現役メディカルスタッフが語る!!健康な身体と心を手に入れる極意

循環器専門病院に勤務するメディカルスタッフ(健康オタク)が、最強の身体と心を手に入れるための方法を伝授します!巷のうわさ話ではない、科学的根拠(Evidence)に基づいた健康法を医療専門家の視点から徹底的に語ります。

加工肉や赤身肉を多く食べる人は、心血管疾患の発症や死亡率の危険性が高い

「好きな食べ物なに?」

って聞かれたら、迷いなく「肉、納豆」と答えている私ですが、、、

そんな私も、冷や汗が出る内容の論文が報告されました。

どうやら、‟加工肉や赤身肉をよく食べる人は、心血管疾患や死亡(脂肪じゃないですよ)のリスクが高い”そうなんですよ・・・。

 

今回は、この『加工肉や未加工赤身肉の摂取量が多い人は心血管疾患や死亡のリスクが高い』問う言う記事を簡単にレビューしていきたいと思います。

 

「肉 フリー」の画像検索結果

 

昨年の秋ごろ、「Annals of Internal Medicine」誌に‟赤身肉や加工肉によって、がんや2型糖尿病、心疾患が引き起こされるとは断定できない”という報告がされていたのですが、それとは相反する結論が、アメリカのノースウェスタン大学のNorrina Allen氏らの研究報告が「JAMA Internal Medicine」2月3日オンライン版に掲載されました。

論文はコチラ

 

研究内容
  • 米国で行われた6件の前向きコホート研究をプール解析。
  • 1985~2002年にベースライン登録された対象者2万9,682人(平均年齢53.7±15.7歳、うち男性が44.4%)を2016年8月31日まで19.0年(中央値)追跡
  • 加工肉、未加工赤身肉、鶏肉、魚の摂取量と心血管イベント(冠動脈性心疾患、脳卒中心不全、心血管死の複合エンドポイント)および全死亡との関連を検討。

研究結果

心血管イベントとの関連性について、1週間当たり2サービング(標準的な摂取量2回分)摂取した場合のリスクを見てみると、

  1. ソーセージやベーコンなどの加工肉では7%の有意なリスク増加
  2. 牛肉や豚肉などの未加工赤身肉では3%の有意なリスク増加
  3. 鶏肉では4%の有意なリスク増加
  4. 魚の摂取量とは有意な関連は見られなかった。

※「鶏肉摂取量との関連については一貫性がないため、他の研究による追試が必要」

 

全死亡との関連性について、1週間当たり2サービング(標準的な摂取量2回分)摂取した場合のリスクを見てみると、

  1. 加工肉は3%の有意なリスク増加が認められた。
  2. 未加工赤身肉は3%の有意なリスク増加が認められた。
  3. 鶏肉や魚の摂取量とは有意な関連は見られなかった。

 

サービングとは?? 

www.maff.go.jp

 

 

まとめ


 加工肉や未加工赤身肉を食べるという事は、間接的に飽和脂肪酸の摂取量や塩分の摂取量が増えるという事なので、それが心血管疾患のリスク増大に関連している可能性はあるかもしれません。また、お肉をたくさん食べることで全体として野菜や穀物の摂取量が減る可能性もあります。野菜や根菜類から摂れる食物繊維の量が不十分になることも今回の結果に起因している可能性も否定できないと考えられます。肉のみでなく、野菜や果物の摂取量にも焦点を当てた包括的な研究結果が望まれますよね?

 お肉を食べられないなら、タンパク質の補給源は?と思うかもしれないが、今回の研究では魚は心血管リスクや死亡率を上げませんでした。これは、今まで多く出されていた論文の結果と同じ。やはり魚介の油である不飽和脂肪酸が関与しているのでしょうか・・・?

 

 今回対象となった被検者の食事摂取の内容とどんなものをどれだけ食べているかの割合の(肉は〇%、食物繊維は〇%、穀物は〇%など)が解明できていないので、「お肉をたくさん食べる=心血管死亡リスクが上がる、死亡率が上がる」とは言いきれないと思います。しかし、世界保健機関(WHO)は2015年の段階で、加工肉はがんの原因物質であり、赤身肉もそうである可能性が高いと発表しています。


でも、生活習慣病や心血管疾患の発症が、たった一つの食材だけで決まる訳ではないと思います。ただ、多くの論文や研究で明らかなのは、野菜や果物は健康に良いという事です。米国では、1日あたり5~10サービングという摂取量を推奨しているそうです。

パリッとしたウィンナー、美味しいですよね~、そしてベーコンエッグなんか、たまりません・・・私は大好きなんですが。。。

加工肉はちょっと控えることにしようかな…と感じる今日この頃です。

 

 

原著論文

Zhong VW, et al. JAMA Intern Med. 2020 Feb 3. 

参照

ケアネット

性別によって発症しやすい病気が異なる!?

皆さん、こんにちは!

情報番組とか巷のうわさでは、「糖尿病だと腎臓が悪くなりやすい」とか、「コレステロールが高いと動脈硬化が起こりやすい」って、耳にするじゃないですか。

確かに、間違っているとも言えないんですけど…。

〇〇だから、△△の病気に罹りやすい、死亡率が上がる。って言われると気になりますよね。

そこで皆さん、最も分かりやすい2者択一の特徴といったら、、、

性別。

この性差によって、特定の病気になる可能性って変わったりするのかな?って、疑問に思ったのです。で、調べてみると出てきましたよ~。性差(性別)によって罹患しやすい疾病があるそうです!

