現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

ただの風邪、されど風邪・・・PARTⅡ

ただの風邪と思ったら大間違い!?本当は怖い風邪症状・・・

 

 この時期になると、時々風邪をこじらせて入院される患者さんがいらっしゃいます。

 特に、高齢者の方や基礎疾患に喘息や副鼻腔炎慢性閉塞性肺疾患COPD)がある方は重篤は合併症を引き起こす危険性があるので風邪症状には注意が必要です。

小さなお子様がいらっしゃるママさんも、お子様の風邪のような症状を、どう判断したらいいのか、、、不安で悩んだことが多いのではないでしょうか?

そんな私も、風邪と思って長引く咳を放っておいたら、『マイコプラズマ肺炎』だった、、、という辛い経験があります。

 

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さて、風邪シリーズ第二弾は、

ただの風邪と思ってたら、実は違う病気だった!!

初期症状は風邪と似ているのに、身体に現れる症状には別のメッセージが込められていることがあります。今回はその中でも特に気を付けたい、肺炎、髄膜炎感染症について解説していきたいと思います。

 

肺炎

肺炎は、がん、心疾患に続く日本人の死因第3位なんです。また、肺炎はその死亡の96.9%を65歳以上の方が占めています。高齢者の肺炎が危険な理由は、発症した事で生活の室の低下や心身の機能低下へと連鎖し、寝たきりや、認知症の進行といった悪循環に陥りやすいという特徴があるからです。

 

肺炎との鑑別方法
  • 発熱期間が一週間以上(通常の風邪は数日から1週間程度)
  • 痰の色が、黄~緑色、鉄さび色
  • 風邪症状は落ち着いたのに、咳だけ続く。

肺炎へはワクチン接種で防衛できる 


 肺炎は様々な病原菌の感染によって肺に炎症が起こった状態で、病原菌にはインフルエンザ菌黄色ブドウ球菌など様々です。特に高齢者の場合はその9割を肺炎球菌が占めています(勿論、ウィルスではありません!!)
 しかも、この肺炎球菌が原因の肺炎はワクチンで予防が可能です。さらに一回接種すれば、5年以上免疫が持続します。国内で承認されている肺炎球菌ワクチンには、13価結合型ワクチン(商品名:プレベナー)と、23価多糖体ワクチン(同:ニューモバックス)の2種類があります。

  • プレベナー:小児(生後2ヵ月~6歳未満)の定期接種で使用されており、優れた免疫応答と長期的な免疫記憶の獲得が特徴
  • ニューモバックス:65歳以上の方で公費対象接種のワクチン

 
 プレベナーとニューモバックスは作用機序が異なるので、『この2種類をうまく組み合わせて肺炎球菌に対する抵抗力を維持することが肝要である』と言われています。 しかし、ニューモバックスは定期接種ですが、プレベナーは任意接種なので、高齢者の方がプレベナーを接種するには、医療機関でワクチンの接種を希望する事が必要です。

 

任意接種とは・・・

 定期接種が公費負担であるのに対し、任意接種は自己負担。ワクチンの種類や接種方法は自治体によって異なります。おたふくかぜワクチンやインフルエンザワクチンも任意接種です。

 

www.haien-yobou.jp

 

 

肺炎を予防するには、お子様の場合は自治体によるワクチンの定期接種。65歳以上の方は、医療機関等での公費負担によるニューモバックスの接種をされることをお勧めします。

 小児用肺炎球菌ワクチンはWHO(世界保健機関)が最重要ワクチンの一つとして、すべての国で、定期接種にすべきだと勧告しているものです。日本では、2013年度から定期接種になりました。

 

www.know-vpd.jp

 

 

