ただの風邪、されど風邪・・・PART Ⅳ ~インフルエンザの最新情報 これを読めば、今のインフルエンザの知識がバッチリ!~
インフルエンザについて
ただの風邪、されど風邪・・・最終回の第四弾!!
今回も、インフルエンザについて解説していきます。この風邪シリーズを読めば、今年の風邪対策、インフルエンザ対策はバッチリです!!実は今年、数年ぶりにインフルエンザ治療薬『ゾフルーザ』が販売されました。医療業界もこの時期、ざわついてるんです! 今回のシリーズでは、特にインフルエンザ治療薬に焦点をあてて、解説していこうと思います。
インフルエンザ治療薬って何? どんな薬があるの?
2018年11月現在、日本国内で販売されているインフルエンザ治療薬は、新薬も含めて5種類あります。
インフルエンザの治療には抗ウイルス薬が中心となります。従来は、タミフル、リレンザ、イナビル、ラピアクタなどが使用されていましたが、2018年3月より新薬である『ゾフルーザ』が発売されました。
一般名 |
オセルタナビル |
ザナミビル |
ラニナミビル |
ベラミビル |
バロキサビル マルボキシル |
商品名 |
イナビル |
ゾフルーザ |
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供給元 |
GSK |
||||
投与方法 |
内服 |
吸入 |
吸入 |
点滴 |
内服 |
用法 |
1日2回 5日間 |
1日2回 5日間 |
単回吸入 |
1回 |
1回 |
1治療あたりの薬価(3割負担の場合) |
816円 |
882円 |
1,283円 |
1,864円 |
1,436円 (体重80Kg未満) |
販売開始 |
2001/2 |
2000/12 |
2010/10 |
2010/14 |
2018/3 |
※GSK グラクソスミスクライン
インフルエンザウイルスの作用機序は、感染した細胞内で遺伝子を複製し、増殖・放出することで他の細胞に感染を拡大して拡がります。従来のタミフル、リレンザ、イナビルなどは、増殖されたウイルスが別の細胞へ拡大・核散することを防いでいました。
一方、新薬であるゾフルーザは、インフルエンザウイルスが拡散する前段階である、増殖そのものを抑制することが出来る、新しい作用機序を有した薬剤です。端的に申しますと、ゾフルーザは従来のインフルエンザより効き目が早く、単回投与で治療が完結するという利便性が高いお薬なのです。
タミフルは1日に2錠、5日間にわたって飲み続ける必要がありますが、ゾフルーザは20mgの錠剤を1回2錠飲むだけで、その後の服用は必要がない。というのがメリットですので、飲み忘れ防ぐ事が出来ます。
昨シーズン最も処方されたイナビルは、服用は一度でいいのですが、吸入タイプであるがゆえに、吸引力の弱い高齢者の方や上手に吸入出来ない幼児にとっては使用しにくいというデメリットがありました。
また、薬価という値段を見てみると、最も低価格なのはタミフルです。やはり、ゾフルーザは、新薬であるが故に割高感はありますよね?
さらに、今年9月からタミフルの後発品(ジェネリック薬)が、沢井製薬より販売となりました。この後発品はタミフルの半額となります。ただ、現在このジェネリック薬を取り扱っている医療機関は少ないようです。
子供には、どんなインフルエンザ薬を使ったらいいの?
現状、残念なことに新薬のゾフルーザは体重20kg未満の小児は使用することが出来ません。
概ねの見解としては、以下のような処方をする病院が多いようです。
0歳~生後2週未満:インフルエンザ治療薬は使用しない
生後2週目~5歳未満:タミフルを第一選択
5歳~15歳未満:
①ドライシロップ:吸入剤が吸えない人や、常在の服用歴がない方は第一選択。
② 吸入剤:リレンザ、イナビル
③ カプセル:タミフルカプセル(体重37.5kg以上)
④ 錠剤:ゾフルーザ錠(確実に錠剤を服用できる人というのが原則)
15歳以上
タミフルカプセル、リレンザ吸入薬、イナビル吸入薬、ゾフルーザ錠の使用が可能
インフルエンザ薬(タミフル)による異常行動の真実
数年前、タミフルを服用した中学生が自宅療養中のマンションから転落死した報道、、、皆さん覚えていらっしゃいますか? 当時世間をにぎわせた話題です。
精神病性症状、自殺といった事象がみられたとする症例報告が相次いだのです。
しかし、米国や本邦の厚生労働省の研究結果から、『オセルタミビル(タミフル)と異常行動との因果関係について明確な結論が出ていないこと、また、抗インフルエンザ薬服用の有無や種類にかかわらず、インフルエンザ罹患時に異常行動が発現する可能性がある』ことなどを踏まえ、オセルタミビル(タミフル)の警告措置を撤回し、ほかの抗インフルエンザ薬にも同様の警告文を表記するようなっています。
つまり、異常行動や精神病性症状はタミフルに限った問題ではなく、インフルエンザに感染した時期にこのような異常行動が起こる可能性がある。と結論付けています。2018年からはタミフルだけでなく、イナビル、リレンザといった他のインフルエンザ薬にも、同様の警告文が添付文書に追記されています。
こういった異常行動に対処する方法としては、インフルエンザと診断されたら少なくとも2日間は小児や未成年者を一人にしないようにすること、療養中の小児・未成年者が簡単に窓の外に出ることが出来ないよう対策を講じておくことが肝要です。
インフルエンザ薬を予防薬として投与、、、これって効果あるの!?
