論争に決着か!?低脂肪vs.低炭水化物ダイエット、体重減量効果は・・・
皆さん、こんにちは。
ついに、低脂肪ダイエットvs.低炭水化物ダイエットどちらの食事療法に減量効果があるのか!?この議論に決着がついたようです。
「デブの原因は脂肪だ~!」とか、「いやいや、糖質が本当の悪なんだー!」なんて論争が日々続いていますが・・・。実際、日本や海外の医学会でも両者のどちらを推奨しているかは、その道の専門家でも各々見解が異なっているんです。
低脂肪グループvs.低糖質食グループ
この研究は、米国のスタンフォード大学などの研究チームによるもので、2013年1月29日~2015年4月14日にかけて、12か月間実施。2018年2月20日号のJAMA誌(米国医師会雑誌)に掲載発表されました。
- 平均BMI値28~33のやや肥満傾向の男女(女性57%)
- 非糖尿病の18~50歳、609例を対象
- 無作為化試験「DIETFITS」(The Diet Intervention Examining The Factors Interacting with Treatment Success)を実施
被験者を2群に分けて、
- 低脂肪グループ:最初の2カ月は脂肪は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日42gまでにする。
- 低糖質グループ:最初の2カ月は糖質は1日20gまで。その後、少しずつ量を増やしていき、平均で1日96.6gまでにする。
さらに、共通する指示として、
- 1日の摂取カロリーに制限はなし(気にしなくてOK)
- タンパク質の量はどちらのグループとも1日90gぐらい
- できるだけ加工食品を減らして野菜を増やす(小麦や砂糖、トランス脂肪酸の量はできるだけ減らす)
参加者の遺伝子型やインスリン感受性に関しても調査
この研究が興味深いのは、食事制限の指導のみでなく、個々の遺伝子型も調べて調査を行った所です。
- 生まれつき脂質の代謝が苦手な人(=低脂肪が効きやすいと推測される)
生まれ持った体質によって、ダイエットの効果に違いが出るのか?という問題です。
低脂肪食と低糖質食、どちらに軍配があがるのか!?
この結果、遺伝子体型やインスリン感受性を考慮にいれても、低脂肪食と低糖質食の減量効果同程度。結果、引き分けということです。
- 1年間の期間の終了時に、低糖質食を続けた人は、平均して1日に132グラムの炭水化物を摂取しており、試験前の247グラムの半分近くまで減らした。
- 同様に、低脂肪食を続けた人は、平均して1日に57グラムの脂肪を摂取していた。試験が始まる前には平均87グラムを摂取しており、3分の1を減らした。
- 試験開始から1年後には、低糖質ダイエット群では平均で6.0キログラム、低脂肪ダイエット群では5.3キログラム減量し、減量効果は両群間で同程度であることが分かった。
- 安静時の血圧とインスリンの改善も両群間に差はなし。
- 悪玉コレステロールの減少は低脂肪食が優勢(ただし僅かな差)
- 善玉コレステロールの増加は低糖質食が優勢(ただし僅かな差)
- 8件の有害事象が認められたが、発生の割合は両群で同程度だった。
実は、研究チームは参加者に、どちらの食事スタイルに振り分けられたにせよ、
「新鮮な野菜を食べる」
「精製された加工食品をなるべく控える」
「極端に空腹になるのを避ける」
「食後に運動をし、血糖値が上昇するのを防ぐ」
など、一般的な食事のアドバイスをしています。
とくに注意したのは、特定の食事スタイルを長期間続けられるよう調整することで、「今回の研究が終わっても、自分の選んだ健康的な食事スタイルを、ずっと続けられるようになることを目指した」といいます。
〇〇制限食とかでなく、摂取しているカロリーの質が重要
低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットのどちらも、無条件に健康に良いわけではありません。たとえば、炭酸飲料や清涼飲料水などは低脂肪ですが健康的ではなく、ラードは低糖質ですが、アボカドの方がより健康的です。
体重を減らすために基本となることは、食事で必要な栄養素を十分に摂り、カロリー摂取量が消費カロリーを上回らないようにコントロールすること。in outのバランスが重要です。
