コレステロールの最新情報 ~実は、コレステロールって悪役じゃない!?~
みなさん、ご無沙汰しておりました。
こんにちは!
新型肺炎の現状を踏まえ、マイケルのブログもしばし自粛しておりました。
これからも、どんどん皆さんに有益な健康情報をお伝えしていきますので、
今後ともよろしくお願い致します。
今回のお題は、
『コレステロール』です。
このコレステロールに敏感になっているい方、非常に多いと思います。
なんて聞くと、「じぇじぇじぇーーーーー!!」って、ご自身の血液のデータが気になりますよね?
ではでは、、、
「悪玉コレステロール(LDL-c)が多いと病気になると思っている人、
手を挙げて~!」
「おおおーーーー!? みんな、手を挙げている、、、」
んんん~~ まぁ、間違っていないけど、、、正解でもない。
やっぱりみんな、誤解してるんだよね・・・Σ( ̄ロ ̄lll)
血中コレステロール値の基準値、撤廃!
日本動脈学会や厚生労働省が出したこんな報告、ご存じですか?
実は
『コレステロールを多く含む食品を食べようが食べまいが、血中コレステロール値には影響がない』
というデータが示唆されたのです。その理由のひとつに、
“コレステロールを多く含む食品を摂取しても、血中コレステロールが高くなる”
という科学的根拠を示すことが出来なかったという点が挙げられます。
卵(たまご)を例にお話ししたいと思います。
卵はコレステロールの含有量が多いのですが、卵を食事から毎日摂取しても、血液中のLDL(悪玉コレステロール)に影響を及ぼさなかったというデータもあるんですよ。media-naranja.hatenablog.com
コレステロールは食事以外にも体内で作ることのできる脂質の一種
LDL(悪玉コレステロール)と聞くと、「親の仇ーーーーー!」といった形相で、敵視する人もいるかもしれませんが、実は、コレステロールは私たちの身体にとって欠かすことのできない必需品なのです。
コレステロールは食事として摂取する以外にも、私たちの体内(肝臓)で合成する事の出来る脂質の一種です。
食事から摂取されるコレステロールが20~30%なのに対して、体内で合成されるコレステロールは70~80%になります。
そして重要なのは、コレステロールを食事から多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に食事から摂取する量が少ないとコレステロール合成が増加するという点です。
これは、体のすみずみまでコレステロールが一定に補給されるように、フィードバック機構が働くためです。
つまり、食事によるコレステロール摂取量が、そのまま血中総コレステロール値に反映されるわけではないのです。
コレステロールは男性ホルモンや女性ホルモンやビタミンD(新しい骨を作る)の材料にもなります。
柔らかく、しっとりとした肌を作ったり、艶やかな髪をつくる女性ホルモン。筋肉質で逞しい身体をつくる男性ホルモン。その一つ一つをコレステロールが担っているのです。
コレステロールの数値が低ければ、大丈夫ってのは幻想!?
総コレステロールと、がん発症リスクの関係を研究した論文も、いくつか散見されます。
コレステロール値と心血管疾患リスクはある程度相関関係(コレステロール値が高いと心血管疾患を発症するリスクも高い)とされています。
一方、コレステロールとがん発症リスクの間には逆相関があるとも言われています。
つまり、コレステロール値が低いと、一部のがん発症リスク(部位別のがん発症)が高まると言われています。
例えば、コレステロールの値が低いと、男女ともに肝がん、男性では胃がんの発症リスクが高まるとのでーたもあります。ただし、この因果関係はまだはっきりしていません。
また、総コレステロール値、あるいはLDL値が高いと、総死亡率が低下するという驚きの報告もあります。
http://jsln.umin.jp/pdf/guideline/guideline-abstractPDF.pdf
一人で考え込まず、まずは専門家に相談を・・・
コレステロール(LDL)と聞くと、害悪説を耳にする事が多いのですが、本当は私たちの身体に欠くことのできない脂質なのです。
また先にも述べたように、食事による摂取でコレステロールをコントロールすることは非常に困難です。
その理由は、先にも述べた通り70~80%を体内で合成しているからであり、食事による摂取が20~30%に過ぎないからです。
コレステロール値は体質や遺伝に影響するところが少なくありません。
健康診断や社内検診で「コレステロールの値が基準値を超えていた・・・」なんて思って、動物性たんぱく質を控えるとか、食事量そのものを控えると、かえって抵抗力が落ち、風邪を引きやすくなったり、体力が落ちたり、女性では月経不順になる要因となります。
自己診断で食事制限をするのは避けたほうが良いです。
そんな事いったって、
「LDLが高くて、どうしよう・・・? 動脈硬化は怖いし・・・」
「何に気を付けたらいいの?」
皆さんの不安はとてもよく分かります。血液検査でコレステロールが高かったら不安ですよね?