タミフル、リレンザ、イナビルは、インフルエンザの予防に使うことが認められています。しかし、予防薬の対象となるのは、原則以下の条件を満たす患者さんです。
① 家族など同居する人がインフルエンザにかかっていること
② かかった場合に重症になりやすい人であること(ハイリスク患者)
なので、『受験生なので、国家試験前なので・・・』という理由だけでは、原則、インフルエンザ薬と投薬することは難しいそうです。けれど、臨床医の見解は違うようで、現状で個人の居状況を鑑みて、投薬しているようです。しかし、適応外処方となるため、万一、副作用が起こっても「医薬品副作用被害救済制度」の対象とはならず、補償が受けられないというデメリットがあります。
抗インフルエンザ薬には、体の中でインフルエンザウイルスが増えるのを抑える作用があります。抗インフルエンザ薬を予防的に使っていると、インフルエンザウイルスに感染しても体の中でウイルスが増えにくくなるため、結果としてインフルエンザの発症を予防できるのです。タミフル、リレンザ、イナビルを予防に用いる場合は、いずれも原則として、治療に使う量の半分を、倍の期間使用します。使用期間は薬によって異なり、タミフルは7~10日間、リレンザは10日間、イナビルは1~2日間です。あくまで予防としての使用ですので、ワクチンと同様、公的医療保険は使えず自費診療の扱いとなります。発症を予防できるのは、服用している期間だけです。注意しなければいけない事は、抗インフルエンザ薬を使い過ぎると、薬への耐性を持ったウイルスが出現する恐れがあります。ですので、使い過ぎには注意が必要かと思います。
インフルエンザに感染した場合、学校や職場に復帰するタイミングは?
少なくとも解熱しているかどうかの確認は必要です。また、解熱後はウイルス量は減少しますが、他人に感染させうる程度のウイルスは暫くは排泄される可能性があるため、発症(発熱)から5日程度経過し、かつ解熱から2日経過するくらいまでは、マスクや手洗いなどで他人にうつさないようにすることを指導していただければと思います。
まとめ
今シーズン(2018年度)のインフルエンザの流行期入りは、遅い立ち上がりであるそうです。インフルエンザはワクチン接種によって100%発症が防げるわけではありません。しかし、感染する確率を下げることができ、特に高齢者の方やハイリスク患者さんにとってはインフルエンザワクチンの接種によって重症化するのを抑制し、合併症から回避する事が出来ます。また、小児・幼児の場合は急性脳症が発症する危険性もあるので、ワクチン接種は重要であると思います。
インフルエンザ薬と聞くと、『異常行動』が頭をよぎるかもしれません。実際に、タミフルをめぐっては異常行動が相次いだため、厚生労働省が2007年に10代の患者への使用を原則禁止する措置をとりました。しかし結局、「異常行動とタミフルの服用の因果関係は認められない」という研究結果を踏まえ、11年たってようやくタミフルの使用制限は解除されました。
2018年より販売になった新薬「ゾフルーザ」は、1回投与で、しかも効き目が早いため、画期的なお薬です。また、現在販売されているのは錠剤だけですが、今後は顆粒も発売されるそうです。ゾフルーザの市場は今後さらに大きくなっていくことが予測されます。
シリーズ4回にわたってお伝えしてきた『ただの風邪、されど風邪・・・』は、今回で最終回となりました。
皆さん、兎にも角にも、風邪やインフルエンザに感染しないように日常生活に気を配ること、そして十分な休息と十分な睡眠をとるようにして下さいね!
冬が深まってまいります・・・体調にはくれぐれも気を付けて下さい!!
それではまた、健康と美容のお話の場でお会いしましょう~(^^)
ただの風邪、されど風邪・・・PART Ⅲ~インフルエンザの最新情報 これを読めば、今のインフルエンザの知識がバッチリ!~
インフルエンザウイルスって、なに???
ただの風邪、されど風邪・・・第三弾!!今回は、この時期もっとも気になる、インフルエンザウイルスについて、科学的根拠を元にしてお話していきたいと思います。
しかも今年は、数年ぶりにインフルエンザ治療薬の新薬『ゾフルーザ』が発売開始となりました。このゾフルーザの最新情報も盛り込んでお伝えしていきます!
インフルエンザとは、インフルエンザウイルスに感染しておこる上気道感染症ですが、「一般のかぜ症候群」と違う点は、死者が出るほど重い感染症であるということです。インフルエンザウイルスには A型、B型、C型があり、ヒトに流行を起こすのはA型とB型です。インフルエンザは毎年少しずつ変化(マイナーチェンジ)を繰り返していきます。特にA型は数年から数十年単位で、突然、全く別の亜型に変わることがあります。すなわち、フルモデルチェンジして新型インフルエンザが発生するのです。「これまで感染したことがないインフルエンザ」=「新型インフルエンザウィルス」の登場です。これまでのワクチンやインフルエンザ薬では効かない病気という事になるのです。多くの人がこの新型インフルエンザに免疫をもっていないことから、感染が拡大して世界的大流行(パンデミック)を引き起こす可能性があるのです。
インフルエンザはいつ頃から流行るの?対策の仕方は!?
