一日一万歩も必要ない! 一日4400歩で長生きできる!!
読者の方の中にも、ウォーキングを習慣としている方も少なくないと思います。
ランニングと比べると、足腰に負担がかからず、有酸素運動を維持できる利点があります。ウォーキングの目安として、「一日一万歩」なんて話をよく聞きますが、、、これって、本当に科学的根拠があるのでしょうか?
米国のとある論文に、“歩行と健康の関連性” について書かれた論文を見つけましたので、ご紹介しますね!
高齢女性において一日4,400歩でも死亡率が少ないことが判明
結論から言いますと、‟高齢女性において、約4,400歩/日という少ない歩数でも約2,700歩/日に比べ、全死亡率が41%低いことが示された” というのです。
また、‟1日当たりの歩数の増加につれて全死亡率は減少するが、約7,500歩/日を超えると平坦化した。歩行強度については、1日の総歩数を考慮すると全死亡率低下との明らかな関連は認められなかった” という事なのです。*1
本研究は、米国のWomen's Health Studyにおいて、2011~15年に7日間、覚醒時間中に加速度計(歩数を計算する装置、万歩計のようなもの)を装着することに同意した1万8,289人の米国人女性が参加。1万7,708人が装着してデバイスを返却した(1万7,466デバイスからデータが正常にダウンロード)。そのうち、1日10時間以上、4日間以上装着していた1万6,741人のデータを用いて、1日当たり歩数および歩行強度の尺度(と全死亡率の関連を調べた。
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研究対象となった女性の平均年齢は72.0歳。
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平均歩数は一日 5,499歩
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歩行強度別の割合は、1分間あたり0歩が51.4%、1~39歩が45.5%、40歩以上(意図的歩行)が3.1%であった。
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解析結果では、一日あたりの平均歩数が増えるにつれて心拍数は減少したが、約
7,500歩/日以降は頭打ちとなった。 - 歩行強度に関して言えば、歩行強度が強いほど全死亡率は低下したが(一分間あたりの歩数が多い人)、1日当たりの歩数を調整後は全ての関連が減衰し、有意ではなくなった。
歩行強度とは
運動強度の指標として、心拍数や主観的運動強度(RPE)、代謝等量(METs)などが使用されています。しかし、これらの指標をウォーキングに代用するのは無理があります。そこで、歩行強度を測定するための方法として、“歩行率(一分間に歩ける歩数)” が指標とされています。
高齢女性において1日4,400歩ウォーキングできる人が健康なのか?
本研究結果をまとめると、「1日1万歩」を目標にしなくても、その半分の『1日4,400歩』で十分、死亡率が低下するという研究結果だったのですよね。
また、歩行強度と死亡率についても関連性は低く、友達やご主人さまとおしゃべりしながらのお散歩で十分、健康の恩恵が受けられるというありがたい報告です!
ただここで、注意しておきたいのは、
1日4,400歩、ウォーキングしたから死亡率が低いのか、あるいは、1日4,400歩ウォーキング出来るような体力のある高齢者だから(運動耐容能が高い)死亡率が低いのか、、、その因果関係は、はっきりしていません。
少なくとも、ウォーキングは健康のバロメーターになります。
例えば、「4,400歩も歩けないな・・・」と思われたら、運動耐容能が低く、体力がない可能性もあります。
また、「いつもは4,400歩 ウォーキング出来るのに、最近出来なくなった・・・」というのであれば、身体のどこかしこの調子が悪いのかもしれません。
少なくとも、毎日4,400歩ウォーキングをすることは、健康への近道であるのは間違いありません。
隙間時間にウォーキング♩♩♩は、いかがですか?
*1:JAMA Internal Medicine誌オンライン版2019年5月29日号
心拍数75以上は早期死亡リスクが高まる!?
皆さん、こんにちは(^^)
今日も滑らない、ノンストップ健康談義に花を咲かせていきましょう!
さぁ、皆さん、これから一分間、ご自分の心拍数を計ってみましょう~
「準備はイイですか?」
「スターーーート!」
「チク、チク、チク、、、、、」
「はい、終わりーーーー!!」
どうでしょう。ご自身の心拍数、何回でしたか?(1分間に何回?)