こればわかったら、日々の食生活や習慣で自分がどんなことに気を付けて生活していけばよいのかの指標にはなると思います。

 

今回引用したのは、国立循環器病研究センター予防 健診部部長の宮本恵宏氏が、第40日本肥満学会・第37回日本肥満症治療学会(2019年11月2〜4日)において、発表した吹田研究(大阪府吹田市在住の都市住民を対象としたコホート研究)。

この研究によって、『男性と女性では循環器疾患に対する危険因子が異なる』という事が明らかにしました。

「心臓 フリー素材」の画像検索結果

 

腹囲の増加において、男性が冠動脈疾患リスクが上昇、女性は脳卒中リスクが上昇

  1. 肥満(BMI)と高血圧発症のリスクの関連性を見ると、BMIが高いほど高血圧の発症リスクは上昇した。

  2. 各々の性別による現在・出生時の体重と血圧の関係を調査したところ、 男性では成人期のBMIが高値なほど血圧が高くなるのですが、出生時体重の影響はあまり受けない。一方で、女性の血圧は成人期のBMIが高い者ほど高値を示すとともに、出生時体重が低い者ほど高い傾向が認められた。

  3. 循環器疾患の発症リスクと腹囲(ウエスト周囲長)の関係を見てみると、男女とも50〜69歳では腹囲の増加に伴い循環器疾患の発症リスクが有意に上昇した。特に男性では主に冠動脈疾患リスクが上昇、女性では脳卒中リスクが上昇した。しかし、30〜49歳および70歳以上では、同様の傾向は見られなかった。

  4. 腹囲と高血圧の発症リスクにも同様の関係が見られ、男性では85cm以上で高血圧の発症リスクが有意に高く、女性では90cm以上で有意に高かった。

  5. 肥満と高尿酸血症の関係については、男性では腹囲80cm未満と比べ85cm以上でリスクが1.5倍となるが、女性では上昇傾向を認めるにとどまった。

以上を簡単にまとめると、

  • 高血圧症に関しては、男女ともに肥満(BMI 高値)であると高血圧を発症しやすい。ただ女性の場合は現在の体重だけでなく、出生時の体重が低い人ほど高血圧になりやすいという傾向がみらた。つまり女性は出生時の体重の影響を受けやすいという事ですね。

  • 男女ともに50-69歳では、腹囲の増加に伴って循環器疾患に掛かりやすくなるので注意が必要。自宅でメジャーでウエスト回りを測定したり(男性では85cm以上、女性では90cm以上で注意!!)、病院に設置されてあるCT検査によって腹部肥満の原因が皮下脂肪なのか内臓脂肪なのかを確認するのもいい方法です。

  • 50-69歳で男性の場合、腹囲が大きいと冠動脈疾患をは発症しやすい。一方女性では脳卒中に掛かりやすくなる。しかし、女性の場合、30-49歳における腹囲の増加は脳卒中発症とは関連性がなかった。これは、女性にとって閉経が脳卒中と関連している可能性もありますね。

  • 腹囲と高尿酸血症(いわゆる痛風)の関連性は、腹囲が85cm以上の男性は発症リスクが高まる。一方で、女性では上昇傾向がある。という事にとどまりました。高尿酸血症は性差を受けるという事ですね。特に男性&肥満の方は気を付ける必要がありそうですね。

 

女性は飲酒の影響が大きい

男女ともに飲酒の有無と肥満による疾病リスクを調査したところ、男性は飲酒 の有無にかかわらず腹囲が大きいほど高尿酸血症の発症リスクが上昇した。一方で女性ではそうした関係は認められなかった。

つまり、女性においては飲酒の影響により、肥満と高尿酸血症の関連性が薄れたということ。これは、女性では肥満以外に飲酒という影響を受けやすいとも考えられる。

 

男女ともにメタボリックシンドロームと喫煙の組み合わせで心血管疾患リスクが上昇


喫煙とメタボリックシンドロームが心血管疾患の発症に及ぼす影響については、男女ともに喫煙 またはメタボリックシンドロームにより心血管疾患発症リスクは上昇した。喫煙の影響を男性は33.7%受けるのに対し、女性は13.8%であったが、メタボリックシンドロームの影響については男性19.4%に対し、女性は29.5%と高かった。

 

『喫煙とメタボリックシンドロームが心血管疾患に与える影響(Circ J 2009; 73: 2258-2263を基に宮本恵宏氏作成による表を引用)』

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この表を見てわかるように、心血管疾患になりやすいのは、男女ともにメタボリックシンドローム&喫煙者。ここで注目したいのは、女性においてはメタボリックシンドロームの影響を受けやすく、さらにメタボリックシンドローム&喫煙によって心血管疾患発症リスクは著しく高まります。女性にとってメタボリックシンドロームと喫煙の合わせ技は非常に注意が必要だとわかります。

 

痩せた女性は糖尿病に注意を!