インフルエンザの感染経路は、患者の咳、しぶき、くしゃみなどに含まれているウイルスによる「飛沫感染」が中心です。潜伏期は1~3日間と言われています。ですので、症状が出るのは、感染して1日~3日程経過してからです。
毎年11月下旬~12月上旬に流行が始まり、翌年の1月~3月の間に患者数が急増、4月~5月にかけて減少していきます。
また、インフルエンザのらかん率は小児で非常に多く、死亡率は高齢者で多いという統計が出てきます。
インフルエンザは、基礎疾患(COPD、喘息、糖尿病、癌など)を持っているハイリスク患者(下記参照)、抵抗力のない高齢者にとっては大きな脅威ですが、もっとも感染しやすいのは、インフルエンザに感染経験のない小児という事になります。
インフルエンザと風邪との見極め方
ここで、お伝えしたいことは、風邪とインフルエンザは全く違うウイルス感染症であるという事です。
インフルエンザの症状は、①突然の発症、②38℃を超える高熱、③上気道症状(咽頭痛、咳、くしゃみ、鼻水)、全身倦怠感等の全身症状などが、あげられます。
高齢者の特徴
発熱は持続する微熱であることも稀ではなく、発見が遅れやすい、肺炎を起こしやすい、脱水を起こしやすい等が挙げられます。
小児の特徴
典型的なインフルエンザ症状であることが多い(乳児の場合は非典型的な場合が多い)
ひきつけや、急性脳症を発症する危険性があるので注意が必要です。
・高齢者
・慢性循環器疾患患者(弁膜症、心不全)
・慢性腎不全患者
・免疫不全状態の患者(ステロイド、抗癌剤投与中患者、HIV感染者など)
・妊婦
以上の方々は、インフルエンザに感染した場合、重篤な合併症を引き起こす可能性のあるので注意が必要です。上記のインフルエンザ症状が1つでも当てはまったり、いつもの風邪と違う!!」と少しでも感じたら、お近くの医療機関を受診することをお勧めします。
インフルエンザワクチンって、効果あるの!?
この時期、『インフルエンザワクチン打ったのに、インフルエンザにかかったよ~・・・』と仰られる患者さんのお声をよく耳にします。
実はその通りでして、インフルエンザワクチンを接種しても、100%インフルエンザの感染から身体を守る事は出来ないのです。
季節性インフルエンザワクチンに含まれるウイルス株はそのシーズンに流行すると予測されるウイルスを使用して製造されます。ですので、ワクチンに含まれている株とその年の流行株が異なった場合には、ワクチンの効果は減少してしまい、結果的にインフルエンザに感染してしまうとういう現象を招く訳です。
じゃあ、インフルエンザワクチンって、効果ないじゃん??と、思いますよね!しかし、下記に示すような厚生労働省の研究結果があります。
65歳以上の健常な高齢者に対しては約45%の発症を阻止し、約80%の死亡を阻止する効果があったと報告されています。また、6歳未満児では、ワクチン接種によりインフルエンザ流行期における発熱リスクを優位に減少、ワクチンの有効率は22~25%であったと報告されています。
つまり、『インフルエンザワクチンの接種は、インフルエンザの発症する可能性を減少させ、発症しても重症化や合併症を防ぐことが出来る、また、インフルエンザによる死亡率を低下させることが出来る』と述べています。あくまで確率論ですが、ワクチンを接種した方が良いのは間違いないと思います。
インフルエンザのワクチン接種は、ほとんどが任意接種(自己負担による医療機関での接種)ですが、下記に示す方は定期接種となります。
- 高齢者(65歳以上の方)
- 60~64歳で、心臓、じん臓若しくは呼吸器の機能に障害があり、身の周りの生活を極度に制限される方
- 60~64歳で、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に障害があり、日常生活がほとんど不可能な方
いわゆる、ハイリスク患者さん(感染すると死亡する確率が高くなる)の場合は、定期処方で対応が出来ます。
乳児・小児のワクチン接種スケジュール
- 生後6ヵ月以上で12歳:2回接種します。10月ごろに1回目を接種し、およそ2~4週間(できれば4週間)あけて2回目を接種します。
- 13歳以上は通常1回接種ですが、2回接種することもできます(接種間隔はおよそ1~4週間)。
流行前に2回接種が終わるように、1回目は10~11月、2回目は11月中に接種するのがおすすめです。
1970年頃は、インフルエンザの予防接種は学校での集団予防接種を行っていました。それは、学童が集団生活する学校からインフルエンザは流行始め、社会へと拡がってゆくという考え方があったからでした。また、その当時はインフルエンザは「冬に流行するカゼ」程度にしか考えられていませんでした。しかし、80年代に入り、インフルエンザワクチンには効果がないのではないか?というワクチンに否定底な考えや、インフルエンザのような感染症は「個人の責任で防止すべき」であるという個人防衛の見解から、1994年の予防接種法の改正に際して、集団接種から任意接種と変更になった。という経緯があります。これは、ワクチンが効かないから集団接種から任意接種になったという理由ではなく、日本の社会的背景によるものだと考えられています。
ワクチンの接種時期はいつ頃がベスト?
ワクチンが十分な効果を獲得するには個人差が大きいです。ただし接種後約2~4週間後から。その維持する期間は約5~6か月と言われています。
流行予測時期とワクチンの有効期間を一致させるために、接種時期は10月下旬から12月中旬が望ましいと言われています。つまり、今の時期がワクチン接種にはベストタイミングなのです!!
妊婦さんのインフルエンザワクチン接種について
妊婦さんにとっては、「インフルエンザのワクチンを接種だいじょうぶかなぁ・・・」とワクチン接種を不安に思っているかたも多いと思います。結果から申しますと、妊婦さんでも摂取しても直接的な影響はないと考えられています。ワクチンは不活化ワクチンですし、これまで接種により胎児に影響があったというデータもありません。重大な先天異常、早産、在胎齢に対する過少体重などのリスクはなかったとの報告があります。
ただし、妊娠の初期段階は不安定な状態であり、インフルエンザワクチン接種の有無にかかわらず、流産など妊娠経過に異常を来しやすい時期です。よって、この点について妊婦さんには十分注意が必要だと思います。
ワクチン接種以外にインフルエンザを予防するために、日常生活で気を付けることは?