心拍数が75を超えている男性、、、
要注意ですよーーー!!!
安静時心拍数が75回を超える中年男性は、早期死亡リスクが高い!
中年期の安静時心拍数が、正常範囲内(50~100回/分)でも1分間当たり75回を超える男性では、55回未満の人と比べて早期死亡リスクが約2倍に高まる可能性があることが、ヨーテボリ大学(スウェーデン)サールグレンスカ・アカデミーのSalim Bary Barywani氏らの研究で明らかになりました。
この研究では、50~60歳の間に心拍数が経時的に増加した男性では、死亡リスクや心血管疾患の発症リスクが高まることも分かったそうです。*1
研究概要
この研究では、ヨーテボリで1943年に生まれた男性1,450人をランダムに抽出し、このうち1993年の生活習慣などに関する質問紙調査に回答した798人を対象に、2014年まで21年間追跡した。対象者には、1993年、2003年、2013年の計3回、安静時心拍数を含む検査を施行。
研究結果
- 50歳の時点(1993年時点)で安静時心拍数が75回/分を超えていた男性では、55回/分未満だった男性と比べて、その後の全死亡リスク、および冠動脈疾患の発症リスクがいずれも2倍高い。
- 50歳から60歳(1993年から2003年時点)の間に、安静時心拍数が1分間当たり5回以上増加した男性と比べて、心拍数の変化が4回未満と安定して推移した人では心血管疾患リスクが44%低いことも明らかになった。
- 50歳以降の心拍数が毎分1回増えるごとに全死亡リスクは3%、心血管疾患リスクは1%、冠動脈疾患リスクは2%高まった。
ただし、Barywani氏らは、今回は観察研究であるため、これらの因果関係を証明するものではないと断っている。
心拍数は心臓疾患のリスク因子になるのか!?
今回の研究血管に対して、有識者は色々な見解を述べています。
- “心拍数が徐々に上昇している患者では、心臓の健康に問題が生じている可能性がある。しかし、安静時心拍数を死亡や心疾患の独立したリスク因子としてみなすのは時期尚早である。”との指摘もあります。(米イリノイ州ネイパービルにある医療機関アドヴォケイト・ヘルスケア(Advocate Health Care)のVincent Bufalino氏)
- 安静時心拍数は心臓のリスク因子になりうるとする今回の研究結果を支持するものの、50歳以上の患者の安静時心拍数が75回/分を超えていたら、必ずしもそれをリスク因子としてみなすつもりはない。その他のリスク因子をより慎重に観察するだろう。と述べている専門家もいます(米ニューヨーク市のマウントサイナイ病院で心臓病を専門とするPrashant Vaishnava氏)
一般のみなさんが注意した方がいいこと
心拍数は高すぎても低すぎても健康に良くはありません。40歳代で心拍数が低下している人では、全身に血液を送る心臓のポンプとしての働きが弱まっている可能性や、心臓の電気信号の働きを担う機関が弱っている可能性も考えられます。
一方で、安静時の心拍数が100を超えている場合にも、心臓の病気や、“不整脈”という病気が考えられますので、病院の受診をお勧めします。
普段、心拍数を計っている方で、急激な心拍数の上昇がみられたら、高血圧や脂質異常症などのリスク因子の管理について、循環器専門の医師に相談したほうが良いですよ!
そうそう、大事なことを言い忘れていました(^^;)
心拍数を計って、①40回未満、②100回以上、③脈がときどき飛ぶ!
という現象を発見された方、早く循環器専門の医師がいる病院を受診してくださいね!!
面白ネタ
心拍数は体の大きさや、体重に比例するんですよ!
たとえば、ハツカネズミは600回/分、一方ゾウは30回/分だそうです。
また、哺乳類の心拍数は動物の種類によらず一定で、一生のうちで20~25憶回だそうです。確かに、ゾウの寿命は80~100年、一方ハツカネズミは2~3年ですもんね! 人間も哺乳類だから、心拍数と寿命に何らかの関係があるのかも!?
また、オリンピックに出場するようなスポーツ選手は心拍数が50未満である方が多いそうです。スピードスケート選手の小平奈緒さんや、マラソンランナーの高橋尚子さんは、安静時心拍数が30台だそうですよ。
スポーツ選手は激しい運動に適応するため、心臓が大きくなって、脈拍が少なくなっているのですよね。
でも、気を付けてください!!