髄膜炎感染症


 髄膜炎菌が引き起こす細菌性髄膜炎は、おもに540歳の若年成人で散発性または流行性でみられる感染症です。髄膜炎菌は、くしゃみや咳などによって人から人へと感染します。この髄膜炎菌が血液や髄膜(脳)に入り込んで重篤な病気を引き起こします。
 なかでも侵襲性髄膜炎感染症IMD)は、初期症状がほとんど風邪と同じ症状であり、鑑別がつかず長時間経過すると最悪の場合、感染者の510%が2448時間以内に死亡するといわれている、非常に恐ろしい感染症です。また、回復した場合でも、1119%で四肢切断、神経障害、聴覚障害など重篤な後遺症が残ると報告されています。

 

 症状は風邪に似た症状から始まり9時間程度で悪心・嘔吐、下肢痛

 13時間程度で傾眠、呼吸困難、手指の冷感

 21時間程度で錯乱、意識低下

 24時間以後痙攣などを引き起こし、

急速に悪化します。そのため、一般外来で鑑別するのは難しく、救急搬送されてくる患者さんがほとんどです。ですので、もしお子様がこのように急速に症状が進行する場合は、救急外来を受診することをお勧めします。

 

予防にはワクチン接種が肝要


 
侵襲性髄膜炎感染症は初期症状が風邪と似ているために、診断が非常に難しいといった点が、医師の診断を悩ませます。細菌性髄膜炎の原因となる主な菌は、ヒブと肺炎球菌です。予防ワクチンがあり、日本でも2015年から接種が行われています。しかし注意が必要なのは、このワクチン接種は任意接種という点です。ただ、上海や欧米の一部では定期接種が義務付けられているのですよ!

 

 特に、①運動部や学生寮に入寮する前、②海外旅行(特にアフリカや中東)の前、また今後、オリンピックなどさまざまな催しが開催される日本で、海外流入の例も考えられ、急性細菌性炎髄膜炎がワクチンで予防できる感染症である以上、できるだけ早いワクチン接種をしたほうが良いと思います。

 

www.know-vpd.jp

 

今回は、肺炎と細菌性炎髄膜炎について解説してきましたが、この他にも風邪だと思っていたら、実は重篤な疾患の場合があります。

 

  • 心筋炎

細菌やウィルスが血液や心筋(心臓の筋肉)に入り込んで起こる、心臓の筋肉の炎症です。心臓のポンプ機能が失われ、不整脈が出現し、心臓の機能が著名に低下します。発症は10万人中115人と、非常にまれな病気はりますが、死に至るケースもある非常に怖い病気です。心筋炎の中でも、劇症型心筋炎は生命維持管理装置を必要とする重篤な疾患で救命率が一層低くなります。

この心筋炎も、風邪症状と非常に似ていますが、胸部に圧迫感や違和感、心拍数:100回程度が持続する、息苦しいなどの症状が続く場合は注意が必要です。その病態は急性心筋梗塞と似ていますが、心筋梗塞は心臓を栄養する血管である冠状動脈に閉塞(狭窄)があるのに対し、心筋炎は冠状動脈には閉塞(狭窄)がありません。

 

声帯の上方にある喉頭蓋に急性炎症をきたす疾患です。進行すると気道閉塞をきたし、最悪の場合は死に至ります。初期症状は風邪と似ていますが、呼吸のたびに『ヒューヒュー』という異常音が発生したり、呼吸困難症状が出現することがあります。気管支喘息とにています。

でも、通常の喘息と違うのは、喉頭が腫脹(膨れる)し、窒息する危険性があるという事です。このような場合は、直ちに気道切開をして、人工呼吸器による呼吸管理が必要となります。

 

まとめ 

『風邪は万病のもと』と昔から言われています。 風邪を引くと、さまざまな病気を引き起こすから軽く見てはいけない、という戒めの言葉ですね!

とにかく、いつもの風邪と何か様子が違う、風邪が1週間以も長引く、38度以上の高熱が続く、不整脈が出たりドキドキ動悸がする、呼吸困難症状、四肢冷感などが現れた場合は、迷わず病院を受診しましょう!!

 

第三弾は、読者の方も興味津々、、、インフルエンザについてお話します♪