- マスク:ウイルスをブロックするのであればN95のマスクが有効です。しかし一般生活の中では使い勝手が悪く、実際的ではりません。飛沫感染予防という点では不織布製マスクが使いやすいと思います。
- うがい:うがいによって上気道感染症全般の頻度が低いというデータがみられますが、インフルエンザウイルス感染について明らかな有効性が示されたデータははありません。しかし、口腔内の湿潤を保ち、清浄にするという意味では有効であろうと思います。
- 手洗い:手洗いでインフルエンザ感染が減少したとういうエビデンスは多くはありません。しかし、上気道感染症全体の頻度が低下したというデータがあります。手洗いは感染症予防の基本であり、日常の一般的な予防手段として重要です。
- 加湿器:湿度が高い方がウイルスの広がりを抑えるというデータもあるようですが、これによってインフルエンザウイルスが激減したというデータはないと思います。しかし、加湿することで口腔内や気管のコンディションが良くなることから、気道感染症全体の感染機会を下げるという効果はあると考えられます。
まとめ
今シーズン(2018年度)のインフルエンザの流行期入りは、遅い立ち上がりであるそうです。インフルエンザはワクチン接種によって100%発症が防げるわけではありません。しかし、感染する確率を下げることができ、発症しても症状がひどくならないこと、また特に高齢者の方やハイリスク患者さんにとっては、ワクチンの接種によって重症化するのを抑制したり、合併症によるリスクを低減してくれます。また、小児・幼児の場合は急性脳症が発症する危険性もあるので、ワクチン接種は重要であると思います。
次回は、『ただの風邪、されど風邪・・・PARTⅣ』
インフルエンザ第二弾についてお届けする予定です。皆さん、超~気になっているインフルエンザの新薬ゾフルーザについてもお話してきますね!
それでは皆さん、
十分な休息と十分な睡眠をとって、体調を整え、この冬を乗り越えましょう~!
ただの風邪、されど風邪・・・PARTⅡ
ただの風邪と思ったら大間違い!?本当は怖い風邪症状・・・
この時期になると、時々風邪をこじらせて入院される患者さんがいらっしゃいます。
特に、高齢者の方や基礎疾患に喘息や副鼻腔炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)がある方は重篤は合併症を引き起こす危険性があるので風邪症状には注意が必要です。
小さなお子様がいらっしゃるママさんも、お子様の風邪のような症状を、どう判断したらいいのか、、、不安で悩んだことが多いのではないでしょうか?
そんな私も、風邪と思って長引く咳を放っておいたら、『マイコプラズマ肺炎』だった、、、という辛い経験があります。
さて、風邪シリーズ第二弾は、
ただの風邪と思ってたら、実は違う病気だった!!
初期症状は風邪と似ているのに、身体に現れる症状には別のメッセージが込められていることがあります。今回はその中でも特に気を付けたい、肺炎、髄膜炎菌感染症について解説していきたいと思います。
肺炎
肺炎は、がん、心疾患に続く日本人の死因第3位なんです。また、肺炎はその死亡の96.9%を65歳以上の方が占めています。高齢者の肺炎が危険な理由は、発症した事で生活の室の低下や心身の機能低下へと連鎖し、寝たきりや、認知症の進行といった悪循環に陥りやすいという特徴があるからです。
肺炎との鑑別方法
- 発熱期間が一週間以上(通常の風邪は数日から1週間程度)
- 痰の色が、黄~緑色、鉄さび色
- 風邪症状は落ち着いたのに、咳だけ続く。
肺炎へはワクチン接種で防衛できる
肺炎は様々な病原菌の感染によって肺に炎症が起こった状態で、病原菌にはインフルエンザ菌や黄色ブドウ球菌など様々です。特に高齢者の場合はその9割を肺炎球菌が占めています(勿論、ウィルスではありません!!)