一般の方が、心拍数30台だったら、ペースメーカーを植え込まなければならないレベルです💦さらに、心臓が大きくなっていたら、心不全の可能性があります。
このような場合は、早めに循環器専門の医師のいる病院を受診して下さいね。
情報元
2019年4月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.
*1:Open Heart4月15日オンライン版
心血管疾患リスクを低下させるためには、週60分の筋トレで十分!!
皆さん、こんにちは(^^)何だか、だんだん暖かくなってきましたよね!お花見には行きましたか? 私は毎年のことながら、、、行っておりません。だって、私は “花より男子” あれ・・・?違う、ちがう、、、“花より団子”
暖かくなると、外での運動もしやすくなりますよね?
週60分未満の筋トレで心血管リスクが低下する
登山やサイクリング、ウォーキングも行いやすい時期になってくると思います。
今回お届けする内容は、「運動療法と健康」についてです。
筋力トレーニングで心血管疾患リスクが低下する筋力トレーニングなどのレジスタンス運動を週に60分まで行うと、心筋梗塞や脳卒中の発症リスクが有意に低下する可能性があることが、米アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究で示されました。一方で、レジスタンス運動を週に60分以上行っても、これらの心血管疾患(CVD)リスクのさらなる低下はみられないことも分かりました。*1
レジスタンス運動とは
レジスタンス運動にはダンベルやマシンなどの器具を用いて行う方法と、スクワットや腕立て伏せのように自体重を利用して行う方法があります。自分の体重を用いて行う方法は手軽に行えることから、筋力向上の指導プログラムに広く活用することができます。しかし負荷の大きさを調節しにくいという欠点もあります。例えばスクワットならしゃがみ込む深さを調節する、机などに手をついて行う、何かを持って行うなどの工夫で負荷の調節をすると良いでしょう。
米アイオワ州立大学准教授のDuck-chul Lee氏らの研究
Lee氏が率いる研究グループは、既にレジスタンス運動を週に60分まで行うと脂質異常症やメタボリック症候群になるリスクが低下することを報告している。そこで今回、同氏らはレジスタンス運動の心血管系への影響を調べるため、1987~2006年に2回以上診察を受けた男女1万2,591人(平均年齢47歳)を対象に、平均で5.4年および10.5年間の追跡調査を実施した。
その結果、週に1~3回または60分未満のレジスタンス運動を行った人では、全く行わなかった人と比べて、CVDイベントの発生リスクが40~70%低いことが分かった。レジスタンス運動によるこれらのベネフィットは、ウォーキングやランニングなどの有酸素運動とは独立していた。一方、レジスタンス運動をより頻回(週に4回以上)あるいは週に60分以上行ってもCVDリスクはこれ以上低下しなかった。
レジスタンス運動の頻度または実施時間に基づく各分類群を対象に、レジスタンス運動の実施が「心血管イベント」、「心血管疾患による死亡」、「総死亡」に及ぼす影響を検討しました。結果に影響を与える可能性のある要因(有酸素運動実施の有無も含む)を考慮して分析したところ、統計学的に意味のあるリスク減少が見られたのは、「週に1~2回程度、計60分未満(1~59分)のレジスタンス運動」でした(表1)。各評価項目で、35~70%のリスク減少が認められました。
(Liu Y, et al. Med Sci Sports Exerc. 2018 Oct 29.)