そんな時は、専門病院を受診してみるのをお勧めします。mjhospital.tokyo
実は、マイケルゆみこだって、他人事じゃないんです!!
この前の検診で、LDL(悪玉コレステロール)の値が基準値以上で、当院のジョン・トラボルタ院長に『高LDL血症』って、記入されたんですから・・・。
毎日自炊を心がけて、牛肉は高くて手が出せないから鶏肉にして、山盛り野菜も食べているマイケルですら、『高LDL血症・・・』。
でもね! マイケルはアラフォーだけど、見た目は27歳☆彡(自己申告(笑))
きっと、コレステロールが女性ホルモンを大量に生成してくれて、私の肌や髪をうるうる、艶やかにしてくれているのでしょうね(*´▽`*)
なんて、冗談はそのくらいにして、、、
人によっては、生活習慣を見直すだけでなく、内服治療(お薬)が必要な場合もありますので、是非、専門家医師の意見を参考にして下さい。
ここまで、読んで下さった皆さんのなかには、
「コレステロールが悪者じゃない事は分かったけど、じゃあ、どんなことに気を付けたらいいの!?」
「本当にコレステロールって悪者じゃないの!?」と、疑っている人も多いはず・・・。
次回は、
コレステロールの数値が高かったら、どうしたらいいの??
という疑問にお答えしていこうと思います。
それでは、また~(#^^#)
歯磨きしないと、心血管疾患リスクが高くなる!!
ババンババンバンバン歯みがけよ!
ババンババンバンバン宿題やれよ!
ババンババンバンバン風邪ひくなよ!
ババンババンバンバンまた来週!
by 加藤茶
そうなんです!!
歯磨きは大事なんです!!!
「歯と心臓の病気が関連する」なんて、考えた事なかったですよね?
実は、歯の細菌や歯周病が心臓・血管に与える影響とは計り知れないくらい大きなダメージがあるのですよ。
今日は口腔内のケアと心血管疾患について、学んでいきましょう!
お口の環境が悪いと、心血管疾患(狭心症、心筋梗塞など)を発症するリスクが増える!
特に歯周病と全身疾患の関連が指摘され始めてから20年ほど経過しますが、テレビなどのメディアにも多く取り上げられ、現在ではその理解が一般にも広く浸透してきています。
以前から、歯周病と関連する主な全身疾患としては、糖尿病、心血管疾患、早期低体重児出産、骨粗鬆症など様々な全身疾患が挙げられています。
研究背景・内容
口腔内の衛生状態と心血管疾患に関する研究結果が、イギリスUniversity College London疫学・公衆衛生学科のCesar de Oliveira氏らによるScottish Health Surveyの研究チームより報告されました(BMJ誌2010年6月26日号:オンライン版2010年5月27日号)。
歯磨きの回数と心血管イベントのリスクの関連を以下のように評価しました。
研究グループは、自己申告による歯磨きの状況と心血管疾患との関連、および炎症マーカー(血液検査で得られるCRPの数値:C反応性蛋白)、凝固能(血液検査から得られる血液の塊やすさ:フィブリノゲン)との関連について検討した。
スコットランドに居住する一般家庭を対象としたScottish Health Surveyに登録された平均年齢50歳の1万1,869人について解析を行った。
口腔衛生状態は自己申告による歯磨きの回数で評価した。調査は病院の臨床記録とプロスペクティブに連動させ、Cox比例ハザードモデルを用いて口腔衛生状態に応じた心血管疾患イベントや死亡のリスクを推定した。口腔衛生と炎症、凝固との関連は4,830人において評価した。
口腔衛生が劣悪だと心血管疾患イベントのリスクが1.7倍に!!