しかも、この肺炎球菌が原因の肺炎はワクチンで予防が可能です。さらに一回接種すれば、5年以上免疫が持続します。国内で承認されている肺炎球菌ワクチンには、13価結合型ワクチン(商品名:プレベナー)と、23価多糖体ワクチン(同:ニューモバックス)の2種類があります。
- プレベナー:小児(生後2ヵ月~6歳未満)の定期接種で使用されており、優れた免疫応答と長期的な免疫記憶の獲得が特徴
- ニューモバックス:65歳以上の方で公費対象接種のワクチン
プレベナーとニューモバックスは作用機序が異なるので、『この2種類をうまく組み合わせて肺炎球菌に対する抵抗力を維持することが肝要である』と言われています。 しかし、ニューモバックスは定期接種ですが、プレベナーは任意接種なので、高齢者の方がプレベナーを接種するには、医療機関でワクチンの接種を希望する事が必要です。
任意接種とは・・・
定期接種が公費負担であるのに対し、任意接種は自己負担。ワクチンの種類や接種方法は自治体によって異なります。おたふくかぜワクチンやインフルエンザワクチンも任意接種です。
肺炎を予防するには、お子様の場合は自治体によるワクチンの定期接種。65歳以上の方は、医療機関等での公費負担によるニューモバックスの接種をされることをお勧めします。
小児用肺炎球菌ワクチンはWHO(世界保健機関)が最重要ワクチンの一つとして、すべての国で、定期接種にすべきだと勧告しているものです。日本では、2013年度から定期接種になりました。
髄膜炎菌感染症
髄膜炎菌が引き起こす細菌性髄膜炎は、おもに5~40歳の若年成人で散発性または流行性でみられる感染症です。髄膜炎菌は、くしゃみや咳などによって人から人へと感染します。この髄膜炎菌が血液や髄膜(脳)に入り込んで重篤な病気を引き起こします。
なかでも侵襲性髄膜炎菌感染症(IMD)は、初期症状がほとんど風邪と同じ症状であり、鑑別がつかず長時間経過すると最悪の場合、感染者の5~10%が24~48時間以内に死亡するといわれている、非常に恐ろしい感染症です。また、回復した場合でも、11~19%で四肢切断、神経障害、聴覚障害など重篤な後遺症が残ると報告されています。
症状は風邪に似た症状から始まり9時間程度で悪心・嘔吐、下肢痛
13時間程度で傾眠、呼吸困難、手指の冷感
21時間程度で錯乱、意識低下
24時間以後痙攣などを引き起こし、
急速に悪化します。そのため、一般外来で鑑別するのは難しく、救急搬送されてくる患者さんがほとんどです。ですので、もしお子様がこのように急速に症状が進行する場合は、救急外来を受診することをお勧めします。
予防にはワクチン接種が肝要
侵襲性髄膜炎菌感染症は初期症状が風邪と似ているために、診断が非常に難しいといった点が、医師の診断を悩ませます。細菌性髄膜炎の原因となる主な菌は、ヒブと肺炎球菌です。予防ワクチンがあり、日本でも2015年から接種が行われています。しかし注意が必要なのは、このワクチン接種は任意接種という点です。ただ、上海や欧米の一部では定期接種が義務付けられているのですよ!
特に、①運動部や学生寮に入寮する前、②海外旅行(特にアフリカや中東)の前、また今後、オリンピックなどさまざまな催しが開催される日本で、海外流入の例も考えられ、急性細菌性炎髄膜炎がワクチンで予防できる感染症である以上、できるだけ早いワクチン接種をしたほうが良いと思います。
今回は、肺炎と細菌性炎髄膜炎について解説してきましたが、この他にも風邪だと思っていたら、実は重篤な疾患の場合があります。
- 心筋炎
細菌やウィルスが血液や心筋(心臓の筋肉)に入り込んで起こる、心臓の筋肉の炎症です。心臓のポンプ機能が失われ、不整脈が出現し、心臓の機能が著名に低下します。発症は10万人中115人と、非常にまれな病気はりますが、死に至るケースもある非常に怖い病気です。心筋炎の中でも、劇症型心筋炎は生命維持管理装置を必要とする重篤な疾患で救命率が一層低くなります。
この心筋炎も、風邪症状と非常に似ていますが、胸部に圧迫感や違和感、心拍数:100回程度が持続する、息苦しいなどの症状が続く場合は注意が必要です。その病態は急性心筋梗塞と似ていますが、心筋梗塞は心臓を栄養する血管である冠状動脈に閉塞(狭窄)があるのに対し、心筋炎は冠状動脈には閉塞(狭窄)がありません。
- 急性喉頭蓋炎
声帯の上方にある喉頭蓋に急性炎症をきたす疾患です。進行すると気道閉塞をきたし、最悪の場合は死に至ります。初期症状は風邪と似ていますが、呼吸のたびに『ヒューヒュー』という異常音が発生したり、呼吸困難症状が出現することがあります。気管支喘息とにています。
でも、通常の喘息と違うのは、喉頭が腫脹(膨れる)し、窒息する危険性があるという事です。このような場合は、直ちに気道切開をして、人工呼吸器による呼吸管理が必要となります。
まとめ
『風邪は万病のもと』と昔から言われています。 風邪を引くと、さまざまな病気を引き起こすから軽く見てはいけない、という戒めの言葉ですね!
とにかく、いつもの風邪と何か様子が違う、風邪が1週間以も長引く、38度以上の高熱が続く、不整脈が出たりドキドキ動悸がする、呼吸困難症状、四肢冷感などが現れた場合は、迷わず病院を受診しましょう!!
第三弾は、読者の方も興味津々、、、インフルエンザについてお話します♪
ただの風邪、されど風邪・・・
風邪って何?
気付けば、もう11月も中旬・・・。だんだんと寒くなってきましたね!冬になれば増えるのが、風邪です。でも風邪って、いったい何なのでしょうか・・・?
『のどが痛い、咳が出る、鼻が詰まる、鼻水が出る、熱が出る、倦怠感、、、』症状は、人によって多種多様。
一般に、風邪とは『風邪症候群 Common Cold Syndorome』と言います。
英語で、『I have a cold』と言いますよね!! その Cold です。
主として上気道(鼻腔・咽頭・喉頭)に起こる感染症で、原因のほとんどは多種多様なウィルスによる上気道感染です。 ウィルス感染後2日後以内に発生。症状としては、鼻汁(鼻みず)・鼻閉・咽頭痛・嗄声(声枯れ)・咳嗽・喀痰などの 呼吸器症状の他に、発熱・頭痛・全身倦怠感(だるさ)・食欲不振などの全身症状など、これら全てまたはいくつかの症状を呈するもので、検査をしても顕著な異常はなく、多くは1週間程で自らの免疫力により治ります。 しかし、健康に問題のある患者さん(糖尿病、慢性腎臓病(人工透析中)、高齢者)では、肺炎に進行する可能性もあるので、注意が必要です。
多くの場合、風邪と言えば、急性上気道炎(感冒)を指します。
ウィルス
ライノウィルス(30-80%)
普通感冒と言われる。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主症状。年齢を問わない
コロナウィルス(15%)
冬に感染しやすい
インフルエンザウィルス(15%)
インフルエンザを引き起こすウィルス
※インフルエンザとは風邪の一種ではなく、インフルエンザウィルスが原因の独立した疾患
アデノウィルス(5%)
夏に流行する。プールで感染するためプール熱とも言われる。
パラインフルエンザウィルス
インフルと付いているが、インフルエンザとは全く関係ない。咽頭と下気道に感染しやすく、子供が感染することが多い。
RSウィルス
小児発症の原因病原体として最多。気管支炎や肺炎を起こしやすく、乳幼児では重症化する危険性がある。冬の感染が多い。
エコーウィルス
下痢を起こしやすく、夏に流行する。
風邪に効く特効薬はあるのか!?