体重を効果的に減らすことを目指しているという点で、低脂肪ダイエットと低糖質ダイエットは戦略は似ています。極端にストイックな食事制限は長続きしましん。
ダイエットや健康に求められているのは、食べることを我慢することではなく、もっと効率のよい食べ方に変えていく方法を探ることです。
体重を減らすために有効なのは、低脂肪食なのか、低炭水化物食なのか…、多くの臨床研究が行われ、いまだ意見の一致は得られてません。しかし、総エネルギー摂取量は各群ともに平均で2,200kcalから1,700kcalまで減少させることができており、低脂肪食であっても低炭水化物食であっても、食品の組成や遺伝因子、インスリン分泌能に関係なく減量が可能であるというこの試験の結果は、痩せることに最も重要なのは、エネルギーの総摂取量を減らすことであるというきわめてシンプルなことを科学的に示しています。
さらに重要なことは、カロリーの質の高い食事を取ること。同じ500kcalでもポテトチップスを食べるのか、焼き魚定食を食べるのかでは、まったく栄養素が異なるのは明白です。
次回は、ダイエットや健康にも関連した食事療法であるDASH食についてお話ししようと思っています。このDASH食は高血圧予防のための食事療法アプローチなのですが、実は高血圧予防効果だけでなく、糖尿病予防効果、高尿酸血症予防効果、体重減少効果など、非常に有益な食事療法であり、U.S.ニューズ・アンド・ワールドリポート誌(U.S. News & World Report)の2018年食事ランキングでは、「DASH食(高血圧予防のための食事療法アプローチ)」が総合第1位にランク付けされているのです。非常に興味深いですよね!!
次回は、このDASH食についての記事でお会いしましょう~!(^^)!
原著論文はこちら
Tay J, et al. Diabetes Care. 2014 Jul 28.
本当は怖い胸やけの正体・・・
みなさん、こんにちは!
年末年始の暴飲暴食によって、胃腸を壊している読者の方も多いのではないかと思います。
実は私の友達も、年始の暴食(激辛料理の怒涛食い)がたたって、数日間体調を壊していました(^^;)
飲みすぎ、食べすぎ、、、その後に引き続く悪夢のような不快感。皆さんも経験したことありませんか?
今回はその胃腸の不快感、胸やけに焦点をあてて科学的根拠を基にお話していこと思います。
胸やけの正体って・・・?
胸やけなどの不快感を引き起こす病気は、医学的な用語で『胃食道逆流症』と言います。胃と食道の境界部がいろいろな原因でゆるみ、胃酸などの胃の内容物が食道内へ逆流して、食道に傷をつけたりします。胃を切除した人や高齢者に多くみられますが、肥満や妊娠によって胃酸の逆流が起こることもあります。
胃食道逆流症には、食道に傷がみつかる『逆流性食道炎』と傷がみつからない『非びらん性胃食道逆流症』があります。
胃食道逆流症の特徴的な症状は胸やけ
逆流性食道炎では、胃酸が食道まで逆流することで胸やけが認められます。さらに胃酸が口まで逆流すると、口のなかが酸っぱく感じられる呑酸(どんさん)の症状が現れます。その他には以下のような症状があります。
・げっぷが多くなる
・胃もたれ
・食欲不振
・胸痛(胸のつかえ感)
・喉の違和感、つかえ感
・声のかすれ
・慢性の咳
・喘息症状
・睡眠障害
・耳の痛み、中耳炎
・虫歯
食道炎と言うのだから、症状は腹部に生じると思いきや、、、胸が苦しくなったり、喉がつかえたような感じ、さらには歯茎痛、耳痛など体の上部に様々な症状が現れるます。
日常生活において気を付けることは?
昼寝が胃食道逆流症の症状を悪化させる!?
朝起きたとき、胸やけ症状があったり、酸っぱい感じを覚えるのは、夜間寝ている間に胃酸が逆流することが原因だからです。
じゃあ、昼寝はどうなの?と思う方も多いと思いますが、、、
実は昼寝はNGだ!!という事実が、アリゾナ大学の研究結果から分かりました。
逆流性食道炎患者において、夜間の睡眠と昼寝はどう違うのかということを調べたのがきっかけのようです。この結果から、逆流性食道炎の患者さんは昼寝中のほうが夜間睡眠中よりも逆流症状を感じやすい可能性があります。とりあえずは、逆流性食道炎の患者さんは、あまり昼寝を定期的に取らないほうが良いかもしれませんね。
コーヒーの摂取量と消化器疾患に関連性はない!!
「胃に悪いからコーヒーを飲むのは控えている!」という方には朗報です!!