口腔衛生が悪い集団(歯を磨かない、又な磨くことは稀)では、心血管疾患イベントのリスクが有意に増大していた(口腔環境の良い集団と比べて心疾患リスクは1.7倍)。
また、口腔環境が悪い集団では、炎症マーカーであるCRPや、血栓の作られ易さを示す指標であるフィブリノゲンの濃度も上昇していた。
つまり、全身の炎症が蔓延しており、血栓が作られやすい環境にあるという事です。これは、心臓の冠動脈という血管や、脳血管が細くなる危険性にもつながります。
実際、循環器疾患患者、約1.000例を対象として歯周病検査を行ったところ、心筋梗塞や狭心症、あるいは末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)を有する人では喪失歯数が多く、歯周病原最近に対する抗体の値が上昇していることが分かっています。
歯周病原細菌は血流に乗って全身を旅する
平成23年歯科疾患実態調査によると、国民の多数に歯周組織での症状が認められ、成人では約8割もの人が歯周病に罹患していると言われています。
歯周病患者では、一般的に歯周ポケットからの出血を容易に認めます。この出血は歯周ポケットに存在した潰瘍が破裂し、歯周病原性細菌が口腔内へ暴露したことを意味します。
つまり、この歯周病原性細菌が体内に侵入し、気管支、肺、その他臓器へと、血流に乗って全身へと巡っていくのです。歯周病の状態どは全身疾患の前駆症状と言えるのかもしれません。
自宅でおこもり筋トレしましょう! ~心血管疾患リスクを低下させるためには、週60分の筋トレで十分だった~
皆さん、こんにちは。
現在、新型コロナウイルスによる感染拡大の危険性を最小限にとどめる為に、全国的な緊急事態制限(外出自粛要請)が発令されております。
自宅で長時間過ごすことに、ストレスを抱えていらっしゃる方も多いと思います。
さらに、身体を動かす機会や運動が減少すると、生活習慣病などの病気の原因にもなります。ジムなども臨時休業を強いられていますから、自主的に運動することも難しくなってきましたよね?
外でランニング、、、といっても、ご高齢の方や腰や膝に負担のある運動はできない方もおおいのではないでしょうか?
そんな方に朗報です!!
自宅で週60分未満(毎日筋トレしたら、9分もかからない程…)の筋トレで心筋梗塞や脳卒中などの発症リスクが減らせるという研究結果を見つけたので、皆さんにお伝えしますね!
週60分未満の筋トレで心血管リスクが低下する
登山やサイクリング、ウォーキングも行いやすい時期になってくると思います。
今回お届けする内容は、「運動療法と健康」についてです。
筋力トレーニングで心血管疾患リスクが低下する筋力トレーニングなどのレジスタンス運動を週に60分まで行うと、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが有意に低下する可能性があることが、米アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究で示されました。一方で、レジスタンス運動を週に60分以上行っても、これらの心血管疾患(CVD)リスクのさらなる低下はみられないことも分かりました。*1
レジスタンス運動とは
レジスタンス運動にはダンベルやマシンなどの器具を用いて行う方法と、スクワットや腕立て伏せのように自体重を利用して行う方法があります。自分の体重を用いて行う方法は手軽に行えることから、筋力向上の指導プログラムに広く活用することができます。しかし負荷の大きさを調節しにくいという欠点もあります。例えばスクワットならしゃがみ込む深さを調節する、机などに手をついて行う、何かを持って行うなどの工夫で負荷の調節をすると良いでしょう。
米アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究
Lee氏が率いる研究グループは、既にレジスタンス運動を週に60分まで行うと脂質異常症やメタボリック症候群になるリスクが低下することを報告している。そこで今回、同氏らはレジスタンス運動の心血管系への影響を調べるため、1987~2006年に2回以上診察を受けた男女1万2,591人(平均年齢47歳)を対象に、平均で5.4年および10.5年間の追跡調査を実施した。
その結果、週に1~3回または60分未満のレジスタンス運動を行った人では、全く行わなかった人と比べて、CVDイベントの発生リスクが40~70%低いことが分かった。レジスタンス運動によるこれらのベネフィットは、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動とは独立していた。一方、レジスタンス運動をより頻回(週に4回以上)あるいは週に60分以上行ってもCVDリスクはこれ以上低下しなかった。
レジスタンス運動の頻度または実施時間に基づく各分類群を対象に、レジスタンス運動の実施が「心血管イベント」、「心血管疾患による死亡」、「総死亡」に及ぼす影響を検討しました。結果に影響を与える可能性のある要因(有酸素運動実施の有無も含む)を考慮して分析したところ、統計学的に意味のあるリスク減少が見られたのは、「週に1~2回程度、計60分未満(1~59分)のレジスタンス運動」でした(表1)。各評価項目で、35~70%のリスク減少が認められました。
(Liu Y, et al. Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29.)
