現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

数滴の血液で超早期のがんを診断できる時代がやってきた!

“日々健康的でありたい!” “病気にはなりたくない!”

そんな願いは、誰でも抱くはずです。

 

今回は、『悪性腫瘍=がん』の早期発見に焦点をあててお話を進めていきたいと思います。

 

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わずか数滴の血液で超早期のがんを発見できる時代がやってきた!

血液中に含まれるマイクロRNA(miRNA)をマーカーとして、13種類のがんを同時診断する検査システムの開発が進み、実用化が近づいています。

2019年3月1日、都内で「1滴の血液や尿で、がんが分かる時代へ」と題したメディアセミナーが開催されました(共催:日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会)。落谷 孝広先生(国立がん研究センター研究所分子細胞治療研究分野)が、ご自身が開発のプロジェクトリーダーを務めるmiRNAによるリキッドバイオプシーの精度や、実用化に向けた動きなどについて解説して下さいました。

マイクロRNAとは

血液や唾液、尿などの体液に含まれる22塩基程度の小さなRNA(リボ核酸)のこと。近年の研究で、がん等の疾患にともなって患者の血液中でその種類や量が変動することが明らかになっています。さらに、こうした血液中のマイクロRNA量は、抗がん剤の感受性の変化や転移、がんの消失等の病態の変化に相関するため、全く新しい診断マーカーとして期待されています。

米国を中心に開発の進んでいる血中循環主要DNA(ctDNA)などの従来の腫瘍マーカーと異なり、mRNAは癌細胞の発生初期から血液中を循環するため、より早期の診断が可能という事です。

 

tech.nikkeibp.co.jp



13種のがんについて、高い感度で診断可能なことを確認

 日本人に多い13種類のがん(胃がん、大腸がん、食道がん膵臓がん、肝がん、胆道がん、肺がん、乳がん卵巣がん前立腺がん、膀胱がん、神経膠腫、肉腫)をターゲットとして、対照群を含めて約5万3,000検体(2019年2月現在)が解析された。その結果、たとえば乳がんの場合、5つのmiRNAの組み合わせによって、感度97%/特異度92%で診断できることが確認された1)。「感度97%というのは、乳がんと診断した100人のうち3人間違えるということ」と落谷氏。「100%でない限り、もちろん過剰診断には留意しなければならない。しかし非侵襲的であることも含め、次の検査につなげる早期のスクリーニングツールとしては、非常に有力だといえる」と話した。
 その他、卵巣がん(感度99%/特異度100%)2)、膵がん(98%/94%)、大腸がん(99%/89%)、膀胱がん(97%/99%)3)、前立腺がん(96%/93%)など、いずれも高い感度が確認されている。

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日本人に多いとされる、胃がん、大腸がん、食道がん、肝臓がん、肝がん、胆道がん、肺がん、乳がん卵巣がん、前立線がん、膀胱がん、神経膠腫、肉腫などを、早期にいずれも高い感度で診断できることが確認できているそうです。

 

現在、がん検診で行われている、肺がんのエックス線検査や乳がんマンモグラフィー検査などは、がんがある程度大きくならないと発見することが難しいとされます。

また、血液検査の「腫瘍(しゅよう)マーカー」は早期発見には適してはいません。がん患者さんの経過観察や治療効果を判定する際に利用されているものであり、細胞のがん化に伴って出てくる物質を調べるため、がんの初期では陰性と判定されることも多いのです。

 

マイクロRNA認知症脳卒中の診断にも有用

本プロジェクトではすでに、認知症脳卒中で有望な結果がでているそうです。認知症では、アルツハイマー病、血管性認知症、レビー小体認知症を高感度で判別。また、症例数が少ないデータではありますが、軽度認知機能障害32例で、半年後の認知症への進行の有無が100%の確率で予測されているそうです、

さらに、これまで有力なマーカーが確認されていない脳卒中のリスクマーカーとしても有用であることが確認され、近く発表が予定されているそうです。

 

国家が主体となりマイクロRNAによる検査システムに取り組んでいる

マイクロRNAによる、がんの超早期発見は、死亡率の改善どころか、患者さんの生活の質の改善、さらに本邦における医療費の削減にも繋がると考えられています。

実は、この検査用キットを開発する事業に、東レ東芝なども参加しており、産官学の国家的な事業として位置づけられているのです。

 

「血液や尿検査によって、極めて早期のがんを発見する事が出来る」そんな時代が近いうちにやってくるかもしれませんね!

 

 

■参考
1)Shimomura A, et al. Cancer Sci. 2016; 107: 326-334.
2)Yokoi A, et al. Nat Commun. 2018; 9:4319.
3)Usuba W, et al. Cancer Sci. 2019; 110: 408-419.
4)国立長寿医療研究センタープレスリリース