次にあげるのは、女性のみの調査結果

>>>佐久中央病院(長野県)が女性4,725人(30-69歳)の健診データをもとに追跡調査(7.2年間)を行ったデータでは、肥満(BMI:25以上)と痩せ(BMI:18.5未満)で糖尿病の発症リスクが高まった。さらに、30〜39歳、および40〜49歳における肥満は糖尿病リスクが上昇した。しかし、60~69歳では痩せていると糖尿病になるリスクが高まった。

女性に限って考えると、30~50歳までの中年期においては太らないように気を付ける。一方、60~69歳の高齢期においては痩せないように注意する必要がある。女性においては、食習慣が糖尿病と関係しているのではないおだろうか。

 

まとめ

男女ともに、心血管疾患に罹りやすい危険因子は異なるということがわかりました。

男性では肥満に注意。女性では飲酒や喫煙にも注意が必要です。

また女性の場合、更年期以降は痩せいないように気を付けなければなりません。栄養価の高い食事をること、3食規則正しく食べる事、そして運動習慣によって筋力をつけることが糖尿病の魔の手からご自身を守る手助けとなりそうです。

それでは、またお会いしましょう~

 

 

 

 

ストレスで白髪は増えるのか!?

先日、駅構内のプラットフォームで電車を待っていたら、ある親子がこんな会話をしていたんです。

「んもーーー、太郎君が迷惑かけるから、お母さんの白髪が増えっちゃったじゃないの!?」

私は思ったんですよ、、、本当にストレスで白髪が増えるのか?エイジング加齢だろ、、、子供のせいにするなよ・・・って。という事で調べてみると、興味深い論文が見つかりました~。

 

「髪の毛」の画像検索結果

 

ストレスがかかると白髪が増える

今回参考にした論文は、コチラです。

ハーバード大学幹細胞・再生医学准教授のYa-Chieh Hsu氏らは、マウスを用いた実験を行い、ストレスがかかると白髪が増える機序を解明したそうです。*1

pmc.carenet.com

 

 生物はストレスを感じると、「闘うか逃げるか」(闘争・逃走反応)のどちらかを選ぶよう自律神経が働き、神経伝達物質ノルアドレナリンが産生される。今回の実験では、マウスを物理的、心理的ストレスにさらしたところ、この闘争・逃走反応の一部を担う交感神経系が活性化されて、放出されたノルアドレナリンの影響で、毛包にある色素をつくる色素幹細胞が永続的に枯渇してしまうことが分かった。ストレスで白髪が増えるのは、この機序によるものだ。

Hsu氏らは、このように主張しています。

 

闘争・迷走反応って?

ヒトを含む脊椎動物は、突然の恐怖や差し迫る危険に直面すると、身体に「急性ストレス反応」が起きます。瞳孔は拡大し、鼓動は一気に速まり、発汗が伴い、血圧が上がって呼吸が荒々しくなります。これらは、危機的状況に対応するための体の反応です。

危険から身を守るための防御反応ですが、生命の危険に瀕した時だけでなく、私たちの身の回りで起こる将来のこと、金銭のこと、人間関係のこと、仕事のこと、自分のこと、病気や老化のことなど、悩みや心配ごとがが精神的ストレスとなり、「不安」を引き起こします。このような不安に対しても私たちの身体は、その危機に対して心の準備をするため、防御反応が起こります。

 

 Hsu氏らは、またこのようにも解説しています。

今回、発見したストレスによる身体への悪影響は予想以上だった。マウスに物理的、心理的なストレスを与えてから数日後には、色素幹細胞は過剰に反応した後、全て枯渇してしまった。幹細胞が消失すると色素は再生できなくなる。しかもこのダメージは永続的なものだった。

 

ストレスから自分を守る防御反応が逆に自分の身体に悪い変化を与える 

 私たち人間の身の回りには、数々の不安や悩み、怒り、恐怖といったストレスを日々抱えています。このようなストレスが起因して生じる危険から「体や心を守ろう!」と、自分の身体の組織、器官が敵(ストレス)からディフェンス(防衛)するわけです。ストレスが原因でキリキリと胃が痛くなったり、便秘・下痢になったり、またはストレスで太った、痩せたなど、、、ストレスが原因となって何らかの体の変化が生じることを我々は身に染みて自覚しています。

 今回の研究は、ストレスによって体がどのように変化するかに着目しており、特に毛髪を題材にしたところはとても明快です。何故かと言うと「髪の色素沈着は研究材料として扱いやすいから」です。

 

 今回の研究は、動物実験の結果に過ぎませんが「闘争・逃走反応」といったネガティブな思考が身体や精神に影響を与えていることを示唆しています。本来、闘争・逃走反応を刺激するような急性ストレスは、従来動物が生き延びるために役立つと考えられてきました。しかし、急激なストレスによって幹細胞が消失し、挙句の果てには永遠に失ってしまう・・・という身も蓋もないような結論に至りました。

  けれども、今回のストレス実験は身体に与える影響が『白髪の増加』だけとは限らないと思いませんか?シワ、たるみなど・・・女性が気にしてやまない外見上の見た目や衰えにもストレスが関係しているのかも???