以前から、有酸素運動(軽度のランニングや、ウォーキング等)が心血管系に良い影響を与えることは知られていました。
しかし、今回の研究結果によって、筋力トレーニングにも有酸素運動と同様に心血管系へ良い影響を与えるという効果があると分かりました。
週4回以上、60分以上の筋トレをしても、心血管イベントや心血管死亡のリスクは低下しない
ガイドラインが推奨しているレベルの有酸素運動を実施している人々とそうでない人々を分けて検討しましたが、「心血管イベント」と「心血管疾患による死亡」のリスク低下は、有酸素運動の実施の有無にかかわらず認められました。
一方で、「総死亡」については、ガイドラインが指示するレベルの有酸素運動と並行してレジスタンス運動を行っている人についてのみ、リスク減少が認められました。
またこの研究からは、筋トレを週4回以上、60分以上行っても、心血管リスクの低下には繋がらなかった。という驚きの結果なんですよね。
運動の効果を体重の減量効果と置き換えて考えてはダメ
筋力トレーニングと聞くと、「スポーツ選手やボディービルダーが行うもの!」と思われている方も少なくないと思います。筋力トレーニングには見た目を良くするだけでなく、健康への効果があるのは明らかで心血管の状態に直接いい影響を与えているようです。
また、驚くべきポイントがあります! レジスタンス運動の心臓への効果はBMIが変わらなくても認められたという事です。今まで、運動の健康効果は減量に伴うものだと考えられてきましたが、そうではない事が示されたのです。
つまり、『週60分運動しても、体重が減らないから健康的でない』とは言えない!という事です。
ご自身の健康のバロメーターを体重で考える必要はありません。
昨今、筋トレブーム、マラソンブームの甲斐あって、運動を習慣化する方が増えていると思います。ジムなどに通われている方も多いのではないですか?ジム通いも、“週60分”という目安が出来れば、簡単に習慣化できるのではないでしょうか?
そんな私には、運動習慣がありません・・・。
しかし、11月に開催される横浜マラソンにエントリーしました!!!!!!!!!!
しかも、フルマラソン。考えただけで地獄です・・・。抽選から外れていてくれればいいと内心思っています。
私もそろそろ、ランニングの練習に取り掛からないと・・・。
明日から、本気出す!!!
それでは、皆さんのご健康と、ハッピーなライフスタイルを心より祈っております。
[2018年12月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
*1:Medicine & Science in Sports & Exercise
一日一万歩も必要ない! 一日4400歩で長生きできる!!
皆さん、?糖尿病や心血管疾患、生活習慣病を予防するために何かしている事って、ありますか?
たぶん、
①食事に気を付ける
②適度な運動をする
③ストレスをため込まない
などなど、、、人によって様々だと思います。
でも、適度な運動ってどんなもん?って思いますよね?
一日一万歩!とかって、巷では言っていますが、これって実際のところどうなのかしら…?
と考えていたところに、いい記事を見つけました!
一日一万歩に科学的根拠はあるのか!?
ランニングと比べると、足腰に負担がかからず、有酸素運動を維持できる利点があります。ウォーキングの目安として、「一日一万歩」なんて話をよく聞きますが、、、これって、本当に科学的根拠があるのでしょうか?
米国のとある論文に、“歩行と健康の関連性” について書かれた論文を見つけましたので、ご紹介しますね!
高齢女性において一日4,400歩でも死亡率が少ないことが判明
結論から言いますと、‟高齢女性において、約4,400歩/日という少ない歩数でも約2,700歩/日に比べ、全死亡率が41%低いことが示された” というのです。
また、‟1日当たりの歩数の増加につれて全死亡率は減少するが、約7,500歩/日を超えると平坦化した。歩行強度については、1日の総歩数を考慮すると全死亡率低下との明らかな関連は認められなかった” という事なのです。*1
本研究は、米国のWomen's Health Studyにおいて、2011~15年に7日間、覚醒時間中に加速度計(歩数を計算する装置、万歩計のようなもの)を装着することに同意した1万8,289人の米国人女性が参加。1万7,708人が装着してデバイスを返却した(1万7,466デバイスからデータが正常にダウンロード)。そのうち、1日10時間以上、4日間以上装着していた1万6,741人のデータを用いて、1日当たり歩数および歩行強度の尺度(と全死亡率の関連を調べた。
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研究対象となった女性の平均年齢は72.0歳。
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平均歩数は一日 5,499歩
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歩行強度別の割合は、1分間あたり0歩が51.4%、1~39歩が45.5%、40歩以上(意図的歩行)が3.1%であった。
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解析結果では、一日あたりの平均歩数が増えるにつれて心拍数は減少したが、約
7,500歩/日以降は頭打ちとなった。 - 歩行強度に関して言えば、歩行強度が強いほど全死亡率は低下したが(一分間あたりの歩数が多い人)、1日当たりの歩数を調整後は全ての関連が減衰し、有意ではなくなった。
歩行強度とは
運動強度の指標として、心拍数や主観的運動強度(RPE)、代謝等量(METs)などが使用されています。しかし、これらの指標をウォーキングに代用するのは無理があります。そこで、歩行強度を測定するための方法として、“歩行率(一分間に歩ける歩数)” が指標とされています。
高齢女性において1日4,400歩ウォーキングできる人が健康なのか?
