現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

自宅でおこもり筋トレしましょう! ~心血管疾患リスクを低下させるためには、週60分の筋トレで十分だった~

皆さん、こんにちは。

 

現在、新型コロナウイルスによる感染拡大の危険性を最小限にとどめる為に、全国的な緊急事態制限(外出自粛要請)が発令されております。
自宅で長時間過ごすことに、ストレスを抱えていらっしゃる方も多いと思います。
さらに、身体を動かす機会や運動が減少すると、生活習慣病などの病気の原因にもなります。ジムなども臨時休業を強いられていますから、自主的に運動することも難しくなってきましたよね?

外でランニング、、、といっても、ご高齢の方や腰や膝に負担のある運動はできない方もおおいのではないでしょうか?

そんな方に朗報です!!

自宅で週60分未満(毎日筋トレしたら、9分もかからない程…)の筋トレで心筋梗塞脳卒中などの発症リスクが減らせるという研究結果を見つけたので、皆さんにお伝えしますね!

 

週60分未満の筋トレで心血管リスクが低下する

登山やサイクリング、ウォーキングも行いやすい時期になってくると思います。 
今回お届けする内容は、「運動療法と健康」についてです。 
筋力トレーニングで心血管疾患リスクが低下する筋力トレーニングなどのレジスタンス運動を週に60分まで行うと、心筋梗塞脳卒中の発症リスクが有意に低下する可能性があることが、米アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究で示されました。一方で、レジスタンス運動を週に60分以上行っても、これらの心血管疾患(CVD)リスクのさらなる低下はみられないことも分かりました。*1
 

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レジスタンス運動とは
筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動のことを言います。
スクワットや腕立て伏せ・ダンベル体操などの標的とする筋肉に抵抗(レジスタンス)をかける動作を繰り返し行う運動をレジスタンス運動と言います。10-15回程度の回数を反復し、それを1-3セット無理のない範囲で行うことが勧められます。

レジスタンス運動にはダンベルやマシンなどの器具を用いて行う方法と、スクワットや腕立て伏せのように自体重を利用して行う方法があります。自分の体重を用いて行う方法は手軽に行えることから、筋力向上の指導プログラムに広く活用することができます。しかし負荷の大きさを調節しにくいという欠点もあります。例えばスクワットならしゃがみ込む深さを調節する、机などに手をついて行う、何かを持って行うなどの工夫で負荷の調節をすると良いでしょう。

www.tyojyu.or.jp

 


アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究

 Lee氏が率いる研究グループは、既にレジスタンス運動を週に60分まで行うと脂質異常症やメタボリック症候群になるリスクが低下することを報告している。そこで今回、同氏らはレジスタンス運動の心血管系への影響を調べるため、1987~2006年に2回以上診察を受けた男女1万2,591人(平均年齢47歳)を対象に、平均で5.4年および10.5年間の追跡調査を実施した。

 その結果、週に1~3回または60分未満のレジスタンス運動を行った人では、全く行わなかった人と比べて、CVDイベントの発生リスクが40~70%低いことが分かった。レジスタンス運動によるこれらのベネフィットは、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動とは独立していた。一方、レジスタンス運動をより頻回(週に4回以上)あるいは週に60分以上行ってもCVDリスクはこれ以上低下しなかった。

 

レジスタンス運動の頻度または実施時間に基づく各分類群を対象に、レジスタンス運動の実施が「心血管イベント」、「心血管疾患による死亡」、「総死亡」に及ぼす影響を検討しました。結果に影響を与える可能性のある要因(有酸素運動実施の有無も含む)を考慮して分析したところ、統計学的に意味のあるリスク減少が見られたのは、「週に1~2回程度、計60分未満(1~59分)のレジスタンス運動」でした(表1)。各評価項目で、35~70%のリスク減少が認められました。

 

 

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(Liu Y, et al. Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29.)

 

 

以前から、有酸素運動(軽度のランニングや、ウォーキング等)が心血管系に良い影響を与えることは知られていました。

しかし、今回の研究結果によって、筋力トレーニングにも有酸素運動と同様に心血管系へ良い影響を与えるという効果があると分かりました。

 

 

 

週4回以上、60分以上の筋トレをしても、心血管イベントや心血管死亡のリスクは低下しない

ガイドラインが推奨しているレベルの有酸素運動を実施している人々とそうでない人々を分けて検討しましたが、「心血管イベント」と「心血管疾患による死亡」のリスク低下は、有酸素運動の実施の有無にかかわらず認められました。

一方で、「総死亡」については、ガイドラインが指示するレベルの有酸素運動と並行してレジスタンス運動を行っている人についてのみ、リスク減少が認められました。

またこの研究からは、筋トレを週4回以上、60分以上行っても、心血管リスクの低下には繋がらなかった。という驚きの結果なんですよね。

 

運動の効果を体重の減量効果と置き換えて考えてはダメ

筋力トレーニングと聞くと、「スポーツ選手やボディービルダーが行うもの!」と思われている方も少なくないと思います。筋力トレーニングには見た目を良くするだけでなく、健康への効果があるのは明らかで心血管の状態に直接いい影響を与えているようです。

また、驚くべきポイントがあります! レジスタンス運動の心臓への効果はBMIが変わらなくても認められたという事です。今まで、運動の健康効果は減量に伴うものだと考えられてきましたが、そうではない事が示されたのです。

つまり、『週60分運動しても、体重が減らないから健康的でない』とは言えない!という事です。

ご自身の健康のバロメーターを体重で考える必要はありません。

昨今、筋トレブーム、マラソンブームの甲斐あって、運動を習慣化する方が増えていると思います。ジムなどに通われている方も多いのではないですか?ジム通いも、“週60分”という目安が出来れば、簡単に習慣化できるのではないでしょうか?

そんな私には、運動習慣がありません・・・。

しかし、11月に開催される横浜マラソンにエントリーしました!!!!!!!!!!

しかも、フルマラソン。考えただけで地獄です・・・。抽選から外れていてくれればいいと内心思っています。

私もそろそろ、ランニングの練習に取り掛からないと・・・。

明日から、本気出す!!!

 

それでは、皆さんのご健康と、ハッピーなライフスタイルを心より祈っております。

 


 [2018年12月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.

原著論文はこちら

*1:Medicine & Science in Sports & Exercise