 ストレスが我々の他の臓器や器官に影響を及ぼしている事が否定できなくなってきました。自分を守るための防御反応が、めぐりめぐって自分の身体に悪影響を与える結果となっているのですね。

 

「ストレス フリー」の画像検索結果

 

 心理的、物理的ストレスの悪影響から、どのように身体を守り回復させていくのか?その手段を見つける事が肝要であると思います。

 旅行に行く、温泉に行く、自然中で過ごす、運動する、おしゃべりするなど、ストレスの向き合い方は人によって様々あると思います。現代社会、ストレスを皆無にすることは困難ではありますが、ストレスを受けていると自覚しそれに対応するなんらかの武器があるといいかもしれませんね。

  

 現在、新型コロナの感染拡大の影響で容易に外出できなくなっています。新型コロナによる感染拡大を避ける目的から、外出の自粛、テーマパークの臨時休園、イベント等が続々と中止に至っております。また、国内では消費の落ち込みなど、経済に深刻な影響が出ています。こんな状況ではストレスが溜まる一方ですよね・・・。

 けれど、キャンプなどの飛沫や感染リスクが少ないアウトドアの需要は高まっているそうです。また、宴会の自粛規制は出ていますが、東京都は散策などのお花見の鑑賞は推奨しているそうですよ。

 『ストレスによって、白髪が増える』ということが判明したわけですから、、、私も母への対応には気を付けます。母の白髪が増えたのは、マイケルゆみこが原因なのかも!?

 

参考

[2020年1月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.

原著論文はこちら

Zhang B, et al. Nature. 2020 Jan 22.. 

*1:「Nature」1月22日オンライン版

胃がんは防げる病気って、知ってましたか!? 第二弾 ~科学的根拠を踏まえて~

皆さん、こんにちは(^^)
コロナウィルスの感染拡大に伴い、外出やイベントへの出席が制限され、自宅でもんもんと過ごしている方も多いのでは??
そんな時は、マイケルゆみこのブログを読んで、健康の知識を増殖させましょう!
 
 今回は、前回に引き続き『胃がんとピロリ菌』についてお話を進めていこうと思います。WHO(世界保健機関)が1994年、ピロリ菌を「確実な発がん因子」と認定したことを受け、日本では2000年からピロリ菌の除菌治療が健康保険に適用されました。

実際、胃がん患者の99%が感染陽性ないしは感染の既往者であり、未感染者に胃がんが発症することは非常にまれであることが確認されています。

胃がんとピロリ菌の関係は分かったし、前回のブログでピロリ菌の除菌方法は分かったけど、、、本当にピロリ菌を除菌して胃がんを予防できるの!?
って、思っている方も多いはず。なので、科学的根拠を元にして『ピロリ菌除菌によって胃がん発症率が低下する』というご報告をしようと思います。今回取り上げる論文はコチラです。
 
 
第1度近親者に胃がんの家族歴があるHelicobacter pylori感染者では、H. pyloriの除菌治療によって胃がんのリスクが低下することが、韓国・国立がんセンターのIl Ju Choi氏らの検討で示されました。*1
※第1度近親者:ある人にとって、両親、兄弟、姉妹、子供をさす。
 

 

除菌治療の有無で胃がん発生を比較する単一施設の無作為化試験研究内容 

研究内容
  • 韓国の単一施設で実施された二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験
  • 期間は2004年11月~2011年12月(韓国・国立がんセンターの助成による)
  • 対象は、年齢40~65歳、第1度近親者に1人以上の胃がん患者がいるH. pylori感染者であった。
  • 胃がんや他臓器のがんの既往歴のある患者や、H. pylori除菌治療歴のある患者は除外された。
  • 被験者は、H. pylori除菌治療を行う群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。
  • H. pylori除菌治療は、ランソプラゾール(プロトンポンプ阻害薬)30mg+アモキシシリン1,000mg+クラリスロマイシン500mgが、1日2回、7日間投与された。
 研究結果
  1. 1,838例が無作為化の対象となり、除菌治療群に917例(平均年齢48.8±6.0歳、男性49.9%)、プラセボ群には921例(48.8±6.3歳、49.1%)が割り付けられた。
  2. 1,676例(修正ITT集団、除菌治療群832例、プラセボ群844例)が主要アウトカムの解析に含まれた。
  3. 主要アウトカム評価の追跡期間中央値は9.2年(IQR:6.2~10.6)、全生存率評価の追跡期間中央値は10.2年(8.9~11.6)だった。
  4. 胃がんは、除菌治療群が832例中10例(1.2%)で発生し、プラセボ群の844例中23例(2.7%)と比較して、頻度が有意に低かった。
  5. 胃がん発生例33例のうち、30例(90.9%)がStage I、3例(9.1%)はStage IIだった。 
  6. H. pylori除菌の状況別の胃がんの発生は、1,587例(H. pylori除菌達成例608例、持続感染例979例)で評価が可能であった。
  7. 胃がんは、H. pylori除菌達成例が608例中5例(0.8%)で発生し、持続感染例の979例中28例(2.9%)に比べ、頻度が有意に低かった。
  8. 胃がんが発生した除菌治療群の10例のうち、5例(50.0%)にH. pyloriの持続感染が認められた。持続感染例では、除菌治療群とプラセボ群で胃がんの発生は類似していた。
  9. 除菌治療群の917例中16例(1.7%)およびプラセボ群の921例中18例(2.0%)が死亡し、全生存率に関して両群間に有意な差はなかった。また、胃がんによる死亡はみられなかった。 
  10. 薬剤関連有害事象は全般に軽度であり、頻度は除菌治療群がプラセボ群よりも高かった(53.0% vs.19.1%、p<0.001)。
  11. 除菌治療群で多い有害事象は、味覚変化(32.3% vs.3.5%、p<0.001)、悪心(6.6% vs.3.2%、p=0.001)、下痢(22.3% vs.6.1%、p<0.001)、腹痛(4.6% vs.0.9%、p<0.001)であり、有意差はないが消化不良(7.9% vs.6.1%)の頻度も高かった。 

