前から、歯周病と関連する主な全身疾患としては、糖尿病、心血管疾患、早期低体重児出産、骨粗鬆症など様々な全身疾患が挙げられています。

 

 

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研究背景・内容

口腔内の衛生状態と心血管疾患に関する研究結果が、イギリスUniversity College London疫学・公衆衛生学科のCesar de Oliveira氏らによるScottish Health Surveyの研究チームより報告されました(BMJ誌2010年6月26日号:オンライン版2010年5月27日号)。

歯磨きの回数と心血管イベントのリスクの関連を以下のように評価しました。

研究グループは、自己申告による歯磨きの状況と心血管疾患との関連、および炎症マーカー(血液検査で得られるCRPの数値:C反応性蛋白)、凝固能(血液検査から得られる血液の塊やすさ:フィブリノゲン)との関連について検討した。

スコットランドに居住する一般家庭を対象としたScottish Health Surveyに登録された平均年齢50歳の1万1,869人について解析を行った。

口腔衛生状態は自己申告による歯磨きの回数で評価した。調査は病院の臨床記録とプロスペクティブに連動させ、Cox比例ハザードモデルを用いて口腔衛生状態に応じた心血管疾患イベントや死亡のリスクを推定した。口腔衛生と炎症、凝固との関連は4,830人において評価した。

 

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口腔衛生が劣悪だと心血管疾患イベントのリスクが1.7倍に!!

口腔衛生が悪い集団(歯を磨かない、又な磨くことは稀)では、心血管疾患イベントのリスクが有意に増大していた(口腔環境の良い集団と比べて心疾患リスクは1.7倍)。

また、口腔環境が悪い集団では、炎症マーカーであるCRPや、血栓の作られ易さを示す指標であるフィブリノゲンの濃度も上昇していた。

つまり、全身の炎症が蔓延しており、血栓が作られやすい環境にあるという事です。これは、心臓の冠動脈という血管や、脳血管が細くなる危険性にもつながります。

実際、循環器疾患患者、約1.000例を対象として歯周病検査を行ったところ、心筋梗塞狭心症、あるいは末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)を有する人では喪失歯数が多く、歯周病原最近に対する抗体の値が上昇していることが分かっています。

 

 

歯周病原細菌は血流に乗って全身を旅する

平成23年歯科疾患実態調査によると、国民の多数に歯周組織での症状が認められ、成人では約8割もの人が歯周病に罹患していると言われています。

歯周病患者では、一般的に歯周ポケットからの出血を容易に認めます。この出血は歯周ポケットに存在した潰瘍が破裂し、歯周病原性細菌が口腔内へ暴露したことを意味します。

つまり、この歯周病原性細菌が体内に侵入し、気管支、肺、その他臓器へと、血流に乗って全身へと巡っていくのです。歯周病の状態どは全身疾患の前駆症状と言えるのかもしれません。

 
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心血管疾患に罹らない様に、口腔内を清潔に保つように心掛けましょう!

 

歯周病と心血管疾患の関連は重要であるものの、因果関係はいまだ不明な点が多い。
しかし、歯周病患者では心血管病に罹りやすいことは分かっていることから、特に循環器疾患リスクを有する患者さんは、歯磨きの方法や口腔衛生の改善を目指したほうが良いと言われています。
歯科医院で定期的な口腔内チェックをして貰うのも、心血管疾患を防ぐ方法であると思います。
 

 

2型糖尿病患者にとって、最的な食事とは!?

 糖尿病の患者さんが、「何を食べたら、病気が進行せず、健康的な生活が過ごせるか!?」これは、栄養学の観点からも注目を集めている課題のひとつです。

 

糖尿病とは、その名の如く「尿中に糖が排泄される病気」ですが、血液中に過剰な糖が存在することで、血液中の糖の値(血糖値)が上昇します。高血糖を維持し続けると、全身の慢性的炎症により、引いては、糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経症を引き起こします。

最近の研究では、糖尿病患者さんは、そうでない患者さんと比較してガンの発症率(膵臓ガン、肝臓ガン、大腸ガン)が高く、また急性心筋梗塞の発症リスクも3倍高くなるといわれています。

さらに、維持透析を導入する患者さんの割合は、4割が糖尿病患者さんであると言われています。

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今回は、その中でも食事療法に焦点をあててお話していきたいと思います。

11月11日~13日に行われた、第22回日本病態栄養学会において、新潟大学大学院血液・内分泌・代謝内科教授の曽根博仁先生が、本邦における2型糖尿病を対象とした2件の調査を紹介し、そこから見えてきた2型糖尿病患者さんの食事内容の問題点と食事療法についてお話して下さいました。

 

肥満でなく代謝異常が心筋梗塞発症のリスク因子

この20年間で、日本人の肥満傾向は増大している(BMIが20年間で22.9⇒26.2に増加)。しかし、肥満は必ずしも糖尿病の予後を決定づけるものではないという事が分かりました。

あるビッグデータを用いた結果から、肥満と代謝異常の有無別に心筋梗塞発症リスクを検討した結果、肥満の有無で発症リスクに差はなかったが、代謝異常(高血圧、中性脂肪高値(高TG)、善玉コレステロール低値(低HDL))のある患者の方が、代謝異常のない患者に比べて有意に発症リスクが高かった。

*1

 

