現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

腕立て伏せが連続40回以上出来ないと、心血管リスクが高まります!!

男性の皆さん、腕立て伏せ、やってみましょう!?

私:『さぁ~!! 位置について、構えましたか? はい!! スタート!!!』

イケメン:『いーち、にぃ~、さ~ん、しぃい、ごぉ~、、、、、』

私:『えっ!!! 12回しか出来ないって!? やばいよ、やばいよ~!!』

 

これ、冗談じゃなく、本当にやばいんですよ・・・。特に、腕立て伏せを40回以上続けて出来ない40歳代の男性は、これからトレーニングを始めた方がよいですよ!!

 

 

腕立て伏せを40回出来ない40代男性は、心血管リスクが高まる!!

ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院環境衛生学教授のStefanos Kales氏らによる研究で、健康な中年男性では、腕立て伏せをできる回数が心臓の健康状態の指標となり得ることが分かりました。
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研究背景・内容

Kales氏らは今回、身体活動レベルの高い18歳以上の男性消防士1,104人を対象に、心臓の健康状態を2000年から10年間にわたって後ろ向きに追跡。

  • 対象者の平均年齢は39.6歳(調査開始日)
  • 平均BMIは28.7と過体重
  • 研究開始時には、腕立て伏せ運動の能力(一度に可能な回数)を測定。トレッドミル負荷試験により有酸素運動能力を評価。
  • 健康診断を毎年実施

 

研究結果
  • 10年間の追跡期間中に、37人が心筋梗塞脳卒中、心疾患を発症。
  • 対象者を腕立て伏せができた回数に基づいて5つの群に分けて分析した結果、年齢とBMIで調整した後でも、腕立て伏せを一度に40回以上できた男性では、10回以下しかできなかった男性と比べて心血管疾患リスクが96%低いことが分かった
  • 腕立て伏せをこなせる回数が増えるほど、心血管イベントリスクは低下するという、用量依存性の関連が認められた。
  • 腕立て伏せの回数は、トレッドミル負荷試験で評価した有酸素運動能力よりも、心血管疾患リスクと強く関連することも明らかになった。


 

腕立て伏せをこなせる回数は、全般的な体力の指標となる可能性がある!

“世界レベルのマラソンランナーでも、腕立て伏せが多くはできない”という人がいます。一方で、“腕立て伏せは何十回もできるが、走るのは苦手だ”という人もいます。

この研究で興味深い点は、「腕立て伏せができる回数と、有酸素運動の能力には相関関係が認められた」という事です。簡単に言うと、‟腕立て伏せが多くできる人ほど、有酸素運動の能力が高い”という事です。

つまり、腕立て伏せの回数とドレッドミル負荷検査(ベルトコンベアーの上で走る検査)の結果が関連するという事です。

 




今回の研究対象は男性に限定されていたため、この結果が女性にも当てはまるかどうかは不明です。

また、筋骨格系の障害や上腕に問題があるために腕立て伏せがうまくできない人もいます。ですから、腕立て伏せの回数を測定するだけでは、全ての人で心臓の健康状態を正確に予測できない可能性があるとも考えられます。

 

一般的に、心臓の健康を維持するためには、ウォーキングやサイクリングなどの軽度の有酸素運動を25~30分、ほぼ毎日行うことを勧めているます。

・おしゃべりできる程度のはや歩き(ウォーキング)

・少し息が上がる程度のサイクリング

いずれも、目標心拍数は110回/分が目安となります。

 

腕立て伏せが出来ればできるほど、心血管リスクが少ないとは・・・!! 腕立て伏せに着目したという点が、面白いですね。

皆さんも、ご自宅で腕立て伏せをやってみて下さーーーい。40回って、結構キツイですよ(汗)。私も腕立て伏せをやってみましたが、華奢でか細い私の腕では、10回も出来ませんでした(笑)

 

原著論文はこちら

Yang J, et al. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1. [Epub ahead of print]

*1:JAMA Network Open」2月15日オンライン版