 

今回の研究をまとめると、

  1. 第一近親者に胃がん罹患歴のあるピロリ菌感染者はを除菌する事によって、胃がんを予防できる可能性がある。
  2. ただし、除菌が達成されなかった患者の胃がんリスクは、除菌達成例と比較し高く、そのリスクはプラセボ群(除菌を行わなかった群)と同等であると考えられる。
  3. 今回のデータは、検査の適応があり、検査結果が陽性の患者は誰もが除菌治療を受けるべきであり、治療後は除菌成功の結果を確認する必要がある。

 

 今回の研究は第一近親者に胃がん罹患者がいるという条件下で行っていますが、近親者に胃がん罹患者がいるいないに関わらず、慢性胃炎胃潰瘍、十二指腸潰瘍の既往歴のある人は医療保険が適応されるので、ピロリ菌の検査を受けることを強く推奨します。その検査でピロリ菌を保菌していると判定されれば、お薬を飲んで内服による除菌治療を行いましょう。除菌薬はお薬ですので、若干の副作用は伴います。その副作用の主なものは、味覚変化、悪心、下痢、腹痛などの症状です。しかし、この副作用は僅かですし、将来的に胃がんを発症するリスクに比べたら、まだましかな・・・っといったところでしょう。

そして、除菌したらこれでOK!!と思ってはいけません。ピロリ菌の除菌が出来ているかどうかの再検査を必ずしましょう。この再検査は1回目の除菌治療の際、主治医の先生が再検査するよう勧めてくれるはずです。もし、1度目の除菌検査で除菌達成が出来ていなければ、状況は変わらず胃がん発症率が高いままです。

 

胃がんを発症しない最大の方法は、ピロリ菌検査をして、感染してたら除菌して、再検査して、、、それでもピロリ菌がいたら、再度除菌治療を行う。』です。

ピロリ菌検査で守れる命があります。ご自身だけでなく、ご家族ご友人にも、予防医療であるピロリ菌検査をお勧めしてみて下さい。

 

 

参照:ケアネット 菅野 守氏

原著論文:

Choi IJ, et al. N Engl J Med. 2020;382:427-436.

 

*1:NEJM誌2020年1月30日号

胃がんは防げる病気って、知ってましたか!? ~ピロリ菌について~

皆さん、こんにちは(^^)

いきなりですが、

2017年に厚生労働省から発表された「平成29年(2017)人口動態統計(確定数)」を基に、日本人の死亡原因を調べてみると、日本人の死因TOP5は、①悪性新生物(がん)、②心疾患、③脳血管疾患、④老衰、⑤肺炎なんです。そして今日では、日本人の二人に一人はがんになるとも言われています。

また、男性では、肺(気管支含む)、胃、肝・胆管がん、膵、前立腺と続き、女性では、肺(気管支含む)、結腸、膵、胃、乳房と続きます。

今回は、男女ともにがんの好発部位である、『胃がん』についてお話していこうと思います。

 

胃がんとは
胃がんは、胃の壁の内側をおおう粘膜の細胞が何らかの原因でがん細胞となり、無秩序にふえていくことにより発生します。がんが大きくなるにしたがい、徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜へと外側に深く進んでいきます。がんがより深く進むと、漿膜の外側まで達して、近くにある大腸や膵臓(すいぞう)にも広がっていきます。このようにがんが周囲に広がっていくことを浸潤(しんじゅん)といいます。
胃がんでは、がん細胞がリンパ液や血液の流れに乗って、離れた臓器でとどまってふえる転移が起こることがあります。また、漿膜の外側を越えて、おなかの中にがん細胞が散らばる腹膜播種(ふくまくはしゅ)が起こることがあります。
胃がんの中には、胃の壁を硬く厚くさせながら広がっていくタイプがあり、これをスキルス胃がんといいます。早期のスキルス胃がん内視鏡検査で見つけることが難しいことから、症状があらわれて見つかったときには進行していることが多く、治りにくいがんです。
「胃」の画像検索結果

参照:国立がん研究センター

 
胃がんの症状
胃がんは、早い段階では自覚症状がほとんどなく、かなり進行しても症状がない場合があります。
代表的な症状は、胃(みぞおち)の痛み・不快感・違和感、胸やけ、吐き気、食欲不振などです。また、胃がんから出血することによって起こる貧血や黒い便が発見のきっかけになる場合もあります。しかし、これらは胃がんだけにみられる症状ではなく、胃炎や胃潰瘍(いかいよう)の場合でも起こります。胃炎や胃潰瘍などの治療で内視鏡検査を行ったときに偶然に胃がんが見つかることもあります。
また、食事がつかえる、体重が減る、といった症状がある場合は、進行胃がんの可能性もあります。
これらのような症状があれば、検診を待たずに医療機関を受診しましょう。

 

 

胃がんの原因

慢性胃炎を起こすすべての要因は胃癌の原因といえます。

  1. 喫煙
  2. ヘリコバクターピロリ菌(ピロリ菌)による胃粘膜の感染
  3. 遺伝性素因
  4. 塩分の多い食事

 

いずれにせよ、様々な原因から胃粘膜細胞が傷つくと細胞の突然変異が起こり(がん細胞)、がん細胞が増殖するといったようなかたちで、胃がんが発生します。

遺伝的素因は、自分の力でどうする事も出来ないですが、喫煙と塩分の多い食事を制限する事は何とか頑張ればできそうです・・・。難しいですが(笑)

注目したいのは、ヘリコバクターピロリ菌による感染です。

 

がんの原因は、喫煙、そして感染!?

