現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

ただの風邪、されど風邪・・・

 

風邪って何?

気付けば、もう11月も中旬・・・。だんだんと寒くなってきましたね!冬になれば増えるのが、風邪です。でも風邪って、いったい何なのでしょうか・・・?

『のどが痛い、咳が出る、鼻が詰まる、鼻水が出る、熱が出る、倦怠感、、、』症状は、人によって多種多様。

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一般に、風邪とは『風邪症候群 Common Cold Syndorome』と言います。

英語で、『I have a cold』と言いますよね!! その Cold です。

主として上気道(鼻腔・咽頭喉頭)に起こる感染症で、原因のほとんどは多種多様なウィルスによる上気道感染です。 ウィルス感染後2日後以内に発生。症状としては、鼻汁(鼻みず)・鼻閉・咽頭痛・嗄声(声枯れ)・咳嗽・喀痰などの 呼吸器症状の他に、発熱・頭痛・全身倦怠感(だるさ)・食欲不振などの全身症状など、これら全てまたはいくつかの症状を呈するもので、検査をしても顕著な異常はなく、多くは1週間程で自らの免疫力により治ります。 しかし、健康に問題のある患者さん(糖尿病、慢性腎臓病(人工透析中)、高齢者)では、肺炎に進行する可能性もあるので、注意が必要です。

多くの場合、風邪と言えば、急性上気道炎(感冒)を指します。

 

ウィルス

ライノウィルス(30-80%)

普通感冒と言われる。くしゃみ、鼻水、鼻づまりが主症状。年齢を問わない

コロナウィルス(15%)

冬に感染しやすい

インフルエンザウィルス(15%)

インフルエンザを引き起こすウィルス

  ※インフルエンザとは風邪の一種ではなく、インフルエンザウィルスが原因の独立した疾患

アデノウィルス(5%)

夏に流行する。プールで感染するためプール熱とも言われる。

パラインフルエンザウィルス

インフルと付いているが、インフルエンザとは全く関係ない。咽頭と下気道に感染しやすく、子供が感染することが多い。

RSウィルス

小児発症の原因病原体として最多。気管支炎や肺炎を起こしやすく、乳幼児では重症化する危険性がある。冬の感染が多い。

エコーウィルス

下痢を起こしやすく、夏に流行する。

 

風邪に効く特効薬はあるのか!?

ここで、皆さんにクイズです!!

抗生物質や抗菌薬には熱を下げる作用がある。

抗生物質や抗菌薬には喉などの痛みを抑える作用がある。

③風邪には抗生物質、または抗菌薬が効果的である。

④インフルエンザには抗生物質または、抗菌薬が効果的である。

ロキソニンバファリン抗生物質である。

 

さぁ~、皆なさんの答えはどうでしょう?????

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答えは、、、すべてNOです。

 

抗生物質、抗菌薬とは、
  1. 細菌を抑える薬で、熱を下げたり、痛みを抑えたりする作用はありません。
  2. 風邪やインフルエンザに効きません。ただし、膀胱炎や肺炎には有用です。
  3. ウィルス性疾患に抗生物質や抗菌薬は効きません。

 

ちなみに、抗ウィルス薬とは、皆さんにも聞き覚えがあるところで、

・インフルエンザ治療薬(タミフルリレンザ、イナビル、ゾフルーザ)

ヘルペス治療薬(ゾビラックス、バルトレックス)

などがあります。

 

つまり、結論から申しますと、風邪に有効なお薬はありません。また、米国胸部医学会の専門委員会は、『風邪に伴ったしつこい咳を抑えるために、咳止め薬や風邪薬を服用するのは勧めない』との見解を示しています。

 

クレイトン大学教授のMark Malesker氏が、風邪症状に伴う咳に対する治療の効果を検証したところ、ヒスタミン薬や鎮痛薬、鼻粘膜の充血を緩和する成分が含まれる風邪薬には効果がある事を示す一貫した科学的根拠はなかった。また、イブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の試験データ分析からも、これらの効果を裏付ける科学的根拠はなかったと報告しています。

 

米国胸部医学会の専門委員会は、『残念ながら、2006年以降、風邪が原因の咳に対する治療薬の選択肢にほとんど変化がない』とも、解説しているんです。

 

じゃあ、風邪を引いて辛いとき、どうしたらいいの!?

  1.  一般的は普通感冒といわれる風邪の場合には、抗生物質や抗菌薬は効きません。しかし、上気道炎(のどや鼻が炎の粘膜に炎症が起きた状態)の場合、抗炎症薬(トラネキサム酸など)を服用する事もあります。しかし、これは『風邪を治す』ではなく、『対症療法』といって、症状に対する療法であり、現在起きている症状を和らげる治療になります。 
  2. 『咳をする』という反応は、非常に重要な役割を持っているんです。ウィルスなどの遺物や痰を体外へ排出しやすくする生体内防御反応の一つで、私たちの身体の正常な機能の表れなのです。しかし一方で、咳によって体力が消耗されたり、不眠を引き起こす場合もあり、非常につらい症状に悩まされます。このような、つらい咳の場合には、咳中枢や末梢神経に作用して鎮咳作用を表す、コデインリン散塩散1%(商品名:リン酸コデイン散1%「メタル」等)というお薬もあるので、かかりつけ医の先生に尋ねてみて下さい。ただし、このお薬、本来は麻薬として扱われています(鎮痛薬として)が、非常に濃度を薄くして、鎮咳薬として効果を発揮してくれるのです。
  3. 市販されている風邪薬には眠気などの副作用があることに加え、咳止めのシロップに含まれていることの多いデキストロメトルファンには乱用リスクがある点についても注意が必要です。ですから、お母さま方、お子様にせき止めシロップを飲ませるときには少し、頭の片隅にこの事を留めておいて下さいね。

『風邪の引き初めに葛根湯!』って、本当??

「風邪の引き初めには葛根湯」

このフレーズを聞いたことがある方、多いと思います。

葛根湯は漢方薬の一つです。薬局などで市販されているカコナールにもこの葛根湯が含まれています。

葛根湯には身体の表面を温める作用により発熱を促し熱を下げる。また、首や肩の筋肉の強張りを緩める作用があると言われています。が、、、

この葛根湯にも、風邪を治すというエビデンス(科学的根拠)はありません。

2014年に行った、総合感冒薬と葛根湯のランダマイズド試験において、葛根湯は総合感冒薬に比較し、かぜに有用であるという証拠は示せなかったとしています。

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風邪をひいたときの一番の特効薬は!?

風邪をひいたときは、休息が一番です。十分な水分の摂取と睡眠です。でも、「お腹が空いていなけれど、栄養をつけないと!」と思い無理に食事をするのは、かえって胃腸に負担がかかってしまうので、消化器官も休ませてあげるほうが良いです。ただし、十分な量の水分は摂取して下さいね。

 

また、風邪を引いて病院に行くと『PL顆粒』というお薬が処方される経験をされた読者の方も多いと思います。このお薬、一般には総合感冒薬と言われていますが、今まで述べてきたように風邪に有効なお薬というわけではありません。しかし、睡眠作用があるので、『よく眠れる』という副作用に期待が持てるのです。

 

 

これまでお話ししきた、風邪(普通感冒)ですが、頻繁に風邪を引く場合や、咳が長引く場合には軽度の喘息や、ほかの疾患が隠されている場合もあるので、注意が必要です!

次回は、『ただの風邪と思ったら、大間違い!!』

本当は怖い『風邪様症状』について解説していきたいと思います。

 

それでは、また次回お会いしましょう~♪