一般的なガイドラインでは、上の表(胃食道逆流症の人の食事・日常生活における注意点)に示すように、逆流性食道炎の患者さんにはコーヒーは控えるように・・・という指導をされている事が多いようです。
しかし、コーヒー摂取と4大上部消化管疾患(胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症)との間に有意な関連は認められないことが、亀田メディカルセンター幕張 消化器内科の島本 武嗣氏らによる横断的研究で明らかになりました(PLoS One誌オンライン版2013年6月12日号の報告)。
コーヒーに含有されるカフェインは、胃酸の分泌を促す性質があります。そのため、十分な疫学的根拠がないにもかかわらず、さまざまな上部消化管疾患と関連があると考えられてきました。本研究では、4大上部消化管疾患である胃潰瘍、十二指腸潰瘍、逆流性食道炎、非びらん性胃食道逆流症とコーヒー消費量の関連について、大規模な多変量解析に基づいた研究が報告されました。
この研究結果から以下のようなことが分かりました。
- 単変量解析の結果、日頃コーヒーを飲んでいる群と飲んでいない群で有意差を認めた因子は、年齢、BMI、ペプシノーゲンI/II比、喫煙、飲酒であった。
- 多重ロジスティック回帰分析の結果、各疾患と有意な正の相関を認めた因子は以下のとおりです。
● 胃潰瘍:ヘリコバクターピロリ感染、現在の喫煙、BMI高値、ペプシノーゲンI/II比高値
● 十二指腸潰瘍:ヘリコバクターピロリ感染、現在の喫煙、ペプシノーゲンI/II比高値
● 逆流性食道炎:ヘリコバクターピロリ非感染、男性、現在(または過去)の喫煙、BMI高値、ペプシノーゲンI/II比高値、加齢、飲酒
● 非びらん性胃食道逆流症:若年齢、女性、現在(または過去)の喫煙、BMI高値 - メタ解析の結果、胃潰瘍と十二指腸潰瘍のいずれにおいても、コーヒー摂取とのいかなる関連を認めなかった。
以上の結果より、コーヒーの摂取と4大上部消化管疾患の間には有意な関連は認められないことが明らかになりました。一方で、喫煙はいずれの疾患にも有意な関連が認められるわけです。まず、胃腸を健康に保とうと思ったら禁煙が近道かもしれませんね。
原著論文はこちら。
http://Shimamoto T,et al.PLoS One. 2013 Jun 12;8(6):e65996.
まとめ
胸やけ。多くの人は経験したことのある症状・・・。胃食道逆流症が原因であることも多いですが、以前は欧米と比べると日本人には少ないと言われていました。しかし食習慣の欧米化によって、最近では本邦でも疾病する患者さんが多いというのが事実だそうです。
医師から、胃食道逆流症の診断を受けた場合、食事や生活の指導を受けることが多いのですが、日常生活の改善と並行して行うのが、胃酸分泌を協力に抑えるお薬での治療です。8週間でほとんどの患者さんの症状が改善し、食道の傷を治すことができます。注意すべきは、食道の傷が治っても胃と食道の境界部のしまりが緩んだままだと、薬をやめれ逆流がおこり、再発するという事です。症状が改善したと感じても、食道の炎症がおさまるまで1~2か月は服用を続けることを勧めている先生が多いようです。
消化器疾患を発症しないようにするには、生活習慣を見直すことが重要です。その中で最も効果的なのは禁煙です!!これは、亀田メディカルセンター幕張 消化器内科の島本先生の研究結果でも明らかです。また、満腹になるまで食べるより、腹八分で抑えることも大切です。
さらに興味深いのは、胃がんや胃潰瘍、十二指腸潰瘍の発症にはヘリコバクターピロリは関連性がありますが、逆流性食道炎はヘリコバクターピロリ未感染の方が発症しやすいという事です。
一方で、身体で感じる胃腸の不快感は、重篤な疾患が隠れている場合もあります。ただの胸やけ・・・と放置しておくと大変な事態を引き起こすこともあります。胃部不快感が長引くようでしたら、病院での診察を受けてみましょう! 特に40代以上の方は、男女問わず内視鏡検査を受けるのもおススメですよ!!
それでは皆さん、飲みすぎ食べすぎには注意しましょうね♩
またお会いしましょう~(^^)
本当は怖いクリスマス…。 ~心筋梗塞はクリスマス・イヴにやってくる~
皆なさま、こんにちは!!