日本人を対象とした研究結果では、がん予防には禁煙、節度のある飲酒、バランスのよい食事、身体活動、適正な体形、感染予防が効果的といわれています。

下の図は、日本人のがんの中で、原因が生活習慣や感染であると思われる割合をまとめたものです。

この表を見てびっくり( ゚Д゚)している方も多いはず。何と!!感染が原因でがんになる確率が、男性では2位、女性では1位なんです。

 

日本人におけるがんの要因
図1 日本人におけるがんの要因の図

 Inoue, M. et al.: Ann Oncol, 2012; 23(5): 1362-9より作成

 

感染は日本人のガンの原因の約20%を占めると推測されているのです。

感染の内容としては、日本人ではB型やC型の肝炎ウイルスによる肝がん、ヒトパピローマウイルス(HPV)による子宮頸がん、ヘリコバクター・ピロリ(H. pylori)による胃がんなどがその大半を占めているんです。

  

がんの発生に関係するウイルス・細菌
表2 がんの発生に関係するウイルス・細菌の表
 
今回は胃がんについてのブログなので、胃がんの発生原因であるヘリコバクター・ピロリ菌(ピロリ菌)についてお話を続けていこうと思います。

 

日本におけるピロリ菌保菌率 

一昔前までは日本人の多くが(80%以上)ピロリ菌に感染していましたが時代と共に感染率は低下しています。

 

「ピロリ菌 年齢」の画像検索結果

 現在(2010~2015年)の時点で70才以上の高齢者では感染率が80%くらい、40才未満の若年者では10%くらいと大きく減少しています。  40才から70才までの方はその中間(年齢につれ20~70%)となります。 ピロリ菌は幼少期に感染し持続するもので成人では感染しませんから、一度、「ピロリ菌がいない」と診断されたら安心です。 ピロリ菌の保菌者が激減すれば胃がんの発生も激減するものと期待されます。

 

ピロリ菌にどうやって感染するのか!?

感染するのは小児期

幼児期(ま免疫力が弱いときに)に汚染された水、井戸水、食べ物、唾液、から感染すると言われています。成人になってからの感染は一時的な症状は出ますが自然治癒(免疫による排除)することが多いようです

 

ピロリ菌の感染ルートは?

完全には解明されていないのですが、複数の相反する説、データの報告があります。

日本国内において考えられる、感染ルートは次に挙げる通りです。

  1. 家族内感染(口~口感染)
    「母親から子への感染」「父親から子への感染」「兄弟同士の感染」などです(菌の遺伝子タイプを調べることで証明されます)。口腔内(唾液)からピロリ菌が検出されます。これに対し「夫婦間の感染」は稀とされています。つまり、幼少期の免疫力の低い時に、親ー子でキスをしたり、親から子の口移しで感染している可能性が高いのです。
  2. 施設内感染
    保育所・幼稚園での小児の集団生活が感染源という説もあります。
  3. 医療感染
    消毒の不十分な医療行為(胃カメラ、歯科治療など)が原因でピロリ菌が感染する危険が指摘されています。これは血液製剤、予防接種が原因でC型肝炎が流行した問題に似ています。

 

 

ピロリ菌に感染しているか調べる方法は?

 ピロリ菌に感染しているかどうかは、総合病院や内科クリニックで調べることが出来ます。“ピロリ菌検査” などのキーワードでググっていただくと(インターネットで検索)、様々な医療機関のリストが挙がってきます。

ピロリ菌保菌の有無を調べる検査には、内視鏡(胃カメラ)を使った試験と内視鏡を使わない検査に2種類があります。

 内視鏡を使用した場合は、顕微鏡でピロリ菌の有無を観察したり、培養したり、迅速ウレアーゼ試験といってアンモニアの量を調べてピロリ菌がいるかどうかを調べる検査です。

 内視鏡を使用しない場合は、血液検査や尿検査でピロリ菌の抗体の有無を調べたり、呼気検査でピロリ菌を調べたり、便検査でピロリ菌の抗原を調べる検査があります。

  内視鏡となると大がかりですが、呼気検査や検体検査は非常に簡便で苦痛を伴わないのがにできるのが特徴です。

 

ピロリ菌に感染していた場合の治療方法

上記の検査でピロリ菌陽性反応(ピロリ菌に感染していると判定)が出た場合、2種類の抗生物質と1種類の胃酸の分泌を抑える働きのある、計3つのお薬を1週間続けて内服します。

内服治療が終了し4週間以降経過したあと、再度ピロリ菌の有無を検査して除菌に成功したかどうかの判定検査を行います。もし、この判定検査で除菌に失敗していた場合、さらに二次除菌(お薬の変更をして)へと進みます。

この一時除菌に失敗しても、二次除菌によってほぼ90%の確率で除菌成功となります。

 

 

大塚製薬hp引用

 