ここで、皆さんにクイズです!!
①抗生物質や抗菌薬には熱を下げる作用がある。
②抗生物質や抗菌薬には喉などの痛みを抑える作用がある。
③風邪には抗生物質、または抗菌薬が効果的である。
④インフルエンザには抗生物質または、抗菌薬が効果的である。
さぁ~、皆なさんの答えはどうでしょう?????
答えは、、、すべてNOです。
抗生物質、抗菌薬とは、
- 細菌を抑える薬で、熱を下げたり、痛みを抑えたりする作用はありません。
- 風邪やインフルエンザに効きません。ただし、膀胱炎や肺炎には有用です。
- ウィルス性疾患に抗生物質や抗菌薬は効きません。
ちなみに、抗ウィルス薬とは、皆さんにも聞き覚えがあるところで、
・インフルエンザ治療薬(タミフル、リレンザ、イナビル、ゾフルーザ)
・ヘルペス治療薬(ゾビラックス、バルトレックス)
などがあります。
つまり、結論から申しますと、風邪に有効なお薬はありません。また、米国胸部医学会の専門委員会は、『風邪に伴ったしつこい咳を抑えるために、咳止め薬や風邪薬を服用するのは勧めない』との見解を示しています。
米クレイトン大学教授のMark Malesker氏が、風邪症状に伴う咳に対する治療の効果を検証したところ、抗ヒスタミン薬や鎮痛薬、鼻粘膜の充血を緩和する成分が含まれる風邪薬には効果がある事を示す一貫した科学的根拠はなかった。また、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の試験データ分析からも、これらの効果を裏付ける科学的根拠はなかったと報告しています。
米国胸部医学会の専門委員会は、『残念ながら、2006年以降、風邪が原因の咳に対する治療薬の選択肢にほとんど変化がない』とも、解説しているんです。
じゃあ、風邪を引いて辛いとき、どうしたらいいの!?
- 一般的は普通感冒といわれる風邪の場合には、抗生物質や抗菌薬は効きません。しかし、上気道炎(のどや鼻が炎の粘膜に炎症が起きた状態)の場合、抗炎症薬(トラネキサム酸など)を服用する事もあります。しかし、これは『風邪を治す』ではなく、『対症療法』といって、症状に対する療法であり、現在起きている症状を和らげる治療になります。
- 『咳をする』という反応は、非常に重要な役割を持っているんです。ウィルスなどの遺物や痰を体外へ排出しやすくする生体内防御反応の一つで、私たちの身体の正常な機能の表れなのです。しかし一方で、咳によって体力が消耗されたり、不眠を引き起こす場合もあり、非常につらい症状に悩まされます。このような、つらい咳の場合には、咳中枢や末梢神経に作用して鎮咳作用を表す、コデインリン散塩散1%(商品名:リン酸コデイン散1%「メタル」等)というお薬もあるので、かかりつけ医の先生に尋ねてみて下さい。ただし、このお薬、本来は麻薬として扱われています(鎮痛薬として)が、非常に濃度を薄くして、鎮咳薬として効果を発揮してくれるのです。
- 市販されている風邪薬には眠気などの副作用があることに加え、咳止めのシロップに含まれていることの多いデキストロメトルファンには乱用リスクがある点についても注意が必要です。ですから、お母さま方、お子様にせき止めシロップを飲ませるときには少し、頭の片隅にこの事を留めておいて下さいね。
『風邪の引き初めに葛根湯!』って、本当??
「風邪の引き初めには葛根湯」
このフレーズを聞いたことがある方、多いと思います。
葛根湯は漢方薬の一つです。薬局などで市販されているカコナールにもこの葛根湯が含まれています。
葛根湯には身体の表面を温める作用により発熱を促し熱を下げる。また、首や肩の筋肉の強張りを緩める作用があると言われています。が、、、
この葛根湯にも、風邪を治すというエビデンス(科学的根拠)はありません。
2014年に行った、総合感冒薬と葛根湯のランダマイズド試験において、葛根湯は総合感冒薬に比較し、かぜに有用であるという証拠は示せなかったとしています。
風邪をひいたときの一番の特効薬は!?
風邪をひいたときは、休息が一番です。十分な水分の摂取と睡眠です。でも、「お腹が空いていなけれど、栄養をつけないと!」と思い無理に食事をするのは、かえって胃腸に負担がかかってしまうので、消化器官も休ませてあげるほうが良いです。ただし、十分な量の水分は摂取して下さいね。
また、風邪を引いて病院に行くと『PL顆粒』というお薬が処方される経験をされた読者の方も多いと思います。このお薬、一般には総合感冒薬と言われていますが、今まで述べてきたように風邪に有効なお薬というわけではありません。しかし、睡眠作用があるので、『よく眠れる』という副作用に期待が持てるのです。
これまでお話ししきた、風邪(普通感冒)ですが、頻繁に風邪を引く場合や、咳が長引く場合には軽度の喘息や、ほかの疾患が隠されている場合もあるので、注意が必要です!