このことから、「糖尿病コントロールにおいて、肥満の有無よりむしろ高血圧や脂質異常症の有無に注意を払うべきなのであると考えられる。

 

研究背景・研究結果

いずれも日本人を対象とし、1996年に登録が行われたコホート研究であるJDCSの結果と、その約20年後に、糖尿病データマネジメント研究会(JDDM)が行った多施設共同の2型糖尿病患者を対象に実施された食事調査研究(以下、JDDM)の知見を中心に紹介した。JDCSは全国の糖尿病専門59施設の外来における2型糖尿病患者のコホート研究。一方のJDDMは全国の糖尿病専門クリニックにおけるコホート研究で、この2件は実施年代が異なるものの、栄養調査はほぼ同じフォーマットが用いられている。

 2件の患者背景を比較すると、平均年齢はJDCSが58.7歳、JDDMが61.9歳、HbA1cはJDCS(7.9%)に比べてJDDM(7.2%)で良好なコントロールが得られていたが、BMIはJDCSの22.9に比べてJDDMでは26.2と大幅に増加。この20年間にわが国でも肥満型の2型糖尿病患者が増加していることが示唆された。  

 しかし、肥満は必ずしも糖尿病の予後を決定付けるわけではない。同氏らがわが国の診療報酬請求と特定健診ビッグデータを用いて、耐糖能ごと(正常耐糖能群、境界型群、糖尿病群)に分けて肥満と代謝異常の有無別に心筋梗塞発症リスクを検討した結果、同じ耐糖能グループ内ではいずれも、肥満の有無別で発症リスクに差はなかったが、代謝異常(高血圧、高トリグリセライド血症、低HDL血症)の有無別で見ると、代謝異常がない患者群に比べて代謝異常がある患者群で発症リスクは有意に高かった。

 

 

食事療法と運動療法の両立

日本人の2型糖尿病患者が肥満になる要因として、

  1. 摂取エネルギー量が、成人男性:2000kcal、成人女性:1800kcalを上回る
  2. 身体活動が、成人男性:10MET/h、成人女性:8METs/hを下回る(1時間の普通速度の歩行は3METs/hに相当)

の二つが挙げられます。また、食事か運動のどちらか一方を頑張っても肥満を回避することは出来ず、運動・食事療法を継続的に維持していくことが大切である。また、早食いの自認は肥満を助長するとも考えられています。

 

炭水化物の摂取割合は全カロリーの45~65%がbetter

 よく議論される話題として、糖尿病の進行を防には糖質制限食が善か悪か?の問題がある。

あるメタ解析の結果でも、高炭水化物群(炭水化物58%/脂質24%)と低炭水化物群(炭水化物40%/脂質40%)では、血糖値には両群で大差がなかったという報告がある。*2

 また、炭水化物摂取割合(45~65%)と合併症発症リスクとの関連が前向きに検討され、炭水化物摂取割合は腎症、網膜症、大血管症の発症率に有意な影響を与えていなかった。

 

以上の結果から、炭水化物のエネルギー比について「現在の基準である50~60%からもう少し幅を広げて、45~65%程度にしてもよいかもしれない」としている。

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この20年で野菜や果物、魚介類の摂取量が減少

 この20年間で、カロリー摂取量に大きな差はなかったが、食事内容については、大きな変化があったそうです。それは野菜や肉、魚介類の摂取量である。20年前は年齢にかかわらず肉の摂取量は少なく野菜、魚介類の摂取量が多かったが、最近になり、肉の摂取量が増えた一方、野菜や魚介類の摂取量は大きく減少しており、特に60歳未満ではその傾向が顕著であるそうです。

野菜や果物の摂取量が少なく、肉が多い食生活を送っているとどうなるのか?
  • 野菜や果物の摂取量が多いと、脳卒中のリスクは65%低下する
  • 野菜や果物の摂取量が多いと、網膜症発症リスクが低下
  • 肉の摂取量が多いと(20g以上/日)、冠動脈疾患の発症リスクが3倍上昇
  • 塩分の摂取量が多いと、心血管リスクが上昇

研究結果

JDCSでは、食物摂取量と合併症との関連を調査している。野菜や果物の摂取量で四分位に分け脳卒中発症リスクを調査した結果、野菜や果物を最も多く摂取していた群では、最も摂取していなかった群に比べてリスクは65%も低下していた。また、果物摂取量で四分位別に網膜症発症リスクを調査したところ、発症率は最も多く摂取していた群で最も低かった。さらに、肉の摂取量が1日20g以上の患者群では、20g未満の群と比べて冠動脈疾患の発症リスクが3倍に上ることが示され、食塩摂取量が多いと心血管疾患リスクも上昇した。

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2糖尿病患者さんにとっての最適な食事療法とは!?

