現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

揚げ物の摂取頻度が、死亡リスクに関係する!?

今回は、揚げ物の摂取が、健康や病気とどのような関係があるかという内容について、お話しようと思っております。

 

揚げ物の頻回摂取は全死因死亡、および心血管死亡のリスクを高める

『揚げ物、とくにフライドチキン、豚カツ、魚介類のフライの摂取量が多くなると、全死因死亡、心血管死亡の危険性が高くなる』というデータが示されました。

北米成人の約25~36%が。毎日ファストフード店で揚げ物(ハンバーガー、フライドポテト、フライドチキン、フライドフィッシュなど)を食べているそうです。

実際、揚げ物が身体に悪い・・とは何となく以前から言われていた事ですが、死亡への影響については、科学的エビデンスが乏しく議論の的になっていた所でした。

 

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研究背景・方法

米国・アイオア大学のYangbo Sun氏らの閉経後女性を対象とした大規模前向きコホート研究「omen's Health Initiative(WHI)研究」のデータ解析の結果示されました。

研究グループは、1993年9月~1998年9月に米国の40施設で行われたWHI研究に登録された、登録時50~79歳の閉経後女性、約10万7000人を、2017年2月まで追跡調査した。

自己記入式食事摂取頻度調査により、揚げ物の摂取頻度と1人前の分量について評価。揚げ物は、フライドチキン、魚介類(魚、エビ、カキ)のフライ、その他の揚げ物に分類した。

主要評価項目は、全死因死亡、心血管死亡、がん死亡とし、Cox比例ハザードモデルを用いて、揚げ物の摂取との関連を解析した。

 

研究結果

フライドチキンを1週間に1人前以上摂取している分は、非摂取群と比較して全死因死亡リスクは1.13倍、心血管死亡リスクは1.12倍であった。同様に魚介類のフライの摂取に関する危険率は全死因死亡 1.07倍、心血管死亡 1.13倍であった。

BMJ誌2019年1月23日号掲載

 

 揚げ物の摂取量とガン死亡との関連性は認められなかった

今回の研究の結果から、揚げ物の総摂取量および、種類別摂取量とガン死亡との一般的な関連は認められなかった。

 

 

本研究の懸念点

この研究結果から、揚げ物の摂取量が与える影響は、全死因死亡リスクを高める、心血管死亡リスクを高める。ということが示されました。

一方、揚げ物の摂取量とガンによる死亡との関連性は認められなかったとしています。

 

ただ、この研究には若干の懸念点が挙げられま。

揚げ物の揚げ方や、調理用油に関する情報が限られているという点です。つまり、揚げるために使用する油を、キャノーラ油やサンフラワー油にするのか、それともオリーブオイルにするのか。といったような、揚げ油に関する情報はありません。

また、食物そのものの影響と、揚げることによる影響を分ける事が出来ない点が、この研究の限界であると考えられます。

 

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アクリルアミドの発がん性について

食材の成分は、揚げる、焼く、焙るなど熱を加えることで化学変化が起こり、色や風味、食感などが良くなります。

しかし、穀類、芋類、野菜など炭水化物を多く含む原材料は加熱調理の過程で、化学物質であるアクリルアミドを産生します。

この、アクリルアミドの発がん性は、2002年スウェーデンの動物研究で報告され、ヒトについては、2007年のオランダのコホート研究でER陽性乳がんなどの発症リスク増加が報告されました。

しかし、否定的なデータもあり、米国国立がん研究所は、アクリルアミドについて、『発がん性は懸念されるが、ヒトに対する十分なエビデンスはない』としています。

また、本邦の農林水産省も、同様の見解を示しています。

 

 

揚げ物の3つの問題

  1. 揚げ物に使われる油のオメガ6
    多くの調理用油で使用されるベジタブルオイルはオメガ6が多いため、食べれば食べるほど、体内の炎症が増えて老化が進んでしまうという状況を招きます。

    揚げ物に使用して問題ない油として、ラード、ギー、バター、牛脂、ココナッツオイル、オリーブオイル等が挙げられます。

  2. 唐揚げやてんぷらの衣に使われる小麦
    小麦に含まれるグルテンが問題視されています。これは、科学的エビデンスは証明されておりませんが、消化器系に悪い影響を与える可能性があるとも言われています。

  3. 高温の調理で生まれるAGEs
    AGEsとは、終末糖化産物の略称で、高温による調理で生成される成分です。非常に強い毒性があり、老化や糖尿病を引き起こすといわれています。

             ***AGEsについては、近いうちに別の記事でご報告したいと思います***

 

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揚げ物摂取のガイドラインを作るとすれば・・・

  1. 揚げ物は、月に1~2回くらいまで。

  2. 料理用油には、オリーブオイル、ギー、ラードを使う(キャノーラ油、サンフラワー油は厳禁)。

  3. 小麦粉の代用として、ポテトスターチやアーモンドパウダーを衣として使用してみるのも良い。

 

揚げ物を過度に怖がる必要はないと思いますが、気になる方は上記のような摂取方法を試してみても良いかと思います。ただやはり、毎日のように揚げ物を摂取するのは、身体に良くない、、、といった所が本音だと思います。

 

原著論文はこちら