以前から、有酸素運動(軽度のランニングや、ウォーキング等)が心血管系に良い影響を与えることは知られていました。
しかし、今回の研究結果によって、筋力トレーニングにも有酸素運動と同様に心血管系へ良い影響を与えるという効果があると分かりました。
週4回以上、60分以上の筋トレをしても、心血管イベントや心血管死亡のリスクは低下しない
ガイドラインが推奨しているレベルの有酸素運動を実施している人々とそうでない人々を分けて検討しましたが、「心血管イベント」と「心血管疾患による死亡」のリスク低下は、有酸素運動の実施の有無にかかわらず認められました。
一方で、「総死亡」については、ガイドラインが指示するレベルの有酸素運動と並行してレジスタンス運動を行っている人についてのみ、リスク減少が認められました。
またこの研究からは、筋トレを週4回以上、60分以上行っても、心血管リスクの低下には繋がらなかった。という驚きの結果なんですよね。
運動の効果を体重の減量効果と置き換えて考えてはダメ
筋力トレーニングと聞くと、「スポーツ選手やボディービルダーが行うもの!」と思われている方も少なくないと思います。筋力トレーニングには見た目を良くするだけでなく、健康への効果があるのは明らかで心血管の状態に直接いい影響を与えているようです。
また、驚くべきポイントがあります! レジスタンス運動の心臓への効果はBMIが変わらなくても認められたという事です。今まで、運動の健康効果は減量に伴うものだと考えられてきましたが、そうではない事が示されたのです。
つまり、『週60分運動しても、体重が減らないから健康的でない』とは言えない!という事です。
ご自身の健康のバロメーターを体重で考える必要はありません。
昨今、筋トレブーム、マラソンブームの甲斐あって、運動を習慣化する方が増えていると思います。ジムなどに通われている方も多いのではないですか?ジム通いも、“週60分”という目安が出来れば、簡単に習慣化できるのではないでしょうか?
そんな私には、運動習慣がありません・・・。
しかし、11月に開催される横浜マラソンにエントリーしました!!!!!!!!!!
しかも、フルマラソン。考えただけで地獄です・・・。抽選から外れていてくれればいいと内心思っています。
私もそろそろ、ランニングの練習に取り掛からないと・・・。
明日から、本気出す!!!
それでは、皆さんのご健康と、ハッピーなライフスタイルを心より祈っております。
[2018年12月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2018 HealthDay. All rights reserved.
*1:Medicine & Science in Sports & Exercise
腕立て伏せが連続40回以上出来ないと、心血管リスクが高まります!!
男性の皆さん、腕立て伏せ、やってみましょう!?
私:『さぁ~!! 位置について、構えましたか? はい!! スタート!!!』
イケメン:『いーち、にぃ~、さ~ん、しぃい、ごぉ~、、、、、』
私:『えっ!!! 12回しか出来ないって!? やばいよ、やばいよ~!!』
これ、冗談じゃなく、本当にやばいんですよ・・・。特に、腕立て伏せを40回以上続けて出来ない40歳代の男性は、これからトレーニングを始めた方がよいですよ!!
腕立て伏せを40回出来ない40代男性は、心血管リスクが高まる!!
米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院環境衛生学教授のStefanos Kales氏らによる研究で、健康な中年男性では、腕立て伏せをできる回数が心臓の健康状態の指標となり得ることが分かりました。
*1
研究背景・内容
Kales氏らは今回、身体活動レベルの高い18歳以上の男性消防士1,104人を対象に、心臓の健康状態を2000年から10年間にわたって後ろ向きに追跡。
- 対象者の平均年齢は39.6歳(調査開始日)
- 平均BMIは28.7と過体重
- 研究開始時には、腕立て伏せ運動の能力(一度に可能な回数)を測定。トレッドミル負荷試験により有酸素運動能力を評価。
- 健康診断を毎年実施
研究結果
- 10年間の追跡期間中に、37人が心筋梗塞や脳卒中、心疾患を発症。
- 対象者を腕立て伏せができた回数に基づいて5つの群に分けて分析した結果、年齢とBMIで調整した後でも、腕立て伏せを一度に40回以上できた男性では、10回以下しかできなかった男性と比べて心血管疾患リスクが96%低いことが分かった
- 腕立て伏せをこなせる回数が増えるほど、心血管イベントリスクは低下するという、用量依存性の関連が認められた。
- 腕立て伏せの回数は、トレッドミル負荷試験で評価した有酸素運動能力よりも、心血管疾患リスクと強く関連することも明らかになった。
腕立て伏せをこなせる回数は、全般的な体力の指標となる可能性がある!