  1. 目標BMIは死亡率や大血管症リスクから判断しても、5~25.0の比較的広い範囲内で個別に設定する
  2. カロリー摂取量も、画一的な計算式で決定するより、現在の食事摂取や血糖コントロールの状況と目標BMIを参考に医療スタッフと柔軟に個別化してもよい。
  3. 肥満予防については、身体活動量や早食いなどの食習慣にも留意た必要。
  4. 炭水化物のカロリー比については、合併症リスクを考えても、現代の患者の平均的な食事範囲内(45%~65%)であれば、現在のガイドライン推奨(50~60%)より、もう少し幅を広げても良いかもしれない。
  5. 糖尿病の合併症の予防を目的に、野菜・果物、食物繊維の摂取量を増やし、肉類や塩分の摂取は抑えたほうが良い。

食事療法に関して言えば、糖尿患者さん全てにおいて、画一的な食事療法はいと思う。血糖コントロールの状態(食後血糖値、HbA1cなどの血液データ)を観察しながら医療スタッフの指導のもと、患者さんは実践する必要がある。

また、患者さんの身体状態に合わせた運動療法も組み合わせると、さらに良好な血糖コントロールが行えるかもしれない。

短絡的に、肥満であるか否かという見た目の問題ではなく、血圧、代謝異常の有無(中性脂肪値、善玉コレステロール値、悪玉コレステロール値)などの血液データも観察しながら、各々の患者さんにあった生活習慣改善へ向けた試みが必要であると思う。

*1: Diabetes Metab 2017; 43: 543-546

*2:Diabetes Care 2009; 32: 959-965

地中海式食事法が女性の心疾患、脳卒中のリスクを低減させる!?

皆さん、こんにちは(^^)

今回は女性の病気に焦点を当てたお話をしたいと思います。

 

50代から急増する心筋梗塞脳卒中

女性の場合、40~50代で女性ホルモンが急激に減少し、閉経を過ぎた、いわゆる更年期頃から、生命に関わる重大な病気を発症しやすくなります。

特に、更年期を過ぎたあたりから、女性の死亡原因として、心筋梗塞脳卒中が、第一位、第二位を占めるようになります。

原因は、閉経による女性ホルモン・エストロゲンの減少です。

エストロゲンにはさまざまな働きがあり、動脈硬化を予防する善玉コレステロールを増やし、動脈硬化を促進する悪玉コレステロールの増加を抑えることもそのひとつです。

閉経によりエストロゲンが産生されなくなることで、血液中の善玉コレステロールが減少し、悪玉コレステロール中性脂肪が急上昇し、動脈硬化が進んだり、脂質異常症を発症したりします。

さらにエストロゲンは、血管の柔軟性を維持する働きも持っていますが、それがなくなるために血管が脆くなり虚血性心疾患や脳血管疾患を起こしやすくなるのです。

 

そういえば、女優の天海祐希さんが心筋梗塞を発症されたのも、ちょうど45歳の頃だったようです…。

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今回、更年期の女性にとって、大変朗報となる論文を見つけたので、ご報告しますね!

 

果物や野菜、魚、オリーブ油、ナッツ、全粒穀物などが豊富な地中海食が女性の心疾患予防に有用とする新たな報告が、「JAMA Network Open」12月7日オンライン版に掲載されました。

この報告によると、地中海食に近い食事を取り続けた女性では、そうでない女性に比べて心疾患リスクが25%低く、こうした地中海食の心疾患予防効果には、炎症や糖代謝、肥満度といった従来の心血管リスク因子が影響していることも明らかになったそうです。

 

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地中海式食事法とは?

医学会等で以前より注目を集めているのが「地中海式食事法」です。地中海沿岸地域の食生活のことで、その食べ物や食べ方に特徴があります。

下図は「ギリシャの食品ピラミッド(Greek food pyramid)」と呼ばれるもので、ギリシャの食事ガイドラインの根幹となっています。「地中海式食事法」では、このピラミッドの下から上に上がるにつれて、摂る頻度を減らしていくのです。

 

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         日清製粉の記事より抜粋

 
地中海式食事法フードピラミッド

上に行くほど量を減らしていく。下から毎日食べるべきもの(全粒穀物・野菜・果物・オリーブオイル・乳製品)、週単位で食べるべきもの(魚、鶏肉、オリーブ・ナッツ・豆類、じゃがいも、卵、お菓子)、月単位で食べるべきもの(豚肉や牛肉)。

 

食べる頻度 食品
月に数回 牛肉や豚肉、お菓子やケーキなどのデザート
週に数回 鶏肉、卵、チーズ、ヨーグルト
毎週少なくとも2回 魚、シーフード
毎日の毎回の食事 野菜、果物、全粒粉、オリーブオイル、豆、ナッツ類、マメ科植物および種子、ハーブやスパイス
毎日 運動、誰かと一緒に食事をする
適度に飲む ワイン
毎日飲む
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たくさん食べるべきもの

「地中海式食事法」で毎日たくさん摂るべきものは、フードピラミッドの下部に示されている、全粒穀物・野菜・果物・オリーブオイル・乳製品です。

全粒穀物は、精白などの処理を行わず、糠となる種皮や胚といった部位を除去していない穀物であり、その製品としては、具体的には玄米、全麦パン、オートミールなどが挙げられます。次に多く摂取するべきものは野菜と果物です。

そして何より特徴的なのは、オリーブオイルをたくさん摂取することです。その量は1日当たり大さじ1~2杯(15~30ml)が理想的です。

オイルと聞くと脂肪が多いと思いがちですが、オリーブオイルは不飽和脂肪酸をたくさん含み、血中の中性脂肪コレステロール値を下げる役割を果たしています。オリーブオイルは、地中海式食事法の効果を実現する中心的な働きをしていると考えられていて、これにより動脈硬化の進展予防や高血圧、心疾患、脳梗塞のリスクを減らすことができるとされているのです。