次回は、『ただの風邪と思ったら、大間違い!!』
本当は怖い『風邪様症状』について解説していきたいと思います。
それでは、また次回お会いしましょう~♪
人工甘味料は体に悪いのか!?
みなさん、こんにちは。
健康と美の伝道師こと、ゆみこっぷです!
前回は、ダイエットの強い味方と考えられている、人工甘味料入り清涼飲料水、いわゆる『ゼロカロリージュース(ダイエット飲料)』にダイエットの効果はなかった。という科学的根拠を踏まえてお話ししました。では、ダイエットの視点ではなく、健康という視点からとらえると、人工甘味料は身体や脳にどのような影響力を持っているのでしょうか?
今回は、
人工甘味料が身体や脳に及ぼす被害について、科学的根拠に基づいて解説をしていきたいと思います。
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人工甘味料の摂取は脳卒中や認知症のリスクを上げる!?
「ダイエット飲料」と謳われてはいますが、人工甘味料入りの清涼飲料水を1日1杯飲んでいる人は、週1回未満の頻度の人に比べて、脳卒中や認知症の発症リスクが、約3倍に高まるという研究結果が、脳卒中の分野では世界的権威のある『STROKE』という雑誌に掲載されました。米ボストン大学医学部神経学部、Matthew Pase氏らによる最新の知見です。
研究チームは、『フラミンガム心臓研究』という、世界的に有名な研究のデータを利用しました。
フラミンガム心臓研究は、コホート調査という手法をとっています。
コホート調査とは、多くの協力者を得て(集団)日々の生活習慣や食事内容、さらに身長、体重、かかっている病気などのパーソナルデータを調査・記録します。数年から十数年の長期間にわたって定期的に調査を行います。そうすると、その集団の中に脳卒中や認知症を発症する人が出てきます。そこで、調査開始時から疾病発症までのデータを見て、特定の食品(ここでいう人工甘味料入り清涼飲料水)を多くとっていた人とそうでない人を比べてみます。仮に特定の食品を多くとっていた人に脳卒中にかかった人が多ければ『特定の食品と脳卒中に因果関係あり』となりますし、脳卒中にかかる人が少なければ『特定の食品と脳卒中に因果関係なし』となります。
米ボストン大学医学部神経学部、Matthew Pase氏らの研究チームは、フラミンガム心臓研究のデータのうち、45歳過ぎの2888人分から「脳卒中」の発症データを抽出し、60歳以上の1484人分から「認知症」の発症データを収集しました。
その結果、脳卒中97例(82例は虚血性脳卒中)、認知症81例(63例はアルツハイマー病)を認めました。
結果は以下の通りです。
- 年齢、性別、教育、摂取カロリー、食事の質、身体活動、喫煙について考慮した結果、人工甘味料入り清涼飲料の最近の摂取量や累積摂取量がより多いほど、虚血性脳卒中、アルツハイマー病および認知症全体のリスクが高かった。
- 人口甘味料入り飲料の累積摂取量について、全く飲まない人を対象とした場合、1単位/日以上における発症率は、虚血性脳卒中で2.96倍、アルツハイマー型認知症で2.89倍にも及んだ。※1単位は、1グラスまたは1瓶または1缶
- 砂糖入り飲料(加糖清涼飲料、フルーツジュース、コーラなど)は脳卒中、認知症と関連していなかった。
人工甘味料は腸内細菌に影響する!?
今回の米ボストン大学の研究は、ダイエット飲料と脳卒中や認知症との因果関係を求めたものの、『何故、脳卒中や認知症になるのか!?』という事を、明らかにすることを目的とはしていません。実際の結果から認められる脳卒中や認知症の患者数もごく少数であり、『絶対リスク』とはまだ言えないと考えられます。
ダイエット飲料とこれら疾患の関連がみられる理由についても、研究陣は『不明である』と述べています。しかし、Pase氏らは報告書のなかで『ダイエット飲料は腸内細菌を変化させるとの見解が示されてきた』という見解を示しています。
私たちの腸の中には、100兆個以上ともいわれる腸内細菌が暮らしており、そのバランスが健康と大きな関連があることがわかってきています。
人工甘味料を摂取すると、それが腸の壁に住む腸内細菌のところに届いて影響を及ぼし、最終的に病気と関係するのでは?という可能性も考えられるというのです。
とはいえ、上記はあくまでも仮説に過ぎません。本研究チームも、今回のようなコホート研究では、人工甘味料が脳卒中や認知症のリスクを高めているのか、その『因果関係』を示すことはできないとしています。
ダイエット飲料は飲まない方がいいのか!?
『じゃあ、ダイエット飲料は飲まない方がいいのか!?』、、、正直、今回の研究結果から、『ダイエット飲料を飲むと病気になる!』と、断言は出来ません。人工甘味料が普及し始めたのは最近になってのことですし、今後、もっと大規模な研究が行われると想定されます。ただ、頭にとどめておいて頂きたいことが2つあります。それは、
- 『健康のためにダイエット飲料を飲む』とか、『ダイエット飲料を飲めば病気にならない』という考えは、やめた方がいい。
- 巷では、『糖質ゼロ』とか『糖質カット』、『ダイエット飲料』というあおり商品をよく目にするが、それに躍らせれてはいけない。
- 喉が渇いたのなら、ダイエット飲料や加糖飲料より、お茶やミネラルウォーターの方が健康にとってはよい
という事です。
それではまた、
次回もお会いしましょう~
ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2017/05/post_19085.html
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人工甘味料、果たしてその実態は・・・!?