“世界レベルのマラソンランナーでも、腕立て伏せが多くはできない”という人がいます。一方で、“腕立て伏せは何十回もできるが、走るのは苦手だ”という人もいます。
この研究で興味深い点は、「腕立て伏せができる回数と、有酸素運動の能力には相関関係が認められた」という事です。簡単に言うと、‟腕立て伏せが多くできる人ほど、有酸素運動の能力が高い”という事です。
つまり、腕立て伏せの回数とドレッドミル負荷検査(ベルトコンベアーの上で走る検査)の結果が関連するという事です。
今回の研究対象は男性に限定されていたため、この結果が女性にも当てはまるかどうかは不明です。
また、筋骨格系の障害や上腕に問題があるために腕立て伏せがうまくできない人もいます。ですから、腕立て伏せの回数を測定するだけでは、全ての人で心臓の健康状態を正確に予測できない可能性があるとも考えられます。
一般的に、心臓の健康を維持するためには、ウォーキングやサイクリングなどの軽度の有酸素運動を25~30分、ほぼ毎日行うことを勧めているます。
・おしゃべりできる程度のはや歩き(ウォーキング)
・少し息が上がる程度のサイクリング
いずれも、目標心拍数は110回/分が目安となります。
腕立て伏せが出来ればできるほど、心血管リスクが少ないとは・・・!! 腕立て伏せに着目したという点が、面白いですね。
皆さんも、ご自宅で腕立て伏せをやってみて下さーーーい。40回って、結構キツイですよ(汗)。私も腕立て伏せをやってみましたが、華奢でか細い私の腕では、10回も出来ませんでした(笑)
原著論文はこちら
Yang J, et al. JAMA Netw Open. 2019 Feb 1. [Epub ahead of print]
*1:JAMA Network Open」2月15日オンライン版
コーヒー摂取で健康な身体を手に入れる!?
1日5杯未満のコーヒーで死亡リスクが低下する!
コホート研究とは
ある特性(生活習慣や検診の受診歴など)をもった集団(これを「コホート」という)に対して疾患の罹患や死亡などを追跡することによって、その特性と疾患のリスクとの関連を明らかにする研究。例えば、自発的にがん検診を受診した群と受診しなかった群とで、その後の当該がん死亡率を比較する。無作為化比較対照試験の各群をコホートと表現することもあるが、一般的にがん検診のコホート研究は、受診率の高い集団と低い集団との比較、あるいは、単一コホートの中で受診群と未受診群の死亡率を比較評価するものを指す。
コーヒーの効果と効能
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男女共に、コーヒー5杯/日未満の摂取が全死因死亡率を低下させた。しかし、コーヒー摂取量が5杯/日以上ではその効果が低くなった。
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男性では、がん以外の主な死因による死亡で予防効果を発揮した。
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女性では、1~2杯/日のコーヒー摂取によって心臓病による死亡リスクが減少したが、5杯/日以上のコーヒー摂取では逆に心疾患リスクが増加した。
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男女共に、がんの発症率はコーヒー摂取とは関連が認められなかった。
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男女とも、コーヒ摂取によって大腸がんリスクは低下しなかった。
- 女性では、1日3杯以上のコーヒー摂取で、結腸がんのリスクを低下させた。*2
- コーヒーやお茶の摂取で糖尿病発症リスクを抑制することが出来る。
- 55歳未満のアジア人において、緑茶の摂取は空腹時血糖(FBG)を低下させる可能性がある。*3
- 烏龍茶、紅茶、コーヒーには空腹時低血糖を低下させる働きは認めなかった。
- カフェインには脂肪燃焼効果があるため、運動前にカフェインと摂取すると運動効果がアップする
これだけは気を付けて!! コーヒは睡眠障害を招く!