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食べる量の調整が必要なもの

逆に、食べる量の調整が必要なものはタンパク質です。タンパク質として一番摂取が推奨されているものはチーズやヨーグルトといった乳製品であり、これから順に

魚→鳥→オリーブやナッツ類→卵→赤肉 の順に推奨摂取量が少なくなります。

注意するべき点は、ジャガイモはこの図では野菜に分類されず、たくさん摂ることは推奨されていないこと。また、塩分は極力控え、ハーブなどで代替するように心掛けると良いでしょう。

 WHOの健康度調整平均寿命報告(健康度調整平均寿命:一般的に健康寿命とも言われる。病気や怪我により日常生活に支障を来す期間を平均寿命から除き、健康的な生活をどれくらい出来るかということの推計値)を見てみると、上位10カ国の内4か国(イタリア、スペイン、フランス、イスラエル)の地中海沿岸国が上位にランクインしています。


 研究方法と結果

米ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のShafqat Ahmad氏らは、米国のWomen's Health Study(WHS)に参加した健康な女性2万5,994人(平均年齢54.7歳)を対象に、地中海食の遵守度で3つのグループに分けて、最長で12年間追跡した。

 その結果、地中海食の遵守度が最も低い群に比べ、遵守度が中程度だった群では心疾患リスクが23%低く、遵守度が最も高い群では28%低いことが分かった。また、地中海食の遵守度が中程度の群と最も高い群を合わせると、最も低い群に比べて心疾患リスクは25%低かった。

 

この食事法の優位性に、地中海沿岸地域に住む人たちの人種による個体差が影響しているのではないかと考えた研究者たちは、非ヨーロッパに住む人たちを「地中海式食事法を実践するグループ」と「いつもの食事を行うグループ」に分けて比較しました。米国で行われた研究結果によると、地中海式食事法をしたグループでは2年間安定して収縮期血圧が平均6.4mmHg下がり、体重が1年間で平均3.1kg減少したという結果が報告されています。これらの研究から現在のところ、地中海式食事は個体差による効果の違いはないと考えられているのです。

 

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地中海食が何故いいのか!?


 地中海食に近い食事を取り続けた女性にみられた心疾患リスクの低減度は、コレステロール値を低下させるお薬の一種である、スタチンや他の心疾患予防薬を服用した場合と同程度だとしているのです。これは、本当に衝撃的な事実です! 

 高脂血症のお薬(コレステロール値を下げる作用)と言えば、クレストール、リバロ、リピトールなど。これらのお薬を飲んでいらっしゃる読者の方もいらっしゃると思います。つまり、このお薬と地中海食の効果が同等である可能性がある。という事なのです。



 地中海食による心疾患リスクの低減効果は、これまでにも報告されていますが、その理由は明らかになっていませんでした。この研究グループは今回、その理由についても検討しています。すなわち、地中海食摂取による、炎症の低減、糖代謝及びインスリン抵抗性の改善、肥満度の減少、血圧・コレステロール値の変化などにも関連していると述べています。

 

 以上の結果から、『炎症や糖代謝インスリン抵抗性のほか、血圧と脂質といった従来の心血管リスク因子が、長期にわたる地中海食による心血管疾患の予防効果と関与していることが分かった』ということが考えられます。

その上で、研究グループは「この結果は、公衆衛生分野に強力なインパクトを与えるもので、いずれは心血管疾患の一次予防に重要な結果をもたらす可能性がある」と付け加えています。

 また、地中海食には女性の脳卒中乳がんのリスクを低減させる可能性も示唆されており、この地中海食が女性の病気を撃退してくれる最高の食事療法かもしれませんね!

 

 

【参考文献】
・WHO. Statistical Information System (WHOSIS), 2002.
・Keys A et al. Harvard University Press (1980)
・Market report to April 30, 2013, from Spanish Olive Oil Agency
・Keyserling et al. BMC Public Health (2016)
・Djuric Z et al. Nutr Rev. (2011)
・Jacka et al. BMC Medicine (2017)
・Food and Agriculture Organization of the United States

・Katherine E. Paterson, et al. Stroke. 2018 Sep 20. 

本当に健康的な食事法が分かった!!

皆さん、こんにちは(^^)

先日のブログで、減量効果において、低糖質食と低脂肪食はドロー!という結果をご報告しました。

じゃあ、どんな食事法が健康的で、ダイエットに効果があるの??って思いますよね?

今回は、健康になる食事法について、科学的根拠を基にして解説していこうと思います。

 

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健康のカギ、それはDASH食にあり!!

U.S.ニューズ・アンド・ワールドリポート誌(U.S. News & World Report)は恒例の2018年食事ランキングを発表し、昨年第2位の「地中海食」と第1位の「DASH食(高血圧予防のための食事療法アプローチ)」がともに総合第1位にランク付けされました。なお、DASH食は8年連続で総合第1位を獲得しました。

 同誌の編集局次長を務めるAngela Haupt氏は、地中海食について「おいしく、実用的かつ栄養に富んでおり、心疾患や糖尿病などの慢性疾患の予防や管理にも有用性が高いことが研究で示されている」とコメントしているそうです。

 


糖質制限食は最下位にランキング!
 