そろそろ、メリークリスマス☆彡
今年のクリスマスは新型コロナの影響もあり、大勢で集まったり、外食するのが中々難しい状況ではありますよね…?
ご自宅でゆっくりとクリスマスを過ごされる方も多いと思います。
しかし!!!
そんな楽しいはずのクリスマス、、、実はとんでもないプレゼントが飛んでくるかもしれません。。。
クリスマス・イヴに心筋梗塞の発症が上昇
クリスマスの素敵なひとときに釘を刺すような衝撃の記事を見つけましたので、ご報告致します。
実は、月曜日と冬休み中(クリスマスおよび年末年始の休暇中)は、他の曜日や季節に比べて心筋梗塞の発症率が高いことが示されたのです。
しかも、イヴの12月24日はその前後2週間と比べて、発作リスクが37%増加。クリスマス(29%増)や元日(21%増)も、『危険な日』であったというデータが発表されました。
科学的根拠に基づくデータ①
スウェーデンで1998-2013年に報告された急性心筋梗塞28万3014例のデータを基に、祝祭日と心筋梗塞発症リスクの関連を後ろ向き観察研究で検討しました。
その結果、クリスマスおよびミッドサマー(夏至祭)休暇が心筋梗塞発症リスク上昇と関連し(発症率比1.15、95%CI 1.12-1.19、P<0.001および同1.12、1.07-1.18、P<0.001)、クリスマスイブの発症リスクが最も高かった(同1.37、1.29-1.46、P<0.001)。FIFAワールドカップなどのスポーツイベントやイースター休暇のリスク上昇は見られませんでした。75歳以上、糖尿病、冠動脈疾患既往でのリスク上昇が顕著であったという事です。
科学的根拠に基づくデータ②
もう一つはこの論文。
2006~2013年のスウェーデンの心疾患患者の登録データを用いて同期間に登録された15万6,690件の心筋梗塞のデータを分析。その結果、気温や大気汚染などの因子で調整後も、月曜日と冬休み中(クリスマスおよび年末年始の休暇中)は、他の曜日や季節に比べて心筋梗塞の発症率が高いことが示された。一方、週末や夏休み中は他の曜日や季節と比べて発症率が低いことも分かったそうです。
これまでも、複数の研究でストレスが心筋梗塞リスクを高めることは示されています。たとえば、地震などの自然災害や、サッカーワールドカップといった大きなスポーツイベントが心筋梗塞の発症を誘発する可能性を示した論文が散見されます。
冬休みは、クリスマスやお正月などのイベントの準備で忙しくなること、また月曜日は週の仕事始めの曜日であり、いずれもストレスを感じやすいタイミングであると考えられます。今回考慮されなかった要因が心筋梗塞リスクに影響を及ぼしている可能性がありますが、ストレスはかなり強い危険因子であると考えられます。
ただし、今回提示した2つの研究は観察研究であるため、因果関係を証明するものではなく、心筋梗塞の発症と特定の時期との関連性を示したものです。
もし、休日と仕事始めの曜日を変えて、休日を月・火曜日、仕事始めの曜日を水曜に変更した場合、、、心筋梗塞の発症率が高まる曜日は水曜に変わるかもしれませんね・・・(笑)。
まとめ
今回の研究は、『心筋梗塞の発症リスクは、クリスマスイヴ、クリスマス、お正月に上昇する』という研究結果を示しています。これは、イベントが重なることで、心身の疲労、ストレスが高まる事が原因によるものと考えられます。今年は新型コロナの影響でイベントも少ないので、例年の様な身体への疲労はないかもしれません。
でも、急上昇する新規感染者の報道や、ウィルスの影響で新しい生活様式へと変化したことから、精神的ストレスが過多になっている方もいらっしゃるはずです。
『ストレスは万病の元』と言います。お金は貯めても、ストレスは貯めないライフスタイルが重要ですが、中々そうはいかないのが現実。でも皆さん、時にはリラックスして下さいね!
好きな映画を見たり、好きな本を読んだりして、趣味に時間を使うことも大切です。おうち時間を有意義にお過ごしください。
みなさま、素敵な休日を・・・。
それでは皆さん、メリークリスマス☆彡
孤独な女性は太りやすい!?
皆さん、こんにちは~!
独身の女性にとっては、凹むような論文が報告されました。
まったく、ディスってる訳でも、イヤミでもありませんよ(汗)
科学的根拠に根拠に基づいた発表です!!