“病気を防ぐ”という観点からは非常に効果の高いコーヒーですが、コーヒー摂取に関して注意を払いたい局面もあります。
コーヒーに含まれるカフェインは、神経系に強い影響を与える刺激物です。
「仕事を終えた帰り道にマグカップ1杯のコーヒーを飲むと、睡眠に悪影響が生まれ、その影響力は寝る前にカフェインを摂取する場合と同等と思われる」という報告もあります。
ある実験では、複数の被験者に異なるタイミング(寝る間際、寝る3時間前、寝る6時間前)でカフェインを摂取ところ、全員の睡眠が大幅に阻害されたことがはっきりと数値に表れたそうです。要するに、寝る直前はおろか、寝る6時間前であっても、カフェインを含むコーヒーやお茶を飲めば睡眠が阻害されることが明らかなのです。
しかも、カフェインを摂取すると身体も心も上向きにさせます。つまり中毒性があるのです。
カフェインの半減期(一定時間(例:12時間)が過ぎた後でも、まだその半分の量が体内で活動しているという意味)は、8時間だと言います。ですから、寝る6時間前に摂取したカフェインでも、半分以上は体内に残っているという事になります。
カフェインの多量摂取や、就寝前のカフェイン摂取によって、睡眠妨害を招いているのは、まぎれもない事実なのです。
コーヒーと上手に付き合う方法
コーヒーは、心血管疾患や糖尿病のリスクを低下させますし、元気の源として働いてくれます。その恩恵を最大限発揮するには、どんな方法があるでしょう?
- 体内に残留しない頻度で摂取するよう身体を慣らす必要がある。
- 午前中にコーヒーを摂取して、身体のリズムを整えましょう。
- コーヒーは午後2時以降は摂取しないようにしましょう。
コーヒーは、カフェインだけでなく、抗酸化成分の一種であるクロロゲン酸を含んでいます。この抗酸化作用がアンチエイジングに効果がある、美肌作用やシミの予防にもなると言われています。
また、フランス料理のコースの一番最後にでてくる、あれ、、、思い出してみてください・・・。コースの最後にエスプレッソが出てきますよね?
実はコーヒーには、消化液の分泌を促し、消化を促進してくれる作用もあるのです。
また、カフェインが睡眠中枢に働きかけるのは、摂取してから20〜30分後です。なので、昼寝の直前にコーヒーを飲むとちょうどいいタイミングで脳を覚醒させてくれ、スッキリ目覚めることができるんです。
ですから、昼食の最後にコーヒーを摂取するのはおススメできます。
「昼寝をしたいけれど、眠るとなかなか起きられない…」という方でも、安心ですね。
コーヒーと上手に付き合えば、コーヒーの効能や効果を最大限発揮する事ができるんです。けれど、くれぐれも深夜、就寝前に飲むのは避けましょうね♩
お酒は少量なら体にイイはウソだった!?
皆さん、お酒は好きですか??
私は酒癖が悪いので、普段から控えるように心しております(笑)
今日は、ワインのネタを一本!!
「私の血液はワインで出来てるの・・・♡」
このフレーズ、聞き覚えある方も多いはず!?
私 マイケルゆみこも、故・川島なお美さんに劣らないくらい美しさには定評があります(笑)
そんな冗談はさておき、、、
従来、「適量のアルコールは健康に良い」と思われていたのですが、2018年9月に世界五大医学雑誌のひとつである「LANCET」に少量のアルコール摂取でもが健康に悪影響を与えると報告されたのです。*1
適度のアルコールもやはりリスクなのか・・・。お酒好きの方ならそう思ってしまいますよね。
特に、お酒の分類の中でも赤ワインは低糖質であり、ポリフェノールの含有量が多いため健康に良い??を思われてきたのですが。。。
一体全体、アルコールは少量なら健康に良いのか?はたまた、少量でも体に悪いのか?この一貫しない説はどこからきているのでしょうか?
「お酒は少量なら健康に良い」はウソだった??