ただ、気を付けて頂きたいのがこの除菌治療の保険適応の有無です。

慢性胃炎、十二指腸潰瘍等の疾患がベースにあることが絶対条件です。保険適応で除菌治療を行う場合は内視鏡検査が必要になります。

 

胃がんの99%はピロリ菌が関連していると言われています。

胃がんからご自身やご家族を守る為にも、ピロリ菌を保菌しているかどうかのの検査を行い、必要に応じて除菌治療していくのが最適な方法です。

このような医学を予防医療いいます。病気に罹患する前に検査を行い、対処・治療を行いましょう。という医療分野です。

 

胃がむかむかする、慢性胃炎がある、十二指腸潰瘍と言われたことがある、、、といった場合、もしかしたらピロリ菌が関連しているかもしれません。

次回は、科学的根拠を元にした論文を取り上げ、胃がんとピロリ菌の関連性についてお話していこうと思います。

 

それでは~!

ココナッツオイルは本当に身体にイイのか問題! ~第二弾~

はい皆さん、こんにちは~。

やって参りました、マイケルゆみこがお届けする科学的根拠のあるマニアックな医療ネタ。皆さん、楽しんで頂けていますか?

今回お届けする内容は、前回に引き続き『ココナッツオイルを飲んだら健康になるのか問題!?』

 

前回のココナッツオイルの内容をまとめ

  1. ココナッツオイルは飽和脂肪酸の一種。一方でオリーブオイル、亜麻仁油、魚の油は不飽和脂肪酸である。
  2. 不飽和脂肪酸には、ココナッツオイル以外にバター、肉の脂、ラードなどはなどがある。
  3. しかし、ココナッツオイルの主成分は中鎖脂肪酸。中鎖脂肪酸は消化吸収、代謝が速く、直ちにエネルギーに変換されるため、脂肪として蓄えにくいと言われている。一方、バターや肉の脂などは長鎖脂肪酸が主で、身体の臓器や血管をまんべんなく巡るため、脂肪として蓄積しやすい。

ココナッツオイルが『身体にイイ!』と言われているのは、このような理由からだと考えられます。

 

 

 

『ココナッツオイルは身体にイイ』説が覆えされつつある!!

シンガポール国立大学の疫学分野教授・教務部副部長のvan Dam氏らが、ココナッツオイルについて発表された16件の研究結果を統合して、ココナッツオイルの摂取が心血管疾患リスクと関連しているかの調査を行ったところ、、、

ココナッツオイルには、心血管疾患リスクを増加させる可能性がある低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールおよび総コレステロールの上昇と関連することを見いだした。

という事らしいのです。

 

統合した調査結果をまとめると・・・

  • オリーブオイル、大豆油、キャノーラ油などと比較すると、ココナッツオイルの摂取量増加によってLDLコレステロール値は大幅に上昇。
  • 1日に大さじ3~4杯のココナッツオイルの摂取は、推定10mg/dL(約9%)のLDL値上昇と関連。

要するに、ヒトでの学術研究において、ココナッツオイル摂取が肥満、炎症、血糖、心臓など身体の健康に有益な効果を与える可能性は低い。という事です。

このように、ココナッツオイルを摂取することによる有益な科学的根拠はないので、健康向上を目的にココナッツオイルを積極的に摂取するのは、おススメは出来ない。という解釈が出来ます。

 

ココナッツオイルは中鎖脂肪酸だから健康にイイ!というのは間違い!?

ココナッツオイルの健康上の有益性を主張する支持者は、ココナッツオイルの中鎖脂肪酸に目を付けています。つまり、肝臓に貯蔵されず、素早くエネルギー源となるため脂肪として蓄積しにくいという点。問題はそこなのです!

いくらココナッツオイルの5割を占めるのがラウリン酸(中鎖脂肪酸)であったとしても、ココナッツオイルの約4分の1は長鎖脂肪酸であるパルミチン酸やミリスチン酸です。長鎖脂肪酸を全く含んでいないという訳ではないのです。そう考えると、今回の研究結果も合点がいきます。

長鎖脂肪酸は中鎖脂肪酸と異なり、摂取すると静脈やリンパ管、筋肉、肝臓を巡り全身に運ばれた後、体脂肪として蓄えられる。

 

「ココナッツ」の画像検索結果

 

研究の信憑性を高めるために  、さらに多くのメタ解析を行ってみると・・・

ココナッツオイルに関してより決定的な回答を得るため、van Dam氏や筆頭著者のNithya Neelakantan氏らは、関連する可能性のある873本の論文を確認する調査を実施しました(解析には16本の論文が含められ、それは参加者730人の計17試験に関するものであった)。 

ココナッツオイルに基づく結果を簡単にまとめると

熱帯オイル(ココナッツオイル)非熱帯オイル(亜麻仁油、大豆油)の比較では、

  • 非熱帯オイルであるオリーブオイルや亜麻仁油と比較し、ココナッツオイルは総コレステロール値を14.69mg/dL有意に上昇させた。
  • ココナッツオイルはLDLコレステロール値を10.47mg/dL上昇させ、また高比重リポ蛋白(HDL)コレステロールを4.00mg/dL上昇させた。
  • ココナッツオイルは、非熱帯オイルと比較し、トリグリセライド値(中性脂肪値)を有意に変化させなかった。

※非熱帯オイルの亜麻仁油や大豆油は不飽和脂肪酸に当たります。

 