みなさん、こんにちは
健康と美容の伝道師ゆみこっぷです!
人工甘味料入りの清涼飲料水、いわゆる、カロリーゼロコーラ、ゼロカロリーサイダー、微糖缶コーヒーなどなど、、、
みなさん、一度は飲んだことがあるのではないかと思います。かくゆう、私もその一人です。『カロリーが高いよりは、ゼロの方が太らないだろうな~』・・・
っというゆる~い感覚で。。。
今日は、人工甘味料入り清涼飲料水はホウン等に太りにくいのか?という事に関して、エビデンスに基づいて解説していきます。
人工甘味料入りの清涼飲料水とは、例えば
カロリーゼロコーラ、カロリーゼロサイダー、微糖表示のある缶コーヒーなどです。
なんとなく、カロリーゼロと表記されている方がダイエットに良いような気がしませんか? 私もその一人でした。
実際、砂糖の替わりに人工甘味料(非栄養甘味料とも呼ばれる)を用いると、甘みを減らすことなく食品や飲料のカロリーを抑えられることから、人工甘味料は肥満や心臓病、特に糖尿病のリスクを低減させると食品業界や医療業界では期待されているます。米国では、その摂取量は急激に増えていて、1999~2000年から2009~2012年にかけて子どもでは約3倍に、成人でも約1.5倍に増加したそうです。現在では、子どもの4人に1人、成人の5人に2人が人工甘味料を習慣的に摂取しているとの推計もあるそうです。
人工甘味料にはどんなものがあるのか。
一口に人工甘味料と言っても、その種類は2つに分けられ、合成甘味料(人工的につくられたもの)と、糖アルコール(元々、世に存在する自然の成分)があります。
糖アルコール:
ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イソマルトース、水素化デンプン加水分解物
合成甘味料:
サッカリン、アスパルテーム、ステビオール配糖体、スクラロース、アセスルファムカリウム、テオネーム
糖アルコールはお腹が緩くなってしまうという欠点がありますが、人体に影響はないだろうと言われています。問題なのは、合成甘味料。さらに問題なのは、これら人工甘味料入り清涼飲料水は、ダイエット飲料と勘違いされることが多いという事です。これには様々な危険性が指摘されています。下に代表的な人工甘味料をご紹介しますね!
1.人工甘味料入り清涼飲料水は、本当にダイエット効果があるのか!?
人工甘味料入り清涼飲飲料を全く飲まない人に比べて、飲む人は約3倍、さらには、1日2本以上飲む人は、飲まない人の6倍、ウエストが太くなるという結果なんです。
『ダイエット飲料を全く飲まない人に比べて、 ダイエット飲料を飲んだ人 は、太る傾向がある』という結果が得られたのです(下のグラフをご覧下さい)。
えぇぇぇ~ 本当にぃ!?
カロリーゼロって、、、書いてあるじゃん!!!!!!
何なの? ゼロの意味って、、、
ですよね、、、本当に。。。
私も、この結果を見たときは、びっくりしました!!
人工甘味料入りの清涼飲料水でも、太るんです!!
ですから、ダイエットの側面から考えると、人工甘味料入りの清涼飲料水は飲まない方がbetterです。
どうしても、甘いものが飲みたい!と思われる方も多いと思いますが、最低でも毎日飲むのは避けましょう。
2.では、どうしてカロリーゼロなのに太るのか。
人間が人工甘味料を摂取するようになって、歴史が浅いのでメタ解析による論文は出ていないのですが、医学界ではこのように言われています。
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人工甘味料には中毒性(依存性)がある事が分かっています。甘味を感じたとき、人間の脳はドーパミンという物質を放出するので、過度に摂取るとこのドーパミンにより禁断症状のように『甘いものがもっと食べたい、もっと飲みたい』という欲求が強くなり、結果として過食を招いてまう。
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人工甘味料の甘みは、砂糖の何百倍と言われています。一般的なジュースよりカロリーゼロの方が甘みが強い!と感じることも少なくないはずです。カロリーが少ないからといって人工甘味料の摂取が日常的になると、舌にある味蕾という甘みを感じる器官の機能が鈍化し、通常の甘さでは満足出来なくなり、どんどん強い甘みを欲するようになり、最終的に肥満の原因になってしまう事があります。
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また、見落としがちな点として、『ゼロカロリー』という表記であっても、100ml(100g)あたり5カロリー未満であれば、『カロリーゼロ』と表示していい。という事になっています。これは、500mlで考えると25カロリーに相当します。カロリーゼロだからと思って、一日に500mlのペットボトルを何本も飲んでしまっては、結果としてカロリー過多に陥っていると考えられます。
このように、
『人工甘味料入り清涼飲料水=ゼロカロリー飲料=ダイエット飲料=太らない』は、間違いである。
という事に気付いていただけたでしょうか?
やはり、ダイエットを意識しているのであれは、人工甘味料入りの清涼飲料水より、ミネラルウォーターやお茶を飲むほうが絶対におススメです!!
次回は、人工甘味料が与える人体への被害(糖尿病、脳卒中、認知症など)について解説していきたいと思います。
それでは、またお会いしましょう~♪
*1:Fowler SP, et al. ADA 2011.