 一方で、ランキングでは厳しい制限を必要とする食事療法は避けるべきとされ、最近話題の極端な糖質制限ダイエット(ケトン体ダイエット;Keto Diet)は最下位に位置づけられています。Haupt氏は「専門家によれば、炭水化物の摂取を極端に制限する必要はなく、厳しい制限は長続きしないと評価された」と述べています。

 このランキングは、米国でもトップクラスの栄養士や食生活コンサルタント、糖尿病・心臓病・減量の専門医などで構成される専門家パネルが、減量効果や心疾患、糖尿病に対する有効性などの9つのカテゴリー別に40種類を超える食事療法の定着度や有用性などをランク付けしたもので、とても根拠のあるランキングなのです。

 

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DASH食とは

DASHとは、Dietary Approaches to Stop Hypertensionの頭文字からとられているように、元々は「高血圧」対策のための食事療法です。DASH食の中身は、果物、野菜、ナッツ・豆類、低脂肪乳製品、全粒穀類を多く摂取し、塩分、砂糖などで甘くした飲料、赤身や加工肉の摂取を抑えた食事で、とくにレシピの指定はなく、食材を選択することが勧められています。

 

DASH食、具体的な食品とは?

DASH食のコンセプトは、カルシウム、食物繊維、タンパク質、マグネシウムカリウムを中心に積極的に摂取するという考えです。

積極的にとりたい食品の筆頭は野菜。特に、小松菜やホウレンソウ、ブロッコリーなどの緑黄色野菜からは、ミネラルと食物繊維が同時にとれます。またワカメなどの海藻類はミネラルや食物繊維が豊富です。

果物はキウイフルーツやリンゴ、ナシ、カキなどがおすすめ。一方、バナナは食べやすいですく、カリウムが豊富ですが、繊維が少なくショ糖が多いため、血糖値が上がりやすいといったデメリットがあります。

アーモンドなどの種実類には、マグネシウムが多く含まれています。マグネシウムはカルシウムと作用して血圧を整える働きを持します。市販されているミックスナッツ、特に塩分や砂糖の含まれていないものがおススメです。

低脂肪の乳製品では特に、カルシウムやたんぱく質を多く含むギリシャヨーグルトがおススメですね!

 

DASH食の効用

  1. 高血圧予防:血圧(収縮期・拡張期血圧)を下げる。*1

  2. 痛風予防:高尿酸血症患者の尿酸値を低下。*2

  3. 糖尿病対策:Hba1cのを低下させる(1~2か月間における血糖値の変動を抑制)。*3

  4. 妊娠糖尿病患者の出産に有益:妊娠糖尿病を併発した女性の帝王切開のリスクや低体重児出産のリスクを軽減させた。*4

  5. 心血管疾患を減少:心筋梗塞脳梗塞などのリスクを低下させた。

 

 

米国・マサチューセッツ総合病院のSharan K. Rai氏らは、2017年5月9日号のBMJ誌に掲載した論文で、DASHダイエットが、高血圧のみならず、痛風高尿酸血症の抑制にも効果があることを報告しています。健康な生活を送る秘訣は、食生活にあった。という事ですね!

 

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何故、DASH食がこんなにも推奨されるのか!?

DASH食は糖質制限ダイエットとは異なり、デンプンの排除は重要視していません。糖質制限で何が問題であるかというと、長期的に糖質を摂らない生活を持続できないという点です。ダイエットで重要なのは、その食生活が持続可能であるかどうか、という点です。

DASH食で制限されるのは、加工食品、過剰な脂質・砂糖・ナトリウムの摂取だけ。率直に言うと、加工食品をやめれば、脂肪・砂糖・ナトリウムの問題は解決したようなもの。

BMJジャーナルに掲載された文献によれば、平均的なアメリカ人が1日で摂取するカロリーの58%と、添加糖の90%は超加工食品から来るもの。そして、ナトリウム (米疾病対策センターいわく推奨摂取量の1.5倍) の75%は加工食品から来るものであることをハーバード大学の研究グループが明らかにしています。

 

皆さんが思っているように、特別な食事制限をするのでなく、加工食品の摂取や、ポテトチップ、ファーストフードなどを控えるだけでも、健康的な肉体への改造に近づく一歩なのかもしれませんね!

 

 

 

 

論争に決着か!?低脂肪vs.低炭水化物ダイエット、体重減量効果は・・・

皆さん、こんにちは。

ついに、低脂肪ダイエットvs.低炭水化物ダイエットどちらの食事療法に減量効果があるのか!?この議論に決着がついたようです。

 

「デブの原因は脂肪だ~!」とか、「いやいや、糖質が本当の悪なんだー!」なんて論争が日々続いていますが・・・。実際、日本や海外の医学会でも両者のどちらを推奨しているかは、その道の専門家でも各々見解が異なっているんです。

 

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 低脂肪グループvs.低糖質食グループ

 この研究は、米国のスタンフォード大学などの研究チームによるもので、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、12か月間実施。2018年2月20日号のJAMA誌(米国医師会雑誌)に掲載発表されました。

  • 平均BMI値28~33のやや肥満傾向の男女(女性57%)
  • 非糖尿病の18~50歳、609例を対象
  • 無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を実施

 

被験者を2群に分けて、

  1. 低脂肪グループ:最初の2カ月は脂肪は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日42gまでにする。
  2. 低糖質グループ:最初の2カ月は糖質は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日96.6gまでにする。

 

さらに、共通する指示として、

  • 1日の摂取カロリーに制限はなし(気にしなくてOK)
  • タンパク質の量はどちらのグループとも1日90gぐらい
  • できるだけ加工食品を減らして野菜を増やす(小麦や砂糖、トランス脂肪酸の量はできるだけ減らす)

 

 

参加者の遺伝子型やインスリン感受性に関しても調査

この研究が興味深いのは、食事制限の指導のみでなく、個々の遺伝子型も調べて調査を行った所です。

  • 生まれつき糖質の代謝が苦手な人(=糖質制限が効きやすいと推測される)
  • 生まれつき脂質の代謝が苦手な人(=低脂肪が効きやすいと推測される)

生まれ持った体質によって、ダイエットの効果に違いが出るのか?という問題です。

 

 

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低脂肪食と低糖質食、どちらに軍配があがるのか!?