「アルコールが少量なら体に良い」という説は、実はフランス人の食生活からきていると考えられます。
通常、飽和脂肪酸(バター、脂身の多い肉、ハム、ソーセージなど)の多い食品を摂取すると、心血管疾患のリスクは高まります。
しかし、フランス人は日常的にバターや肉、脂肪の多い肉を摂取しているにも関わらず、心筋梗塞や動脈硬化の発症が少ないと言われているのです。この理由が、「フランス人はワインを日常的に摂取しているから」という学説に行きついたそうなのです。これを、“フレンチ・パラドックス(フランスの逆説)”と言います。
また、2018年ランセットに掲載された他の研究結果からも、週100gまでのアルコール摂取は脳梗塞や心筋梗塞のリスクを低下させると報告されています。
ただ、ここで注意が必要なのが、
『アルコールそのものが脳梗塞や心筋梗塞のリスクを下げているのか(因果関係)のか、アルコールを飲んでいる人が脳梗塞や心筋梗塞のリスクが低いだけなのか(相関関係)』は分からないという事です。
遺伝的要因によってアルコールが飲める人と飲めない人がいるし、アルコールを飲むと具合が悪くなる人というのは、もちろん飲酒量は少ない。もしアルコール耐性の遺伝子を持っている人ほど脳梗塞や心筋梗塞のリスクが低いのであれば、それはアルコール自体に起因するものでなく、アルコール耐性の遺伝子が心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げているとも考えられる。すなわち、アルコールを少量飲んでいる人ほどリスクが低くなるように見えてしまうことはありえることだと考えられます。
その一方で、アルコールはたとえ少量でもがん(特に乳がん)のリスクを上げる可能性は以前より報告されています。
ワインを1週間に1本飲むと、乳がんの発症リスクが高まる
英国・サウサンプトン大学病院 NHS Foundation TrustのTheresa J. Hydes氏らが英国のデータを解析したところ、
- ワインを1週間に1本飲む女性は、アルコール関連性がんのリスクが増加した(男性では1.0%、女性では1.4%増加)
- このワイン摂取と関連性があるのは、乳がんであった。
研究グループは、適度な飲酒に起因するがんの絶対リスク(1,000人当たりの症例数)の増加を推定するとともに、これらを低頻度の喫煙が関与するがんの絶対リスクと比較した。
アルコール関連がんおよび喫煙関連がんの一般集団における生涯リスクから、アルコールおよび喫煙の寄与割合を差し引き、禁酒をしている非喫煙者のがんの生涯リスクを算出した。これにアルコールおよび喫煙の寄与として、消費レベルの増加も含み、1週間にアルコール10単位の飲酒またはタバコ10本の喫煙の相対リスクを乗じた。
結果は以下のとおり↓↓↓
・非喫煙者のがんの生涯絶対リスクは、1週間にワイン1本で男性では1.0%、女性では1.4%増加した。
・ワイン1本/週によるがんの生涯リスクの絶対増加は、タバコにすると男性で5本/週、女性で10本/週に相当した。
・飲酒による顕著な性差は、女性の非喫煙者の乳がんの絶対リスクが0.8%増加することであった。
まとめ
- 心筋梗塞や脳梗塞などは、少量のアルコール摂取でリスクを低下させる(男性では0.83杯/日、女性では0.92杯/日の飲酒している人で最もリスクが低かった)。ただし、大動脈瘤、解離性大動脈瘤などの発症リスクは低下しない。
- 一方で、アルコールをある一定以上摂取すると、心筋梗塞や脳梗塞などのリスクが高まる。
- 女性では乳がん、男性では口腔がんが、少量のアルコール摂取でも発症リスクが高くなる。
- 病気などの疾病リスクを低下させるのに最も信頼できる値は1日0杯であった。
※一杯とは、純アルコール換算で10gのことを指す。10gの純アルコールはグラス1杯のワインやビールに相当する。
アルコールは少量だったらいいのか?まったく飲まない方がいいのか?
この質問の答えとしては、「アルコールはまったく飲まない方が良い」という結論になるだろう。
しかし、糖尿病、脂質異常症、高血圧、家族歴(親族に心筋梗塞や脳梗塞の方がいる)がない人は、1日1杯程度のアルコールであれば良いだろうと思う。
しかし、お酒が苦手な人は無理に呑む必要は全くない。
ご自身の病気のリスクと、自分の生活スタイルを照らし合わせて相対的に考えればよいと思います。
でもーーーーー
呑んだら乗るな!!
酒は呑んでも呑まれるな!!
これ、基本です(笑)
サプリメントを飲んでも長生きしない!?