本研究結果をまとめると、「1日1万歩」を目標にしなくても、その半分の『1日4,400歩』で十分、死亡率が低下するという研究結果だったのですよね。
また、歩行強度と死亡率についても関連性は低く、友達やご主人さまとおしゃべりしながらのお散歩で十分、健康の恩恵が受けられるというありがたい報告です!
ただここで、注意しておきたいのは、
1日4,400歩、ウォーキングしたから死亡率が低いのか、あるいは、1日4,400歩ウォーキング出来るような体力のある高齢者だから(運動耐容能が高い)死亡率が低いのか、、、その因果関係は、はっきりしていません。
少なくとも、ウォーキングは健康のバロメーターになります。
例えば、「4,400歩も歩けないな・・・」と思われたら、運動耐容能が低く、体力がない可能性もあります。
また、「いつもは4,400歩 ウォーキング出来るのに、最近出来なくなった・・・」というのであれば、身体のどこかしこの調子が悪いのかもしれません。
少なくとも、毎日4,400歩ウォーキングをすることは、健康への近道であるのは間違いありません。
いかがでしたでしょう。
そういえば、一日一万歩って、どこからやってきたんでしょうね…。
*1:JAMA Internal Medicine誌オンライン版2019年5月29日号
加工肉や赤身肉を多く食べる人は、心血管疾患の発症や死亡率の危険性が高い
「好きな食べ物なに?」
って聞かれたら、迷いなく「肉、納豆」と答えている私ですが、、、
そんな私も、冷や汗が出る内容の論文が報告されました。
どうやら、‟加工肉や赤身肉をよく食べる人は、心血管疾患や死亡(脂肪じゃないですよ)のリスクが高い”そうなんですよ・・・。
今回は、この『加工肉や未加工赤身肉の摂取量が多い人は心血管疾患や死亡のリスクが高い』問う言う記事を簡単にレビューしていきたいと思います。
昨年の秋ごろ、「Annals of Internal Medicine」誌に‟赤身肉や加工肉によって、がんや2型糖尿病、心疾患が引き起こされるとは断定できない”という報告がされていたのですが、それとは相反する結論が、アメリカのノースウェスタン大学のNorrina Allen氏らの研究報告が「JAMA Internal Medicine」2月3日オンライン版に掲載されました。
論文はコチラ
研究内容
- 米国で行われた6件の前向きコホート研究をプール解析。
- 1985~2002年にベースライン登録された対象者2万9,682人(平均年齢53.7±15.7歳、うち男性が44.4%)を2016年8月31日まで19.0年(中央値)追跡
- 加工肉、未加工赤身肉、鶏肉、魚の摂取量と心血管イベント(冠動脈性心疾患、脳卒中、心不全、心血管死の複合エンドポイント)および全死亡との関連を検討。
研究結果
心血管イベントとの関連性について、1週間当たり2サービング(標準的な摂取量2回分)摂取した場合のリスクを見てみると、
- ソーセージやベーコンなどの加工肉では7%の有意なリスク増加
- 牛肉や豚肉などの未加工赤身肉では3%の有意なリスク増加
- 鶏肉では4%の有意なリスク増加
- 魚の摂取量とは有意な関連は見られなかった。
※「鶏肉摂取量との関連については一貫性がないため、他の研究による追試が必要」
全死亡との関連性について、1週間当たり2サービング(標準的な摂取量2回分)摂取した場合のリスクを見てみると、
- 加工肉は3%の有意なリスク増加が認められた。
- 未加工赤身肉は3%の有意なリスク増加が認められた。
- 鶏肉や魚の摂取量とは有意な関連は見られなかった。
サービングとは??
まとめ
加工肉や未加工赤身肉を食べるという事は、間接的に飽和脂肪酸の摂取量や塩分の摂取量が増えるという事なので、それが心血管疾患のリスク増大に関連している可能性はあるかもしれません。また、お肉をたくさん食べることで全体として野菜や穀物の摂取量が減る可能性もあります。野菜や根菜類から摂れる食物繊維の量が不十分になることも今回の結果に起因している可能性も否定できないと考えられます。肉のみでなく、野菜や果物の摂取量にも焦点を当てた包括的な研究結果が望まれますよね?