この結果、遺伝子体型やインスリン感受性を考慮にいれても、低脂肪食と低糖質食の減量効果同程度。結果、引き分けということです。

  • 1年間の期間の終了時に、低糖質食を続けた人は、平均して1日に132グラムの炭水化物を摂取しており、試験前の247グラムの半分近くまで減らした。

  • 同様に、低脂肪食を続けた人は、平均して1日に57グラムの脂肪を摂取していた。試験が始まる前には平均87グラムを摂取しており、3分の1を減らした。

  • 試験開始から1年後には、低糖質ダイエット群では平均で6.0キログラム、低脂肪ダイエット群では5.3キログラム減量し、減量効果は両群間で同程度であることが分かった。

  • 安静時の血圧とインスリンの改善も両群間に差はなし。

  • 悪玉コレステロールの減少は低脂肪食が優勢(ただし僅かな差)

  • 善玉コレステロールの増加は低糖質食が優勢(ただし僅かな差)

  • 8件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。

 

実は、研究チームは参加者に、どちらの食事スタイルに振り分けられたにせよ、

「新鮮な野菜を食べる」

「精製された加工食品をなるべく控える」

「極端に空腹になるのを避ける」

「食後に運動をし、血糖値が上昇するのを防ぐ」

など、一般的な食事のアドバイスをしています。

 

とくに注意したのは、特定の食事スタイルを長期間続けられるよう調整することで、「今回の研究が終わっても、自分の選んだ健康的な食事スタイルを、ずっと続けられるようになることを目指した」といいます。

 

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〇〇制限食とかでなく、摂取しているカロリーの質が重要

低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットのどちらも、無条件に健康に良いわけではありません。たとえば、炭酸飲料や清涼飲料水などは低脂肪ですが健康的ではなく、ラードは低糖質ですが、アボカドの方がより健康的です。

 体重を減らすために基本となることは、食事で必要な栄養素を十分に摂り、カロリー摂取量が消費カロリーを上回らないようにコントロールすること。in outのバランスが重要です。

 体重を効果的に減らすことを目指しているという点で、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットは戦略は似ています。極端にストイックな食事制限は長続きしましん。

 ダイエットや健康に求められているのは、食べることを我慢することではなく、もっと効率のよい食べ方に変えていく方法を探ることです。

 

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体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致は得られてません。しかし、総エネルギー摂取量は各群ともに平均で2,200kcalから1,700kcalまで減少させることができており、低脂肪食であっても低炭水化物食であっても、食品の組成や遺伝因子、インスリン分泌能に関係なく減量が可能であるというこの試験の結果は、痩せることに最も重要なのは、エネルギーの総摂取量を減らすことであるというきわめてシンプルなことを科学的に示しています。

さらに重要なことは、カロリーの質の高い食事を取ること。同じ500kcalでもポテトチップスを食べるのか、焼き魚定食を食べるのかでは、まったく栄養素が異なるのは明白です。

 

次回は、ダイエットや健康にも関連した食事療法であるDASH食についてお話ししようと思っています。このDASH食は高血圧予防のための食事療法アプローチなのですが、実は高血圧予防効果だけでなく、糖尿病予防効果、高尿酸血症予防効果、体重減少効果など、非常に有益な食事療法であり、U.S.ニューズ・アンド・ワールドリポート誌(U.S. News & World Report)の2018年食事ランキングでは、「DASH食(高血圧予防のための食事療法アプローチ)」が総合第1位にランク付けされているのです。非常に興味深いですよね!!

次回は、このDASH食についての記事でお会いしましょう~!(^^)!

 

原著論文はこちら

 

 

 

 

本当は怖い胸やけの正体・・・

みなさん、こんにちは!

年末年始の暴飲暴食によって、胃腸を壊している読者の方も多いのではないかと思います。

実は私の友達も、年始の暴食(激辛料理の怒涛食い)がたたって、数日間体調を壊していました(^^;)

飲みすぎ、食べすぎ、、、その後に引き続く悪夢のような不快感。皆さんも経験したことありませんか?

 

今回はその胃腸の不快感、胸やけに焦点をあてて科学的根拠を基にお話していこと思います。

 

 

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胸やけの正体って・・・?