最近、女性ネタが続いていたので、引き続きいってみよ~と思います。
孤独な女性は太りやすい!?
食医学にとって、食事の内容はさることながら、どのような気分、気持ちで食事を摂っているかというのは、とても重要な因子となります。
「辛い、さみしい、むかつく、、、」こんなマイナスな気持ちでご飯を食べているよりも、「楽しい、美味しい、嬉しい~♫」という幸せな気持ちで食事をしている方が、当然、健康にも良いとされています。
今回ご紹介する論文は、ひとりでご飯を食べることが、女性にどのような影響を与えるかを調べた研究です。
42人の女性において、食前、食後2時間、食後7時間のグレリン(食欲ホルモン)の値を測定しました。この試験に際して、アルコールや薬剤を中止してもらう徹底ぶりです。孤独感については、8点満点のニューヨーク大学孤独感スケールを用いた回答から層別化したようです。
最初から孤独な人とそうでない人を分類したわけではなさそうです(笑)。
グレリン(食欲ホルモン)とは!?
グレリン(ghrelin)は、胃から産生される下垂体に働き成長ホルモンの分泌を促進させるホルモンです。また、視床下部に働いて食欲を増進させる働きを持っています。
グレリンは絶食により血中濃度が上昇し、摂食により血中濃度は低下する。肥満者では血中濃度は低値を示し、やせ状態では血中濃度は高値を示す。
また、グレリン投与により、体重増加、脂肪組織の増大がみられることから、脂肪細胞が産生する抗肥満ホルモンであるレプチンに拮抗するホルモンであると考えられている。
その結果、孤独感を感じる女性ほどグレリン値は高く、食事を摂取してもグレリン値が高く、空腹感を感じることが分かりました。
つまり、孤独な状態でご飯を食べると、満腹感がもたらされずついつい食べ過ぎになり、結果的に必要以上のカロリーを摂取してしまうという訳です。
恐ろしい結果ですね・・・。
孤独感が空腹を招くとは・・・!?
図:比較的痩せた女性における食後グレリン値 (文献より引用)
ただ、今回の研究は比較的痩せている女性を対象としているようです。最初から肥満の女性では有意差は出なかったそうです。
まとめ
グレリンは食欲促進作用を示し、私たちにとっては味方につけたくないホルモンです。このグレリンは孤独の状態で高値を示します。よって孤独な状況下では食事を摂取してもグレリン値が高値を維持し続け、結果過食となるという事です。
この研究結果は、『孤独な女性』と銘打っていますが、『独身=孤独』とは限りません!シングルの女性でも、仕事やプライベートなどの日々が充実していたり、友人や知人に囲まれ楽しく食事をしている女性も多いと思います。
『つながり孤独』という言葉が意味するように、「SNSで友だちの暮らしを見て劣等感を抱く」「SNSでのつながりの薄さに孤独を感じる」というように、人は疎外感を感じると孤独と感じるのだと思います。
やはり、生身の人との交流が大切なのだと思います。
そんな私は最近、交流の場としてボードゲームを始めました!しかも、速攻でハマりました(笑)!! 人狼ゲーム、カタン、宝石のきらめき、花火・・・ご存知ですか?
友達や家族とゲームするのはもちろん、初めて知り合った人ともゲームを通じて交流しています。知的好奇心を刺激されて、とても楽しいです。
皆さんもボードゲーム、始めてみませんか??
またの機会に、このボードゲームについてお話ししようかと思っています(^^)
それでは、皆さん!!
独りの食事よりは、友達、家族、知人と楽しくご飯を食べましょうね~!!
男性は妊娠しやすい女性の匂いを好む!?
女性なら、一度は考えたことがあるかも!?
「男性って、どんな匂いが好きなんだろ~?」
「香水はフローラル系? せっけんの香り?」
「フェロモンって、何??」
そんな途方もない事、考えてちゃ、ダメです!
科学的根拠を元にして、男性の好きな匂いが、判明しました!!!