お肉を食べられないなら、タンパク質の補給源は?と思うかもしれないが、今回の研究では魚は心血管リスクや死亡率を上げませんでした。これは、今まで多く出されていた論文の結果と同じ。やはり魚介の油である不飽和脂肪酸が関与しているのでしょうか・・・?
今回対象となった被検者の食事摂取の内容とどんなものをどれだけ食べているかの割合の(肉は〇%、食物繊維は〇%、穀物は〇%など)が解明できていないので、「お肉をたくさん食べる=心血管死亡リスクが上がる、死亡率が上がる」とは言いきれないと思います。しかし、世界保健機関(WHO)は2015年の段階で、加工肉はがんの原因物質であり、赤身肉もそうである可能性が高いと発表しています。
でも、生活習慣病や心血管疾患の発症が、たった一つの食材だけで決まる訳ではないと思います。ただ、多くの論文や研究で明らかなのは、野菜や果物は健康に良いという事です。米国では、1日あたり5~10サービングという摂取量を推奨しているそうです。
パリッとしたウィンナー、美味しいですよね~、そしてベーコンエッグなんか、たまりません・・・私は大好きなんですが。。。
加工肉はちょっと控えることにしようかな…と感じる今日この頃です。
性別によって発症しやすい病気が異なる!?
皆さん、こんにちは!
情報番組とか巷のうわさでは、「糖尿病だと腎臓が悪くなりやすい」とか、「コレステロールが高いと動脈硬化が起こりやすい」って、耳にするじゃないですか。
確かに、間違っているとも言えないんですけど…。
〇〇だから、△△の病気に罹りやすい、死亡率が上がる。って言われると気になりますよね。
そこで皆さん、最も分かりやすい2者択一の特徴といったら、、、
性別。
この性差によって、特定の病気になる可能性って変わったりするのかな?って、疑問に思ったのです。で、調べてみると出てきましたよ~。性差(性別)によって罹患しやすい疾病があるそうです!
こればわかったら、日々の食生活や習慣で自分がどんなことに気を付けて生活していけばよいのかの指標にはなると思います。
今回引用したのは、国立循環器病研究センター予防 健診部部長の宮本恵宏氏が、第40日本肥満学会・第37回日本肥満症治療学会(2019年11月2〜4日)において、発表した吹田研究(大阪府吹田市在住の都市住民を対象としたコホート研究)。
この研究によって、『男性と女性では循環器疾患に対する危険因子が異なる』という事が明らかにしました。
腹囲の増加において、男性が冠動脈疾患リスクが上昇、女性は脳卒中リスクが上昇
- 肥満(BMI)と高血圧発症のリスクの関連性を見ると、BMIが高いほど高血圧の発症リスクは上昇した。
- 各々の性別による現在・出生時の体重と血圧の関係を調査したところ、 男性では成人期のBMIが高値なほど血圧が高くなるのですが、出生時体重の影響はあまり受けない。一方で、女性の血圧は成人期のBMIが高い者ほど高値を示すとともに、出生時体重が低い者ほど高い傾向が認められた。
- 循環器疾患の発症リスクと腹囲(ウエスト周囲長)の関係を見てみると、男女とも50〜69歳では腹囲の増加に伴い循環器疾患の発症リスクが有意に上昇した。特に男性では主に冠動脈疾患リスクが上昇、女性では脳卒中リスクが上昇した。しかし、30〜49歳および70歳以上では、同様の傾向は見られなかった。
- 腹囲と高血圧の発症リスクにも同様の関係が見られ、男性では85cm以上で高血圧の発症リスクが有意に高く、女性では90cm以上で有意に高かった。
- 肥満と高尿酸血症の関係については、男性では腹囲80cm未満と比べ85cm以上でリスクが1.5倍となるが、女性では上昇傾向を認めるにとどまった。
以上を簡単にまとめると、
- 高血圧症に関しては、男女ともに肥満(BMI 高値)であると高血圧を発症しやすい。ただ女性の場合は現在の体重だけでなく、出生時の体重が低い人ほど高血圧になりやすいという傾向がみらた。つまり女性は出生時の体重の影響を受けやすいという事ですね。
- 男女ともに50-69歳では、腹囲の増加に伴って循環器疾患に掛かりやすくなるので注意が必要。自宅でメジャーでウエスト回りを測定したり(男性では85cm以上、女性では90cm以上で注意!!)、病院に設置されてあるCT検査によって腹部肥満の原因が皮下脂肪なのか内臓脂肪なのかを確認するのもいい方法です。