胸やけなどの不快感を引き起こす病気は、医学的な用語で『胃食道逆流症』と言います。胃と食道の境界部がいろいろな原因でゆるみ、胃酸などの胃の内容物が食道内へ逆流して、食道に傷をつけたりします。胃を切除した人や高齢者に多くみられますが、肥満や妊娠によって胃酸の逆流が起こることもあります。

胃食道逆流症には、食道に傷がみつかる『逆流性食道炎』と傷がみつからない『非びらん性胃食道逆流症』があります。

 

胃食道逆流症の特徴的な症状は胸やけ

逆流性食道炎では、胃酸が食道まで逆流することで胸やけが認められます。さらに胃酸が口まで逆流すると、口のなかが酸っぱく感じられる呑酸(どんさん)の症状が現れます。その他には以下のような症状があります。

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・げっぷが多くなる

胃もたれ

・食欲不振

・胸痛(胸のつかえ感)

・喉の違和感、つかえ感

・声のかすれ

・慢性の咳

・喘息症状

睡眠障害

・耳の痛み、中耳炎

・虫歯

 

食道炎と言うのだから、症状は腹部に生じると思いきや、、、胸が苦しくなったり、喉がつかえたような感じ、さらには歯茎痛、耳痛など体の上部に様々な症状が現れるます。

 

日常生活において気を付けることは?

 

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昼寝が胃食道逆流症の症状を悪化させる!?

朝起きたとき、胸やけ症状があったり、酸っぱい感じを覚えるのは、夜間寝ている間に胃酸が逆流することが原因だからです。

じゃあ、昼寝はどうなの?と思う方も多いと思いますが、、、

実は昼寝はNGだ!!という事実が、アリゾナ大学の研究結果から分かりました。

 

pmc.carenet.com

 

逆流性食道炎患者において、夜間の睡眠と昼寝はどう違うのかということを調べたのがきっかけのようです。この結果から、逆流性食道炎の患者さんは昼寝中のほうが夜間睡眠中よりも逆流症状を感じやすい可能性があります。とりあえずは、逆流性食道炎の患者さんは、あまり昼寝を定期的に取らないほうが良いかもしれませんね。 

 

コーヒーの摂取量と消化器疾患に関連性はない!! 

「胃に悪いからコーヒーを飲むのは控えている!」という方には朗報です!!

一般的なガイドラインでは、上の表(胃食道逆流症の人の食事・日常生活における注意点)に示すように、逆流性食道炎の患者さんにはコーヒーは控えるように・・・という指導をされている事が多いようです。

しかし、コーヒー摂取と4大上部消化管疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症)との間に有意な関連は認められないことが、亀田メディカルセンター幕張 消化器内科の島本 武嗣氏らによる横断的研究で明らかになりました(PLoS One誌オンライン版2013年6月12日号の報告)。

 コーヒーに含有されるカフェインは、胃酸の分泌を促す性質があります。そのため、十分な疫学的根拠がないにもかかわらず、さまざまな上部消化管疾患と関連があると考えられてきました。本研究では、4大上部消化管疾患である胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症とコーヒー消費量の関連について、大規模な多変量解析に基づいた研究が報告されました。

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この研究結果から以下のようなことが分かりました。

  1. 単変量解析の結果、日頃コーヒーを飲んでいる群と飲んでいない群で有意差を認めた因子は、年齢、BMIペプシノーゲンI/II比、喫煙、飲酒であった。

  2. 多重ロジスティック回帰分析の結果、各疾患と有意な正の相関を認めた因子は以下のとおりです。 
    胃潰瘍ヘリコバクターピロリ感染、現在の喫煙、BMI高値、ペプシノーゲンI/II比高値
    ● 十二指腸潰瘍:ヘリコバクターピロリ感染、現在の喫煙、ペプシノーゲンI/II比高値
    逆流性食道炎ヘリコバクターピロリ非感染、男性、現在(または過去)の喫煙、BMI高値、ペプシノーゲンI/II比高値、加齢、飲酒
    ● 非びらん性胃食道逆流症:若年齢、女性、現在(または過去)の喫煙、BMI高値

  3. メタ解析の結果、胃潰瘍と十二指腸潰瘍のいずれにおいても、コーヒー摂取とのいかなる関連を認めなかった。

              

以上の結果より、コーヒーの摂取と4大上部消化管疾患の間には有意な関連は認められないことが明らかになりました。一方で、喫煙はいずれの疾患にも有意な関連が認められるわけです。まず、胃腸を健康に保とうと思ったら禁煙が近道かもしれませんね。

 

原著論文はこちら。

http://Shimamoto T,et al.PLoS One. 2013 Jun 12;8(6):e65996.

 

まとめ

胸やけ。多くの人は経験したことのある症状・・・。胃食道逆流症が原因であることも多いですが、以前は欧米と比べると日本人には少ないと言われていました。しかし食習慣の欧米化によって、最近では本邦でも疾病する患者さんが多いというのが事実だそうです。

医師から、胃食道逆流症の診断を受けた場合、食事や生活の指導を受けることが多いのですが、日常生活の改善と並行して行うのが、胃酸分泌を協力に抑えるお薬での治療です。8週間でほとんどの患者さんの症状が改善し、食道の傷を治すことができます。注意すべきは、食道の傷が治っても胃と食道の境界部のしまりが緩んだままだと、薬をやめれ逆流がおこり、再発するという事です。症状が改善したと感じても、食道の炎症がおさまるまで1~2か月は服用を続けることを勧めている先生が多いようです。

消化器疾患を発症しないようにするには、生活習慣を見直すことが重要です。その中で最も効果的なのは禁煙です!!これは、亀田メディカルセンター幕張 消化器内科の島本先生の研究結果でも明らかです。また、満腹になるまで食べるより、腹八分で抑えることも大切です。

さらに興味深いのは、胃がん胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症にはヘリコバクターピロリは関連性がありますが、逆流性食道炎ヘリコバクターピロリ未感染の方が発症しやすいという事です。

一方で、身体で感じる胃腸の不快感は、重篤な疾患が隠れている場合もあります。ただの胸やけ・・・と放置しておくと大変な事態を引き起こすこともあります。胃部不快感が長引くようでしたら、病院での診察を受けてみましょう! 特に40代以上の方は、男女問わず内視鏡検査を受けるのもおススメですよ!!

