本当は怖い胸やけの正体・・・
みなさん、こんにちは!
年末年始の暴飲暴食によって、胃腸を壊している読者の方も多いのではないかと思います。
実は私の友達も、年始の暴食(激辛料理の怒涛食い)がたたって、数日間体調を壊していました(^^;)
飲みすぎ、食べすぎ、、、その後に引き続く悪夢のような不快感。皆さんも経験したことありませんか?
今回はその胃腸の不快感、胸やけに焦点をあてて科学的根拠を基にお話していこと思います。
胸やけの正体って・・・?
胸やけなどの不快感を引き起こす病気は、医学的な用語で『胃食道逆流症』と言います。胃と食道の境界部がいろいろな原因でゆるみ、胃酸などの胃の内容物が食道内へ逆流して、食道に傷をつけたりします。胃を切除した人や高齢者に多くみられますが、肥満や妊娠によって胃酸の逆流が起こることもあります。
胃食道逆流症には、食道に傷がみつかる『逆流性食道炎』と傷がみつからない『非びらん性胃食道逆流症』があります。
胃食道逆流症の特徴的な症状は胸やけ
逆流性食道炎では、胃酸が食道まで逆流することで胸やけが認められます。さらに胃酸が口まで逆流すると、口のなかが酸っぱく感じられる呑酸(どんさん)の症状が現れます。その他には以下のような症状があります。
・げっぷが多くなる
・胃もたれ
・食欲不振
・胸痛(胸のつかえ感)
・喉の違和感、つかえ感
・声のかすれ
・慢性の咳
・喘息症状
・睡眠障害
・耳の痛み、中耳炎
・虫歯
食道炎と言うのだから、症状は腹部に生じると思いきや、、、胸が苦しくなったり、喉がつかえたような感じ、さらには歯茎痛、耳痛など体の上部に様々な症状が現れるます。
日常生活において気を付けることは?
昼寝が胃食道逆流症の症状を悪化させる!?
朝起きたとき、胸やけ症状があったり、酸っぱい感じを覚えるのは、夜間寝ている間に胃酸が逆流することが原因だからです。
じゃあ、昼寝はどうなの?と思う方も多いと思いますが、、、
実は昼寝はNGだ!!という事実が、アリゾナ大学の研究結果から分かりました。
逆流性食道炎患者において、夜間の睡眠と昼寝はどう違うのかということを調べたのがきっかけのようです。この結果から、逆流性食道炎の患者さんは昼寝中のほうが夜間睡眠中よりも逆流症状を感じやすい可能性があります。とりあえずは、逆流性食道炎の患者さんは、あまり昼寝を定期的に取らないほうが良いかもしれませんね。
コーヒーの摂取量と消化器疾患に関連性はない!!
「胃に悪いからコーヒーを飲むのは控えている!」という方には朗報です!!
一般的なガイドラインでは、上の表(胃食道逆流症の人の食事・日常生活における注意点)に示すように、逆流性食道炎の患者さんにはコーヒーは控えるように・・・という指導をされている事が多いようです。
しかし、コーヒー摂取と4大上部消化管疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症)との間に有意な関連は認められないことが、亀田メディカルセンター幕張 消化器内科の島本 武嗣氏らによる横断的研究で明らかになりました(PLoS One誌オンライン版2013年6月12日号の報告)。
コーヒーに含有されるカフェインは、胃酸の分泌を促す性質があります。そのため、十分な疫学的根拠がないにもかかわらず、さまざまな上部消化管疾患と関連があると考えられてきました。本研究では、4大上部消化管疾患である胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症とコーヒー消費量の関連について、大規模な多変量解析に基づいた研究が報告されました。
この研究結果から以下のようなことが分かりました。
- 単変量解析の結果、日頃コーヒーを飲んでいる群と飲んでいない群で有意差を認めた因子は、年齢、BMI、ペプシノーゲンI/II比、喫煙、飲酒であった。
- 多重ロジスティック回帰分析の結果、各疾患と有意な正の相関を認めた因子は以下のとおりです。
● 胃潰瘍:ヘリコバクターピロリ感染、現在の喫煙、BMI高値、ペプシノーゲンI/II比高値
● 十二指腸潰瘍:ヘリコバクターピロリ感染、現在の喫煙、ペプシノーゲンI/II比高値
● 逆流性食道炎:ヘリコバクターピロリ非感染、男性、現在(または過去)の喫煙、BMI高値、ペプシノーゲンI/II比高値、加齢、飲酒
● 非びらん性胃食道逆流症:若年齢、女性、現在(または過去)の喫煙、BMI高値 - メタ解析の結果、胃潰瘍と十二指腸潰瘍のいずれにおいても、コーヒー摂取とのいかなる関連を認めなかった。
以上の結果より、コーヒーの摂取と4大上部消化管疾患の間には有意な関連は認められないことが明らかになりました。一方で、喫煙はいずれの疾患にも有意な関連が認められるわけです。まず、胃腸を健康に保とうと思ったら禁煙が近道かもしれませんね。
原著論文はこちら。
http://Shimamoto T,et al.PLoS One. 2013 Jun 12;8(6):e65996.
まとめ
胸やけ。多くの人は経験したことのある症状・・・。胃食道逆流症が原因であることも多いですが、以前は欧米と比べると日本人には少ないと言われていました。しかし食習慣の欧米化によって、最近では本邦でも疾病する患者さんが多いというのが事実だそうです。
医師から、胃食道逆流症の診断を受けた場合、食事や生活の指導を受けることが多いのですが、日常生活の改善と並行して行うのが、胃酸分泌を協力に抑えるお薬での治療です。8週間でほとんどの患者さんの症状が改善し、食道の傷を治すことができます。注意すべきは、食道の傷が治っても胃と食道の境界部のしまりが緩んだままだと、薬をやめれ逆流がおこり、再発するという事です。症状が改善したと感じても、食道の炎症がおさまるまで1~2か月は服用を続けることを勧めている先生が多いようです。
消化器疾患を発症しないようにするには、生活習慣を見直すことが重要です。その中で最も効果的なのは禁煙です!!これは、亀田メディカルセンター幕張 消化器内科の島本先生の研究結果でも明らかです。また、満腹になるまで食べるより、腹八分で抑えることも大切です。
さらに興味深いのは、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症にはヘリコバクターピロリは関連性がありますが、逆流性食道炎はヘリコバクターピロリ未感染の方が発症しやすいという事です。
一方で、身体で感じる胃腸の不快感は、重篤な疾患が隠れている場合もあります。ただの胸やけ・・・と放置しておくと大変な事態を引き起こすこともあります。胃部不快感が長引くようでしたら、病院での診察を受けてみましょう! 特に40代以上の方は、男女問わず内視鏡検査を受けるのもおススメですよ!!
それでは皆さん、飲みすぎ食べすぎには注意しましょうね♩
またお会いしましょう~(^^)