現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

人工甘味料は体に悪いのか!?

みなさん、こんにちは。

健康と美の伝道師こと、ゆみこっぷです!

 

前回は、ダイエットの強い味方と考えられている、人工甘味料入り清涼飲料水、いわゆる『ゼロカロリージュース(ダイエット飲料)』にダイエットの効果はなかった。という科学的根拠を踏まえてお話ししました。では、ダイエットの視点ではなく、健康という視点からとらえると、人工甘味料は身体や脳にどのような影響力を持っているのでしょうか?

 

今回は、

人工甘味料が身体や脳に及ぼす被害について、科学的根拠に基づいて解説をしていきたいと思います。

 

f:id:media_naranja:20181112225430p:plain

 https://golden-zipangu.jp/wp/wp-content/uploads/2016/01/W415.jpg

 

人工甘味料の摂取は脳卒中認知症のリスクを上げる!?

「ダイエット飲料」と謳われてはいますが、人工甘味料入りの清涼飲料水を1日1杯飲んでいる人は、週1回未満の頻度の人に比べて、脳卒中認知症の発症リスクが、約3倍に高まるという研究結果が、脳卒中の分野では世界的権威のある『STROKE』という雑誌に掲載されました。ボストン大学医学部神経学部、Matthew Pase氏らによる最新の知見です。

研究チームは、『フラミンガム心臓研究』という、世界的に有名な研究のデータを利用しました。

 

フラミンガム心臓研究は、コホート調査という手法をとっています。

コホート調査とは、多くの協力者を得て(集団)日々の生活習慣や食事内容、さらに身長、体重、かかっている病気などのパーソナルデータを調査・記録します。数年から十数年の長期間にわたって定期的に調査を行います。そうすると、その集団の中に脳卒中認知症を発症する人が出てきます。そこで、調査開始時から疾病発症までのデータを見て、特定の食品(ここでいう人工甘味料入り清涼飲料水)を多くとっていた人とそうでない人を比べてみます。仮に特定の食品を多くとっていた人に脳卒中にかかった人が多ければ『特定の食品と脳卒中に因果関係あり』となりますし、脳卒中にかかる人が少なければ『特定の食品と脳卒中に因果関係なし』となります。

 

ボストン大学医学部神経学部、Matthew Pase氏らの研究チームは、フラミンガム心臓研究のデータのうち、45歳過ぎの2888人分から「脳卒中」の発症データを抽出し、60歳以上の1484人分から「認知症」の発症データを収集しました。

その結果、脳卒中97例(82例は虚血性脳卒中)、認知症81例(63例はアルツハイマー病)を認めました。

 

人工甘味料、脳卒中、認知症、アルツハイマー


 
 結果は以下の通りです。

  1. 年齢、性別、教育、摂取カロリー、食事の質、身体活動、喫煙について考慮した結果、人工甘味料入り清涼飲料の最近の摂取量や累積摂取量がより多いほど、虚血性脳卒中アルツハイマー病および認知症全体のリスクが高かった。
  2. 人口甘味料入り飲料の累積摂取量について、全く飲まない人を対象とした場合、1単位/日以上における発症率は、虚血性脳卒中で2.96倍、アルツハイマー認知症で2.89倍にも及んだ。※1単位は、1グラスまたは1瓶または1缶
  3. 砂糖入り飲料(加糖清涼飲料、フルーツジュース、コーラなど)は脳卒中認知症と関連していなかった。

pmc.carenet.com

 

人工甘味料は腸内細菌に影響する!?

今回の米ボストン大学の研究は、ダイエット飲料と脳卒中認知症との因果関係を求めたものの、『何故、脳卒中認知症になるのか!?』という事を、明らかにすることを目的とはしていません。実際の結果から認められる脳卒中認知症の患者数もごく少数であり、『絶対リスク』とはまだ言えないと考えられます。

ダイエット飲料とこれら疾患の関連がみられる理由についても、研究陣は『不明である』と述べています。しかし、Pase氏らは報告書のなかで『ダイエット飲料は腸内細菌を変化させるとの見解が示されてきた』という見解を示しています。

 

私たちの腸の中には、100兆個以上ともいわれる腸内細菌が暮らしており、そのバランスが健康と大きな関連があることがわかってきています。

人工甘味料を摂取すると、それが腸の壁に住む腸内細菌のところに届いて影響を及ぼし、最終的に病気と関係するのでは?という可能性も考えられるというのです。

とはいえ、上記はあくまでも仮説に過ぎません。本研究チームも、今回のようなコホート研究では、人工甘味料脳卒中認知症のリスクを高めているのか、その『因果関係』を示すことはできないとしています。

 

ダイエット飲料は飲まない方がいいのか!?

『じゃあ、ダイエット飲料は飲まない方がいいのか!?』、、、正直、今回の研究結果から、『ダイエット飲料を飲むと病気になる!』と、断言は出来ません。人工甘味料が普及し始めたのは最近になってのことですし、今後、もっと大規模な研究が行われると想定されます。ただ、頭にとどめておいて頂きたいことが2つあります。それは、

  1. 『健康のためにダイエット飲料を飲む』とか、『ダイエット飲料を飲めば病気にならない』という考えは、やめた方がいい。
  2. 巷では、『糖質ゼロ』とか『糖質カット』、『ダイエット飲料』というあおり商品をよく目にするが、それに躍らせれてはいけない。
  3. 喉が渇いたのなら、ダイエット飲料や加糖飲料より、お茶やミネラルウォーターの方が健康にとってはよい

という事です。

 

それではまた、

次回もお会いしましょう~

 

 

ニュースサイトで読む: https://biz-journal.jp/2017/05/post_19085.html
Copyright © Business Journal All Rights Reserved.