ココナッツオイルとパーム油(飽和脂肪酸を約50%含む)が比較では、

 

まとめ

ココナッツ油は非熱帯性の植物油(不飽和脂肪酸)と比較し、体重、腹囲、体脂肪率、C反応性蛋白値(炎症を表す数値)、空腹時血糖値に対し有意な影響を与えなかったらしい。

このメタ解析の結果から考えられることは、「健康向上のためにココナッツオイルを摂取する根拠は存在せず、対してココナッツの摂取量が多くなると、血中LDLコレステロール値が上昇し、心疾患リスクが増加する可能性がある」という事。

心疾患予防の為に、『ココナッツオイルを摂取してね!』とは中々言いにくくなりましたね。それよりは、植物オイルだったら、オリーブオイル、亜麻仁油、大豆油などの非熱帯性のオイルを摂取する方がいいようです。

けれども、ココナッツオイルは何と言っても、あの香りがイイですよね!

食事の風味付けや食感のために控えめに使用する程度だったら問題ないと思います。

 

ココナッツオイル摂取と心血管発生リスクの関連性を調査した研究ではないので、ココナッツオイルを摂っているから心筋梗塞になる!動脈硬化が起こる!とまでは言い切れませんが、ココナッツオイルが心血管疾患の発症リスクを下げる。とは言えないようです。

 

という事で、2回にわたってお届けした『ココナッツオイル問題』如何でしたでしょうか?食事も生活もバランスが大事。とはよく聞きますが・・・。

と言いながら、わたくし、マイケルゆみこは、かなりエキセントリックな人間です(笑)

 

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参照・参考

Van Dam and Sacks have disclosed no relevant financial relationships.

Circulation. Published online January 13, 2020. AbstractEditorial

Medscape Medical News © 2020

 

ココナッツオイル、本当に身体にイイのか問題! ~第一弾~

皆さん、こんにちは(^^)

まだまだ、寒いですね~、風邪ひいてませんか?

くれぐれも、体調には気を付けてくださいね。

 

読者の方々の中には、「健康の為に、ココナッツオイルを摂取している!」という方もいると思うのですが・・・

 

ココナッツオイルが好きだから、風味付けのために使用しているなら良いのですが、今回取り上げたいのは、

『健康のために、ココナッツオイルを摂取している!』というヒトたちへの警笛を鳴らそうと思います。

 

マイケルゆみこのブログにも何度か、飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の話題が出てきています。飽和脂肪酸動脈硬化や心血管疾患、脳卒中の発症リスクなどを上昇させるので、過剰摂取は避けたほうがいいよ~。といった内容の話です。

media-naranja.hatenablog.com

media-naranja.hatenablog.com

 

飽和脂肪酸不飽和脂肪酸

脂肪酸には飽和脂肪酸不飽和脂肪酸の2種類があります。

 

脂肪酸の種類と代謝の経路 飽和脂肪酸 不飽和脂肪酸 高不飽和脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 n-3系脂肪酸 n-6系脂肪酸 EPA DHA α-リノレン酸 リノール酸 ガンマリノレン酸 アラキドン酸

 

 

で、ココナッツオイルってどうなのよ・・・?

ここまでの内容を読むと、飽和脂肪酸は身体に悪くて、不飽和脂肪酸は身体に良い。と単純には何となく理解できると思います。

では、ココナッツオイルって、飽和脂肪酸?それとも不飽和脂肪酸??

健康にイイ!って言われているから、不飽和脂肪酸だと思いきや、、、

ココナッツオイルは、、、飽和脂肪酸です。

植物性の油ではありますが、常温で固まりますよね?

 

ではなぜ、ココナッツオイルが健康に良い!と思われるようになってのでしょう?

 

それは、ココナッツオイルの5割を占める脂肪酸が、ラウリル酸であるという説です。

下表をご覧になってお分かりになるように、ココナッツオイル(ヤシ油)は、肉の脂やバターなど他の飽和脂肪酸と比較して、ララウリル酸が多く、パルミチン酸が少ないのが特徴です。

この、ラウリル酸とパルミチン酸、ステアリン酸の占める割合が、ココナッツオイルが身体にイイと思われている理由のひとつです。

 

「油の種類  パルミチル ラウリン ココナッツ 」の画像検索結果

 

ラウリル酸は中鎖脂肪酸の一種です。中鎖脂肪酸は一般的に、「体内でコレステロール生成に使用されるのではなく」、門脈を通って吸収されると指摘されています。

 一方、パルミチン酸やステアリン酸などの長鎖脂肪酸は、摂取すると全身(静脈や門脈、リンパ管)を通って吸収されます。そして一旦、肝臓や筋肉、脂肪組織に貯蔵され必要に応じて分解されます。

このように、ココナッツオイルの主成分である中鎖脂肪酸は、一般の油脂と比べると速やかに消化・吸収されるため、効率のよいエネルギー源となり、脂肪として蓄積されにくいといった傾向があります。これが、ココナッツオイルがヒトの身体によいと考えられている所以であります。

しかし本当にそうなのかしら???

ココナッツオイルを摂っても太らないの?健康にいいの??

 

次回は『ココナッツオイルは本当に健康に良いのか!?』の続きを具体的に、科学的根拠を元にして解説していきたいと思います。

皆さん、それまでグッバーーーーーーイ♡