 

それでは皆さん、飲みすぎ食べすぎには注意しましょうね♩

またお会いしましょう~(^^)

 

本当は怖いクリスマス…。 ~心筋梗塞はクリスマス・イヴにやってくる~

皆なさま、こんにちは!!

そろそろ、メリークリスマス☆彡

 

 

今年のクリスマスは新型コロナの影響もあり、大勢で集まったり、外食するのが中々難しい状況ではありますよね…?

ご自宅でゆっくりとクリスマスを過ごされる方も多いと思います。

しかし!!!
そんな楽しいはずのクリスマス、、、実はとんでもないプレゼントが飛んでくるかもしれません。。。

 

https://news.arukikata.co.jp/file_img/15121908175611376.7.jpg

 

クリスマス・イヴに心筋梗塞の発症が上昇

クリスマスの素敵なひとときに釘を刺すような衝撃の記事を見つけましたので、ご報告致します。

実は、月曜日と冬休み中(クリスマスおよび年末年始の休暇中)は、他の曜日や季節に比べて心筋梗塞の発症率が高いことが示されたのです。

しかも、イヴの12月24日はその前後2週間と比べて、発作リスクが37%増加。クリスマス(29%増)や元日(21%増)も、『危険な日』であったというデータが発表されました。

 

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科学的根拠に基づくデータ①

スウェーデンで1998-2013年に報告された急性心筋梗塞28万3014例のデータを基に、祝祭日と心筋梗塞発症リスクの関連を後ろ向き観察研究で検討しました。 

その結果、クリスマスおよびミッドサマー(夏至祭)休暇が心筋梗塞発症リスク上昇と関連し(発症率比1.15、95%CI 1.12-1.19、P<0.001および同1.12、1.07-1.18、P<0.001)、クリスマスイブの発症リスクが最も高かった(同1.37、1.29-1.46、P<0.001)。FIFAワールドカップなどのスポーツイベントやイースター休暇のリスク上昇は見られませんでした。75歳以上、糖尿病、冠動脈疾患既往でのリスク上昇が顕著であったという事です。

 

www.bmj.com

 

科学的根拠に基づくデータ②

もう一つはこの論文。

2006~2013年のスウェーデンの心疾患患者の登録データを用いて同期間に登録された15万6,690件の心筋梗塞のデータを分析。その結果、気温や大気汚染などの因子で調整後も、月曜日と冬休み中(クリスマスおよび年末年始の休暇中)は、他の曜日や季節に比べて心筋梗塞の発症率が高いことが示された。一方、週末や夏休み中は他の曜日や季節と比べて発症率が低いことも分かったそうです。

 

www.ahjonline.com

 

これまでも、複数の研究でストレスが心筋梗塞リスクを高めることは示されています。たとえば、地震などの自然災害や、サッカーワールドカップといった大きなスポーツイベントが心筋梗塞の発症を誘発する可能性を示した論文が散見されます。

 

冬休みは、クリスマスやお正月などのイベントの準備で忙しくなること、また月曜日は週の仕事始めの曜日であり、いずれもストレスを感じやすいタイミングであると考えられます。今回考慮されなかった要因が心筋梗塞リスクに影響を及ぼしている可能性がありますが、ストレスはかなり強い危険因子であると考えられます。

ただし、今回提示した2つの研究は観察研究であるため、因果関係を証明するものではなく、心筋梗塞の発症と特定の時期との関連性を示したものです。

 

もし、休日と仕事始めの曜日を変えて、休日を月・火曜日、仕事始めの曜日を水曜に変更した場合、、、心筋梗塞の発症率が高まる曜日は水曜に変わるかもしれませんね・・・(笑)。

 

https://spice.eplus.jp/images/FYeNGmgj7CPnePoGZy1oWu5Ztf9wAuxT3rk3P1vmVbb7WA1bnqHCnFcV6iLgmLMR/

 

まとめ

今回の研究は、『心筋梗塞の発症リスクは、クリスマスイヴ、クリスマス、お正月に上昇する』という研究結果を示しています。これは、イベントが重なることで、心身の疲労、ストレスが高まる事が原因によるものと考えられます。今年は新型コロナの影響でイベントも少ないので、例年の様な身体への疲労はないかもしれません。
でも、急上昇する新規感染者の報道や、ウィルスの影響で新しい生活様式へと変化したことから、精神的ストレスが過多になっている方もいらっしゃるはずです。

『ストレスは万病の元』と言います。お金は貯めても、ストレスは貯めないライフスタイルが重要ですが、中々そうはいかないのが現実。でも皆さん、時にはリラックスして下さいね!

好きな映画を見たり、好きな本を読んだりして、趣味に時間を使うことも大切です。おうち時間を有意義にお過ごしください。

みなさま、素敵な休日を・・・。

 

それでは皆さん、メリークリスマス☆彡