以前、このブログでも『サプリメントに心血管疾患を予防する効果は期待できない』という、サプリメントにnegativeな研究論文をご紹介しました。
が、、、今回はサプリメントに関する、もっと衝撃的な論文をご紹介します。
長生きすることを期待してサプリメント(栄養補助食品)を摂取する人も多いと思いますが、その効果はそれほど期待できないかもしれません・・・。
こんな研究結果を、米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏らが発表しました。*1
この研究は、米国国民健康栄養調査(NHANES)から1999~2010年のデータと死亡記録(National Death Index)データを関連づけて分析したもの。過去30日間のサプリメントの使用状況と普段の食事内容に関するアンケートに回答した20歳以上の米国成人3万899人を対象に、食品およびサプリメントからの栄養素の摂取量と死亡率との関連を前向きに調べました。
その結果、研究対象者の特徴として
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半数以上が1種類以上のサプリメントを摂取
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3分の1以上はマルチビタミンを摂取
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サプリメントの摂取は、特に女性や白人、教育レベルが高い人、高収入の人で多く見られ、健康的な食生活を送り、活動的な人が多い傾向が見られた。
サプリメントの摂取と長寿との関連性はない!
約6.1年追跡した結果、全般的なサプリメントの常用と死亡率との間には関連は見られなかった。
栄養素別に考えると、ビタミンA、ビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅を適度に摂取すると、全死亡率または心疾患や脳卒中などの心血管疾患による死亡率は低下することが示された。しかし、これらのリスク低減効果は、栄養素を食品から摂取した場合に限られることも分かった。
さらに、カルシウムの過剰摂取は、がんによる死亡リスクの増加と関連することも示された。こうした死亡リスクの増加は、食品からではなく、サプリメントからの摂取(1,000mg/日以上)によるものである可能性も示唆されたという。
また、カルシウムサプリメントの過剰摂取は心筋梗塞の発症を増加させるとの研究結果も出ています。*2 *3
サプリメントから栄養素は摂れない!?
驚愕の結果ですよね・・・!?
サプリメントからビタミンA、ビタミンK、マグネシウム、亜鉛、銅をの摂取しても、死亡率や心血管疾患による死亡率は低下しないという驚きの結果。
結局、栄養素は食品から摂取しなければ、健康を維持することが出来ないと解釈することもできます。
骨粗鬆症予防目的で、カルシウムのサプリメントを常用されている方も多いと思います。しかし、カルシウムサプリメントの過剰摂取(1日1,000mg 以上摂取)が、がんによる死亡リスクを上昇するというという恐ろしい結果が示されました。
サプリメントは栄養を補給する食事の代替え品にはなれない!!
一般にサプリメントは健康の増進や維持に有益と考えられていますが、今回の結果からは、健康な人ではサプリメントによるベネフィットは得られないことは明らかです。
“サプリメントは栄養バランスに富んだ食事の代わりにはならない”という事ですね。
また、栄養素を食品から摂取した場合とサプリメントから摂取した場合で有益性に差が出た理由は明らかになっていないませんが、この点について、米タフツ大学准教授のFang Fang Zhang氏は、「食品から摂取した場合には、身体が栄養素の吸収を調整したり、制限したりできるのに対し、サプリメントでは、こうしたコントロールができないためではないか」と説明しています。
サプリメントを摂るのは全部やめた方がいいの!?
米ニューヨーク大学(NYU)ランゴン・ヘルスの管理栄養士であるSamantha Heller氏は「一種類の栄養素を摂取したからといって健康上の問題が解決するわけではないが、状況によっては栄養素の補充が必要なこともある」と指摘しています。
その一例として、完全採食主義者(いわゆるヴィーガン)では、たまごを含む動物性蛋白質を一切摂らないので、ビタミンB12やビタミンD、オメガ3脂肪酸など特定の栄養素が不足しがちです。
また、ビタミンD欠乏症の増加は世界的にも問題となっているが、その必要摂取量については専門家の合致した意見はまだ出ていないそうです。
病気を予防したい! 健康になりたい! 長生きしたい!
と誰しも強く思います。基本的な食生活がカオスになっている状態で、「お金をかけてサプリメントに頼る」、あるいは「サプリメントで補おう」と考えるのは短絡的すぎるかもしれません。
当院の院長「幡芳樹先生」だって、毎日の外来と心臓カテーテルをこなすための強靭な肉体と精神力を養う目的で、毎日暗い夜道をランニングしているんですよ!
皆さま、夜遅く、荒い呼吸で後ろから誰かが近づいてくる~~!!なんて思ったら、幡院長かもしれません(笑)
*1:Annals of Internal Medicine」4月8日オンライン版