今回は、男性がどんな匂いのする女性に惹きつけられるのか・・・というお題について、解説していこうと思います。
男性は妊孕性(にんようせい)が高い女性の匂いを好む
ある研究で、男性はどんな香水よりも、妊孕性(にんようせい:妊娠や出産のしやすさ)が高い女性が放つ匂いを好むことが分かりました。
これは、ベルン大学(スイス)社会心理・社会神経科学部のDaria Knoch氏らの研究で、生殖にもっとも適した状態にある女性には、男性を魅了する魅惑的な特定の匂いがあることが分かったそうです。
男性は、どの香水よりも妊孕性(妊娠や出産のしやすさ)が高い女性が放つ匂いを好むことが、ベルン大学(スイス)社会心理・社会神経科学部のDaria Knoch氏らによる研究で示された。生殖に最も適した状態にある女性には、男性にとって魅力的な特定の匂いがあることが分かったという。
なお、今回の研究では、女性の匂いに影響する可能性があるストレスホルモンのコルチゾールや免疫系に関与する遺伝子などの要因も考慮したそうです。
研究内容
今回の研究は、健康な女性28人と男性57人を対象に実施された。女性には様々な匂いの元となるものを排除する目的で、厳格なルールを厳守(洗剤や石鹸、アルコール、スパイシーな食品などを避けるように指導)また、研究期間中はホルモンを含んだ避妊薬の使用は中止し、一人で就寝し、身の回りの物は無臭の製品のみに限定。その上で、最も妊娠しやすい時期に女性のわきの下にコットン製のパッドを一晩貼ってもらい、その匂いを採取した。また、唾液を採取し、ホルモン値を計測した。
一方、男性には実験室でパッドの匂いを嗅いでもらい、0~100点で点数を付けてもらった。
研究結果
その結果、エストロゲンの分泌量が多く、プロゲステロンの分泌量が少ない女性は、男性の嗅覚を最も強く惹きつけることが分かった。
女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)とは?
このエストロゲン、プロゲステロンとは、卵巣から分泌される性腺ステロイドホルモンの一種で、女性ホルモンとも言われています。
排卵直前~排卵にかけては、エストロゲンが多く放出され、排卵後にはプロゲステロンが必要になります。
巷で言われている女性ホルモンといえば、概ねエストロゲンを指します。このエストロゲンには、女性を美しくしてくれる効果があり、女性らしい肉体を作り上げます(俗に言う、ふくよかなバストとむっちりヒップです♡)
一方、プロゲステロンは、受精卵の着床と妊娠の継続には、なくてはならないホルモンですから、不妊の原因を探るうえで重要なホルモンと言えます。
これらのホルモン値は妊孕性(にんようせい:妊娠・出産のしやすさ)の高さを示していることから、「この結果は、男性は妊娠や出産をしやすい女性により強く惹かれることを示唆している」とKnoch氏は説明しています。
ちなみに、女性ホルモンを増やしたい!!と、思っている女性も多いはず。
巷では、「大豆がいい!!」「女性ホルモン用のサプリメントを摂るといい!」
なんて声が聞こえてきますが、、、今のところ、そのようなエビデンスは見つかりません(涙)
まとめ
今回の研究では、男性を惹きつける女性の匂いに影響するのは、生殖ホルモンに限られることが明らかにされました。『生殖ホルモンは女性の妊娠のしやすさの指標であり、分泌量が増えるほど男性にとって魅力的である』と考えられます。
女性のふくよかなバストとむっちりヒップは、男性にモテる、ひとつの要素です。
これも実は、男性の生殖機能からくる本能なのだそうです。『豊満なバストと大きなヒップを持っている女性は、元気で丈夫な子供を産んでくれる!』と男性は本能で認識してしているそうなんです。
女性らしい肉体をかたち作る要因にも、生殖ホルモンが関係しているという事を考えると、、、男性が、妊孕性の高い女性に遭遇すると、見た目と匂い、両方からノックアウトされてしまうのですね~!!
ちなみに私も、職場の男性に『匂ってみて!』と言って首筋の匂いを嗅いでもらいましたが、、、『何にも感じません・・・』と言われましたwww
原著論文はこちら
Lobmaier JS, et al. Proc Biol Sci. 2018 Sep 12;285(1886).
*1:「Proceedings of the Royal Society B」9月12日オンライン版
結婚のすすめ! ~結婚で寿命が延びる!?~
結婚すると健康になる!?
皆さん、こんにちは(^^)
健康と美の伝道師、ゆみこっぷです。
失礼ですが、、、いきなり質問。
皆さん、結婚していますか? それとも、結婚は後回し・・・シングルライフをエンジョイしていますか? 離婚の経験や、伴侶とお別れした経験がある方も多いと思います。
人によって、結婚に対する価値観は、様々であると思います。
しかし、『結婚しているかorしていないか』が、健康や寿命に影響を与えていたら、結婚に対する考え方が、変わるのではないでしょうか??
