現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

男性ホルモンが男の身体と病気を支配する!

皆さん、『できる男』と言われて何を思い浮かべますか?

年収、地位や名誉、そして女性にモテること…。

これらをすべてをクリアするには何がカギなのなのでしょう・・・。

 

2019年2月18日、日本抗加齢学会が主催するメディアセミナーに、井手 久満氏(獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科准教授)が登壇し、「男性のための理想的なライフスタイル」について講演されました。

テストステロン値の高い男が成功する!

 『できる男』の象徴は、冒頭でも述べた事柄のほか、「スポーツ万能」、「性機能が強い」、「健康寿命が長い」などであり、これらに共通するのがテストステロン値の高さらしいのです。

 

証券会社に勤務するイギリス人男性の年収を比較した研究によると、テストステロンが高い男性の年収は、低い男性と比較して3~5倍も多いことが明らかになったそうです。また、テストステロン量は骨格でも判定が可能で、人指し指より薬指の長い男性で、テストステロンが高値ということが、さまざまな人種のデータによって確証を得ています。

 

テストステロンとは

テストステロンは男性ホルモン(アンドロゲン)の中の主な構成成分です。成人においては、テストステロンは筋肉の量と強度を保つのに必要であり、造血作用を持ち、男性の性行動や性機能に重要な役割を有します。 テストステロンは10代後半~20代でピークとなり、加齢とともに低下します。テストステロンは集中力やリスクを取る判断をすることなどの高次精神機能にも関係します。男性の場合、約95%が睾丸(精巣)の中で、残る5%が副腎で合成され、分泌されていると言われています。テストステロンの原料はコレステロールで、体内で複雑なプロセスを経てテストステロンに生合成されています。しかし、個人差や日内変動がとても大きく、ストレスや飲酒などにも左右される物質である。たとえば、恋愛過程でも、デートから真剣交際、婚約から結婚に至る過程で徐々に分泌が減少し、子供が生まれ、添い寝をするなどでも低下することが立証されている。

テストステロンの分泌量は、脳からの命令でコントロールされています。血中に分泌されたテストステロンは11~90分で約半分になり、少量はエストロゲン(女性ホルモン)に換わりますが、大部分は肝臓で代謝されて、尿中に放出されます。健康な男性にも、少量ながら女性ホルモンが分泌されているのです。

 

 

juntendo-urology.jp




メタボリックシンドロームとテストステロンの低下

 近年、男性の更年期が取りざたされるようになり、うつとの関連が理解されるようになりました。さらには、テストステロンが低値の場合は、糖尿病、メタボリックシンドローム脂質異常症、心血管病罹患率、死亡率と関連することが報告されています。

 

 

テストステロンの補充は危険

近年、米国において男性ホルモンのサプリメントの売り上げが著明に増加しているそうです。しかし、安易に男性ホルモンを補充するという選択をとるのは大変危険です

現時点で報告されている研究結果(有害事象)を紹介します。

  1. 男性ホルモン補充療法により、死亡、心筋梗塞脳卒中のリスクが増加したという研究結果があります。*1

  2. 男性ホルモン補充療法により、アテローム動脈硬化の進展を抑制する事ができず、心血管イベントを抑制する事が出来なかった。*2

  3. 男性ホルモン補充療法により、コレステロール(TC)、悪玉コレステロール(LDL-C)、善玉コレステロール(HDL-C)、中性脂肪、空腹時血糖の値を改善する事が出来なかった。*3

  4. テストステロンが低下した高齢男性への男性ホルモン補充療法は、除脂肪体重の増加、代謝面の複合的な影響がみられた以外は、身体機能あるいは認知機能への影響は確認できなかった。*4

     

    テストステロンを減少させないようにするには!?

    先ほどお話したように、男性ホルモンの補充は身体の危険を伴います。ですので、テストステロンを下げないようにするには、まず身近な所からの取り組みが重要となります。

    テストステロンは、喫煙、肥満、ストレスによって減少します。

    なず、禁煙に対する取り組みや、運動や食生活改善による体重コントロール、そしてストレスを低減させるような生活を心掛ける事が重要であると考えます。

     

    運動療法は食生活、ストレスをためない生活環境に関しては、このブログをご覧下さい。良いヒントがあると思います。

     

    media-naranja.hatenablog.com

     

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    マスコミなどで、科学的根拠に乏しい健康法やサプリメントまことしやかに報道されているのには、非常に違和感を覚えます。効果がないだけならまだ良いが、時に健康に重大な害を及ぼすこともあり得ます。

     病院で投与されるお薬である、スタチン(メバロチンリトバス、リピトール、クレストール、リバロ)やピオグリタゾン(アクトス)は、血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロールと)を低下させ、血管内皮(頚動脈等)の内膜肥厚の進展を抑制し、動脈硬化を予防予防するというエビデンス(科学的根拠)は、はっきりと証明されています。

    しかし、テストステロン補充療法には心血管イベントの抑制効果が証明されなかったどころか、補充する事によって逆に体重増加、心筋梗塞脳卒中、死亡のリスクを高める可能性があることが分かっています。

     

    テストステロンは、筋肉増強の助けとなり男らしい身体をつくるホルモンですから、『できる男性になりたい!』と思う男性にとっては、目から手が出るほど、恋しいホルモンであると思います…。

     

    でも、男性の皆さん聞いてください!! 

    男性にとって大切なのは、筋骨隆々の腕でも、たくましい胸板でもありません!

    『深い愛情』と『誠実さ』そして、『やさしさ』です・・・。

    そんな男性が、私は好きです(*´▽`*)

     

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    話は逸れましたが・・・

     

    テストステロンを低下させないためには、生活習慣を見直すことが肝心です。

    「食生活」「睡眠」「生活リズム」「ストレス」「運動」の要素で何かが欠けていると、テストステロンの分泌にリスクが生じると考えられています。

    規則正しい生活リズムとストレスを溜めない生活習慣を基本に、日々の食生活に心掛けて下さいね!

    でも、テストステロンの数値によって、人生まで支配されてはダメですよ!

     

    それでは皆さん、またお会いいたしましょう~♩




     

 

男性ホルモン(テストステロン)を人為的に補充するのは、病気の発症や生活の質の改善(QOL)に効果を果たすどころか、逆に健康に重大な害を及ぼす事が考えられています。

実際に、テストステロンの効果を評価したTOM試験では、テストステロン群で偽薬より心血管イベントが多く早期に試験が中止になっているのです。((Basaria S, et al. JAMA. 2015;314:570-581.