鼻をほじっていけない本当の理由
お題を見て、笑っちゃいますよね?
皆さん、鼻をほじったことありますか?
子供のころだと、お母さんから『こら~! 汚いからやめなさいい!!』って言われた経験もあると思いますが・・・。
もちろん、鼻をほじっていると、見た目は悪いですよね・・・?
それ以外に、鼻の中からの分泌物も気になりますが・・・(^^;)
でも、鼻をほじると本当に汚いのでしょうかね(笑)??
今回は、この鼻をほじっていけない理由を医学的観点からお話していこうと思います。
前回のシリーズでは『風邪』、いわゆる感染症についてお話してきましたが、この感染症にも通ずる面白ネタを、ご提供したいと思います。肩の力をぬいてお読みください・・・。
鼻をほじるって、医学的に悪いことなの!?
実際に鼻をほじると自分自身だけでなく周囲の人の健康にも悪影響があることが、英国リバプール熱帯医学研究所のVictoria Connor氏の研究結果で判明しました。
成人の男女40人を対象としたこの研究では、鼻をほじったりこすったりすると、肺炎球菌が拡散する可能性があるというのです。鼻と手が接触するだけで肺炎球菌が簡単に拡がってしまう事を、初めて報告したものではないかと思います。
以前のブログにも解説しましたが、肺炎の引き金となる肺炎球菌は、咳やくしゃみ等のしぶきを介して感染する飛沫感染であるとご説明しました。肺炎球菌が実際どのような過程で伝わるのか、、、というのは、実は現時点では明らかになっていないのです。しかし、この肺炎球菌の感染経路を明らかにするために、Victoria Connor氏は今回の研究を行いました。
研究内容
18~45歳の健康な男女40人を
① 肺炎球菌を加えた水で濡らした手を鼻に近づけて吸い込む ➡ wet sniff 群
② 肺炎球菌を乾いた状態で手の甲に付着させて鼻で吸い込む ➡ dry sniff 群
③ 肺炎球菌を加えた水で濡らした指で鼻をほじる ➡ wet poke 群
④ 肺炎球菌を乾いた状態で指に付着させて鼻をほじる ➡ dry poke 群
研究結果
全ての群で、肺炎球菌は手から鼻へとたやすく感染することが明らかになりました。また、最も感染しやすいのは肺炎球菌を加えた水で濡らした手に鼻を近づけて吸い込むwet sniff 群と、肺炎球菌を加えた水で濡らした指で鼻をほじるwet poke 群であることも分かりました。この結果について、Connor氏らは乾燥した環境では細菌が死滅しやすいことが要因では、、、との見方を示しています。
[http://Connor V, et al. Eur Respir J. 2018 Oct 10. [Epub ahead of print]]
肺炎球菌を媒介にした感染症によって命を落とす小児(5歳未満)は、全世界で年間で130万人とも言われています。また、高齢者や免疫力の低下した患者さん(癌患者さん、血液透析患者さん、慢性疾患をお持ちの方)も感染するリスクが非常に高いのでです。それほど、肺炎球菌は身近にいて非常に恐ろしい細菌なのです。
まとめ
手指を清潔に保つこと、子供が触るようなおもちゃ、雑貨などを清潔に保つことは、幼い子供たちを肺炎球菌の感染から守るという可能性があります。また、子供が感染すると学校などで集団感染したり、あるいは一緒に生活している高齢者へも感染させてしまうので、細菌の伝播(でんぱん)を防ぐ、といった意味合いからも、子供を肺炎球菌に接触させないようにするのは重要な事だと思います。
手と鼻が接触しただけで、容易に肺炎球菌は拡散します。
これが、『鼻をほじってはいけない』理由のひとつでした。
ただし、この研究結果だけを真に受けてはいけません。
実は、子供のころに色々な細菌に感染しておくことはとても大切なのです。
子供はすぐ風邪などの感染症にかかりますよね?それは、その感染に対する抗体(特定の感染に反応し打ち勝つ力)を持っていないからなのです「子供のころ、よく風邪を引いていたのに大人になって風邪を引かなくなった」というのは、子供のころに色々な細菌を身体で味わって、その感染症に対する抵抗を身体で身に着けたからなのです。
ですので、『絶対無菌』『絶対除菌』がいいかと問われると、それは一概に最良とは言えません。
けれども、命を脅かす感染症から子供を守るためにも、少なからず日々の生活で予防出来ることは、対策を講じるのが大事だと思います。
以上、『鼻をほじっていけない本当の理由』でした(^^)!!