科学的根拠から言いますと、
健康で長生きするためには、結婚がベストです!!
実は以前より、結婚は健康に良い影響を与えることが様々な研究で明らかにされていまいた。しかも、『結婚が、心筋梗塞や脳卒中といった心血管疾患を予防する効果がある』ということを示唆する研究結果が2018年6月に発表されました。
結婚が健康に及ぼす科学的根拠
「結婚が病気や寿命にどのような影響を与えるか」という解析を行ったのは、英キール大学プライマリケア・健康科学研究所のMamas Mamas氏らの研究班です。彼らは、今回、1963~2015年の53年間に発表された、婚姻状況と心血管疾患リスクとの関連を評価した34件の研究を抽出し、アジアや欧州、中東、北米、スカンジナビアにおける42~77歳の男女計200万人を超えるデータを用いてメタ解析を実施しました。
その結果、
- 結婚している人と比べ、結婚歴がない人や離婚または死別により独身となった人では心血管疾患リスクは42%、冠動脈疾患リスクは16%高い。
- 結婚している人と比べ、結婚歴がない人や離婚または死別により独身となった人では、冠動脈疾患による死亡リスクは43%、脳卒中による死亡リスクは55%高い
- 男女ともに離婚した人は冠動脈疾患リスクが35%高く、配偶者と死別した人は脳卒中リスクが16%高いことも分かりました。
- 心筋梗塞後に死亡するリスクは、結婚している人に比べて独身の人で42%高かった。
という事が、明らかになりました。
この研究結果は、「婚姻状況が、心臓病や脳卒中、これらの疾患による死亡の独立したリスク因子である可能性ある」ことを示唆しています。
ただし、この研究では、婚姻状況と健康の因果関係は明らかにしていません。
婚姻状況そのものが健康に対するリスク因子であるのか、検討していく必要はあると思います。
どうして結婚が健康に有益なのか?
ここで言う、『結婚』とは、『結婚という事実より、パートナーがいる』という状況が、心臓病、脳卒中、心血管疾患による疾病、死亡リスクを軽減しているという事ではないかと思います。
考えれられる要因としては、
- 健康面で問題が生じた場合、パートナーがいると早期発見や早期治療につながりやすい。
- パートナーがいるため、健康でいよう!というモチベーションが上がり、積極的に検診や検査を受ける傾向にある。
- 結婚していると、治療に積極的で内服(お薬)を遵守できる。
- 結婚していた方が経済的に安定し、心身が健康で幸福な状態にある可能性が高い
- 結婚していると、交友関係が広くなり、これらが結果的に健康に好ましい効果をもたらしている可能性がある。
- ダイエットや喫煙に関して、パートナーから指摘を受けるため、食生活の改善やや禁煙に取り組みやすい。
などが挙げられます。
まとめ
シングルライフは楽しいですよね~!
束縛されるものもないし、自由に時間やお金を使うことが出来る!!好きな時に寝て、起きて、好きなテレビを見て、好きな食事を食べて・・・。
けれども、そういった自由が、寿命や健康面にはマイナスに働いているのかもしれません。
確かに一人でいるより誰かと一緒にいたほうが、健康や食生活に気を遣う傾向は強いと思います。「健康でいよう!」と、モチベーションが高くなります。
私が医療機関で働いていて、たびたび遭遇する事があります。『孤独死』という現実です。
もし倒れた時に自宅に誰かがいて、救急要請していたら、、、命は救われたかもしれません・・・。
健康でいるためには、結婚という法律上の関係でなく、パートナーがいることが大切なんだと思のです。例えば、結婚状態が破綻していた場合、相手の健康状態がどうであるかなんて興味がありませんし、相手の身体の変化に気付くことは出来ないと思います・・・。
健康で長生きしたいなら、結婚、もしくはパートナーがいたほうが良いですよ! 結婚をあきらめる事は、自分の健康を脅かしていることと一緒かも・・・。
素敵なパートナーがいる生活が心身ともに幸せになる秘訣なのかもしれませんね♡
原著論文はこちら
Wong CW, et al. Heart. 2018 Jun 19.
提供元:HealthDay News
鼻をほじっていけない本当の理由
お題を見て、笑っちゃいますよね?
皆さん、鼻をほじったことありますか?
