サプリメントを摂取しても心血管疾患の予防にはならない!
サプリメントを服用しても心血管疾患の予防や全死亡は低下しない!!
この結果、米国で最も普及している4種類のサプリメント(マルチビタミン、ビタミンCおよびD、βカロテン、カルシウム)による心筋梗塞や脳卒中、その他の心血管疾患の予防効果や全死亡リスクの低下の効果は認められなかった。また、抗酸化物質のサプリメントの摂取者では全死亡リスクがわずかだが有意に上昇していたほか、ナイアシン(ビタミンB3)のサプリメントでも全死亡リスクの上昇が示された。
その一方で、葉酸サプリメントによって脳卒中リスクが約20%低減することが示された。この結果には2015年に報告された中国のRCT(CSPPT試験)で認められた脳卒中リスクの低減効果が大きく影響していた。ただし、この点について、専門家の一人で米国心臓病学会(ACC)心血管疾患予防部門リーダーシップ委員会のAndrew Freeman氏は「CSPPT試験は穀物製品などの食品への葉酸添加が推進されていない状況かで行われた試験であり、食事から適量の葉酸を摂取できている人であれば、葉酸サプリメントの有用性は認められない可能性がある」との見方を示している。 足りない栄養素をサプリメントで補うのは、とても合理的な考えだと思います。しかし、その足りない栄養素は、サプリメントでは完全に補完する事が出来ないのです。
サプリメント大国の米国ではサプリメントの規制強化が始まった
米国のサプリメント業界の市場規模はかつての40億ドルから現在は400億ドルにまで拡大しています。製品数も約4,000点から5万点超にまで増え、現在、消費者が入手できる製品数は8万点以上ともみられているのです。サプリメントの普及に伴い、危険性がある製品や実証されていない健康効果を謳った製品、消費者の誤解を招く情報とともに販売される製品が増えたといいます。
サプリメントがダメなら、いったい全体、どんな食事を摂ったらいいの?
これは、以前のブログでもご紹介したように、地中海式食事法、DASH食が特におススメです。
簡単に、心血管疾患を予防するために良い食事をご紹介しますね!
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オリーブオイル
研究データが豊富で、心血管疾患の予防効果は最強とも言われています。 -
ブルーベリー
ブルーベリーのアントシアニンに高い抗酸化効果があります。一酸化窒素を増やす作用があるので血管を広げる作用もあります。糖尿病のリスク低下にもなるそうです。週に225g以上を食べると効果的だそうです。 -
葉物野菜
葉物野菜もブルーベリーと同じく抗炎症効果があります。ただ、2日を過ぎると効果が切れるので、毎日食べることをお勧めします。過去のデータによれば、「1日350gの野菜で心疾患リスクが24%減る」との報告もあります。 -
ナッツ類
アーモンド、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、ペカンなどは、すべてメタ分析で良い結果が出ています。ただ、‟カロリーが非常に高い”というのが、懸念材料です。
やはり、必要な栄養素は普段の食事から摂るのが一番です。野菜の栄養素を‟野菜ジュースなどで代用しよう”なんて、考えている読者さんもいるかもしれませんが、これも非常に健康の観点からするとリスクが高いです。果糖が添加されているようなフルーツジュースは、虫歯や肥満の原因にもなりますし、糖尿病のリスクを上げるともいわれています。また、ジュースを殺菌する段階で高温加熱する影響で野菜本来の水溶性ビタミン、不溶性食物繊維、酵素は失われてしまうのです。
一番の肝は、生野菜で摂取できるほどの栄養素を持ち合わせていないという事です。
ただし、水溶性食物繊維や、脂溶性ビタミン(ビタミンA、E、K、鉄分、カリウム、マグネシウム)は摂取できるので、通常の果糖ジュースを飲むくらいなら、野菜ジュースの方が良いかもしれません。
健康的な身体と心は、健康的な食事から・・・。これが基本ではないかと思います。整った食生活に加えて、サプリメントを摂ることは良いかもしれませんが、不健康な食生活を補おうとサプリメントに頼りすぎるのは、身体にとってはプラスに働いてないのかもしれませんね!
原著論文はこちらです↓
Jenkins DJA, et al. J Am Coll Cardiol. 2018; 71: 2570-2584.
*1:「Journal of the American College of Cardiology」6月5日号