- 50-69歳で男性の場合、腹囲が大きいと冠動脈疾患をは発症しやすい。一方女性では脳卒中に掛かりやすくなる。しかし、女性の場合、30-49歳における腹囲の増加は脳卒中発症とは関連性がなかった。これは、女性にとって閉経が脳卒中と関連している可能性もありますね。
- 腹囲と高尿酸血症(いわゆる痛風)の関連性は、腹囲が85cm以上の男性は発症リスクが高まる。一方で、女性では上昇傾向がある。という事にとどまりました。高尿酸血症は性差を受けるという事ですね。特に男性&肥満の方は気を付ける必要がありそうですね。
女性は飲酒の影響が大きい
男女ともに飲酒の有無と肥満による疾病リスクを調査したところ、男性は飲酒 の有無にかかわらず腹囲が大きいほど高尿酸血症の発症リスクが上昇した。一方で女性ではそうした関係は認められなかった。
つまり、女性においては飲酒の影響により、肥満と高尿酸血症の関連性が薄れたということ。これは、女性では肥満以外に飲酒という影響を受けやすいとも考えられる。
男女ともにメタボリックシンドロームと喫煙の組み合わせで心血管疾患リスクが上昇
喫煙とメタボリックシンドロームが心血管疾患の発症に及ぼす影響については、男女ともに喫煙 またはメタボリックシンドロームにより心血管疾患発症リスクは上昇した。喫煙の影響を男性は33.7%受けるのに対し、女性は13.8%であったが、メタボリックシンドロームの影響については男性19.4%に対し、女性は29.5%と高かった。
『喫煙とメタボリックシンドロームが心血管疾患に与える影響(Circ J 2009; 73: 2258-2263を基に宮本恵宏氏作成による表を引用)』
この表を見てわかるように、心血管疾患になりやすいのは、男女ともにメタボリックシンドローム&喫煙者。ここで注目したいのは、女性においてはメタボリックシンドロームの影響を受けやすく、さらにメタボリックシンドローム&喫煙によって心血管疾患発症リスクは著しく高まります。女性にとってメタボリックシンドロームと喫煙の合わせ技は非常に注意が必要だとわかります。
痩せた女性は糖尿病に注意を!
次にあげるのは、女性のみの調査結果
>>>佐久中央病院(長野県)が女性4,725人(30-69歳)の健診データをもとに追跡調査(7.2年間)を行ったデータでは、肥満(BMI:25以上)と痩せ(BMI:18.5未満)で糖尿病の発症リスクが高まった。さらに、30〜39歳、および40〜49歳における肥満は糖尿病リスクが上昇した。しかし、60~69歳では痩せていると糖尿病になるリスクが高まった。
女性に限って考えると、30~50歳までの中年期においては太らないように気を付ける。一方、60~69歳の高齢期においては痩せないように注意する必要がある。女性においては、食習慣が糖尿病と関係しているのではないおだろうか。
まとめ
男女ともに、心血管疾患に罹りやすい危険因子は異なるということがわかりました。
男性では肥満に注意。女性では飲酒や喫煙にも注意が必要です。
また女性の場合、更年期以降は痩せいないように気を付けなければなりません。栄養価の高い食事をること、3食規則正しく食べる事、そして運動習慣によって筋力をつけることが糖尿病の魔の手からご自身を守る手助けとなりそうです。
それでは、またお会いしましょう~
ストレスで白髪は増えるのか!?
先日、駅構内のプラットフォームで電車を待っていたら、ある親子がこんな会話をしていたんです。
「んもーーー、太郎君が迷惑かけるから、お母さんの白髪が増えっちゃったじゃないの!?」
私は思ったんですよ、、、本当にストレスで白髪が増えるのか?エイジング加齢だろ、、、子供のせいにするなよ・・・って。という事で調べてみると、興味深い論文が見つかりました~。
ストレスがかかると白髪が増える
今回参考にした論文は、コチラです。
米ハーバード大学幹細胞・再生医学准教授のYa-Chieh Hsu氏らは、マウスを用いた実験を行い、ストレスがかかると白髪が増える機序を解明したそうです。*1
生物はストレスを感じると、「闘うか逃げるか」(闘争・逃走反応)のどちらかを選ぶよう自律神経が働き、神経伝達物質のノルアドレナリンが産生される。今回の実験では、マウスを物理的、心理的ストレスにさらしたところ、この闘争・逃走反応の一部を担う交感神経系が活性化されて、放出されたノルアドレナリンの影響で、毛包にある色素をつくる色素幹細胞が永続的に枯渇してしまうことが分かった。ストレスで白髪が増えるのは、この機序によるものだ。
Hsu氏らは、このように主張しています。
闘争・迷走反応って?