子供のころだと、お母さんから『こら~! 汚いからやめなさいい!!』って言われた経験もあると思いますが・・・。
もちろん、鼻をほじっていると、見た目は悪いですよね・・・?
それ以外に、鼻の中からの分泌物も気になりますが・・・(^^;)
でも、鼻をほじると本当に汚いのでしょうかね(笑)??
今回は、この鼻をほじっていけない理由を医学的観点からお話していこうと思います。
前回のシリーズでは『風邪』、いわゆる感染症についてお話してきましたが、この感染症にも通ずる面白ネタを、ご提供したいと思います。肩の力をぬいてお読みください・・・。
鼻をほじるって、医学的に悪いことなの!?
実際に鼻をほじると自分自身だけでなく周囲の人の健康にも悪影響があることが、英国リバプール熱帯医学研究所のVictoria Connor氏の研究結果で判明しました。
成人の男女40人を対象としたこの研究では、鼻をほじったりこすったりすると、肺炎球菌が拡散する可能性があるというのです。鼻と手が接触するだけで肺炎球菌が簡単に拡がってしまう事を、初めて報告したものではないかと思います。
以前のブログにも解説しましたが、肺炎の引き金となる肺炎球菌は、咳やくしゃみ等のしぶきを介して感染する飛沫感染であるとご説明しました。肺炎球菌が実際どのような過程で伝わるのか、、、というのは、実は現時点では明らかになっていないのです。しかし、この肺炎球菌の感染経路を明らかにするために、Victoria Connor氏は今回の研究を行いました。
研究内容
18~45歳の健康な男女40人を
① 肺炎球菌を加えた水で濡らした手を鼻に近づけて吸い込む ➡ wet sniff 群
② 肺炎球菌を乾いた状態で手の甲に付着させて鼻で吸い込む ➡ dry sniff 群
③ 肺炎球菌を加えた水で濡らした指で鼻をほじる ➡ wet poke 群
④ 肺炎球菌を乾いた状態で指に付着させて鼻をほじる ➡ dry poke 群
研究結果
全ての群で、肺炎球菌は手から鼻へとたやすく感染することが明らかになりました。また、最も感染しやすいのは肺炎球菌を加えた水で濡らした手に鼻を近づけて吸い込むwet sniff 群と、肺炎球菌を加えた水で濡らした指で鼻をほじるwet poke 群であることも分かりました。この結果について、Connor氏らは乾燥した環境では細菌が死滅しやすいことが要因では、、、との見方を示しています。
[http://Connor V, et al. Eur Respir J. 2018 Oct 10. [Epub ahead of print]]
肺炎球菌を媒介にした感染症によって命を落とす小児(5歳未満)は、全世界で年間で130万人とも言われています。また、高齢者や免疫力の低下した患者さん(癌患者さん、血液透析患者さん、慢性疾患をお持ちの方)も感染するリスクが非常に高いのでです。それほど、肺炎球菌は身近にいて非常に恐ろしい細菌なのです。
まとめ
手指を清潔に保つこと、子供が触るようなおもちゃ、雑貨などを清潔に保つことは、幼い子供たちを肺炎球菌の感染から守るという可能性があります。また、子供が感染すると学校などで集団感染したり、あるいは一緒に生活している高齢者へも感染させてしまうので、細菌の伝播(でんぱん)を防ぐ、といった意味合いからも、子供を肺炎球菌に接触させないようにするのは重要な事だと思います。
手と鼻が接触しただけで、容易に肺炎球菌は拡散します。
これが、『鼻をほじってはいけない』理由のひとつでした。
ただし、この研究結果だけを真に受けてはいけません。
実は、子供のころに色々な細菌に感染しておくことはとても大切なのです。
子供はすぐ風邪などの感染症にかかりますよね?それは、その感染に対する抗体(特定の感染に反応し打ち勝つ力)を持っていないからなのです「子供のころ、よく風邪を引いていたのに大人になって風邪を引かなくなった」というのは、子供のころに色々な細菌を身体で味わって、その感染症に対する抵抗を身体で身に着けたからなのです。
ですので、『絶対無菌』『絶対除菌』がいいかと問われると、それは一概に最良とは言えません。
けれども、命を脅かす感染症から子供を守るためにも、少なからず日々の生活で予防出来ることは、対策を講じるのが大事だと思います。
以上、『鼻をほじっていけない本当の理由』でした(^^)!!