ヒトを含む脊椎動物は、突然の恐怖や差し迫る危険に直面すると、身体に「急性ストレス反応」が起きます。瞳孔は拡大し、鼓動は一気に速まり、発汗が伴い、血圧が上がって呼吸が荒々しくなります。これらは、危機的状況に対応するための体の反応です。
危険から身を守るための防御反応ですが、生命の危険に瀕した時だけでなく、私たちの身の回りで起こる将来のこと、金銭のこと、人間関係のこと、仕事のこと、自分のこと、病気や老化のことなど、悩みや心配ごとがが精神的ストレスとなり、「不安」を引き起こします。このような不安に対しても私たちの身体は、その危機に対して心の準備をするため、防御反応が起こります。
Hsu氏らは、またこのようにも解説しています。
今回、発見したストレスによる身体への悪影響は予想以上だった。マウスに物理的、心理的なストレスを与えてから数日後には、色素幹細胞は過剰に反応した後、全て枯渇してしまった。幹細胞が消失すると色素は再生できなくなる。しかもこのダメージは永続的なものだった。
ストレスから自分を守る防御反応が逆に自分の身体に悪い変化を与える
私たち人間の身の回りには、数々の不安や悩み、怒り、恐怖といったストレスを日々抱えています。このようなストレスが起因して生じる危険から「体や心を守ろう!」と、自分の身体の組織、器官が敵(ストレス)からディフェンス(防衛)するわけです。ストレスが原因でキリキリと胃が痛くなったり、便秘・下痢になったり、またはストレスで太った、痩せたなど、、、ストレスが原因となって何らかの体の変化が生じることを我々は身に染みて自覚しています。
今回の研究は、ストレスによって体がどのように変化するかに着目しており、特に毛髪を題材にしたところはとても明快です。何故かと言うと「髪の色素沈着は研究材料として扱いやすいから」です。
今回の研究は、動物実験の結果に過ぎませんが「闘争・逃走反応」といったネガティブな思考が身体や精神に影響を与えていることを示唆しています。本来、闘争・逃走反応を刺激するような急性ストレスは、従来動物が生き延びるために役立つと考えられてきました。しかし、急激なストレスによって幹細胞が消失し、挙句の果てには永遠に失ってしまう・・・という身も蓋もないような結論に至りました。
けれども、今回のストレス実験は身体に与える影響が『白髪の増加』だけとは限らないと思いませんか?シワ、たるみなど・・・女性が気にしてやまない外見上の見た目や衰えにもストレスが関係しているのかも???
ストレスが我々の他の臓器や器官に影響を及ぼしている事が否定できなくなってきました。自分を守るための防御反応が、めぐりめぐって自分の身体に悪影響を与える結果となっているのですね。
心理的、物理的ストレスの悪影響から、どのように身体を守り回復させていくのか?その手段を見つける事が肝要であると思います。
旅行に行く、温泉に行く、自然中で過ごす、運動する、おしゃべりするなど、ストレスの向き合い方は人によって様々あると思います。現代社会、ストレスを皆無にすることは困難ではありますが、ストレスを受けていると自覚しそれに対応するなんらかの武器があるといいかもしれませんね。
現在、新型コロナの感染拡大の影響で容易に外出できなくなっています。新型コロナによる感染拡大を避ける目的から、外出の自粛、テーマパークの臨時休園、イベント等が続々と中止に至っております。また、国内では消費の落ち込みなど、経済に深刻な影響が出ています。こんな状況ではストレスが溜まる一方ですよね・・・。
けれど、キャンプなどの飛沫や感染リスクが少ないアウトドアの需要は高まっているそうです。また、宴会の自粛規制は出ていますが、東京都は散策などのお花見の鑑賞は推奨しているそうですよ。
『ストレスによって、白髪が増える』ということが判明したわけですから、、、私も母への対応には気を付けます。母の白髪が増えたのは、マイケルゆみこが原因なのかも!?
参考
[2020年1月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.
原著論文はこちら
Zhang B, et al. Nature. 2020 Jan 22..
*1:「Nature」1月22日オンライン版